GPAとは、世界各国で活用されている成績の評価方法です。就活にも影響するといわれていますが、大学や学部で成績の評価方法が異なることから、必ずしも選考で重視されているとはかぎりません。
しかし、GPAはどういった成績を修めたかのひとつの指標となるため、より高い成績を目指して講義を受けることをおすすめします。
この記事でわかること
- 具体例を用いたGPAの計算方法
- 企業がGPAを就活で重視しないのは、公平な判断が難しいから
- GPAが平均より低い学生は、スキル・経験・長所でアピールすることが就活では重要
GPAとは:学生の成績評価を行う仕組みのこと
GPAとは「Grade Point Average(グレードポイントアベレージ)」の略であり、アメリカなどの大学で実施されている世界標準の成績評価方法です。文部科学省が令和3年に公開した「令和元年度の大学における教育内容等の改革状況」では、GPA制度を取り入れている大学は90%を超えています。
GPAの計算方法
GPA制度では、各履修科目の成績を5段階(S・A・B・C・Dまたは秀・優・良・可・不可など)で評価し、それぞれの段階に対して、0・1・2・3・4と点数(Grade Point)を付与して計算します。
各履修科目の単位の数を乗じた合計を、履修科目の総単位数で割った平均値がGPAになります。
例として、S~Dの5段階評価で、Sに4点・Dで0点の評価方法だったときの計算方法を見ていきましょう。
履修科目名 | 単位数 | 5段階成績 | 点数 (単位数×成績) |
---|---|---|---|
英語I | 2 | S | 2×4.00=8 |
心理学 | 3 | A | 3×3.00=9 |
社会学 | 3 | B | 3×2.00=6 |
経済学 | 1 | B | 1×2.00=2 |
情報リテラシーI | 2 | A | 2×3.00=6 |
文学論 | 2 | A | 2×3.00=6 |
デザイン基礎 | 3 | C | 3×1.00=3 |
英語II | 1 | S | 1×4.00=4 |
合計 | 17 | - | 44 |
この場合、合計17単位、点数は44点です。ここからGPAを出すための計算式「点数÷単位」で44÷17となり、GPAは2.5882…と続き、四捨五入して2.59になります。大学により異なる可能性はありますが、割り切れない場合は小数点第3位以下を四捨五入し、小数点第2位までの数字で表示します。
Googleなどで「大学名 GPA」と検索すると、その大学の成績評価方法が掲載されているページが見つかるので、一度チェックしてみましょう。
GPAの平均は2.4~2.8ほど
大学により平均値は異なりますが、GPAの平均は2.4~2.8が目安になるでしょう。GPA3.0以上は3割程度であり、3.0以上の数値であると優秀な成績と判断されることがあるようです。
目安ではありますが、GPAと評価はこのようになります。
GPA | 評価 |
---|---|
3.5~3.7 | 大変優秀 |
3.0~3.4 | 優秀 |
1.6~2.9 | 平均的 |
1.0~1.5 | 努力が必要 |
0~0.9 | さらに努力が必要 |
GPAの平均は大学や学部によって異なる
GPAの評価と目安を紹介しましたが、平均的な数値は大学、学年、学部、文系・理系などの要素により異なるため、数値だけで高い・低いを判断するのは難しいでしょう。
また、大学や学部ごとに成績の評価方法、講義の難易度などは異なるため、今回紹介した平均値よりGPAが低くても、学内や学部内では平均的である可能性はあります。反対に、学内の平均GPAが2.8であった場合、2.7以下では平均より低い数値になります。
大学のGPAは就職に関係があるの?
GPAは学生の特徴を知る要因のひとつにはなりますが、GPAが低いというだけで選考に落ちるとは考えにくいでしょう。企業により異なりますが、エントリーや最終面接の前後、内定式の前などに、GPAが記載された成績証明書の提出を求められるケースもあります。
企業は学生のGPAから、学業へ取り組む姿勢、能力を知ろうとしていると考えられます。実際にはGPAのみが重視されるのではなく、人柄や価値観、コミュニケーション能力、学生と企業のマッチ度、インターンシップでの経験などさまざまな要素を確認しているでしょう。
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企業が就活でGPAを重要視しない理由
企業によっては、選考でGPAを重視していないことがあります。GPAを重視しない理由は、こちらのとおりです。
- 大学によって評価基準や難易度が異なり、公平に判断できないから
- 採用では入社意欲や相性を重視しているから
- 学生の能力・学力は適性検査で判断するから
大学によって評価基準や難易度が異なり、公平に判断できないから
大学ごとに成績の評価方法や講義の難易度が異なります。
例えば、X大学とY大学では、同じ成績「A評価」だったとしても、講義の難易度や内容が異なるでしょう。企業は評価方法が異なる点を考慮し、学生の実力を公平に判断する目的から、GPA以外の要素を重視して選考を行っていると考えられます。
採用では入社意欲や相性を重視しているから
採用担当者は、学業の成績だけではなく、入社に対する熱意や企業とのマッチ度なども考慮しています。
入社意欲や相性は、仕事を円滑に進めるための大切な要素です。学生自身の能力がGPAよりも、働く意欲やコミュニケーション能力などのほうがよい影響を与えると判断した場合、GPA以外の要素を重視し採用するケースもあるでしょう。
学生の能力・学力は適性検査で判断するから
選考過程において、学生がもつスキル、人間性、学力を知る手段として適性検査を活用します。
適性検査では、認知能力やコミュニケーションスキル、問題解決能力など、特定の業務で必要なスキルや素質を客観的かつ詳細に知ることができます。
GPAでも学力を知ることができますが、さまざまな要素から判断するために適性検査を用いて、多面的に学生の実力を把握したいと考えているでしょう。
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就活でGPAが影響しやすい場合
就活において、GPAなど大学での成績が影響しやすいといわれているのは、こちらのケースです。
- 大学推薦で入社する場合
- 研究職など専門性の高い職に就く場合
- 外資系や大企業に応募する場合
大学推薦で入社する場合
大学推薦では、GPAが高い、好成績を収めている学生を優先する傾向があるようです。
文部科学省が平成29年に公開した「国内大学のGPAの算定及び活用に係る実態の把握に関する調査研究」では、GPAを就職等の推薦基準として、「有効」が30.5%、「やや有効」が31.6%と回答しています。
研究職など専門性の高い職に就く場合
研究職では、大学で学んだ知識や研究内容を直接活かせる業務内容が多く存在します。
GPAが記載された成績証明書では、講義ごとの評価を把握できるため、学生の選考内容や専門性を理解するために役立てることもできます。
そのため、GPAの数値を通じて学生のスキルを把握しやすいことから、就活で影響しやすいといえるでしょう。
外資系や大企業に応募する場合
外資系企業や大企業の就活では、ほかの企業と比較してGPAを重視する傾向があるといわれています。
採用担当者は、GPAを通して学生がもつ知識・スキルや、学業に真摯に取り組んでいたかを確認するための判断材料にしていると考えられます。
企業により異なりますが、採用の条件としてGPAが一定のラインを超えている必要があるといわれることもあるようです。
就活の選考に影響がある可能性もゼロではないため、高い成績を目指して学業に取り組むのは大切ですね。
GPAが平均以下の場合にやっておきたいこと
GPAが平均以下であっても、ほかの要素で挽回することはできます。GPAに自信がない方は、ほかの学生に負けないアピールポイントを探してみましょう。
採用担当者は、GPAだけでは計れない学生時代の経験、リーダーシップ、人間関係を構築する能力など、幅広い視点から学生を知りたいと考えています。しっかりと自分をアピールできれば、選考でもよい影響が期待できるでしょう。
学業成績以外のほかの強みをアピールする
学業以外の成績で評価対象になるのは、ガクチカや長所、資格、スキルなどです。
- ゼミやサークルでリーダーシップを発揮した経験
- プロジェクトへの参加
- ボランティア活動
- 資格取得
これらのように、学業以外の強みをアピールしていくことが選考では重要になります。
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インターンシップで実務経験を積む
インターンシップなどでの実務経験は、学業だけでは得られない価値が生まれることもあります。
GPAが平均より低い場合でも、インターンシップで身につけた実践的なスキルをうまくアピールできれば、採用担当者は実力を具体的に把握できるでしょう。
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よくある質問
GPAは就活に影響しますか?
選考過程においてGPAが影響するかは、企業により異なります。GPA以外の学生のスキルなどが重視されることもあるでしょう。
具体的に知りたい場合は、先輩や卒業生を訪問する際に質問してみるのもおすすめです。
GPAで平均以上を取るにはどうすればいいですか?
GPAの平均は2.4~2.8といわれており、3.0以上であれば平均より高いといえるでしょう。GPAで3.0以上を目指すのであれば、AやSの評価を多く獲得する必要があります。
大学生のGPAの平均はどれくらいですか?
GPAの平均は2.4~2.8が目安ですが、実際には大学や学部などにより異なります。
理系のGPAの平均はどれくらいですか?
GPAの平均は2.4~2.8といわれています。
理系は文系と比較して数値は低めになるという声もありますが、具体的な平均値は大学などにより異なります。そのため、平均を知りたいときは学内キャリア支援センターなどで確認することをおすすめします。