早期選考は、通常の選考よりも早い段階で実施されます。一般的には、就活の情報が解禁される3月1日より前に選考が開始され、なかには3月時点で内定を獲得している学生もいるでしょう。
早い段階で内定を獲得すれば、卒業までの時間や心に余裕は生まれますが、就活の準備などは前倒しになります。メリット・デメリットや必要な準備を事前に確認し、早期選考を受けるかを決定しましょう。
この記事でわかること
- 卒業前年度の秋・冬にはすでに選考がスタートしていることが多い
- 就活情報サイト、逆求人型就活サイトなどで選考情報を探せる
- 早期選考に焦って応募をするよりも、通常の選考で十分準備をして臨むほうがよいこともある
就活の早期選考とは?
早期選考とは、就活の情報が解禁される3月1日より前に、実施する選考を指します。昨今は就活が早期化している傾向があり、早い場合は卒業前年度(4年制大学であれば3年生)の秋・冬には、すでに内定を獲得している学生もいます。
早期選考に関する情報の公開や選考の実施時期は、企業により異なります。早期選考を受けたい方は、卒業前年度の早い段階から就活情報サイトを確認したり、インターンに参加したりして情報収集を積極的に行いましょう。
早期選考は受けるべき?
第一志望の企業が早期選考を実施しているときは、応募を検討してみましょう。
ただし、書類などが準備不足の状態で早期選考を受けると、自分の力を発揮できない可能性があります。学業のスケジュール、書類作成、面接の練習などの準備期間が十分であるかを確認してみてください。準備が間に合わない場合は、通常の選考でしっかりと準備を行ったうえで臨むほうがよいこともあります。
早期選考のスケジュール
ここでは、4年制大学を例に早期選考のスケジュール例を紹介します。
早期選考は大学3年生の秋・冬には選考を開始し、就活が解禁される3月1日にはすでに内定が出ています。
選考が特に早い企業で26卒の場合、2年生の終盤から3年生になってすぐ、選考がスタートします。3年生の冬の時点ですでに内定を獲得していることもあるでしょう。
早期選考を受ける学生はどれくらい?
株式会社リクルートの「就職みらい研究所」が25卒の学生(N=3,906人)を対象とした調査では、3月1日時点での内定率が40.3%であると公開されました。そして、4月1日時点では58.1%と、2人に1人以上が内定を獲得しています。
さらに、卒業前年度の2月に最終面接を受けた人が30.5%という調査結果もあります。
この調査結果から、早期選考を受けている人、早期に内定を獲得している学生が多いとわかるでしょう。
※参考:就職プロセス調査(2025年卒)「2024年7月1日時点 内定状況」
早期選考を実施する企業が増えている理由
企業が早期選考を実施する理由として考えられるのは、次のようなことがあります。
インターンのなかでも「汎用型能力・専門活用型」「高度専門型」のものは、採用直結型になるものもあります。
優秀な人材を採用するため
選考を早期にスタートすることで、「優秀な人材を確保できる可能性が高い」といった考えから実施していると考えられます。
企業としては、早くに選考を開始し、他社に優秀な人材が流れる前に内定を出したい思いがあるのかもしれません。
選考期間に余裕をもたせるため
早期選考を実施することで選考期間が長くなり、企業側のスケジュールに余裕をもたせることができます。さらに、新卒の採用人数を早い段階で確保しやすくなります。
通常どおり6月ごろから選考をスタートした場合、想定していた採用人数に満たない可能性も視野に入れているのかもしれません。そういった事態を防ぐために早期に選考を開始し、採用予定人数を十分に確保したいと考えられます。
内定辞退率を下げるため
インターンや早期選考イベントに参加する学生は、その企業に対する志望度が高いといえるでしょう。
志望度が高い学生に対して早期選考のオファーをすることで、内定後に辞退される可能性が低いと想定して、実施していることも考えられます。
早期選考を実施するのはどんな業界・企業?
早期選考を実施する業界、企業はさまざまです。なかでも、外資系企業やベンチャー企業は、早期選考を実施する企業が多いといわれています。
株式会社リクルートの「就職みらい研究所」が25卒の学生を対象とした調査では、3月1日時点で内定を獲得した企業の業種で最も多いのが「情報通信業」となっています。次いで、「サービス業」、「機械器具製造業」という結果になりました。
※参考:就職プロセス調査(2025年卒)「2024年3月1日時点 内定状況」
早期選考を受けるメリット
早期選考を受けるメリットは、次のとおりです。
早い時期に選考を経験できる
早期選考では、卒業前年度の夏ごろから就活がスタートし、秋・冬に選考を受けます。そのため、通常の選考より前に書類作成、面接の練習を本格的に行い実践できます。
通常の選考も受ける場合、早い段階で就活の本番を経験しているぶん、面接本番などで精神的な余裕をもちやすい点がメリットです。
内定を早く獲得できて心と時間にゆとりができる
卒業年度になった時点ですでに内定を獲得できていれば、心と時間にも余裕が生まれます。
早期選考を受けていない学生と比較すると、就活に費やす時間が前倒しになりますが、就活が終了すれば、卒業までの時間を有意義に使えるでしょう。
すでに卒業に必要な単位をとっている場合は、時間がなくてできなかったことや、入社後に必要なスキル取得などに挑戦しやすくなります。
選考過程の一部を免除できることがある
選考方法は企業により異なりますが、早期選考を受ける学生は一次面接が免除になることもあるようです。
選考過程が減るぶん、精神的な負担を軽減できることはメリットといえるでしょう。
早期選考を受けるデメリット
メリットもある早期選考ですが、人によっては次のようなデメリットを感じるかもしれません。
ライバルの数は一般選考と大差はない
早期選考で内定を獲得する学生が増加しているということは、同じように選考を受ける学生も多いと考えられます。
早期選考では、早めの準備が必要です。早期選考を受ける学生は、就活に対する意識が高く、ライバルのレベルが一般選考よりも高い可能性もあります。
「早期選考だから内定を獲得しやすい」といった気持ちで臨むよりも、通常の選考同様に準備を行いましょう。
準備期間が限られる
早期選考を実施する期間は企業により異なります。選考の情報を見つけた時期によっては、エントリーや書類作成、送付するまでの時間が短いこともあるでしょう。
また、卒業前年度に講義や実習が忙しい方もいます。就活と学業を両立しなければならない点は、デメリットに感じるかもしれません。
書類選考に通過すれば、面接やグループディスカッションなどの練習も必要です。
エントリーや選考開始時期が把握しやすい通常の選考と比較すると、就活スケジュールがタイトに感じられるでしょう。
通常の本選考を受けられないことがある
企業によっては、早期選考で通過できなかった場合、通常の選考にエントリーできないこともあるようです。
書類作成や面接の練習が準備不足のまま早期選考を受け、通過できなかった場合は「十分な準備をしておけばよかった」と後悔するかもしれません。焦って早期選考を受けるよりも、準備をしっかりとしたうえで通常の選考を受けることがおすすめです。
ただし、早期選考で受からなかった場合でも、通常の選考にエントリーできる企業も存在します。
早期選考を受ける際は、書類作成や面接の練習に時間を割くことができるかを考えておくことが大切です。
早期選考を行う企業の探し方
早期選考を行う企業は、次の方法で探してみましょう。
インターンに参加する
インターンの参加者を対象に、選考の一部の過程を免除したり、早期選考をオファーしたりする場合があります。
ほかにも就業体験を必須とした「汎用型能力・専門活用型」「高度専門型」のインターンでは、企業は学生の情報を採用活動に活用できるため、選考につながる可能性があります。
インターンに参加学生がすべて早期選考の対象になるのではなく、一定の成果があった学生を対象に選考の免除を実施するようです。
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OB・OG訪問をする
OB・OG訪問をきっかけに、早期選考につながることもあるでしょう。企業によっては、企業に縁がある学生、特定の学校に通う人から優先的に選考を実施する可能性もあります。
ただし、あくまでもOB・OG訪問は、先輩や卒業生を通じて企業や業務内容を知ることがおもな目的です。選考につなげたい思いが強くなりすぎないようにしましょう。
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早期選考イベントに参加する
就活情報サイトなどには「早期選考イベント」「選考直結型イベント」といった情報が掲載されていることがあります。
これらのイベントは、早期選考を実施する複数企業の選考を一度に受けられるというものです。イベントにより内容は異なりますが、選考のフィードバックをしてもらえたり、就活に関する面談を受けられたりします。
定員人数は限られているため、就活情報サイトを定期的に確認し、できるだけ早いうちに申し込みをしましょう。
就活エージェントを利用する
就活エージェントとは、就活をサポートするアドバイザーが求人情報の提供や、書類・面接の対策を行うサービスです。
就活エージェントは、一般公開されていない求人情報を所有していることもあり、条件に合う学生と企業をマッチングすることもあります。なかには、早期選考を実施する企業を紹介してくれることもあるでしょう。
逆求人型就活サイトでオファーを受ける
逆求人型就活サイトとは、企業から学生へオファーするシステムのWebサイトです。
逆求人型就活サイトに登録をすることで、通常の選考よりも早い段階でオファーをもらい、選考につながることも考えられます。
Webサイトに登録し、各種情報を入力するなど準備は必要ですが、早期選考を受けたい方にはおすすめです。
早期選考を受けるにあたってやっておきたい対策
早期選考を受ける際は、次の対策をして臨みましょう。
面接に関する情報をまとめて知りたい方は、こちらの記事をチェックしてみてください。
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業界・企業研究を十分に行う
どの業界で働きたいか、どの企業の早期選考を受けるかを決めるにあたり、業界研究と企業研究が重要なポイントになります。
特定の業界、企業だけを研究するよりも、複数のものを調べて興味の優先度をつけたり比較したりすることで、自分に合う業界や企業を見つけやすくなります。
興味がある企業を調べてみると、「実は自分の特徴から見てミスマッチの可能性があった……」など気づくこともあるでしょう。反対に、今まで興味を抱いていなかった業界のほうが、自分にマッチしていることに気づけるなど、さまざまな発見があるかもしれません。
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書類を第三者に確認してもらいブラッシュアップする
選考では、最初に書類選考を実施する企業が多いでしょう。
作成したES(エントリーシート)などの書類は、友人や先輩、キャリア支援センターのスタッフといった第三者に見てもらうのがおすすめです。わかりづらい点はないか、より魅力的な内容にできるかなどを確認してもらい、ブラッシュアップを行いましょう。
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面接でスムーズな受け答えができるようにする
面接では、おもに次のような質問が行われます。
- 自己紹介
- 志望動機
- 自己PR
- 長所・短所
- 入社後にやりたいこと
質問に対してスムーズに受け答えができるよう、面接の練習を重ねましょう。
同じように早期選考を受ける学生も交え、質問を出し合ったり集団面接の練習をしたりするのもおすすめです。
また、企業によっては選考の際にグループディスカッションを実施することがあります。面接同様、友人を交えた練習や、動画を見てシミュレーションをしてみてください。
面接では受け答え以外にも、マナーなど気をつけたいポイントがあります。詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてみてください。
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よくある質問
早期選考はいつから行われますか?
早期選考の募集時期、開始時期は企業により異なります。
卒業前年度の学生を対象とした選考の場合、夏ごろから募集を開始、秋・冬にかけて選考を実施されることが多いでしょう。
早期選考の情報は、企業のリクルートページや就活情報サイトを確認してみてください。
早期選考を受けるメリットはありますか?
早期選考を受けるメリットには、次のようなものがあります。
・早い時期に選考を経験できる
・内定を早く獲得できて心と時間にゆとりができる
・選考過程の一部を免除できることがある
各項目の詳細は「早期選考を受けるメリット」で紹介しています。
早期選考を行う企業の探し方を教えてください
早期選考を行う企業は、次のような方法で探せるでしょう。
・インターンに参加する
・OB・OG訪問をする
・早期選考イベントに参加する
・就活エージェントを利用する
・逆求人型就活サイトでオファーを受ける
早期選考の時期は企業により異なります。選考を受けたい方は、早めに情報収集を開始するのがおすすめです。各項目の詳細は「早期選考を行う企業の探し方」で紹介しています。
早期選考に落ちたら本選考は受けられませんか?
通常の選考にエントリーできる企業も存在します。
ただし、エントリーの可否は企業により異なる可能性があるため、早期選考に応募する前に募集要項を十分に確認しましょう。
早期選考で内定を獲得したらオワハラを受ける可能性はありますか?
オワハラ(就活終われハラスメント)とは、内定を出した学生が自社の内定を辞退しないよう、内定を出す代わりに他社の選考を辞退するよう圧力をかけることです。
株式会社リクルートの「就職みらい研究所」が25卒の学生(N=3,906人)を対象とした調査では、オワハラを経験した学生は7.7%いるという結果が出ています。
早期選考の数カ月後には通常の選考が実施され、学生によっては早期に内定を獲得したあとも、就活を継続する学生もいます。万が一オワハラを経験した場合、まずは学校のキャリア支援センターに相談をしてみてください。