自己分析を行うとき「自己分析シート」を活用すると、自分への理解をさらに深めることができます。十分な自己分析ができれば、自分の長所や短所、価値観を作った経験を可視化でき、志望動機や自己PRを考えるときにも役に立つでしょう。
就活の軸が決まっていない方、業界選びや企業選びで迷っている方も、自己分析シートを活用してみませんか?
この記事でわかること
- 5つの自己分析シートの種類・特徴と作り方
- 自己分析シートを活用する目的は、「就活の軸」を見つけることなどがある
- 自己分析シートは就活の序盤から面接まで活用できる
自己分析シートを活用して自己理解を深めよう
自己分析シートとは、自分自身を分析するための質問、項目をまとめるためのテンプレートです。テンプレートを使うことで、自分の性格や価値観、興味・関心、強みや弱みなどを整理し、客観的に自己分析できます。
自己分析シートにある項目は、過去の成功体験や失敗体験といったものから、それらの体験を深掘りするようなものまでさまざまです。うまく活用することで、今まで以上に自分への理解を深められるでしょう。
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自己分析シートを活用する目的
自己分析シートを活用する目的は、こちらのとおりです。
- 就活の軸を見つけるため
- 自分の特徴や価値観を言語化するため
ただ空欄を埋めていくだけではなく、目的を理解したうえで自分を客観視してみましょう。
就活の軸を見つけるため
就活の軸とは、業界選び、企業選びにおける自分の価値観や譲れない条件のことです。
就活の軸は、エントリーしたい業界や企業を探すときから書類選考や面接まで、就活に関連する行動の土台となるもののひとつです。自己分析シートは、自分に合う職種や企業の特徴、働き方を少しずつ明確にしていけるため、就活の軸を見つけたいときに役立ちます。
自己分析シートに記入するなかで見つけた共通点や価値観は、企業に求めることや自分の強みに置き換えることができるでしょう。
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自分の特徴や価値観を言語化するため
自分の頭の中だけで自己分析を行っていると、十分に言語化できず根拠や説得力に欠ける可能性があります。
自己分析シートを使い、考えていることをアウトプットすることで、自分の強みや弱み、性格、価値観を言語化しやすくなります。
自分の思いを言語化できれば、エントリーシートや面接で必要となる志望動機、自己PR、長所・短所などを具体的なエピソードとして考えやすくなるでしょう。
エントリーシートや面接では、質問に対する結論に加え、その根拠となるエピソードを伝えることで説得力が増します。
たとえば、長所を聞かれて「協調性がある」と答える場合、実際に協調性があると感じさせるエピソードも伝えることが大切です。
自己分析シートを使うことで自分の考え方やこれまでの体験などが整理されるため、伝えたい結論とその根拠となるエピソードを関連付けやすくなるでしょう。
【種類別】自己分析シートの書き方
ここでは、5つの自己分析の方法を紹介します。
どれかひとつだけではなく、やってみたい方法をいくつか試して自己分析をしてみましょう。
自己分析シートは、特別なツールを使わなくても作成できます。ここで紹介する5つの方法は、パソコンやスマートフォン、手書き、無料でできる方法ばかりです!
パターン1:自分史
自分史では、今までの人生を振り返り、歴史年表を作成しながら自己分析を行います。
■自分史の例
幼児期、小学生、中学生などの時期で区切り、それぞれの時期にあったできごとを振り返ります。過去のことでもすぐに思い出せた出来事は、今の自分の性格や価値観に影響を与えている可能性が高いでしょう。
縦軸の項目は、趣味や人間関係などの要素を入れてもかまいません。
自分史の作り方手順
自分史の作り方は、このような手順で行います。
- 幼少期から現在までを横軸に記載する
- 「成功体験」「頑張ったこと」など、深掘りしたい内容を縦軸に記載する
- 時系列に沿って、重要な出来事や思いついたことを書き込んでいく
自分史を作成後、別の紙などに各出来事の背景や経緯、自分がどういう役割を果たし、どんな成果を得たのかを深掘りしていきましょう。深掘りして見つけた共通点や印象に強く残っている内容から、就活の軸を見つけることができます。
パターン2:モチベーショングラフ
モチベーショングラフでは、人生のモチベーション(幸福度・気分)を時間軸に沿って自己分析を行います。
■モチベーショングラフの例
モチベーショングラフは、いつどんなことをしたとき気分に変化があったのか、感情は何をしているとき上下したのか傾向を可視化し、自己理解を深められることが特徴です。モチベーションのパターンを可視化すると、自分に影響を与える要素を特定できます。
できあがったモチベーショングラフから、「何をきっかけにモチベーションが上下したのか」「モチベーションが高い・低いときの共通点は何か」を分析することで、自分に合う仕事や働き方を探せるでしょう。
モチベーショングラフは「ライフラインチャート」と呼ばれることもあります。
モチベーショングラフの作り方手順
モチベーショングラフは、このような手順で作成します。
- 横軸を「時間の経過」、縦軸を「モチベーションの高さ」で土台を作る
- 時系列でモチベーションのレベルを曲線で記載する(主観でよい)
- グラフ上にモチベーションに変化を与えたできごとを書き込む
できあがったモチベーショングラフから、「どんなとき幸せに感じていたか」「どんなとき満足度が低かったか」を分析します。そして、なぜモチベーションが上がったのか・下がったのかを深掘りすることで、就活の軸を見つけたり、企業の「求める人物像」と照らしあわせ、強みを見つけたりできます。
パターン3:マインドマップ
マインドマップとは、中心となるテーマから関連する言葉やアイデアをつないでいく樹形図のことです。
■マインドマップの例
マインドマップを使い自己分析をすることで、自分では見つけられていない価値観や、強みや弱み、興味を抱いていることも可視化して整理できます。
マインドマップの作り方手順
マインドマップは、このような手順で作成します。
- 用紙の中央に自己分析のテーマである「自分」を書く
- 自分から派生されるキーワードを5~6個設定する
- 派生したキーワードから、アイデアが出なくなるまで深掘りする
- 完成したマインドマップに矢印やマーク、色をつけて共通点や重要なポイントを見つける
ただマインドマップを作るだけではなく、派生したキーワードから共通点などを見つけましょう。異なるキーワードから派生したアイデア同士から出た共通点は、今の自分を作り上げた大切な要素といえます。
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パターン4:ジョハリの窓
ジョハリの窓とは、自分から見た自分と他人から見た、認識の違いを可視化するツールです。他人から見た自分とはどんな存在か、自分から見た自分とどんなギャップがあるのかを明確にできるため、自己理解を深めることができます。
■ジョハリの4つの窓
ジョハリの窓の作り方手順
ジョハリの窓は、このような手順で作成します。
- ジョハリの窓となる枠組みを作成する
- 「開放の窓」:強み、性格、成功体験など、自分も他人も知っている情報を書き込む
- 「盲点の窓」:友人など自分をよく知る第三者から意見を集め、自分では気づいていない他人が知る自分の情報を書き込む
- 「秘密の窓」:自覚しているが他人は気づいていない情報(不安、課題、過去の失敗など)を書き込む
- 「未知の窓」:盲点の窓や秘密の窓で気づいたことから、まだ取り組んでいない新しい物事や新たな可能性を見つける
盲点の窓で第三者から意見を集めるときは、1人だけではなく複数人に質問してみましょう。人によって自分に抱いている印象が違う可能性があるからです。
作成したジョハリの窓を知人と共有し、フィードバックをもらうのがおすすめです。第三者の視点やアドバイスを受けることで自己理解が深まり、自己PRや、自分の短所とその改善点を具体的にするときに役立ちます。
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パターン5:Will,Can,Mustのフレームワーク
Will,Can,Mustのフレームワークでは、3つの要素から今後のキャリアや目標を考えることができます。
3つの要素の意味
- Will:やりたいこと、なりたい姿。今後のキャリア、仕事を通じて実現したいこと、ロールモデル、理想の働き方や生き方
- Can:できること。スキル、資格、経験、特技
- Must:やりたいことを叶えるため、なりたい姿になるためにやるべきこと。今の自分に足りないことや、キャリアを築くうえで必要なことの洗い出し
3つの要素が重なった部分が、自分の適性に近い仕事の特徴だと判断できます。
Will,Can,Mustのフレームワークの作り方
手順Will,Can,Mustのフレームワークは、このような手順で作成します。
- Willの枠に「やりたいこと」「なりたい姿」を書き込む
- 人生を振り返り、Canの枠に「できること」「強み」を書き込む
- Mustの枠に、Willで書いたことを達成するために「すべきこと」を書き込む。企業・業界で求められる人物像もMustの枠に書く
- Will「やりたいこと」とCan「できること」が重なる業界や企業には、何が当てはまるかを考える
- WillとCanが重なった部分にMustを当てはめる
Canである「今の自分にできること」は自分の強みで、企業が求める人物像にマッチしている部分であることから、自己PRにも活用できるでしょう。具体的なCanが思い浮かばないときは、マインドマップで「得意なこと」「成功体験」を考えていくことも手段のひとつです。
Mustは「今の自分に足りないこと」であり、今後自分がやるべきこととして明確になります。たとえば、入社するまでに勉強しておくことや、将来取得したほうがよいスキルや資格が判明するでしょう。
自己分析シートを就活に活かすポイント
自己分析シートを就活で活かすためには、これらのポイントを意識しましょう。
シートをどう活用するか考える
自己分析シートは作成するだけではなく、就活のなかでどう活かせるかを考えることも大切です。
自己分析シートには、就活の軸や長所、短所を見つけて明確にする目的があります。シートの完成が目的にならない使い方をしましょう。
作った自己分析シートは、就活が終了するまで活用できます。自己分析の結果は、時間や経験とともに変化する可能性があります。就活の序盤で作成した自己分析シートを、志望動機や自己PRを考えるときに振り返ることで、新たな視点で自分を客観視できるかもしれません。定期的に自己分析シートを確認してみましょう。
短所や弱みも正直に書き出す
自己分析では、長所や強みといったポジティブなことだけではなく、短所や弱み、失敗した経験なども正直に書き出しましょう。
自分の弱点や課題を把握することで、自分にとって不向きな業界や企業を見つけたり、成長に欠かせない要素を明確にできたりします。
ネガティブな要素を客観視する作業が億劫な方もいるかもしれませんが、自己分析をすることで改善点を見出し、ポジティブな要素に変えることができるかもしれません。
できあがったシートを客観的に見直す
自己分析シートが完成したら、客観的な視点で見直しましょう。
客観視することで、作業のなかで見つけられなかった新たな発見や矛盾点が見つかる可能性があります。必要に応じて修正、追加を行い、より正確な自己分析シートに仕上げていきましょう。
客観的に見直すためには、自分をよく知る友人や家族にフィードバックをもらうなど、第三者に確認してもらう方法がおすすめです。
自己分析と並行して業界研究・企業研究を行う
自己分析シートの作成と業界研究・企業研究を並行すると、自分を理解しながら業界・企業に関するリサーチを進めやすくなります。
自己分析と業界研究・企業研究を並行するとき、このような手順で実施してみましょう。
- 自己分析で強みや弱みを見つけ明確にする
- 自分の強みはどんな業界で発揮しやすいかを考える
- 強みを発揮しやすい業界のなかから、気になる企業をピックアップする
- 企業研究を行い、興味がある企業や就活の軸に合う企業を絞る
- 企業が求める人物像と、自己分析の結果を照らし合わせ、マッチするか確認する
業界研究や企業研究をするときは、それぞれノートなどを用意して、業界や企業に関する情報や思いついたことをすぐに書き込めるようにしておくのがおすすめです。
業界研究や企業研究をする際は、自己分析シートをそばに置いておきましょう。業界や企業に関する情報が頭に入っている状態で自己分析できるため、「どんな企業で働きたいか」「自分に向いている仕事は何か」といった方向性を明確にしやすいメリットがあります。
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よくある質問
自己分析シートとは何ですか?
自己分析シートとは、自分自身を分析するために使用するテンプレートです。
シートを使用しなくても自己分析をすることはできますが、テンプレートを使用することで、これまで見つけられなかった自分の要素を可視化、言語化しやすくなります。
自己分析シートで自分史をまとめる際の書き方を教えてください。
自分史を作成して自己分析をする際は、このような手順で進めます。
- 幼少期から現在までを横軸に記載する
- 「成功体験」「頑張ったこと」など、深掘りしたい内容を縦軸に記載する
- 時系列に沿って、重要なできごと思いついたことを書き込んでいく
自分史のイメージは、「パターン1:自分史」で詳しく紹介しています。
おすすめの自己分析シートはありますか?
自己分析シートの作成方法は、このようなものがおすすめです。
作業しやすいものを選ぶ、複数の方法で自己分析を行うことも問題ありません。
それぞれの方法については「【種類別】自己分析シートの書き方」で解説しています。
自己分析シートがなかなか埋まらない・書けないときはどうすればいいですか?
自己分析が思うように進まないときは、スマートフォンやパソコンから利用できる自己分析ツールや診断ツールを利用したり、他己分析をしたりするのがおすすめです。
他己分析とは、家族や友人など自分をよく知る第三者に、自分(私)の強みや弱みを質問し、分析していくことを指します。自己分析も重要ですが、「他人から見た自分」も、自己理解を深めるための大切な要素です。