就活の軸とは、企業や業界を選ぶうえで譲れない条件のことです。「こんな企業で働きたい」「長所を活かしたい」といった希望も就活の軸になります。
就活の軸がなくても就活を進めることができますが、業界や企業を絞れず悩んだときは、就活の軸を決めることでスムーズに進めやすくなるかもしれません。
この記事でわかること
- 就活の軸を決めることで、企業選びがしやすくなる
- 就活の軸は、自己分析や他己分析から見つけることができる
- 面接やESで伝えるときは志望する業界、企業、職種に合わせた就活の軸を伝える
監修者からのコメント
「就活の軸」は、業界や企業を選ぶ時の自分なりの基準です。自分が選ぶ時はもちろん、面接官に志望動機を伝える時に説得力を与える材料にもなります。「どんな仕事がしたいのか」「どのように働きたいのか」をしっかり考えてみましょう。
就活の軸とは自分なりの価値観や譲れない条件のこと
就活の軸とは、企業選びや業界選びで重視する「自分なりの価値観や譲れない条件」のことです。
希望する仕事や働き方、勤務地など、理想とする社会人生活のイメージが人それぞれあるでしょう。「自分がどんな社会人生活を送りたいのか」「その生活を送るために譲れない条件は何か」を言語化することで、企業選びがスムーズになります。
就活の軸を決めるタイミングはいつでもよいですが、自己分析をしながら決める、就活中に明確にするといった方法でも構いません。会社説明会やインターンに参加するうちに、最初に決めた軸が変化していくこともあります。就活を進めるなかで軌道修正を重ねながら、自分に合った軸を見つけていきましょう。
就活の軸が必要な理由
就活の軸が必要な理由は、おもに次の3つです。
就活の軸がなくても就活を進めることは可能ですが、エントリーする企業を考える際、の決め手になります。また、就活の軸をもとにした志望動機や自己PRにすることで、回答内容に一貫性をもたせることができ、説得力も上がるでしょう。
企業選びの基準を明確にするため
就活の軸は企業選びの軸でもあります。企業選びで自分にとって譲れない条件を言語化することで、どういう企業で働きたいかが明確になり、「自分に合う企業がわからない」という悩みも解決しやすくなります。
たくさんの企業を見ていくうちに迷うことがあっても、自分にとって何が大切か、何を優先すべきかがわかるので、企業の選択や、選考準備の優先順位付けに役立ちます。
入社後のキャリアをイメージするため
就活の軸を持つと、希望する企業に入社後の自分がどう活躍するか、どのようにキャリアを積んでいけるのかをイメージできます。なりたい自分を想像して叶えるために、どんな企業でキャリアをどう積むべきか知ることは、自分に合う企業を見つけられるチャンスになるでしょう。
就活の軸を持たずになんとなく就活を進めてしまうと、入社後に「想像していたイメージと違った」「理想のキャリアを叶えられない」というミスマッチが起きて、早期離職につながるかもしれません。
面接やESで的確な回答をするため
ES(エントリーシート)や面接といった選考では、「就活の軸」や「企業選びのポイント」が質問されることがあります。そのため、ESや面接で伝えられるように就活の軸を決めることも必要です。
就活の軸があると、その軸に紐づける形で自己PRや志望動機を考えられるので、ESや面接で一貫性のある受け答えができます。面接で「深掘り質問」をされた際も回答イメージをしやすくなり、内容の矛盾を防げる可能性が高いです。
面接やESで的確な回答ができると、就活を進めていくうえでの自信にもつながります。
自分にとっての就活の軸をしっかり決めていきましょう!
就活の軸を質問される理由
ESや面接で就活の軸を質問される理由には、次のことが考えられます。
自社でなければならない理由を知るため
学生に就活の軸を聞くことで、自社に対する志望度の高さなどを確認しているケースがあります。主張する就活の軸が曖昧だったり、抽象的だったりすると「他社でもいいのでは?」と感じられることもあるでしょう。
就活の軸が企業に紐づく内容で「こういう思いがあり、入社を希望している」ということがわかれば、企業に対する熱意も伝えられます。
求める人物像とマッチしているか確かめるため
採用担当者は学生の本質を知り、企業とのミスマッチを避けたいものです。企業と学生がミスマッチだった場合、早期退職をしてしまう可能性が高まります。
就活の軸が自己PRや志望動機の内容と紐づく内容であれば、発言内容に一貫性を持たせられて説得力が増すでしょう。特に、主張した就活の軸が過去の経験をもとにしたものであれば、就活の軸を決めた理由が伝わりやすくなります。
ミスマッチの場合、学生にとっても成長や活躍がしにくいといったデメリットになる可能性があります。
就活の軸は志望動機やキャリアビジョンに繋がります。軸の内容が企業の事業内容につながるものだったり、将来なりたい姿と重なるものだったりすると、発言に説得力が増します。一方で、労働条件を軸にしている学生は、企業研究や熱意が足りない印象になるかもしれないので気をつけてください。
就活の軸はいくつあるといい?
就活の軸は1〜3つ程度が目安です。「興味関心」「能力が発揮できる場所」「やりがい・働き方」の側面から見てそれぞれ1つずつの就活の軸を持つ方もいます。ただし、前提として就活の軸の数は人それぞれなので、いくつあるべきという決まりはありません。
ただし、複数の軸を志望動機・自己PRの内容にすべてを取り入れると、一貫性が失われる可能性があります。自分なりの「譲れないポイント」を軸としていくつか持ち、志望動機や自己PRに取り入れる際は、企業によって「どの軸をもとに選んだか」を掛け合わせてみましょう。
就活の軸が1つだと企業選びの条件が厳しすぎる、多すぎても曖昧になるといったデメリットもあるんです。
就活の軸が見つけられないときの決め方
就活の軸が見つけられないときは、次のような方法で考えてみましょう。
おおまかなジャンルから深掘りする
おおまかなジャンルとは、企業文化、業務内容、企業の雰囲気、働き方といったものです。就活の軸を見つけられないときは、おおまかなジャンルから見つけてみましょう。
企業文化 | ・誰と働く ・顧客の特徴(企業・個人) ・研修制度 |
業務内容 | ・チームワーク ・コツコツ ・顧客とのコミュニケーション |
雰囲気・環境 | ・成長しやすい ・風通しがよい |
働き方 | ・休日 ・勤務地 ・福利厚生 |
上記は一例です。おおまかなことから、自分なりに働くうえで重視したいことを考えてみましょう。
休暇の取りやすさや福利厚生も重要な就活の軸ですが、面接やESで伝える際は避けたほうがいいかもしれません。仕事の内容ではなく働く条件を中心に企業選びをしていると感じられる可能性があるためです。アピールの際は、マッチ度合いや活躍できる自分をイメージしてもらいやすいことを伝えてみてください。
興味がある業界・職種・企業から考える
就活の軸が明確ではなくても、「なんとなく興味がある」「憧れている業界・職種がある」といったざっくりとした考え方をしてみるのもおすすめです。
業界の例
- IT業界
- メーカー業界
- サービス業界
- 広告業界
- 商社業界
- コンサルティング業界
- 不動産業界
- 官公庁関連
職種の例
- 営業職
- 事務職
- 技術系
- クリエイティブ系
- 販売・接客系
- 医療・福祉系
各業界、各職種の就活の軸は「【業界別】就活の軸の例一覧」「【職種別】就活の軸の例一覧」で紹介しています。
苦手なことや避けたいことを考えてみることで、得意なことや興味があることが浮かんでくるかもしれません。
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自己分析をする
就活の軸を決めるには、自分自身に対する理解を深めることが大切です。自分が何をしたいか、何をしたくないのか、得意不得意は何なのかといったことから軸を決めることもできます。
「自己分析をしたけれど、就活の軸が決まっていない」という方は、今一度自己分析の内容を深掘りしていきましょう。 自己分析の詳しい方法は次の記事を参考にしてみてください。
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他己分析で客観視する
他己分析とは、自分の長所や短所、第一印象などをほかの人に聞いて、自分自身を客観的に分析することです。他己分析をする際は、可能な限り多くの人にお願いをしてみましょう。
他己分析をお願いする人の例
- 家族
- 親しい友人
- 顔見知りの人
- アルバイト先の人
- 先輩・後輩
関係性・年齢・環境が異なる人に質問することで、さまざまな視点から分析できます。質問をする際は、次のことを聞いてみるのがおすすめです。
他己分析の質問例
- 長所、短所
- 第一印象
- 印象的だったできごと
- 親しくしてくれる理由
- 将来どうなっていそうか
- どんな仕事が向いていそうか
家族や幼少期を知る友人であれば、「子どものころはどんな人物だったか」「周囲からどんな子どもだと言われていたか」などを聞いてみてもいいかもしれません。
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オープンカンパニーや会社説明会へ参加する
興味のある企業のオープンカンパニーや企業説明会などのイベントに参加して、実際に働く人の話を聞いたり企業の雰囲気を把握したりすることで、就活の軸が見えてくることもあります。
就活に関するイベントに参加すると「社内の雰囲気がとてもよかった」「一緒に働きたいと思える人がいた」など、さまざまな感想を持つと思います。その感想を「なぜそう思ったのか」「どこに魅力を感じたのか」と深掘りしていきましょう。
魅力的だと思っていた企業でも、実際に仕事を体験したら「想像と違っていた」ということもあるでしょう。たとえマイナスな感情でも、深掘りしていくことで新しい軸が見えて、就活の方向性を軌道修正することができます。
インターネット上の情報収集だけでなく、その企業の雰囲気を肌で感じることは大切です。インターンや企業説明会への参加は就活を進めるうえでプラスになるので、積極的に行動していきましょう。
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インターンシップに参加する目的とは?志望動機を書くコツも解説
参加目的は人によって異なりますが、「業界・企業への理解」のためにインターンシップへ参加している学生が多いです。ざっくりとした企業の理解を深めたいなら「1day仕事体験」、実務スキルを磨きたいなら「長期インターン」など、業種・業態・期間および目的によって種類は多岐にわたります。
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【業界別】就活の軸の例一覧
まずは業界別就活の軸の例を紹介します。
選考で就活の軸を聞かれた際の例文は「面接やESで就活の軸を聞かれたときの回答例」で紹介しています。
IT業界の就活の軸
- 新しい技術やサービスを生み出す
- 最新の技術に触れながら仕事ができる
- IT技術を通じて生活を豊かにする
- ITの力で格差のない社会を作る
- 最新の技術で業界の最先端を走りたい
IT業界とは、IT(情報技術)を活用したサービスを提供する業界です。ソフトウェア・ハードウェアの開発や、保守、運用を行う情報処理サービスの提供を行います。
スマートフォンのアプリやゲーム、ECサイトの開発などもIT業界に含まれます。
メーカー業界の就活の軸
- 地球にやさしい製品作りを目指す
- 事故や不具合がない製品で安心を届ける
- 日本のものづくりの技術・伝統を守る
- IoTやAIを活用した製品開発を行う
- 製品を通して顧客の人生に輝きを持ってほしい
メーカーは、製品を作り販売する業界です。食品、自動車、家電などさまざまなメーカーがあります。就活の軸を作るときは、志望するメーカーの種類や特徴に合わせて考えてみましょう。
サービス業界の就活の軸
- 顧客の笑顔を見る
- 顧客の人生に寄り添う
- 伝統・文化を重んじるサービスを提供する
- 顧客と直接コミュニケーションをとる環境
- 海外からの顧客と関わる
サービス業界では、顧客に自社の製品やサービスを提供します。宿泊施設、飲食店、医療・介護・福祉、教育、運送業などが該当します。
サービス業界で働くと、顧客と直接関わる機会もあり、コミュニケーションのなかでやりがいを感じられることもあるでしょう。接客以外にも売上アップのためのアイデアを出したり、データを分析したりとコミュニケーション以外の業務を行うこともあります。
広告業界の就活の軸
- 多くの人に商品やサービスの魅力を伝える
- 広告の力で豊かな生活の実現を助ける
- 顧客の利益を上げるために、自分のアイデアを形にする
- 顧客の心を動かす
- 独創的なアイデアを生み出すことで人の行動を変える
広告業界とは、クライアントのサービスのイメージに沿った広告の作成や、情報発信を行う業界です。広告代理店、広告制作会社などが該当します。
華やかなイメージがあり人気のある広告業界は、「商品やサービスの魅力を多くの人に届けたい」という思いで志望する人が多いです。広告業界の就活の軸は、憧れやイメージだけではなく、仕事の大変さや本質に目を向けたうえで軸を定めて「なぜその軸なのか」をしっかりと説明できるようにしましょう。
商社業界の就活の軸
- 社会の基盤を支える
- 日本をさらに豊かにする
- 日本と海外の架け橋になる
- 英語力を活かす
- 専門知識を活かしたい
商社とは、商品やサービスを販売、輸出、仲介する業界です。大きな分類では、総合商社と専門商社に分かれます。
人同士のつながり、海外での活躍、英語などの語学力に関連することが就活の軸になりやすいでしょう。
金融業界(銀行)の就活の軸
- 地元の中小企業を支援する
- 信頼関係を大切にしながら働く
- 責任感をもって顧客の役に立つ
- 顧客の資産運用・形成をサポートする
- 金融商品を通じて顧客の人生に寄り添う
金融業界は、金融の知識とコミュニケーション能力が求められる環境です。「金融を通じて人のサポートをしたい」「顧客と信頼関係が結果に結びつく仕事がしたい」といった人が働いています。
また、個人や企業からお金を預かるという面で「個人としても組織としても責任を持ちながら成長したい」ということも金融業界を選ぶ軸になります。
コンサルティング業界の就活の軸
- 個人の価値を高められ、成長を次の仕事に活かせる
- 企業の課題解決に取り組み、共に成長できる
- 幅広い業界や事業に携わりたい
- 持続可能なビジネスの提案をする
コンサルティングとは、企業が抱える課題を解決する業務です。経営、会計、人材、マーケティングなど幅広い分野のサポートを行い、担当する企業の業種や課題によって仕事内容が大きく変わります。
コンサルティング業界では、前例のない課題を解決する力や、変化に耐えられる柔軟性が必要です。仕事の幅が広く、関わる人も多種多様なので「幅広い業界を知りたい」「ビジネスに広く関わりたい」ということもコンサルティング業界を選ぶ軸になります。
コンサルティング業界には、経営戦略や人事、IT系などに特化したものや、幅広くサポートする総合コンサルティングファームがあります。
不動産業界の就活の軸
- 快適に過ごせる最適な住まいを提案する
- お客様の人生の転機に寄り添う
- 多様性を意識した都市開発に携わる
- 街づくりのような大きなプロジェクトに挑戦する
- 地域社会の発展・活性化に貢献する
不動産業界では、マンションやビル、商業施設の「開発」や、建物や土地の売買、物件の管理といった「不動産仲介業者」、住宅メーカーといったものまでさまざまです。
不動産業界のなかでも、マンションや戸建てなどの住まいを扱うのか、商業施設やオフィスなどを扱うのかで軸が変わってきます。不動産業界は取り扱う商品が高額なので「高い目標に向けてチャレンジしたい」などの軸を合わせて持つと、より不動産業界にマッチします。
官公庁関連の就活の軸
- 国や自治体の課題解決をする
- 地域の発展・福祉の向上に貢献する
- 市民の生活を守る仕事をする
- 自分が育った町に貢献する
- 地域社会に寄り添う
官公庁とは、国や地方自治体の総称です。市役所・区役所や都道府県庁職員、公立学校の教師、警察官などの地方公務員、中央省庁などで働く国家公務員などが該当します。
官公庁に関連する仕事では、市民や国民のことを考えた就活の軸になるでしょう。
【職種別】就活の軸の例一覧
ここでは職種別就活の軸の例を紹介します。
営業職の就活の軸
- コミュニケーション能力を活かす
- 多くの人と関わり成長していく
- 豊かな生活のためにサポートする
- 実力主義の仕事をする
- 困っている人の手助けをする
数多くの業界・業種がありますが、どれも営業に関連する業務を行います。相手が個人の場合もあれば、法人などの事業者であるなどさまざまです。営業を通して製品やサービスを知り、それが顧客の生活、業務、人生を変えていくきっかけになることもあります。
コミュニケーション能力や、顧客とのやりとりで生まれるやりがいが、就活の軸になるでしょう。
事務職の就活の軸
- バックオフィスで企業に貢献する
- ライフプランの変化に合わせて長く働く
- ワークライフバランスを重視している
- PCスキルを活かす
- 細かな作業が得意
事務職には書類の作成、処理、整理、来客対応などがあります。企業内には、総務部、人事部、法務部、経理部などさまざまな部署があるため、志望する部署に合わせた就活の軸を考えてみましょう。
事務職では、コツコツ業務に向き合う以外にも、部署内外の人や来客とのコミュニケーションをとる必要があり、多様なスキルを求められることもあります。
技術系の就活の軸
- 学校で専攻して学んだスキル・知識を活かす
- 自分にしかできない技術を身につける
- 専門分野で活躍する
- 業務のなかで成長を続ける
- 最先端の技術を学ぶ
技術系の職種は幅広く、研究や開発、設計、点検・整備などの業務を行います。IT系のエンジニア職もあれば、メーカーや建設業界の技術職もあり、いずれも専門的な知識、高度なスキルが求められます。
クリエイティブ系の就活の軸
- センスを活かせる
- 自分が関わった広告で世の中の注目を集める
- 長く愛される商品を生み出す
- 世の中の人たちを驚かせる
- 自由な発想、ルールで働く
クリエイティブ系の職種は幅広く、ファッションデザイナー、グラフィックデザイナー、Webデザイナーなどの「デザイン系」、イラストレーターやフォトグラファー、ライターなどがあります。
いずれも個性を形にし発信していく仕事ですが、何を作り出す仕事になるかによって、就活の軸も変わります。また、個人で行う業務もあれば、チームで一つのものを作り上げるなどジャンルはさまざまです。
販売・接客系の就活の軸
- 顧客の笑顔がやりがい
- 顧客のニーズに寄り添い提案する
- 問題解決に導く仕事をする
- 困っている人に寄り添う
- 人との関わりが好き
販売や接客では、業務のなかでさまざまな人と出会いコミュニケーションをとります。顧客は個人、法人など業務により異なりますが、問題を解決したり、レベルアップにつながったりすることがやりがいになるでしょう。
医療・福祉系の就活の軸
- 喜びや苦しみを共に乗り越える
- 誰かの喜ぶ顔を見る
- 目の前の人の役に立つことが好き
- 子どもたちをよい未来に導く
- 共に成長する
医療や福祉も、顧客の側で寄り添う業務です。働く場所によっては、顧客ではなく、患者や生徒などの呼び方が適切なこともあるでしょう。
医療や福祉に関する職種の場合、「やりがい」を就活の軸にする方は多いかもしれません。面接やESで就活の軸を伝える際は、どんなことがやりがいだと感じるのか、具体的に考えることが大切です。
【特徴別】就活の軸一覧
理想の働き方ややりがい、自分の適性に合うかどうかも就活の軸として考えることができます。
働き方・やりがいに関連する就活の軸
- 経営者の近くで働く
- チームで働ける環境に就く
- 一人で行う仕事に就く
- 若いうちから責任ある仕事を任される
- 幅広い業界の顧客と付き合う
- 「ありがとう」と言われる仕事をする
- 結婚・育児・介護をしながら働く
- ワークライフバランスを重視した企業で働く
- 土日祝日は休暇をとる
- 都会・地方・地元で働く
自分が理想とするキャリアプランやライフスタイルがあり、それらを中心に就活の軸を考えたい方もいるでしょう。
面接やESで積極的にアピールするのが難しいものでも、企業選びには重要な軸も存在します。自分に合う環境で働くことができれば、理想とするキャリアに近づける可能性も高まるはずです。
面接やESでのアピールが難しい就活の軸の例は「自分の希望が強すぎるもの」で紹介しています。
自分の適性に関連する就活の軸
- 好きな◯◯を活かせる
- 得意な◯◯に挑戦できる
- 長所である◯◯を伸ばせる
- ◯◯になりたい
- 大学で専攻している◯◯を活かせる
長所、得意なことを伸ばせる環境で働きたいというのも立派な就活の軸です。好きなことや得意なことに挑戦するのは、働くモチベーションにもなります。
避けたほうがよい就活の軸
就活の軸を決めるときは、次のものは避けたほうがよいかもしれません。
ここで紹介する「避けたほうがよい軸」は、面接やESでアピールするときのものです。企業選びなどの条件を考えるポイントとして決めるのであれば、問題ないでしょう。
受け身だと感じられるもの
「先輩からしっかり仕事を教えてもらえる」「教育制度が充実している」「休日が多いほうがよい」といったことも就活の軸ですが、このようなことだけをアピールすると受け身の印象が強くなるかもしれません。
企業の採用担当者に伝える就活の軸は、主体性・積極性があるものを選ぶことで、志望度の高さをアピールしやすくなります。
自分の希望が強すぎるもの
「残業が少ない」「給料は高いほうがいい」「自宅から近い職場がいい」など、業務とはあまり関係がない希望が強すぎる就活の軸は、避けたほうがいいかもしれません。
企業選びにおいて福利厚生や給与は重要なポイントですが、自分自身の希望が強いものだけを就活の軸にすると、自分の人物像や、将来自分が活躍する姿を伝えづらくなる可能性があります。
得意なこと、長所、理想の働き方など、ポジティブなアピールができる就活の軸も取り入れてみましょう。
他者の意見を反映させたもの
「親に勧められた」「先輩が働いている」など、第三者の意見や存在を優先しすぎていると感じられる就活の軸は、主体性をアピールしづらくなります。
親や先輩の存在が就活の軸として使えないのではなく、伝え方を変えることで主体性や積極性もアピールできます。例えば、「親が◯◯だったことをきっかけに、自分も△△に挑戦したい」「先輩の話を聞いて、自分が輝ける環境だと思った」といった伝え方にするのがおすすめです。
企業に合わせすぎたもの
「企業とマッチすると思われたい」「選考を有利に進めたい」という思いから、自分の思いや適性から大きく離れた就活の軸にするのは避けたほうがいいかもしれません。
企業の特徴に合わせることは問題ないですが、自分の思いから離れすぎると、入社後にミスマッチだと感じる可能性があります。
就活の軸は、自分のやりがい、キャリアのために考えてみてください。
就活の軸を伝えるときのポイント
就活の軸を伝える際は、次のポイントを意識してみてください。
結論→根拠→希望の順番で伝える
最初に、何を就活の軸にしているかを伝え、根拠となるエピソードを添えます。結論から伝えることで、話の内容がわかりやすくなります。
答え方の例
- 就活の軸:私の就活の軸は◯◯です。
- 根拠(経験・できごと):私は大学生活で✕✕を経験し、魅力を感じました。
- 活躍する自分のイメージ:仕事を通じて△△していきたいです。
実際には、より具体的に厚みをもたせて伝えましょう。
結論→根拠→活躍する自分のイメージといった順番は、志望動機、長所、自己PRを作成するときにも活用できます。
エピソードには独自性・具体性を加える
就活の軸の根拠を伝える際は、オリジナリティがあり具体的なエピソードにすることで、採用担当者に話が伝わりやすくなります。また、ほかの学生と就活の軸が重複しても、自分の経験を交えることで、エピソードまで似てしまう可能性が低くなります。
限られた業界・企業で使われている専門的な用語を入れ込むときは、誰にでも伝わる言葉に置き換えるのが望ましいでしょう。
就活の軸と志望動機などは整合性を意識する
就活の軸と、志望動機、長所、自己PRは似ている部分もあります。そのため、それぞれを作成する際は整合性を意識してみましょう。
例えば、就活の軸を「語学力を活かせる仕事に就く」にしたのに、自己PRで「チームワークが得意・業務に活かしたい」とアピールすれば、少しずれてしまいます。
この場合、自分のアピールポイントを決めたあとに就活の軸を見直すことで、整合性がとれているかを確認できます。ESなどの書類を確認する際は、全体を通して就活の軸から大きく外れていないかを確かめましょう。
面接やESで就活の軸を聞かれたときの回答例
ここでは、面接やESにおける就活の軸の回答例を紹介します。
- IT業界向けの回答例
- 広告業界向けの回答例
- 金融業界向けの回答例
- コンサルティング業界の回答例
- 不動産業界向けの回答例
- 営業職向けの回答例
- 事務職向けの回答例
- 販売・接客向けの回答例
- 語学力を活かしたい回答例
- リーダーシップを発揮したい回答例
- 積極的にスキルアップできる環境を望む回答例
自分のエピソードを考える際は、指定された時間や文字数に合わせましょう。
IT業界向けの回答例
私の就活の軸は、「IT技術を通じて生活を豊かにすること」です。
私は高校生の頃からエクセルの関数が得意で、作業を効率化することに楽しさを感じていました。大学からプログラミングを学び、エクセルでしかできなかった集計作業をボタン一つでできるシステムを作ったことをきっかけに、作業を効率化するにはITの技術が必要不可欠だと感じました。
近年IT化が加速して、便利なシステムやサービスが増えて年々豊かになっています。自分もこの分野に携わり、多くの人の生活を豊かにしたいと考えております。
広告業界向けの回答例
私の就活の軸は、「顧客の利益を上げるために自分のアイデアを形にできる仕事であること」です。
私はカフェのアルバイトをしていて、そのなかで昨年インスタグラムの運用を担当することになりました。投稿ではユーザーの目を引くためにどのような構図の写真にしたらいいか、どういった文字を入れたらいいかを試行錯誤を重ねました。徐々にフォロワーが増えて、運用1カ月でインスタグラムを見て来店したお客様が10人以上いらっしゃったときには、売上に貢献できたことに大きな喜びを感じました。
この経験から、顧客の利益を上げるために自分のアイデアを形にしたいと考えています。
金融業界向けの回答例
私の就活の軸は、「地元の中小企業を支援すること」です。
私は実家が福井県にあり、父が地元で建設会社を経営しています。父の会社で事務のアルバイトをした際に、父の会社で取引をしている貴行の担当の方がいらっしゃったことがあり、笑顔であたたかく接してくださいました。父からはその方とは長く取引があり、いつも支えてくださっているという話を聞いています。
このことをきっかけに私も生まれ育った地元で父の会社のような中小企業を応援したいと強く思うようになりました。
コンサルティング業界の回答例
私の就活の軸は、「さまざまな業界に携わり、幅広くビジネスに関われる環境であること」です。
私は昨年オーストラリアに短期留学をした際に、さまざまな業界の人たちに出会いました。そこでは、自分が全く知らない業界の話を聞くことが非常に楽しく、帰国後も自分の知らない業界について積極的に調べるようになりました。
仕事を通じてさまざまな業界のビジネスを学び、自分自身も成長しながら、さらによい提案をしていきたいと考えております。
不動産業界向けの回答例
私の就活の軸は「お客様の人生の転機に寄り添うこと」です。
昨年、両親が駅前のマンションに住み替えることになり、私自身も内覧などに立ち会いました。そこで担当してくださった営業担当の方が、両親の希望や理想の暮らしを丁寧に聞き取りながら、希望によりそった提案をしてくださる姿勢に大変感動しました。不動産は人生においてとても高価な買い物ですが、お客様の人生に寄り添い理想の住まいを提案することで、金額以上の満足度を得られると感じました。
この経験から、私は「お客様の人生の転機に寄り添うこと」を軸としています。
営業職向けの回答例
私の就活の軸は「顧客の豊かな生活をサポートすること」です。
私は大学生になり、休日を使い家電量販店でスマートフォンの販売をするアルバイトをしています。スマートフォンの買い替えやプランの変更などの業務に携わっており、お客様と直接コミュニケーションをとる機会がありました。高齢のお客様が来店し、スマートフォンの操作方法について相談を受けたとき、初めての業務でしたが自分なりに寄り添いアドバイスをしたところ、「孫に連絡できる」「写真が撮れる」ととても感謝をされたことがあります。そういった経験から、お客様のサポートをすることが働くうえでのやりがいとなりました。
御社の製品を通して、顧客の豊かな生活をサポートしより豊かな社会にしていきたいと思います。
事務職向けの回答例
私の就活の軸は「バックオフィスで企業に貢献すること」です。
私は大学の講義で情報処理に関する分野を学びました。WordやExcelなどのソフトを使い、ビジネスで使う書類や資料作成の方法を学ぶなかで、「目立たない仕事だけど、誰かがやらなければならないこと」だという意識が芽生え始めました。
どのような企業でも、バックオフィスの業務は欠かせないと思います。私は事務職で御社に貢献していきたいと考えています。
販売・接客向けの回答例
私の就活の軸は、「顧客のニーズに寄り添い提案すること」です。
私が成人式で着た振り袖をレンタルしたのが御社の支店でした。成人式で着たい振り袖の色やデザイン、小物類は絶対にこだわりたいという思いから、振り袖選びから前撮りまでたくさんの相談に乗っていただきました。とても時間がかかりお手数をおかけしたなかでも、私からの質問や要望にしっかりと応えてくださり、前撮りの写真、成人式当日ともにとても満足できる着付けをしていただきました。
今度は私がお客様に寄り添い、記念日を一生の思い出にするサポートをしたいです。
語学力を活かしたい回答例
私の就活の軸は、「高校・大学で培った英語力を活かせる環境」です。
中学生のときアメリカのドラマを見たことをきっかけに、英語の興味をもちました。大学生になったら英語圏に留学したいという思いから、高校入学後に本格的に英語を学び始めました。大学2年生のとき、ロサンゼルスに1年間留学し、英語で日常会話ができるレベルまで上達しました。今後は、ビジネス英会話のスキルアップも目指したいです。
お客様と英語でコミュニケーションをとることができ、さらにスキルを伸ばせる環境で働きたいと考えています。
リーダーシップを発揮したい回答例
私の就活の軸は、「持ち前のリーダーシップを活かせる環境で働くこと」です。
私は昔から、友人など周囲の人と協力しながら目標を達成していくことが好きでした。中学、高校は陸上部の部長、大学ではフットサルサークルのリーダーをしていました。他大学との試合を行うために連絡をとり、県内5大学のフットサルサークルが集まり、親睦会のような大会を開催した経験があります。自分がチームを引っ張り、何かを成し遂げることにやりがいを感じています。
将来は管理職となり、私のリーダーシップを発揮できる環境で働くことを希望しています。
積極的にスキルアップできる環境を望む回答例
私の就活の軸は、「積極的にスキルアップできる環境で働くこと」です。
私は経済学部であり専門的な講義を受けていませんが、趣味でプログラミングを楽しんできました。最初はゲーム感覚で始めたプログラミングですが、レポートで使用するグラフやデータを効率的に作成する簡易的なツールを作ってみた結果、奥深さや楽しみを感じました。独学で基礎を学び、簡易的な効率化ツール、ゲームを作成できるようになりました。
就職後は、働きながら実践的な技術を身につけ、業務に役立てていきたいです。
よくある質問
就活の軸とはどんなものですか?
就活の軸とは、業界選び、企業選びにおける自分なりの価値観や譲れない条件です。
就活の軸を決めることで、応募する企業などを見つけられたり、入社後に自分が活躍する姿をイメージしやすくなったりします。
就活の軸の決め方を教えてください
就活の軸を決めるときは、次の方法を実践してみましょう。
・おおまかなジャンルから深掘りする
・興味がある業界・職種・企業から考える
・自己分析をする
・他己分析で客観視する
・インターンや会社説明会へ参加する
今はまだ見つけられていない方でも、これらのことを行えば少しずつ就活の軸が見えてくるはずです。各方法の詳細は「就活の軸が見つけられないときの決め方」で紹介しています。
就活の軸は必要ですか?
就活の軸を決めなくても就活を進めることは可能です。
しかし、就活を進めるなかで「入社後にどんなキャリアを歩んでいきたいのか」「どんなことにやりがいを感じられるのか」などを考える際に、就活の軸が役に立つでしょう。
就活の軸の重要性は「就活の軸が必要な理由」で紹介しています。
「やりがい」も就活の軸になりますか?
仕事に対するやりがいも就活の軸になります。
やりがいを就活の軸にして面接、ESで伝える際は「自分にとってどんな業務・経験がやりがいになるのか」「やりがいが重要だと感じたできごと」など、深掘りして具体的なエピソードにしてみましょう。
就活の軸の例文を教えてください
IT業界の例
私は高校生の頃からエクセルの関数が得意で、作業を効率化することに楽しさを感じていました。大学からプログラミングを学び、エクセルでしかできなかった集計作業をボタン一つでできるシステムを作ったことをきっかけに、作業を効率化するにはITの技術が必要不可欠だと感じました。
近年IT化が加速して、便利なシステムやサービスが増えて年々豊かになっています。自分もこの分野に携わり、多くの人の生活を豊かにしたいと考えております。
営業職の例
私は大学生になり、休日を使い家電量販店でスマートフォンの販売をするアルバイトをしています。スマートフォンの買い替えやプランの変更などの業務に携わっており、お客様と直接コミュニケーションをとる機会がありました。高齢のお客様が来店し、スマートフォンの操作方法について相談を受けたとき、初めての業務でしたが自分なりに寄り添いアドバイスをしたところ、「孫に連絡できる」「写真が撮れる」ととても感謝をされたことがあります。そういった経験から、お客様のサポートをすることが働くうえでのやりがいとなりました。
御社の製品を通して、顧客の豊かな生活をサポートしより豊かな社会にしていきたいと思います。
そのほかの業界、職種の例文が知りたい場合は「面接やESで就活の軸を聞かれたときの回答例」を確認してみてください。
監修者情報
監修者:遠藤 美穂子さん
新卒で東京三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行、営業店・本部にて法人営業に携わるほか、新人研修講師、採用面接官も経験。
現在はキャリアコンサルタントとして大学での就活支援、キャリア系講義、社会人向けのビジネスマナーやキャリア開発研修などを行っている。
資格:国家資格キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士