複数の企業から内定通知を受け取った場合、どの企業を選べばよいか迷うことがあるでしょう。内定を承諾する企業を選ぶ際は、キャリアビジョンや職場の雰囲気、ワークライフバランスなど、自分のなかで欠かせない項目に優先順位をつけ、それに該当する企業を選ぶのがおすすめです。複数の内定から1社を選ぶ判断基準や選び方について紹介します。
複数のなかから1社を選ぶため、そのほかの企業には内定辞退の連絡が必要です。断り方もあわせて確認しておきましょう。
この記事でわかること
- 内定承諾先を選ぶ際は、将来のビジョンや譲れない条件などを再確認する
- 内定承諾書の提出期限は延長できる可能性があるため、企業に連絡する
- 内定を断る際は、丁寧に辞退することをはっきり伝える
複数内定から1社を選ぶ際の決め手となるポイント
複数の内定を獲得したことは努力の結果であり、喜ばしいことです。しかし、内定承諾できるのは1社であり、自分で決める必要があります。選ぶ際の決め手となる次のポイントを確認して、内定承諾先を決めましょう。
企業のビジョンとミッションへの共感
企業のビジョンやミッションが自分の価値観や目標と一致しているかを考えてみましょう。企業のビジョンとミッションは、その企業が目指す未来や存在意義を示しています。
やりがいを持って働くためには、自分が企業のビジョンに共感できることが重要です。共感できる環境で働くことで、モチベーションが上がり達成感が得られやすくなります。
仕事内容と役割
自分に提示された職場や部署などでの具体的な仕事内容や役割を確認しましょう。それがやりたい仕事かどうかも内定承諾の判断材料になります。
仕事内容や役割が、自分のスキル向上に役立つのか、興味を持って取り組める内容なのか、将来の目標に合致しているのかなどを含めて、働くイメージを膨らませてみましょう。入社後のキャリアパスも確認しておくことをおすすめします。
上司や同僚、チームの雰囲気
上司や同僚、チームの雰囲気は、働きやすさやモチベーションに大きく影響する傾向があります。面接や会社訪問、インターンシップなどでの関わりを通して、上司や同僚となる従業員との相性や雰囲気に注目して選ぶのも選択肢のひとつです。
実際に働く従業員とコミュニケーションを図ることで、社風や従業員同士の人間関係、職場の雰囲気を感じ取れます。
評価制度やキャリアパス
社員の評価方法や、昇進・キャリアアップのプロセスを確認してみましょう。どんな評価基準やキャリアパスが用意されているのかを確認することで、将来役立つスキルや経験が得られるかがわかります。
また、研修制度や自己啓発支援など、成長をサポートしてくれる制度の有無を確認してみるのもおすすめです。市場価値の高いスキルの習得は、10年、20年先のキャリア形成の重要な要素になります。
企業の経済状況や成長性
企業の売上や利益などの経済状況、市場でのポジション、業界での成長性を確認してみましょう。これらが安定している企業は、長期的に働きやすい環境を提供してくれる可能性があります。一つの企業で継続して働きたい方は、注目したいポイントです。
福利厚生や働きやすさ
福利厚生や働きやすさは、ワークライフバランスや生活の質に影響します。福利厚生には、法定福利厚生と、法定外福利厚生の2種類があります。
法定福利厚生
法律で定められている福利厚生のこと
- 社会保険(健康保険、厚生年金保険、介護保険)
- 労働保険(雇用保険、労災保険)
- そのほか(労働基準法上の休業補償、子ども・子育て拠出金)
法定外福利厚生
企業が任意で行う福利厚生のこと
- 住宅手当
- 健康保険組合への補助金
- 制服の貸与、支給
- 通勤手当
- 慶弔金
- 退職金など
また、フレックスタイムやリモートワークの導入の有無、休暇制度などの働きやすさにも注目してみてください。過度な残業や休暇が取りにくい環境ではないかどうかも重要です。
長期的なライフスタイルも考慮したうえで、自分に合った制度が整っている企業を選ぶのがおすすめです。
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企業の評判や社会的な評価
企業の評判や社会的な評価は、自信ややりがい、仕事に対する誇りなどにも影響する要素です。次のような取り組みがされているかを確認すると、社会的な評価がわかりやすいです。
確認するポイント例
- 従業員にとって働きやすい環境づくりをしているか
- 環境問題の解決に向けた取り組みをしているか
- 従業員への人権教育をしているか
- 企業活動の実態の調査を改善をしているか
- コンプライアンスが徹底されているか
上記の活動のほかにも、社会的な評価を向上する取り組みがさまざまあります。企業に適した取り組みがされているかを確認してみましょう。
勤務地と通勤時間
自宅から勤務地が遠く、通勤時間が数時間かかったり、交通機関の乗り換えが複数回あったりすると日々の通勤にストレスを感じやすくなる方もいるかもしれません。その場合、転宅が必要になったり、長期的に働き続けるのが難しくなったりする可能性があります。
勤務地が自分にとって通いやすい場所か、通勤時間なども重要な要素です。
企業によっては転宅を伴う異動があることもあります。通勤や異動に関する制度などの情報も収集しておくと安心です。
複数内定から1社を選ぶときにやりたいこと
後悔のない選択をするために、次の項目を実践してみましょう。
自己分析を見直す
就活の際に行った自己分析を見直すことで、自分が企業に何を求めているのかが明確になります。自分の価値観や強み、将来の目標などを再確認してみましょう。
例えば、就活の軸や働くうえで大切にしたい価値観などを再確認し、内定している企業と一致しているか深く知ることができます。
自分が望む働き方が、選ぼうとしている企業で実現できるかを考えて再確認してみるのがおすすめです。
優先順位を明確にする
複数の内定先から1社を選ぶためには、自分が何を重視するかを明確にすることが重要です。給与、勤務地、仕事内容、ワークライフバランス、成長機会など、優先順位をつけると、企業を選ぶ際の判断材料になります。
例えば、就活において成長機会を重視する場合は、さまざまな仕事に挑戦できる環境を提供する企業が適しています。ワークライフバランスを重視している場合は、オフィス勤務と在宅勤務の併用が可能な企業を選ぶと、仕事とプライベートのバランスが調整しやすいです。
このように優先順位を明確にすることで、最終決定に迷いが少なくなるため、要素を書き出して優先順位をつけてみましょう。
各企業の比較表を作成する
内定を受けた企業の特徴や、自分の優先順位をもとに比較表を作成すると、視覚的に違いがわかりやすいため、内定承諾先を選ぶのに役立ちます。
給与や福利厚生、勤務地、仕事内容、キャリアパスなどを比較し、自分にとっての優先事項が充足しているかを確認してみましょう。
上表のように、自分の優先事項や企業の情報を内定先企業ごとに書き込むことで、総合的に自分に適している企業がわかりやすくなります。
キャリアプランやライフプランを振り返る
入社して3~5年後、10年後に自分がどうなりたいか、キャリアプランを振り返って明確にしましょう。自分のキャリアプランに沿った企業を選ぶことが重要です。
例えば、特定の分野で専門性を高めたい場合は、高めたい分野の研修や資格取得支援などのキャリアプランがある企業を選びましょう。
入社後に得られるスキルや経験が、将来のキャリアにどのようにつながるかを考え、自分の希望に適した企業を選びましょう。キャリアアップの支援制度や、研修プログラムも確認しておくのがおすすめです。
また、理想のライフプランが実現しやすいかを考えることも大切です。結婚や出産、家の購入などを考慮した収入のアップや休暇制度があるかも注目してみましょう。
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家族や信頼できる人に相談する
家族や友人、先生など信頼できる人に相談することで、自分では気づかなかった視点や意見を得られます。客観的な意見を取り入れることで、自分の判断を補強したり、意識していなかった要素を考慮したりできます。
就職エージェントやキャリア支援センターの担当者など、プロに相談するのも新たな発見があるかもしれません。
最終的な直感も大切にする
分析や比較をした後でも、最終的には自分の直感を信じることも重要です。直感は、考えることなく頭に浮かんだ判断であり、自分にとって自然で心地よい選択肢を示しています。
企業訪問した際の印象や、社員との面談でのフィーリングなど、自分が共感でき、安心して働けると思える企業がおすすめです。分析や比較などの論理的に考えて出した結論と、直感とのバランスを取りながら最終決定しましょう。
悩み別・複数内定から1社に絞るポイント
複数内定から1社を決める際、悩む理由はさまざまあります。悩み別に1社に絞るポイントを紹介します。
いずれの内定先も志望度が高い場合
内定を受けた企業いずれにも強い魅力を感じ、志望度が高いために1社に絞り切れない場合は、自分にとって重要な要素を抽出して優先順位をつけましょう。
例えば、次のような要素が挙げられます。
- キャリアパス
- 企業文化
- 勤務地
- 給与
- 成長機会など
抽出した要素を各企業が満たしている度合いを比較してみると絞り込めます。
要素を抽出する際は、給与や福利厚生など短期的な魅力はもちろん、中長期的なキャリア形成において自分に適しているかを確認することが重要です。5年後、10年後の自分を想像し、どの企業での経験が役に立つかを検討してみましょう。
いずれの内定先も懸念点がある場合
内定を受けた各企業の魅力を感じていても、それぞれに不安や懸念があるため、内定承諾に迷っている場合は、各内定先の懸念点をリストアップしましょう。挙げた懸念点の深刻度合いや許容範囲なのかを考えてみてください。懸念点が長期的に与える影響についても考えておくのも重要です。
例えば「勤務先が遠い」という懸念は、短期的には大きくても、数年後には勤務先の近くに転居したり、転勤したりすることで解消される可能性があります。
「5年目以降の社員対象の研修が極端に少なくなる」などの長期的な懸念が大きくなりそうな場合は、その企業を選ぶリスクが高くなるかもしれません。
複数内定で決められない場合、内定はいつまでキープできる?
多くの企業は、内定通知時に「内定承諾書」や「入社意思確認書」の提出期限を設けています。これらの書類は、入社を表明する契約書であり、内定通知後1~2週間を提出期限とする企業が多いです。
ほかの企業からの選考結果待ちや、家族と相談する時間の都合などにより、期限内の提出が難しい場合は、期限の延長が可能な場合があります。承諾書の提出期限に間に合わないとわかった時点で、企業に連絡して事情を説明し、期限の延長が可能か確認してみましょう。
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内定保留は可能だけど伝え方が重要!電話・メールの例文と内定取り消しの可能性
企業により異なりますが、内定は保留が可能です。保留の目安は1週間程度であり、長期の保留は難しいですが、期間内に自分の状況に適した決断をしましょう。保留するときの伝え方のコツや、電話、メールの例文を紹介しています。
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内定保留の連絡方法【メール例文】
内定保留をメールで連絡する際の例文を紹介します。
メール例文
件名:内定保留のご連絡(〇〇大学 青山太郎)
〇〇株式会社 人事部 〇〇□□様
いつもお世話になっております。
◯◯大学 ✕✕学部 △△学科 青山です。
先日は内定のご連絡をいただき、ありがとうございました。
現在、キャリアプランについて慎重に検討しており、内定承諾書の提出について、もう少しお時間をいただきたく考えております。
大変恐縮ですが、提出期限を〇月〇日まで延長していただくことは可能でしょうか。
私事でご迷惑をおかけしますが、何卒ご検討いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
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青山 太郎(あおやま たろう)
◯◯大学 ✕✕学部 △△学科
メールアドレス:aoyama_tarou@xxxx.com
電話番号:000-0000-0000
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提出期限延長のお願いであること、いつ提出できるのか明確な日付、内定してくれた感謝の気持ち、期限を延長することに対して謝罪の気持ちなどが伝わるようなメール文を作成しましょう。
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内定承諾するときの連絡方法
内定を承諾すると決めたら、迅速に企業に伝えるようにしましょう。連絡方法は、電話で直接伝えるのがおすすめです。電話は声で直接気持ちを伝えることができ、内定への感謝や誠意が伝わりやすいためです。担当者に電話をかけ、内定を承諾する意思や、選考過程に対する感謝の気持ちを伝えましょう。
多くの企業では、正式な内定承諾書の提出が求められます。内定通知と共に送られてくる承諾書や、メールに記載された指示に従い、期限内に必要な書類を提出しましょう。
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内定承諾書とは?封筒の書き方や返送・送り方、内定辞退の可否を解説
入社意思を企業に示すための「内定承諾書」。返送する際は、添え状を同封すること、封筒の記入方法にも注目しましょう。内定承諾書の提出後に内定を辞退することは可能ですが、提出前に内定を受けるか十分に確認しておくことが大切です。
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内定辞退をするときの断り方
内定を辞退する際は、その旨をはっきり伝えることが重要です。辞退の理由は具体的には伝えず、「検討の結果」などの表現を使いましょう。内定辞退の連絡は、辞退の意思を決定した時点で迅速に行います。
内定辞退の例文
件名:内定辞退のご連絡(◯◯大学 青山太郎)
◯◯株式会社 人事部 ◯◯▢▢様
いつもお世話になっております。
◯◯大学 ✕✕学部 △△学科 青山です。
先日は貴社より内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
誠に心苦しいのですが、慎重に検討を重ねた結果、貴社からの内定を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。
選考過程において、〇〇様をはじめ、社員の皆様からあたたかいご対応をいただき、大変感謝しております。
このような結果となり、誠に申し訳ありません。
末筆ながら、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
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青山 太郎(あおやま たろう)
◯◯大学 ✕✕学部 △△学科
メールアドレス:aoyama_tarou@xxxx.com
電話番号:000-0000-0000
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【例文あり】内定辞退の方法|電話・メールでの伝え方といつまでに連絡すべきかを解説
他社から内定をもらったなどの理由で、内定辞退をすることはあるでしょう。辞退そのものに問題はありませんが、少しでも早く採用担当者に伝えること、できるだけ電話で伝えることが大切です。電話、メールでの伝え方を紹介します。
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よくある質問
複数の内定をもらったときの選び方を教えてください。
自己分析を再確認し、自分のキャリア目標や価値観に合致する企業を選びましょう。また、給与、勤務地、仕事内容、成長機会などを比較表にまとめると、視覚的に違いがわかりやすくなるため、内定承諾先を選ぶのに迷う場合は作成してみてください。
詳しくは「複数内定から1社を選ぶときにやりたいこと」で解説しています。
複数内定で決められない場合の判断基準を教えてください。
まず、自分にとって重要な要素(例:成長機会、給与、ワークライフバランスなど)に優先順位をつけましょう。各企業がその優先順位にどれだけ応えているかを比較します。また、家族や信頼できる人に相談して客観的な意見を取り入れるのもおすすめです。
詳しくは「複数内定から1社を選ぶ際の決め手となるポイント」で解説しています。
複数の内定をキープすることはできますか?
複数の内定をキープすることは可能ですが、企業から提示される承諾期限内に決定する必要があります。企業によっては承諾期限の延長が可能な場合もあるため、決断が難しい場合は早めに企業に相談しましょう。ただし、無理な延長は避け、誠実な対応を心がけることが重要です。
「複数内定で決められない場合、内定はいつまでキープできる?」もあわせてご覧ください。
複数内定を受けた場合の断り方を教えてください。
内定辞退はメールや電話で早めに伝えることが大切です。担当者に感謝の意を示し、辞退の理由を簡潔に説明しましょう。丁寧な対応を心がけることが重要です。
詳しくは「内定辞退をするときの断り方」をご覧ください。