自分にとってはまずトレーニングがあって、仕事はその上であるもの
ボディービルダーであり、俳優でもあり、YouTuberでもあり、そしてお笑いタレントとしても活躍する、なかやまきんに君。武器の筋肉を磨き上げ、そして唯一無二の世界観で強烈な存在感を放ち続ける彼に、これまでのキャリアやファッションについて語ってもらいました。
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「パワー!」と聞けば多くの人がぱっとその顔を思い浮かべるほど、浸透した一発ギャグ。個性的なキャラクターが印象深いなかやまきんに君は、インタビューの席では真剣な表情で自らの考えを語る。この日は、東京ヤクルトスワローズと青山商事のコラボ企画「Aoyama day 2024」の始球式のためにゼロプレッシャースーツを着込んだ、レアな姿だ。
芸能活動を中断してまでもチャレンジした「筋肉留学」。そして得た持ち味をどのように自分の活動に活かしているのか。なかやまきんに君による、キャリアとファッションにまつわる話。
Q1.最近取り組まれていることを教えてください。
「トレーニングがあって、自分の仕事がその上に」
いつもどおり、トレーニングを続けています。ただ最近は休養をしっかり考えるようになりましたね。筋肉は運動と食事と休養、この3つをバランスよく取れていないと成長しないんです。年齢も45歳になり、ただハードワークするだけではなく、成長するために休養するという意味で休むことを意識するようになりました。
大切なのは睡眠です。忙しくても睡眠時間を必ず確保することは意識しています。やっぱりトレーニングがあって、自分の仕事がその上にあるので。
Q2.普段、スーツを着る機会はありますか?
「スーツは着ないので、スーツ姿の自分は新鮮でした」
普段はね、着ないんです。お笑いの人でも仕事で着る人もいますけど、いつも衣装が決まっている僕の場合はそれがないので。なので「ゼロプレッシャースーツ」をCM撮影のときに着させてもらったときは新鮮でした。会社員のみなさんはいつもこういうものを着て仕事されているんだな、やっぱりかっこいいなと思いました。
僕は身体を鍛えているので、スーツを試してみようと思ってもなかなか身体に合うスーツを見つけにくいのですが、鍛えた身体のうえに着るスーツというものもかっこいいだろうなと。スーツイコール社会人というイメージが学生時代からずっとあったんですが、撮影してもらった自分の姿を見て、ひとつ大人の階段を登った気持ちになりましたね。
Q3.ファッションで意識されていることやこだわりを教えて下さい。
「毎日着るものは決まって同じものです」
自分のサイズに合う服は限られていてあまり選べないんです。だから、ミニマリストというほどではないのですがおしゃれというものを服には求めていなくて。夏は黒いパンツに上は白いTシャツって、毎日着るものは決まっています。このシーズンはこれと決めたら、同じ服を何着も買って揃えています。
Q4.大きな転機となった「アクション」を教えて下さい。
「筋肉留学ですね。めちゃくちゃ大変でしたけど」
やっぱりアメリカに住んだことかもしれないですね。「筋肉留学」って言って行ったんですが。めちゃくちゃ大変でしたけどね。学校でいうと授業もテストも教科書も全部英語ですから。もちろん、得たものも大きかったです。そこで勉強したものをYouTubeで話して自分をいろいろな人に知ってもらうこともできましたし。
Q5.筋肉留学の前後で、何が変わりましたか?
「いろいろな経験を経て考え方が変わりました」
もう、いろいろな経験をしたので、自分の考え方も変わったかなと思います。アメリカのひとの考え方に限らず、日本とは違う文化や人の考えに触れることで、日本にいたら得られないものを経験し、勉強できたと思っています。
Q6.テレビなど仕事で人から“見られる” 時にファッションで意識していることはありますか?
「ロサンゼルスを歩く人達のイメージです」
ファッションを意識…おしゃれな人にしかできないことですね(笑)。僕は衣装は決まっていて変えないので。いまのタンクトップにデニムのショートパンツの組み合わせは、アメリカに留学に行ったときに見た、ロサンゼルスとかカリフォルニアの街を歩く人たちをイメージしました。以前は短パンの丈も長かったんですが、短い方が太ももの筋肉が見えてかっこいいなと。向こうではデニムのショートパンツを履いているのは女性が多かったですけどね。
Q7.年齢を重ねてもご自身のスタイルを維持する上で、大切にしていることはありますか?
「痩せてウケなくなっちゃったことがあって」
それはもう、やっぱりトレーニングです。いまの自分の身体は、トレーニングしなくて食事もきちんと摂らずにいたら、1ヶ月もしたらすっかり痩せてしまうくらいの感じなんで。以前あったんですよ、痩せたらネタも全然ウケなくなっちゃったことが。自分にとって筋肉をしっかり鍛えることがどれほど大事なのかを理解しました。だから、しっかりとトレーニングを続けることを大切にしています。
Q8.今後、ファッションで挑戦したいことを教えてください。
「シンプルな服を着ていくと思います」
ファッションで、というと難しいですね。僕は洋服屋さんに行ってもサイズがないという状態が10年以上続いてて、サイズが合う服を見つけたらそればっかりを着るということが常態なので。でもシンプルなコーディネートが好みですし、それを続けていくと思います。筋肉のために食事は同じものを摂り続けていますが、それに近いかもしれません。
いまは夏なので白いTシャツに黒のパンツ。春くらいだとストレッチの効いたスポーツブランドのシャツで、汗をかいても着心地がいいものを羽織ったり。冬はTシャツのうえに長袖のトレーナーを着るくらい。きっとこれからも、シンプルな服を着ていくと思います。
Q9.「キャリア」と「ファッション」で大切にしていることを教えてください。
「やっぱりいちばん大切なのは筋肉」
自分のキャリアのなかで一番大事なのは、やっぱり「筋肉」なので、それが大切にしていることですね。トレーニングをしっかりして、きちんと食事を摂り、そして休息、十分な睡眠を取ることです。
筋肉は一日では大きくならないですし、最初にお話したとおり食事や休息もバランスよく取れていないと大きくなっていかないんです。シンプルなことなのですが、それをずっと続けていくことは、苦しくもあり、でもやっぱりそれで筋肉が大きくなっていくのは楽しかったりもします。
ただ、楽しいからトレーニングを続けてきたというよりは、筋肉においてはそれしか方法がないですからね、そうするしかなかったです。でも振り返れば、そこにはコツコツと積み重ねていくことの大切さという学びもあったかもしれません。
Q+1.これからのなかやまきんに君の目標は?
「ボン・ジョヴィさんに会うことですね」
デビュー時からボン・ジョヴィの「It’s My Life」をパフォーマンスのBGMとして使わせていただいていたのですが、この曲が2023年にあるダウンロードサイトで洋楽ランキングの1位になったんです。そのときにレーベルの方がご本人たちに、僕がこの曲でポージングしていたことで日本で広まったと伝えてくださって。
そうしたらジョン・ボン・ジョヴィ本人からメッセージをくださったんですよ。僕らのスペシャル・アンバサダーになってほしい、と。もしかしたらいつかご本人たちに会えるかもしれないので、それに向けてこれからも頑張っていこうと思います。
質問へのすべての答えに、必ず「筋肉」要素があるなかやまきんに君。自分の軸、強みを存分に自覚しているから、私生活でも、もちろん筋肉を最優先。ブレない軸を鍛え上げ、いまやお茶の間の人気者になったなかやまきんに君は、筋肉のパワーでこれから先、どんな活躍を見せていくのだろう。
編集・文:青山鼓 写真:高柳健