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2024.01.31

失敗したら落ち込むけど「できるって信じたらできるやん!」の気持ちが常にある

失敗したら落ち込むけど「できるって信じたらできるやん!」の気持ちが常にある
#1 ゆりやんレトリィバァさん(芸人)
お笑い芸人としてはもちろん、女優、ラッパー、さらにはファッションブランドとのコラボレーションなど多方面で活躍するゆりやんレトリィバァさん。思うがままに自分を表現する彼女に、これまでのキャリアやファッションについて、さらにはその裏側にある思いを語ってもらいました。

物怖じせずに独自の世界を貫き、彼女にしかできない笑いへと観客を引き込んでいくゆりやんレトリィバァさん。強い信念を感じる芸風ながら、いざ対面すると常に笑顔で物腰も柔らかい。タレントとしても人気を集めているのは、そんなチャーミングさが所以でもある。

「トレーニングをするようになってからは、ある程度自信がついたんで。そんなに飾らず、スウェットパンツ1本で私はいいんやって。今はそういうスタイルに変わりました」と語る彼女による、キャリアとファッションにまつわる話とは?


Q1.最近取り組まれていることを教えてください。

「思いついたことを 思いついたときに」

33歳にしてピアスを開けました。朝ドラや大河ドラマのオファーがいつ来てもいいように開けていなかったんですけど、待てど暮らせど来ないので(笑)。

いや、実はめちゃかわいいピアスがあって、それをつけたいと急に思ったんです。穴も開いてないのに買って、そのまま「近く 皮膚科 ピアス」で検索したら50メートル先に病院があって、予約なしで入れたのでそのまま開けました。
最近は「思いついたことを、思いついたときにやろう」みたいな感じなんです。

Q2.普段、スーツを着る機会はありますか?

「恥ずかしながらスーツは持っていません」

あまりないですね、恥ずかしながらスーツを持っていないんです。ジャケットを着ることはありますけど、それもカチッとしたものではなくて。もしこれからスーツを買うとしたら、肩パットがめちゃ入っていて、丈が短くて、ハイウェストのものが欲しいです。


Q3.仕事時のファッションで意識されていることやこだわりを教えてください。

「ボケやすいファッションになるよう調節しています」

雑誌などはスタイリストさんにお願いしますが、テレビはほぼ私服で出ています。

オシャレにはしたいんですけど、アクセサリーをガチャっと着けてしまうと「ボケにくい」っていうのがあって。自分なりに「これくらいならボケられるな」みたいなニュアンスがあるんです。結局はスウェットみたいなカジュアル服に、ちょっとアクセサリーを追加したり、口紅だけ塗ったりして調節しています。
メイクも自分でやっていて、今日も自分でやりました。

Q4.大きな転換となった「アクション」を教えてください。

「2021年に『R-1グランプリ』で優勝したとき」

2021年にピン芸人の大会『R-1グランプリ』で優勝させてもらって。優勝する前からいろいろなお仕事をいただいていたんですけど、後ろ髪を引かれる思いと言いますか、「まだR-1を獲れていない」という思いがずっとあったんです。

なので、もし獲れたら燃え尽き症候群みたいになるんじゃないか、と思いましたけど。まったくそうではなくて、逆にスタートみたいな感じで「もっと自由にやりたいことをやっていこう」と思えたんです。


Q5.仕事の変化とともに、ファッションは変わりましたか?

「それまでの私は開き直っているだけでした」

大学4年生のときに芸人の養成所に入るんですけど、その頃にアメリカンアパレルに出会って。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が好きだったりもして、あの真っ直ぐなアメリカンテイストがすごく気に入ったんです。『アメリカズ・ゴット・タレント』で着た星条旗の水着もアメアパです。その後、アメアパが日本を撤退してしまったこともあって他のブランドの服を着るようになったので、カラフルで可愛い系の“THE女芸人”みたいになっていきました(笑)。

仕事の変化ではないですが、2019年末に運動を始めてからは、ラクでかっこよくてカラダを見せられるという理由で、ナイキとロサンゼルスアパレルばかり着るようになったんです。スポーティなファッションが好きになったからというより「自分のカラダに自信を持って生きる」みたいなスタンスに変わって。

運動を始める前も、自分のカラダに自信がなかったわけではなくて。昔から「これが私です、いいでしょ!」と言っていたんです。でも、トレーニングをして健康なカラダに近づいたとき、今までの私は「開き直っていただけだ」と思うようになりました。

「私の足の長さ、顔の大きさ、骨格はこれだからいいの」という考えは大事なんですけど、やりたい放題食べて・飲んで・寝て・太って「これが私です!」はちょっと違うなって。健康なカラダづくりをするようになって思ったんです。

Q6.トレーニングを始めたことで、仕事や考え方に何か変化が生まれましたか?

「自分をいたわるようになって 付き合う人も変わってきた」

トレーニングをする前は、嫌な思いをしても「私は大丈夫です」「私なんてどうせ」みたいな感じでした。トレーニングをするようになってからは、自分をいたわる気持ちが生まれて、自分を大事に思えるようになったんです。こんなに頑張って、食事も自分のために栄養をつけているのに「傷つけてくる人って何様?」って思えるようになって。

仕事でも、今までだったら失礼なことをされても我慢していたんですけど、「そんなことを言われる筋合いはない」と思えるようになって。「自分を守るためにここから離れよう」とか「このグループにいるのは違うかも」って、付き合う人も変わってきた感じがします。

Q7.2024年にアメリカへ移住をされると聞きました。その思いを教えてください。

「自分がやりたいことを疑わずに信じる」

子どもの頃から芸人になりたかったんですけど。中学生のときに映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観てからは、マイケル・J・フォックスがかっこいいから会いたい、マイケル・J・フォックス=アメリカ、アメリカ=映画、映画=ハリウッド、「アメリカで映画の仕事をしたい!」って思うようになったんです。

それで、アメリカで映画の仕事につくか、芸人になるかを迷っていて。どうしようって思ったときに、やっぱり芸人になろうと決めたんです。

でも、芸人をやらせてもらってるうちに「ネタ」だけが仕事じゃなくて、やりたいことや興味のあることも仕事にさせてもらえるんやって。そのへんから、アメリカ行きも諦める夢ではないんだと思うようになって。「いつかアメリカへ行きたいです」と言っていたら、「時が来た」みたいな感じになりました。

そうやって自分がやりたいことを疑わずに信じるというのは、小学生のときからなんです。運動が苦手で鉄棒ができなくて。それが嫌で毎日練習して、ある日できるようになったとき「人間って、練習すればできないことなんてないんだ!」と心から感じたんです。さらに「前回りができたら、逆上がりもできるやろ」と疑いなくやってみたら1回でできて。2回目からは練習しないとできなかったですけど。

でもそのとき「できるって信じたらできるやん!」って思ったんです。何をするにしても失敗したら落ち込みますけど、「いつかできるやろ」という思いが常にどこかにあるんです。

Q8.今後、ファッションで挑戦したいことを教えてください。

「着付けを習いたい」

アメリカに行くので、着物を自分で着られるようになりたくて着付けを習いたいです。


Q9.「キャリア」と「ファッション」で大切にしていることを教えてください。

「憧れの先輩たちはシンプルでシワのない服を着ている」

芸能界で売れている人は、靴がきれい・服がきれいですね。シンプルでシワが入っていない印象があります。売れた瞬間、全身ブランドロゴみたいな方もいらっしゃいますけど、そういうのは「ウッ」となっちゃいます(笑)。ロゴはないけれど「むむっ、これはただのTシャツではないですね」「むむっ、ただのジャケットではないですね」と感じさせるような先輩たちに憧れます。


Q+1.お笑い界は男性優位とも言われます。最近は女芸人の活躍も目覚ましいですが、「男には負けない」というような気持ちはありますか?

「男に負けたくないというよりも人間に負けたくない」

あんまりないですね。男には負けたくないというよりも人間に負けたくないです。よく『R-1グランプリ』や『女芸人No.1決定戦 THE W』で優勝したのに、「なんで今年も出るんだ」って言われるんです。「何でだろう?」と自分で分析したところ、好きな人に振り向いてもらえないとか、そういう自分の満たされない部分を賞レースで埋めているのかもって(笑)。

会社員だったらどんな人生だったかも考えますけど、賞レースがない人生なんて耐えられないかもしれない。芸人以外の人生だったとしても、何かしら勝負事を探していると思います。

2024年はロサンゼルスを拠点に活動する予定だというゆりやんレトリィバァさん。短期滞在した際には、現地でスタンダップコメディの舞台にも立った。「ゆりやんレトリィバァとして今までやってきたことを生かしながらできる部分があるやろなって思うんですけど。何より英語をめっちゃ勉強しないと、元も子もないなという感じです」という彼女。
「スタンダップコメディもやれるようになりたいし、今やっているコントみたいなものもやりたいし、ハリウッド映画もドラマも出たいし、テレビも出たいし、コマーシャルも出たいし、大谷翔平にも会いたい」と笑うが、彼女なら小学生時代の鉄棒練習のような努力とポジティブさで、すぐにでもその夢を叶えてしまいそうだ。

文:富山英三郎 写真:高柳健

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