自分史とは、自分のこれまでの人生を時系列でまとめたものです。過去の経験を振り返り、自分の考え方や強みを深く理解するために使用されます。就職活動で応募先企業にアピールするためには、自分を深く理解することが大切です。
自分がどんな経験をして成長してきたのかだけでなく、そのときに感じたことや考えたことも含めることでより理解が深まります。
自分史を作成すると、自分が自覚していなかった強みやスキルが見つかるかもしれません。就活でどのように活用するのかもあわせて確認してみましょう。
この記事でわかること
- 自分史は時系列で過去の経験を振り返り、強みや価値観を見つけるツール
- 過去の感情を整理することでストレス解消も期待できる
- 自分史は自己PRや志望動機にも活用できる
自分史とは?

自分史とは、自分のこれまでの人生で経験したできごとや感情を、時系列で書き出したものです。過去の自分に焦点をあて、時系列で振り返ることで人生の流れや変化が可視化できるのが特徴です。
印象深いエピソードがある場合は、そのときの自分の感情や行動などを整理してみましょう。エピソードが思いつかない場合は、家族や友人に話を聞いてみたり、写真や動画などを振り返って見たりすると、忘れていたエピソードを思い出すかもしれません。
過去を振り返り、自分の価値観や人生観を整理することで、就活やキャリア形成など未来の選択に役立てられます。人生の振り返りや自己理解を深めるために用いられることから、終活の一環や家族・子孫へのメッセージとしても活用されている方法です。
自分史を書くメリット
自分史を作成する目的は、自分はどんな価値観を持っているのか、得意なことは何かなど自分を深く理解することです。自分史を書くメリットは、自己理解を深められることを含め、次のメリットが挙げられます。
自己理解を深められる
自分史は、自分がどんな価値観や行動原理に基づいて人生を歩んできたかを再確認できるため、自己理解が深まる点がメリットのひとつです。自分史を作成する過程では、これまでの人生を振り返り、重要なできごとや選択の背景を整理できます。
普段意識していない小さな成功や失敗も記録することで、自分の強みや課題が明確になります。例えば「高齢者に席を譲った」「迷子を交番へ連れて行った」など、人助けをしたエピソードがあった場合「人助けができる」という強みが見えてきます。
ストレス解消や自己肯定感の向上につながる
自分史を作成する過程で過去のできごとに対する感情を言語化することで、感情や気持ちの整理ができます。心理的なリフレクションの効果を持ち、ストレス解消につながるでしょう。
リフレクションとは
自分自身の行動や言動、状態を客観的に振り返ること。「内省」ともいう
例えば「お世話になった人やできごとを振り返って感謝の気持ちが湧きあがってきた」など、ポジティブなできごとを振り返ると、前向きな気持ちになれるでしょう。
また、「自分の発言がきっかけで友人とけんかした」というできごとを挙げた場合、そのできごとを教訓に言葉選びを意識するようになったと振り返ることができるかもしれません。ネガティブなできごとも、教訓やその後の行動に変化をもたらしていると自覚し、成長を感じられることで自己肯定感の向上にもつながります。
就活やキャリア形成の方向性を見つけるヒントになる
自分史は、就活やキャリア形成の方向性を見つけるうえで有効な方法です。自分の過去の経験や学びを整理することで、自分が何を大切にして、どんなスキルや強みを持っているかが明確になります。それにより、どんな業界や職種が自分に合っているかを具体的にイメージしやすくなるため、就活やキャリア形成の方向性を決めるのに役立ちます。
自分史を通して明確になった自分の価値観やスキル・強みは、面接やES(エントリーシート)などでもアピールできるでしょう。
選考でアピールする具体的なエピソードに活かせる
選考で自己PRや志望動機を伝える際は、独自の具体的なエピソードを交えることが大切です。自分史を作成して、学生時代の経験や達成した成果、困難を乗り越えた体験などを整理・言語化しておくことで、自己PRや志望動機を伝えるときの具体性が上がります。
例えば「けがをして部活の大会に出場できなかった。サポート側を経験して、チームで支え合うことの重要性を学んだ」という具体的な挫折経験から学んだ教訓を伝えると、自分の成長力や前向きな姿勢を効果的にアピールできます。
-
-
自己分析のやり方7選|簡単にできる診断ツールや注意点を解説【就活】
自己分析とは、過去を振り返って自分を理解し言語化することです。この記事では、自己分析の方法7選や注意点、行き詰まったときの対処法などを解説します。無料で利用できる自己分析ツール5選も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
続きを見る
-
-
就活の軸の決め方|見つからないときの考え方や業界別・職種別の例を紹介
就活の軸とは、企業や業界を選ぶうえで譲れない条件を指します。就活の軸を決めることで、自分なりの思いを中心に企業を選び、選考に臨むことができます。今はまだ決められていない方も、自己分析や他己分析などをすることで見つけられるでしょう。
続きを見る
自分史の作り方5ステップ【テンプレつき】
自分史の作り方を次のステップごとに詳しく紹介します。

自分史は、上の画像のようなテンプレートや、WordやExcel、スプレッドシートなどを使うことで簡単にまとめることができますよ!
※テンプレートの再配布はお控えください。
1. 年代ごとに区切る(縦軸)
まずは年代でわけた枠を作ります。年代別にわけることで、自分史全体の流れがわかりやすくなります。小学校入学前、小学校、中学校、高校、大学などの期間ごとに区切ると思い出しやすいため、自分に合う期間にわけてみてください。
▼おすすめの分け方
小学校入学前 | ・幼稚園 ・保育園 |
小学校 | ・低学年 ・高学年 |
中学校 | ・1年生 ・2年生 ・3年生 |
高校 | ・1年生 ・2年生 ・3年生 |
大学 短期大学 専門学校など | ・1年生 ・2年生 ・3年生 ・4年生 |

小学校・中学校・高校・大学と4つに分けても自分史は作成できますが、学年ごとに区切ると、より充実した自分史が作成できます。
また、各年代や学年の枠内に当時の自分の性格やキャラクターを書いておくと、その年代のイメージがしやすくなります。面接で担当者に「幼少期の頃はどんな子どもでしたか?」といった質問をされたときに答えやすくなる点もメリットです。
自分の性格やキャラクターの例
- クラスメイト全員と仲良くなれた
- 積極的に係の仕事に取り組むタイプ
- 毎日図書館に行っていた
- 場を盛り上げるムードメーカー
- 流行に流されず自分の好みを追求した
- 常に穏やかで仲間を見守るタイプ など
2. 印象に残っているエピソードを時系列で書き出す
印象に残っているエピソードを時系列で書き出します。
書き出すエピソードの例
- 努力した経験
- 楽しかったこと
- 苦手だったこと
- 困難を乗り越えた経験
- 得意だったこと
- 人生を変えた出会いやできごと など
エピソードを書く際は、「いつ・どこで・誰と・何をしたか」など具体的な情報を意識してみましょう。
▼エピソードの例文
小学校入学前 | ・幼稚園の後はひとりで絵の具やクレヨンで絵を描いていた ・友人とお泊り保育でカレーを食べた |
小学校2年生 | ・九九を覚えるために自宅の壁に九九表を貼って唱えていた ・家族で初めてキャンプに行った |
中学1年生 | ・入学式の日に、自宅前で家族写真を撮った ・学級委員を務め、クラスで行うイベントの企画をまとめた |
思いついたものはすべて書き出してみましょう。日常の小さなできごとでも、深掘りしていくことで自己理解につながる可能性があります。
3. 当時の感情を振り返る
書き出したエピソードを経験した当時にどんな気持ちだったのかを振り返ると、自分史がより豊かな内容になります。喜び・悲しみ・悔しさ・達成感など、エピソードごとに具体的な感情を書き出してみましょう。
感情を書くことで「自分はなぜこんな感情になったのか」を考えられ、自分の行動や価値観の背景が明確になります。
当時の感情を書き出す例文
- テストで100点をとり、両親に報告したら頭をなでてもらえて嬉しかった
- 友人とけんかして3日間口をきかず、悲しかった
- 県大会に出場が決まった瞬間、努力が報われたという達成感を味わった
- 一輪車の練習をしてもなかなか乗れるようになれず悔しかった
4. 自分が得られた学びを振り返る
各年代で自分が得られた学びを書き出します。具体的には「それぞれの経験やできごとから得た学び」や「行動や感情からわかる自分の特徴」などを書き出してみましょう。
得られた学びを振り返る例文
- 仲間と一緒に喜びをわかち合えたことで、協力の大切さを実感した
- 計画を立てることで好きなことに没頭できることを知った
- 一つのことに熱中すると、周りが見えなくなることがあるので、バランスが重要だと学んだ
- 練習を続けることでできなかったこともできるようになり、継続する努力が重要だと学んだ

ここで振り返った学びが、自分の強みやアピールポイントにつながる可能性があります。
5. 自分史全体からわかること(強みや特徴)を書き出す
最後に自分史全体を振り返り、自分の強みや特徴をまとめます。全体を通して共通している点や傾向に注目してまとめていくと、強みや特徴が明確になりやすいです。
書き出す内容の例
- 自分が得意なことや好きなこと
- どんな環境で力を発揮するのか
- 苦手なことや克服した方法
- 自分の価値観や行動原理 など
自分史からわかることの例
- 自分は目標を設定すると計画的に努力できるタイプである
- 仲間との協力やチームワークに価値を見出す性格
- 困難を乗り越えることで自分の成長を実感する傾向がある
- 一定の距離をおいて全体を見て自分の行動を決める傾向がある など
-
-
マインドマップの作り方|自己分析への活用方法や書き方の手順、活用例を図解で解説
マインドマップで自己分析をすると、今まで気づけなかった自分の魅力を見つけ出せるでしょう。作り方は簡単で、紙とペンを用意して、中心に「自分」と書き、関連する項目を書いていくだけです。長所や短所、就活の軸を見つけたい方は挑戦してみてください。
続きを見る
自分史を作るときの注意点
自分史を作成する際は、次の点に注意してみてください。
完璧を目指さない
自分史を作る目的は経験・価値観の整理や自己理解をすることです。誰かに見せるものではないため、自分が見てわかるように作成していけば問題ありません。
最初から各マスを丁寧に埋めていくなど完璧な自分史を作ろうとすると、時間がかかったり、挫折しやすくなったりします。まずは簡単に箇条書きでまとめ、あとから文章を補足する進め方がおすすめです。思いつかない年代は家族や友人に聞いてみるなどしてみましょう。
自分史を作成する目的を意識して、その目的が達成できるように進めていくことが大切です。

時系列順ではなく、思いつくところから埋めていくのもおすすめです。
ネガティブな内容を省略しすぎない
失敗や挫折などネガティブな経験は、振り返るのがつらいかもしれません。しかし、ネガティブな内容には、自分の成長や特徴を示す重要な要素が含まれている可能性があります。
ネガティブな内容をそのまま書き出し、「そのできごとから何を学んだか」に焦点を当てて考えると、自己理解が深まります。ネガティブなできごとを書き出すことで感情の整理ができ、ストレス解消につながることもあるかもしれません。
作ること自体を目的にしない
自分史は内容を注意深く振り返り、そこから何を学び、どう活かすかを考えることが大切です。自分史を作成すること自体が目的になりがちですが、あくまで自分を理解するためのツールであると認識して作成してみましょう。
できごとや当時の感情や行動を時系列で書き出したものを基に、そこから見えてくる自分の傾向や強みなどを分析することが自分史の活用方法です。
自分史を就活の自己分析に活用する方法
自分史は、就活の自己分析にも活用できます。
自分の価値観や強みを明確化し、自分に合う企業を絞りこむ
自分史を作成したら、そこから共通点や繰り返し現れるパターンを探してみましょう。
自己分析に役立つ視点
- 好きなこと:楽しいと感じた活動や瞬間は何か?
- 得意なこと:高い成果をあげた活動や周囲から褒められたことは何か?
- 苦手なこと:つまずいた経験や克服に時間がかかったことは何か?
- 価値観:どんな状況で満足感ややりがいを感じたか?
これらの要素を自分史で振り返ることにより、働くうえで自分の大切にする価値観や得意・不得意を特定できます。そうすることで、自分にあった業界・企業・働き方などが明確になっていくでしょう。
向いている業界・企業を導き出す例
- チームで協力することに喜びを感じる → チームワークを重視する企業が向いている
- 新しいことに挑戦することが好き → チャレンジ精神を歓迎する企業があう
- 誰かのサポートをすることが好き→人を支える業界が向いている
自己PRや志望動機に活用する
整理したエピソードを、自己PRや志望動機の材料として活用できます。自分史を自己PRに活用する際は、応募先企業の求める人物像や企業文化を理解し、それにあったエピソードを選んでみましょう。
自己PRで自分史を活用した例文
- 「学園祭のリーダー経験を通じて、計画性とチームワークを発揮しました。メンバー全員の意見を取り入れ、効率的に役割分担を行うことで、前年より来場者数を30%増加させることができました」
- 「テニス部の副部長を担い、問題解決能力を発揮しました。練習時間やコートの使用時間の調整、部員のスケジュール管理などを一手に引き受け、効率のよい練習プランを作成しました。部員全員が納得できる練習に取り組めるようになり、その年のトーナメント大会で優勝しました」
志望動機に活用する際は、自分史のなかで企業理念や事業内容にマッチするエピソードを探してみましょう。志望動機では、将来的なキャリアビジョンを明確にして、採用担当者にアピールするのも効果的です。
志望動機で自分史を活用した例文
- 「チームで成果をあげる楽しさを経験し、貴社のプロジェクト型の業務に強い魅力を感じました」
- 「ボランティア活動を通じて地域社会に貢献する喜びを知りました。貴社の○○というビジョンに強い魅力を感じ、自分の強みであるコミュニケーション能力と問題解決能力を貴社の活動に役立てていきたいと感じました」
-
-
【例文つき】自己PRの書き方|4ステップで差がつく文章を作ろう!
自己PRでは、企業が求める人物像を把握したうえで「その強みを企業でどう活かせるか」まで伝えることが重要です。この記事では、自己PRの考え方と書き方を詳しく解説します。アピールポイント別の例文も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
続きを見る
-
-
面接で伝える志望動機の作り方・話し方を例文付きで解説【新卒就活】
面接で志望動機を答えるときは、簡潔に伝えること、具体的なエピソードを盛り込むことが大切です。エントリーシートと同じエピソードでもよいですが、面接では深掘りして志望した理由を伝えましょう。この記事では、面接での志望動機の答え方の例文を交えて、伝え方のコツを紹介します。
続きを見る
よくある質問
自分史とは?
自分史とは、これまでの人生で経験したできごとや感情を時系列で記録し、自分の価値観や強みを整理するためのツールです。幼少期から現在までを年代ごとに振り返り、重要なエピソードを深掘りするために使用します。
自分史には何を書くべきですか?
自分史には、年代ごとのおもなできごとや印象的なエピソードを記載します。努力した経験、楽しかったこと、苦手だったこと、得意だったこと、人生を変えた出会いやできごとなどを具体的に書き出してみましょう。また、当時の感情や得た学びを記録すると自己理解が深まります。
自分史の作り方を教えてください。
自分史は、まず年代ごとに区切り(例:小学校、中学校、高校など)、おもなできごとを整理します。印象的なエピソードを「いつ・どこで・誰と・何をしたか」を具体的に書き出してみましょう。当時の感情や学びも加えると、より充実した内容になります。
自分史を就活に活かす方法を教えてください。
自分史を就活で活用するには、価値観や強みを明確化し、それを自己PRや志望動機に結びつけることがポイントです。例えば、努力した経験や成功エピソードを用いて具体的な自己PRを作成したり、価値観に基づいて自分にあう企業を絞り込んだりすることができます。