ビジネスにおける連絡ツールとして、メールはよく使われます。ビジネスメールの書き出しによって、相手が受ける印象が大きく変わる可能性があります。
ビジネスメールの書き出しは定型的な決まった形があり、それを使用することで「ビジネスマナーができている」と相手に認識してもらうことができるためです。
ここでは、ビジネスメールの書き出しの挨拶について、例文を交えてご紹介します。送信相手や状況に応じた言葉の使い分けとメールにおけるビジネスマナーを確認しておきましょう。
この記事でわかること
- ビジネスメールの書き出しはパターンがあり、知っておくと柔軟に対応できる
- 件名にメールの内容を簡潔に書くことで、送信相手の確認漏れを防止できる
- To、Cc、Bccを使い分けることで、宛先の公開・非公開を設定できる
ビジネスメールの書き出しの基本構成
ビジネスメールにおける書き出しの基本構成は「宛名・挨拶・自己紹介」です。それぞれについて、詳しく解説します。
1. 宛名
宛名とは、メールを送る相手の名前を指します。名前に加えて、企業名や部署名も書くと、送った相手に「自分に届いたメールだ」と認識してもらいやすいでしょう。
メールでは、特定の個人に送ることが一般的なため、敬称は「様」を使用します。もし、組織や企業などの団体宛に送る場合は「御中」を使用します。
メールを送る際は、社名・部署名・担当者名など、誤りがないか確認してから送信しましょう。
また、担当者がわからない場合は「ご担当者様」と書きます。
宛名の例①
〇〇株式会社
人事部 採用担当 〇〇様
宛名の例②
〇〇株式会社
人事部 ご担当者様
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メールの書き出しで拝啓・敬具は不要!
メールの場合、要件を相手に簡潔にわかりやすく伝えるのが大切であるため、拝啓や敬具は不要です。
拝啓や敬具のようないわゆる「頭語」「結語」は、手紙やビジネス文書などで使われる表現のため、簡潔に要件を伝えたいメールには不向きの書き出しといえます。
季節や時候の挨拶も必須ではありません。臨機応変に使いましょう。
拝啓や敬具を使わない代わりに「いつもお世話になっております」などの簡略化した挨拶がよく使われています。
2. 挨拶
就活中にインターンで会った相手や、説明会で話した相手になど、過去にやりとりをしたことがある相手にメールを送る場合は、「お世話になっております」と挨拶するのが一般的です。
初めてメールする相手の場合は、初めての連絡であること、突然の連絡であることへの謝罪や感謝の気持ちを添えるようにしましょう。
初めての場合の例
「初めまして」
「初めてご連絡を差し上げます」
「突然のご連絡失礼いたします」
初めての相手でも、知っている間柄でも、丁寧な表現を心がけて、メールを作成しましょう。
3. 自己紹介
自己紹介の内容は、名前・学校名・学部名を簡潔に書きます。礼儀正しい表現を使用しましょう。
自己紹介の例
青山大学理工学部の〇〇と申します。
青山大学理工学部の〇〇でございます。
メールでの書き出しの挨拶例文【シチュエーション別】
メールでの書き出しの挨拶例文を、次のシチュエーション別にご紹介します。
- 初めての相手に送る場合
- 2回目以降の相手に送る場合【一般的な表現】
- 2回目以降の相手に送る場合【より丁寧な表現】
- メールの返信に対して返信する場合
- 相手からの返信がないときなど、続けて2回目のメールを送る場合
- 電話のあとに確認の連絡をする場合
- 久しぶりに連絡する場合
初めての相手に送る場合
初めての相手にメールを送る場合、「初めて」であること認識してもらえるような書き出しがおすすめです。
書き出しの例
- 初めまして。
- 初めてご連絡を差し上げます。
- 初めてご連絡させていただきます。
- 突然のご連絡失礼いたします。
初めて連絡する際は「お世話になっております」は使用しないため、注意しましょう。
2回目以降の相手に送る場合【一般的な表現】
2回目以降の相手に送る場合や、普段からやり取りをしていて、ある程度関係が築けている相手の場合は、次の書き出しを使いましょう。
書き出しの例
- お世話になっております。
- いつもお世話になっております。
- いつも大変お世話になっております。
2回目以降の相手に送る場合【より丁寧な表現】
2回目以降で取引先などの社外の相手にメールを送る場合は、次の書き出しを使いましょう。
書き出しの例
- 平素より大変お世話になっております。
- いつもお心遣いをいただき、誠にありがとうございます。
メールは相手の顔がわからないなかでのやり取りのため、相手への気遣いを意識した表現を使用してみてください。
メールの返信に対して返信する場合
メールの返信に対して返信する場合は、書き出しで返信に対する感謝の気持ちを添えましょう。「早速」や「迅速」など、配慮の言葉を入れると、丁寧な印象を持たれるかもしれません。
書き出しの例
- ご連絡をいただきありがとうございます。
- 早速のご返信、誠にありがとうございます。
相手からの返信がないときなど、続けて2通目のメールを送る場合
返信が来ないときや、すでに送信したあとで追加で連絡したいことがあった場合など、続けて2通目のメールを送信する際は、次の書き出しを使用しましょう。
書き出しの例
- 度々のご連絡、申し訳ございません。
- 度々失礼いたします。
- 五月雨式に失礼いたします。
電話のあとに確認の連絡をする場合
電話のあとに送るメールの書き出しは、電話の内容に関するメールであることを伝えましょう。
書き出しの例
- 先ほどはお時間を頂戴いたしまして誠にありがとうございます。
- 先ほどのお電話の内容について、確認のご連絡です。
久しぶりに連絡する場合
しばらく連絡を取っていない相手にメールを送る場合は、次のような書き出しで始めると、丁寧な印象を与えられるでしょう。
書き出しの例
- 大変ご無沙汰しております。
- 長らくご無沙汰をしまして、申し訳ございません。
「お久しぶりです」を使うのは、親密な間柄の相手や、カジュアルな場面で使うのがおすすめです。
ビジネスでは例文のような書き出しを使ってみてください。
メールでの書き出しの挨拶例文【相手別】
メールでの書き出しの挨拶文は、相手に応じて適切に使い分けましょう。相手別の書き出しの例文をご覧ください。
上司・先生など目上の人の場合
上司や学校の先生など目上の人に連絡する場合は、敬意を表す言葉を使いましょう。
書き出しの例
お世話になっております。総務課の◯◯です。
昨日は発注作業の手順をご教授いただき、ありがとうございました。
~~~~
直属の上司や教育係の先輩など、身近な相手に対しては「お疲れさまです」のほうが、距離感が適切かもしれません。
社内の同僚やチームメンバーの場合
親しい間柄の同僚や、チームメンバーの場合は「お疲れさまです」が適切です。
書き出しの例
お疲れさまです。◯◯です。
昨夜はチームの打ち上げの幹事ありがとうございました。
~~~~
同僚やチームメンバーへのメールに「お世話になっております」などは堅苦しく感じ、距離を置かれていると感じるかもしれません。
同僚のメールの雰囲気に合わせて使い分けるのもおすすめです。
取引先の場合
ビジネス上の関係である取引先の場合は、「いつもお世話になっております」を使いましょう。
書き出しの例
いつもお世話になっております。
〇〇株式会社の◯◯です。
先日はお忙しいなか、商談のお時間をいただき、ありがとうございました。
~~~~
挨拶の後、感謝の気持ちを添えると、丁寧な印象に見えるでしょう。
メールの書き出し後、本題への切り出し方
メールを送る相手に合わせて適切な書き出しの挨拶に続いて、本題に移行しましょう。次の本題に移行する例文をご覧ください。
本題を切り出す例
この度、貴社の〇〇職に応募させていただきたく、ご連絡いたしました。
貴社の求人情報を拝見し、魅力を感じましたので、応募書類を添付いたしました。
お手数をおかけしますが、ご確認いただけますと幸いです。
本題に移行する際のポイントは、以下のとおりです。
本題を切り出すポイント
- すぐに本題に入るようにする
- 本題の結論から先に書く
- 簡潔にまとめる
- 依頼や質問などが複数ある場合は、箇条書きでまとめる
相手が返信しやすいようにわかりやすく簡潔にまとめてから送信しましょう。
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ビジネスメールを送るときの注意点
次にご紹介する、ビジネスメールを送るときの注意点をご確認ください。
簡潔でわかりやすい件名を設定する
メールの送信相手は、多くのメールを対応している可能性があるため、件名が明確でないと見落とされてしまうかもしれません。
件名だけでメールの内容がわかると、受け取った側はスムーズにメールの内容が理解できます。
例えば、「ご連絡」や「お知らせ」といった漠然とした表現は避け、「選考応募のご連絡」や「面接日程の調整」などと具体的に書くのがポイントです。
件名の例
- 【ご回答】ネクタイの在庫について
- 着任のご挨拶
- 担当者変更のご連絡
- 不在のお知らせ【7/1~7/3】
- 【お詫び】データ添付漏れについて
件名の例を見ると、メールにどんな内容が書いてあるかがわかりやすいですね。
宛先のメールアドレスを正しく設定する
宛先の意味
To:直接の宛先・返信を求めている相手
Cc:情報を共有しておきたいが、返信不要の相手
Bcc:ほかの受信者を隠したい場合やメールアドレスを公開したくない場合
Bccは、個人のパソコンやスマートフォンにも送っておきたい場合は自分のメールアドレスを、取引先に送るメールを上司にも送っておきたい場合は、上司のメールアドレスを入れておくと、ToやCcの宛先に知られることなく送信できます。
宛先のメールアドレスはメール本文を全て書き終わった後に記入すると、メール作成途中での誤送信が防げるため、おすすめです。
送信前に誤字脱字のチェックをする
本文はもちろん、相手の名前や社名を間違えるのは失礼にあたるため、送信前に誤字脱字や文法のチェックをしましょう。
特に重要なメールの場合は可能であれば、同僚や教育係の先輩など、自分以外の誰かにダブルチェックを依頼すると安心です。
就業時間内に送信する
ビジネスメールは送信相手の就業時間内に送信しましょう。
なかには、メールをタブレットやスマートフォンでも受信できるように設定している場合もあり、早朝や深夜に送信すると、相手のプライベート時間中にビジネスメールを送ることになるためです。
緊急の場合やトラブルが発生したときなど、どうしても就業時間外のメールになってしまった場合は、次のような書き出しの挨拶を使用し、失礼のないように心がけましょう。
時間外のメールの書き出し例
- 夜分遅くに失礼いたします
- 早朝から大変申し訳ありません
- 休日に申し訳ありません
緊急時の場合はメールではなく、電話のほうが連絡手段として適切なケースもあります。緊急時の連絡方法を確認しておくとよいでしょう。
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よくある質問
Q1.メールの丁寧な書き出しの例文を教えてください。
メールで丁寧な印象を与えたい場合の書き出しは以下のような文がおすすめです。
- 平素より大変お世話になっております。
- いつもお心遣いをいただき、誠にありがとうございます。
そのほか、シチュエーション別の書き出しの挨拶文は「メールでの書き出しの挨拶例文【シチュエーション別】」の見出しで詳しく解説しています。
Q2メールの挨拶の後は何を書けばいいですか?
挨拶の後の流れは、次のとおりです。
- 自己紹介: 名前、所属、役職などを簡潔に紹介する
- メールの目的: メールを送る理由や目的を明確に伝える
- 詳細な内容: 必要な情報や要件を具体的に記入する
挨拶後の例文
いつもお世話になっております。
〇〇株式会社の〇〇です。
先日はお忙しいなか、打ち合わせのお時間をいただき、ありがとうございました。
打ち合わせ内容をご検討いただき、大変お手数ではございますが、〇月〇日(水)までにご返信をいただけますと幸いです。
取り急ぎのメールとなり、恐縮ですがよろしくお願いいたします。
Q3.メールで「お世話になります」は目上に使っても問題ありませんか?
「お世話になります」は一般的にビジネスメールでよく使われるフレーズであり、目上の人に対しても問題なく使用できます。より丁寧な印象を与えたい場合には「平素より大変お世話になっております」などの表現もあるため、状況に応じて使い分けましょう。
Q4.ビジネスメールの書き出しに時候の挨拶は必要ですか?
ビジネスメールでは、時候の挨拶は必須ではありません。特に迅速な対応が求められる場合や簡潔に伝えたい内容の場合は、時候の挨拶を省略するのが一般的です。
Q5.ビジネスメールの書き出しで「お疲れさまです」は使用していいですか?
状況と相手に応じて使い分けることが重要です。同じ職場で働く同僚や、チームメンバーに対してよく使われるフレーズのため、日常的な業務連絡やカジュアルなやり取りに適しています。初めてメールを送る相手やフォーマルなビジネスメール、目上の人や上司に対しては、より丁寧な挨拶を使うのが適切です。