「お手数をおかけしますが」は、相手に何かを依頼する際に、手間や負担をかけることへの理解を示し、謝罪の気持ちを伝える丁寧な表現です。
今回は「お手数をおかけしますが」について、ビジネスや日常生活で正しく使えるように、シーン別に例を交えてご紹介します。
類語表現や言い換えも紹介しますので、敬語のバリエーションを増やして活用してみましょう。
この記事でわかること
- 「お手数をおかけしますが」を使用することで相手への配慮や謝罪の気持ちが表現できる
- 多用は控え、相手への負担が大きいときに使用する
- 「お手数をおかけしますが」には、謝罪や申し訳なさを更に強調する言い換えがある
ビジネスでよく使う「お手数をおかけしますが」の意味と読み方
「お手数をおかけしますが」は、相手に何かを依頼したり、お願いしたりする際に使用します。
相手に負担や手間をかけることへの理解と、謝罪の気持ちを表す丁寧な表現としてビジネスシーンで使われます。
「お手数」の読み方は「おてすう」です。
「手数」とは「手間がかかること・面倒なこと」という意味です。
相手に手間や面倒をかけてしまうときに使用すると、お詫びの気持ちを伝えることができます
ビジネスでは他人に対する配慮や、尊重が重視される文化があるため、メールや対面で「お手数をおかけしますが」がよく使われているのです。
「お手数をおかけしますが」の使い方を例文でチェックしよう
「お手数をおかけしますが」の例文を、使うシーン別に紹介します。相手との関係性に応じて、適切に使い分けられるようにしましょう。
ビジネスシーン
ビジネスシーンで「お手数をおかけしますが」は、上司や取引先に何かを依頼するシーンで使用することがあります。
ビジネスシーンでの例文
- お手数をおかけしますが、明日の会議資料を送付していただけますか。
- お手数をおかけしますが、この契約書にサインしていただけますでしょうか。
- お手数をおかけしますが、来週の打ち合わせの日程を調整していただけると幸いです。
- お手数をおかけしますが、何卒よろしく願いいたします。
就職活動
就職活動において、企業とのやり取りをする場合、正しく「お手数をおかけしますが」を使用すると、相手へのお詫びや感謝の気持ちが伝わりやすくなります。
特にメールでのやり取りでは、相手に何かを依頼するとき「お手数をおかけしますが」を用いると、より丁寧な印象になるでしょう。
就職活動での例文
- お手数をおかけしますが、選考状況についてお伺いできますでしょうか。
- お手数をおかけしますが、御社について詳しく教えていただけますでしょうか。
- お手数をおかけしますが、面接日程を再度調整いただけますと幸いです。
日常生活
日常生活で関わる目上の人や初対面の人に時間や労力を使う依頼をした場合にも「お手数をおかけしますが」を使用すると、円滑なコミュニケーション促進に繋がるでしょう。
日常生活での例文
- お手数をおかけしますが、この荷物を預かっていただけますか。
- お手数をおかけしますが、払い戻しをお願いできますか。
「お手数おかけしますが」は間違い?使用時の注意点
「お手数おかけします」は、助詞「を」を省略した形であり、文法的には間違いではありません。話し言葉ではよく使われます。
しかし、より丁寧に表現できるのは「お手数をおかけしますが」です。
ビジネスや改まったシーンでは、「お手数をおかけしますが」を使いましょう。親しい間柄の相手や、日常生活の会話などでは「お手数おかけします」でも問題ありません。
使用するシーンに合わせて使い分けましょう。以下のページでは正しい敬語を一覧で解説していますので、あわせてご覧ください。
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「お手数をおかけしますが」を使用するときの注意点
「お手数おかけしますが」を使用するときは、以下の注意点を意識してみましょう。
使うタイミングやシーンによっては、相手に謝罪や感謝の意図が伝わりにくくなる可能性があるため、注意点を確認して適切に使いましょう。
相手に手間や面倒をかけてしまうときのみ使用する
些細な依頼に対して「お手数をおかけしますが」を使用すると、丁寧すぎる印象になる可能性があります。些細な依頼とは、例えば「ペンを貸してほしい」や「飲み物を取ってほしい」など、その場ですぐに完了するような依頼が挙げられます。
ノートを取ってほしいときに「お手数をおかけしますが、そちらのノートを取っていただけないでしょうか」と依頼すると、相手は大げさな表現と受け取るかもしれません。
自分が依頼されたら時間がかかりそう」「手間がかかる」と思う依頼を相手にする場合に、「お手数をおかけしますが」を使用してみましょう。
具体的な依頼内容を明確に伝える
「お手数をおかけしますが」の後に、具体的な依頼内容を明確に伝えるようにしてみましょう。何を依頼されているのかが相手に伝わりやすくなり、失礼のない依頼ができるためです。
例えば「お手数をおかけしますが、こちらの書類にご記入いただけますでしょうか」のように、何をしてもらいたいのかを明確にすると、相手も何を依頼されているのかがわかりやすいため、スムーズに取り組めるでしょう。
「お手数をおかけしますが」のようなクッション言葉を入れることで回りくどくなることもあるため、依頼内容は簡潔に伝えることが大切です。
メールや会話のなかで何度も使用しない
「お手数おかけしますが」を多用すると、相手が「しつこい」「面倒くさい」と感じる可能性があります。些細な依頼には使用を控え、時間や労力を必要とする依頼にのみ使用してみましょう。
「お手数おかけしますが」以外の表現を使用するのもおすすめです。
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「お手数をおかけしますが」の言い換え・類語表現
「お手数をおかけしますが」の類語表現をご紹介します。カジュアルな表現や「お手数をおかけしますが」よりもさらに丁寧な表現もあるため、シーンに応じて使い分けましょう。
「お手数ですが」
「お手数をおかけしますが」よりもカジュアルな表現です。会話のなかで使用する場合は「お手数ですが」のほうが簡潔でわかりやすいでしょう。
「お手数ですが」を使用した例文をご紹介します。
「お手数ですが」例文
- お手数ですが、こちらに記帳をお願いします。
- お手数ですが、明日の会議資料を送付していただけますか。
- お手数ですが、この書類に署名していただけますか。
「ご迷惑をおかけしますが」「ご面倒をおかけしますが」
「お手数をおかけしますが」よりもさらに丁寧な表現であり、相手への配慮の気持ちが伝わりやすいです。
相手にかけた負担や手間が大きかったことを強調したい場合は「ご迷惑をおかけしますが」や「ご面倒をおかけしますが」を使いましょう。
例文
- ご迷惑をおかけしますが、この資料の再送をお願いできますか。
- ご面倒をおかけしますが、この問題についてもう一度ご確認いただけますか。
「申し訳ございませんが」
「お手数をおかけしますが」よりも、謝罪の気持ちを強調したい場合に使用してみましょう。
自分のミスで相手にフォローを依頼することになった場合や、相手にかけた迷惑や負担が大きい場合に使用すると、謝罪の気持ちが伝わりやすくなります。
例文
- 申し訳ございませんが、再度資料を添付いただけますと幸いでございます。
- 大変申し訳ございませんが、納期の延長をご検討いただけますと幸いでございます。
- 誠に申し訳ございませんが、後日改めてご連絡をいただけますでしょうか。
「恐縮ですが」「恐れ入りますが」
「恐縮」は、相手に迷惑をかけることに対する申し訳なさを表現する言葉です。相手を立たせる表現になるため、上司や取引先に使用するシーンが多く見られます。
例文
- 大変恐縮ですが、〇月✖日までにご返信いただけますでしょうか。
- 誠に恐縮ですが、明日のミーティングの時間を変更していただけないでしょうか。
- 恐れ入りますが、本会場での写真や動画の撮影はご遠慮いただいております。
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よくある質問
Q1.「お手数をおかけしますが」はどういう意味ですか?
「お手数をおかけしますが」は、相手に何かを依頼やお願いする際に、相手の負担や手間をかけることの理解と謝罪の気持ちを表す丁寧な表現です。 ビジネスシーンでは、相手に対する配慮や尊重が重視されるため、「お手数をおかけしますが」がよく使われています。
Q2.「お手数をおかけしますが」は二重敬語ですか?
「お手数をおかけしますが」は二重の敬語表現ではありません。二重敬語は一つの語に対して同じ種類の敬語を重ねることを指します。 「お手数」は「手数」を丁寧にした言葉であり、「おかけする」は「かける」を謙譲語にした表現です。
Q3.「お手数をおかけしますが」の類語や言い換えを教えてください。
「お手数ですが」「ご迷惑おかけしますが」「ご面倒をおかけしますが」「申し訳ございませんが」「恐縮ですが」「恐れ入りますが」などが挙げられます。
Q4.「お手数をおかけしました」の例文を教えてください。
「お手数をおかけしました」の例文は以下のとおりです。
- この度は連絡の行き違いにより、お手数をおかけしました。
- 〇〇様に度重なる確認をお願いし、お手数をおかけしました。
- 急な時間変更に対応していただき、お手数をおかけしました。