礼服の種類
男性篇
厳格なルールで定められた男性のフォーマルウェア
男性のフォーマルウェアは多岐に渡ります。ブラックスーツとは?タキシードとモーニングコートを着るべきシチュエーションは?女性と比べ、厳密に定められているからこそ、ルールは外したくないところです。 また、着るチャンスが少ない燕尾服もラインナップしました。知識としておさえておき、いざという時に着るべきものをきちんと判断できるようにしておきましょう。
ブラックスーツ
Black Suits
控えめ”を前提に、
華やかにも装える礼服の定番
格としては最も低い略礼服(インフォーマルウェア)。日本人男性にとって最もスタンダードな礼服といえるでしょう。自由度が高く、小物やシューズのバリエーションをいくつか用意しておくと、さまざまなシーンに応用させることができます。
改まった席でも自分らしいコーディネイトを楽しめる利点がありますが、大切なのは“控えめ”であることです。
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POINT1
ジャケット色は黒。シングル、ダブル共に用意されていますが、シングルの1つボタンでピークドラペルのものがフォーマル度が高いジャケットといえます。
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POINT2
ネクタイ慶事の場合は白、グレーの無地または柄が基本ですが、パーティーの際はドット柄をセレクトしてもOK。ボウタイにベストを組み合わせて華やかさをアップさせるのもブラックスーツならではの装い。弔事の場合は、黒無地のネクタイを選びましょう。
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POINT3
シャツ慶事、弔事ともに白のレギュラーカラーで、袖を折り返してカフスで留めるダブルカフスがスタンダード。
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POINT4
小物カフリンクスやタイピンを合わせるのも可。慶事ではパールや白蝶貝。弔事で用いる場合は銀台に黒オニキスなど、控えめにしましょう。
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POINT5
シューズ表革の黒のレースアップタイプ。アッパーはストレートチップやプレーントゥを。夜のパーティーでは華やかさを引き立てるエナメル素材のシューズもおすすめです。
モーニングコート
Morning Coat
ベルトは使わず、サスペンダーの使用が基本
慶事、弔事ともに昼の最も格式高い正礼服です。婚礼の新郎や、公的行事や記念式典での主催者、葬儀の喪主が着用します。
ジャケットの前裾が大胆にカットされたような独特な形状は、フロックコートの前裾を乗馬用に切り落とし、朝の散歩用としたのが起源と言われています。
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POINT1
ジャケット形はピークドラペルのひとつボタン。慶事と弔事では、フロントボタンの合わせが異なり、慶事は拝み合わせ、弔事は通常の合わせになります。
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POINT2
ベスト慶事、弔事ともに、ジャケットと共地の黒の襟付きベストが最適。ただし、慶事に限り、グレーのベストまたは、ボタンで取り外せる白襟も可能です。
シャツはプリーツなしのシングルカフスを合わせましょう。 -
POINT3
ネクタイ慶事では白・黒・グレーのレジメンタルタイまたはアスコットタイを、弔事では黒無地のタイを合わせるのが基本です。
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POINT4
小物元々はポケットチーフ、白のグローブ、黒のハットがマストアイテムでしたが、現在は大分簡略化されています。
慶事の場合、リネンかコットン素材の白無地のポケットチーフをスリーピークス(3つの山)で挿します。カフリンクスはパールまたは白蝶貝で、手袋は白を選びましょう。 -
POINT5
スラックス黒とグレーのストライプ柄で、股上が長く、裾の後ろが長めのモーニングカットにするのが特徴。ベルトは使わず、サスペンダーを使用するのが基本ルールです。
シューズは黒の表革で、内羽式のストレートチップを選択します。
モーニングコートの略装 ディレクターズスーツ
昼の準礼服(セミフォーマル)の定番、格としてはブラックスーツ、モーニングコートの中間にあたります。
ディレクターズスーツと名づけられているものの、ブラックスーツのジャケット、モーニングコートのスラックスを組み合わせることでまかなうことができます。
ジャケットはダブルの4つボタンで黒もしくはグレー。ベストは共地のライトグレーで、シャツはダブルカフス。アクセサリーはモーニングコートと同様のものを。これらのポイントを抑えれば問題ありません。
タキシード
Tuxedo
タキシードはモノトーンカラーで
まとめるのがベスト
主に夜間の準礼服ですが、現在は昼間の着用も認められています。用途は幅広く晩餐会から気軽なパーティーまで。ブラックタイを着用することから、そのまま「ブラックタイ」とも呼ばれています。
ちなみに、“タキシード”は米国での呼称で、英国ではディナージャケット、フランスではスモーキングジャケットと呼ばれています。
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POINT1
ジャケット拝絹(はいけん)地でつくられたゴージがない一枚襟のショールカラーが代表的ですが、ピークドラペル、ノッチドラペルのものも存在します。色はミッドナイトブルーかブラック、1つボタンでノーベント、ポケットのフラップは基本的に無しですが、中に入るタイプのものであればOKです。
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POINT2
小物胸ボタンとカフリンクスをセットで使用するのが一般的。オニキスまたは白蝶貝・黒蝶貝のものを選ぶのがよいでしょう。チーフは白のシルク素材が基本ですが、柄物で遊んだりすることはルール違反ではありません。
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POINT3
カマーバンドヒダは上向きにして着用します。色柄物を使用する方もいますが、やはり黒がもっとも格式高い存在。ベストで代用することも可能です。
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POINT4
シャツ白無地のウイングカラーかレギュラーカラーで、ダブルカフスのプリーツシャツを選びます。
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POINT5
スラックス側章は一本、裾はシングル。また、カマーバンドを装用したときに邪魔になるため、基本的にはベルトは付けませんが、ベストを着ているときは付けてもOK。足もとはオペラパンプスが基本です。
燕尾服
Tailcoat
燕尾服には白の蝶ネクタイを
別名イブニングコートとも呼ばれる、夜の正礼服のひとつです。“燕尾服”という名は、上着の裾がツバメの尾のように2つに割れていることに由来します。
格式の高い結婚式や披露宴などで着用されています。
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POINT1
ジャケット裾がツバメの尾のように膝まで垂れ下がっているジャケット。拝絹(はいけん)地のピークドラペルに、6つの飾りボタンが特徴です。
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POINT2
シャツ襟の先が前に折れた通常よりも大きいウイングカラーで、プリーツのないイカ胸シャツを着用します。ネクタイは白ピケのボウタイを選びましょう。
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POINT3
ベストベストは、白のピケ織り生地で、U字のラペルが付いたデザインを選ぶとよいでしょう。
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POINT4
小物タイは白の蝶タイが一般的で、ベストと共地を使用します。カフリンクスはシングルのみで、パールまたは白蝶貝が最適です。
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POINT5
スラックス章は二本。裾はシングルが代表的です。また、ベルトは使わず、白のサスペンダーを使用するのがルールです。
足もとはオペラパンプスを合わせます。