内定辞退の連絡は「電話でなければいけない」と考える方もいるかもしれませんが、メールのみで完結することもあります。メールであれば学生側は送信前に文言をチェックでき、企業側は空いた時間に対応できるといったメリットがあります。
ただし、電話のほうが誠実さや感謝の気持ちは伝わりやすい傾向があります。メールのみで伝える場合は、内定辞退の趣旨や理由、選考のお礼などをできる限り丁寧に伝えましょう。
この記事では、内定辞退メールの構成やポイントなどを詳しく解説します。具体的な例文や企業から返信が来た場合の対応なども紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 内定辞退の連絡は回答期限に関係なく、できるだけ早く連絡することが重要
- 内定辞退の理由は企業側に失礼のないようできるだけ簡潔かつ丁寧に伝える
- 内定辞退のメールを送信して数日〜1週間ほどたっても返信がこない場合は再度連絡が必要
監修者からのコメント
内定をいただいた企業に辞退の連絡をするのはとても緊張するものですが、就職活動を終え、社会人となるための大切なステップの一つです。将来仕事で関わりを持つかもしれない企業の事情や採用担当者のことも考えながら、誠実な対応を取っていきましょう。
内定辞退はメールのみでもいい?
内定辞退の連絡は、以前は電話連絡が主流でしたが、昨今ではメールのみで内定辞退を伝えるケースが増えています。
しかし、メールは担当者が見落としてしまったり、確認までに時間がかかったりすることがあるため、電話のほうがおすすめです。企業側は時間と費用をかけて学生一人ひとりと向き合い、採用活動を行っているため、感謝の気持ちが伝わりやすい電話のほうが望ましいとも考えられます。
メールのみで内定辞退を行う場合、電話に比べて企業側の確認にタイムラグが生じる可能性があるため、辞退の意思を固めた時点でできるだけ早く連絡することが重要です。
メールを作成する際は、丁寧かつ感謝の気持ちが伝わるような文面を心がけましょう。
内定辞退をメールで伝えるメリット
内定辞退は電話で伝えたほうが感謝や謝罪を口頭で伝えられるため、誠意が伝わりやすいです。しかし、メールで伝えることにも学生側・企業側それぞれのメリットがあります。
学生側のメリット
- メールを送信する前に文章の内容をチェックできる
- メールの内容や送信日(内定辞退を伝えた日)を記録として残すことができる
企業側のメリット
- 空いた時間に内容を確認し対応できる
- 辞退した趣旨が文面で残るため、後で確認しやすい
事前にチェックした文章で伝えられ、その内容を記録として残せるため、後々トラブルになることも防げます。
電話では不在時の対応が難しい場合がありますが、メールなら受信側は空いた時間に内容を確認できるため、その後の対応もスムーズに進めやすくなるでしょう。
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内定辞退メールを書くときの構成とポイント
ここでは、内定辞退のメールを作成する際に意識したい構成とポイントを紹介します。
件名で辞退の意志を伝え、本文では「お礼+辞退の趣旨と理由+お詫び+結び」の流れで伝えることがポイントです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
内容は内定辞退ですが、基本的にはビジネスメールです。言い訳のように長い文章を書いたり、事務連絡のようにそっけなく書いたりしないように気をつけましょう。伝えるべき内容を簡潔に、丁寧な言葉遣いと文章でまとめると、気持ちが伝わります。
1.件名で辞退の意志を伝える
内定辞退メールでは、「内定辞退のご連絡 (氏名)」のように、一目で要件がわかる簡潔な件名を設定しましょう。
採用担当者は日々さまざまなメールを受信しています。そのため、件名がなかったり、わかりにくかったりするとメールが埋もれてしまうかもしれません。件名に「内定辞退」と明記しておくことで、あなたのメールが目に留まりやすくなります。
2.感謝の気持ちを伝える
本文では、「お世話になっております。◯◯です。」の挨拶のあと、「内定をいただいたこと」への感謝の気持ちを伝えましょう。
例文
この度は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
3.内定辞退の趣旨と理由を簡潔に伝える
続いて、内定辞退の趣旨と理由を述べます。内定辞退を伝えるのは抵抗があるかもしれませんが、曖昧な表現を使うと、迷っていると捉えられる可能性もあるため、はっきり伝えることが重要です。
辞退の理由については、具体的に説明する必要はありません。例えば、「一身上の都合により」「他社の内定を承諾することにしたため」のように、失礼のない範囲で簡潔に伝えましょう。
例文
- 大変申し上げにくいのですが、一身上の都合により内定を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。
- 検討を重ねた結果、他社の内定を承諾することにいたしましたので、貴社の内定を辞退させていただきます。
- 大変光栄なお話をいただきながら誠に恐縮ですが、自身の今後を考えた結果、内定辞退をさせていただく結論に至りました。
「大変申し上げにくいのですが」「誠に恐縮ですが」のようなクッション言葉を用いることで、より丁寧な印象になります。
4.内定辞退に対するお詫びを伝える
内定辞退を伝えたら、辞退することに対するお詫びの言葉を述べましょう。企業側も一定数の内定辞退があることは想定していますが、学生一人ひとりに向き合ってくれているからこそ、きちんとお詫びを伝えることが大切です。
例文
貴重なお時間を割いていただいたところ、このような結果となり大変申し訳ございません。
選考に携わっていただいた皆さまには心より感謝申し上げます。
内定辞退のお詫びと合わせて選考に関わってくれた方への感謝の言葉も伝えると、より誠意が伝わりやすくなります。
5.メールでの連絡に対するお詫びを伝える
内定辞退の連絡が電話や対面ではなく、メールでの連絡になってしまったことに対するお詫びの言葉も添えましょう。
例文
- メールでのご連絡となるところを、何卒ご容赦いただきたくお願い申し上げます。
- 本来であれば直接お詫びをすべきところではございますが、メールでのご連絡になりましたこと、重ねてお詫び申し上げます。
6.締めの言葉を伝える
最後に締めの言葉として、企業の発展をお祈りします。
例文
末筆ながら、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
最後に誤字脱字がないかをチェックし、問題なければメールを送信しましょう。
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内定辞退のメール例文【テンプレ】
メール例文
【件名】内定辞退のご連絡(◯◯学校 青山太郎)
◯◯株式会社 人事部 ◯◯××様
いつもお世話になっております。
◯◯学校 ✕✕学部 △△学科 青山です。
先日は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
大変光栄なお話をいただきながら誠に申し上げにくいのですが、
内定を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。
検討を重ねた結果、他社からの内定を承諾することにいたしました。
お忙しいなか、貴重なお時間を割いていただいたにもかかわらず、
このような結果となり大変申し訳ございません。
選考に携わっていただいた皆さまには心より感謝申し上げます。
本来であれば直接お詫びするところではございますが、
メールでのご連絡となりましたこと、何卒ご容赦頂ければと存じます。
末筆ながら、貴社のご発展とご活躍をお祈り申し上げます。
青山 太郎(あおやま たろう)
◯◯学校 ✕✕学部 △△学科
メールアドレス:aoyama_tarou@xxxx.com
電話番号:000-0000-0000
回答期限まで内定承諾を決められない場合のメールの送り方
他社の選考と並行している場合、内定連絡をもらってから回答期限までに「承諾・辞退」を決められない場合があります。
内定承諾の意思が固まっていないなかで焦って回答をすると、内定承諾後の辞退となる可能性があり、企業に迷惑をかけることにもなりかねません。この場合は、企業にメールで回答期限の延長を相談してみましょう。
「他社の選考が進んでいるため、回答期限を延ばしてほしい」といった内容に加えて、「何日まで待ってほしいのか」を伝えることがポイントです。
メール例文
◯◯株式会社 人事部 ◯◯××様
いつもお世話になっております。
◯◯学校 ✕✕学部 △△学科 青山です。
先日は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
光栄なお話をいただいたなかで、身勝手なお願いとなり恐縮ですが、
現在他社の選考が進んでおり、そちらの結果を踏まえたうえで
内定承諾を検討させていただきたいと考えております。
大変恐れ入りますが、内定のお返事を◯月◯日まで
お待ちいただくことは可能でしょうか。
私の都合でご迷惑をおかけいたしますが、
ご理解いただけますと幸いです。
何卒ご確認のほどよろしくお願いいたします。
青山 太郎(あおやま たろう)
◯◯学校 ✕✕学部 △△学科
メールアドレス:aoyama_tarou@xxxx.com
電話番号:000-0000-0000
内定辞退メールの返信で詳しい辞退理由を聞かれたらどうする?
企業によっては、内定辞退の理由を聞かれるケースもあります。その場合は返信が必要ですが、必ずしも辞退の理由を詳細に説明する必要はありません。
「3.内定辞退の趣旨と理由を簡潔に伝える」でも紹介したように、答えられる範囲で相手が納得する理由を伝えるとよいでしょう。
「辞退するから関係ない」と考えるかもしれませんが、ここまで選考してくれた企業に誠意いを示すためにも、できるだけ誠実に対応しましょう。
メール例文
◯◯株式会社 人事部 ◯◯××様
いつもお世話になっております。
◯◯学校 ✕✕学部 △△学科 青山です。
お忙しいところご返信くださり誠にありがとうございます。
内定辞退の理由は、貴社からの内定と同時に他社からも内定をいただき、
慎重に検討を重ねた結果、他社への入社を決めたためです。
貴重なお時間を割いて面接をしていただいたなかで
ご期待に添えない結果となり大変申し訳ございません。
誠に勝手ではございますが、ご理解いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
青山 太郎(あおやま たろう)
◯◯学校 ✕✕学部 △△学科
メールアドレス:aoyama_tarou@xxxx.com
電話番号:000-0000-0000
内定辞退メールの送信後、電話がかかってきたらどうする?
内定辞退のメールを送信したあと、担当者から電話がかかってくるケースもあるようです。
電話では、内定辞退の詳細な理由を求められたり、新しい条件を提示されて内定辞退の再考をお願いされたりすることが考えられます。その場合も、辞退の意思と自分の考えを冷静に伝えましょう。
内定辞退理由を電話で伝える際の例文
御社と並行して選考を受けていた企業より内定をいただき、自身の将来や適性について熟考した結果、そちらの企業に入社する決断に至りました。御社にはご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ございません。
内定辞退メールの返信に対して、返信する必要はある?
内定辞退メールを送信すると企業から「内定辞退の承諾」の返信がありますが、そこに対して返信する必要はありません。学生側から返信しなくても、企業から返信が来た時点で内定辞退は成立します。
質問を含む返信であればさらにこちらから返信が必要ですが、そうでなければ返信不要と考えてよいでしょう。
内定辞退メールへの返信が来ない!対処法は?
企業に内定辞退メールしたにもかかわらず、数日〜1週間ほどたっても返信がこない場合、何らかの不具合でメールが届いていなかったり、メールが確認されていなかったりする可能性があります。その場合は、電話またはメールで確認してみましょう。
電話で内定辞退の意志を伝える
電話であれば、確実に内定辞退を伝えられます。電話をする時間帯は、平日の10:00〜16:00などの就業時間内で、出社・退社時間の間際を避けて連絡するのがおすすめです。
電話では、まず学校名や氏名を伝え、「◯日付でメールにてご連絡させていただいたのですが」と始めて、内定を辞退する趣旨を伝えましょう。
電話の問い合わせ例
いつもお世話になっております。◯◯大学◯◯学部の○○と申します。採用担当の○○様はいらっしゃいますか。
はい、◯◯です。
お世話になっております。ただいまお時間よろしいでしょうか。
はい、大丈夫ですよ。
この度は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。◯日付でメールにてご連絡させていただいたのですが、内定を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。
そうですか。差し支えなければ、辞退の理由をお聞かせいただけますか?
別の企業より内定をいただき、慎重に検討した結果、そちらの企業への入社を決意いたしました。ご期待に添えない結果となり、誠に申し訳ございません。
そうなんですね。残念ですが、承知しました。
貴重なお時間を割いて面接をしていただいたにもかかわらず、このような結果となり大変申し訳ございません。この度は◯◯様をはじめ、みなさまには大変お世話になりました。それでは、失礼いたします。
担当者が不在の場合は、可能であれば電話先の社員の方に伝言を頼んでみましょう。具体的には「先日〇〇様宛にメールをお送りしているので、ご確認いただけますと幸いです」などと伝えます。
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就活中、企業の担当者からの電話に出られなかったときは、学生から折り返し電話をするほうがよいでしょう。いつ電話をかければよいのか、どのように挨拶をすればよいのかを確認して、スムーズかつ丁寧に電話でコミュニケーションをとれるように心がけてくださいね。
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メールで確認を取る
数日待っても返信がない場合は、再度メールを送信するという選択肢もあります。
本文に「先日もお送りしたものを、念のため再度ご送付させていただきます」など、ひと言付け加えて送信します。
よくある質問
内定辞退を伝えるときは、メールのみだと失礼ですか?
メールのみで手続きが終わることもありますが、すぐに返事が来ない場合は電話で伝えたほうが、内定を出してくれたことに対する感謝や誠意をより示すことができます。この点を踏まえて、どちらで連絡するかを選びましょう。
新卒の内定辞退メールはいつまでに送ればいいですか?
指定された回答期限にかかわらず、できるだけ早く辞退を伝えましょう。企業側の対応を考えると、内定の連絡から1週間以内に回答することが望ましいです。
内定辞退のメールを送りましたが返信がきません。どうすればいいですか?
内定承諾後に内定を辞退できますか?
民法(第627条第1項)では、労働契約の解除はいつでも可能とされています。内定承諾書には法的な拘束力がないため内定辞退は可能であり、罰則が科せられることもありません。ただし、内定承諾書の提出により労働契約が成立しているため、辞退したいという意思をきちんと伝える必要はあります。
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内定は書類で労働契約を交わした状態であり、内々定は採用を予定している状態のことです。企業は、内々定を通知した学生に対しても一方的な取り消しを行ってはいけないため、内々定が出た時点で基本的には内定を受けることができます。
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監修者情報
監修者:遠藤 美穂子さん
新卒で東京三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行、営業店・本部にて法人営業に携わるほか、新人研修講師、採用面接官も経験。
現在はキャリアコンサルタントとして大学での就活支援、キャリア系講義、社会人向けのビジネスマナーやキャリア開発研修などを行っている。
資格:国家資格キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士