内定が決定したあと、企業から「内定承諾書」が届きます。入社する意思を示す書類であり、氏名や住所、日付などの必要事項を記入したうえで返送します。
シンプルな書類ではありますが、提出することで書類上での契約が成立します。企業に返送する際は、書類や封筒の記入や添え状の作成を丁寧に行いましょう。
この記事でわかること
- 内定承諾書は、学生の入社意思を確認するために提出するテキスト
- 内定承諾書を企業に送る際は、添え状を同封するのがおすすめ
- 内定承諾書を送付したあとの内定辞退は、学生の権利として可能である
内定承諾書とは:内定を承諾し、入社する意志を示す契約書
内定承諾書は、企業からの内定を承諾し入社する意思を示すための契約書です。「入社承諾書」「内定誓約書」といわれることもあります。
内定承諾書には、誓約内容や内定取り消しの条件などが記載されており、学生は内容を確認・必要事項を記入し、書類を提出することで内定が確定します。内定とは、書面を通じて労働契約が成立した状態のことです。
内定承諾書は、企業から内定通知書が届いたあとに郵送されるか、内定通知書に同封されることが多いです。内容に沿って氏名や住所、日付といった必要事項を記入しましょう。内定承諾書に必要事項を記入したものを受け取ることで、企業は学生の入社する意思を確認することができます。
内定承諾書が届くタイミングはさまざま。企業によっては、内定式の際に内定承諾書の提出を求めることがあります。
経団連(日本経済団体連合会)は、学生が学業に専念する目的から、内定日を10月1日以降にするよう要請しています。経団連に加盟していない企業の場合は、10月1日を迎える前に内定を出すこともあるため、内定承諾書が届くタイミングに違いがあります。
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内定通知書や採用通知書との違い
「内定通知書」や「採用通知書」は、どちらも同じ意味をもつものとして扱われることが多く、学生に内定を出すときに送付される書類です。内定承諾書が送付される前、または同時に送付されます。
内定承諾書との違いは、内定を出したことや入社条件を伝えるための書類であり、署名が必要ない点です。内定通知書や採用通知書には、就業場所や給与額、手当などに関する情報が記載されています。
企業によって、内定通知書と採用通知書の意味が異なる場合もあります。
企業が内定承諾書の提出を求める理由
企業が内定承諾書の提出を求める理由には、入社意思を確認する目的と、新入社員の受け入れ準備を始める目的の2つがあります。具体的な理由を見ていきましょう。
入社意思を確認するため
企業が送付した内定承諾書に学生が署名・捺印することで、入社意思が明確になります。
企業は、内定を出した学生が自社以外の選考も受けた可能性も把握していることから、内定を出した学生が「自社に入社する意思があるのか」を確認する必要があります。
人員を確定させ、新入社員の受け入れ準備を始めるため
学生が提出した内定承諾書を確認することで、企業は内定者の入社を確定とします。
来春の新入社員の人数を確定して、入社準備や研修といった受け入れの準備を進めることができます。
内定承諾書が届いたら何をする?対応の流れを解説
企業から内定承諾書が届いたら、こちらの流れで対応しましょう。
- 書類の内容を確認する
- 提出期限を確認する
- 内定承諾書に必要情報を記入し、署名する
- 封筒と添え状を準備する
- 郵送する
1.書類の内容を確認する
内定承諾書が届いたら、書面に記載された内容を十分確認しましょう。
内定承諾書には、入社日や入社条件、待遇などが記載されています。内定通知書や入社条件が記載された「労働条件提示書」などの書類も同封されていることもあるため、すべての書類に目を通しましょう。
2.提出期限を確認する
内定承諾書には提出期限が設けられていることがあるため、余裕をもって提出しましょう。内定承諾書は学生の入社意思を確認するものであり、無断で提出期限を過ぎると企業に迷惑をかけてしまうおそれがあります。
書類を受け取った時点に別企業の選考を受けているなど、提出期限に間に合わない可能性があるときは、メールや電話で提出期限を延長できるかを確認してみましょう。
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3.内定承諾書に必要情報を記入し、署名する
内定承諾書や同封された書類を確認したら、必要事項を記入しましょう。
書類により異なりますが、氏名や住所、連絡先、日付などの記入欄があります。
捺印が必要なケースもあるため、押し忘れないよう確認をします。薄くて見えにくかったり、印鑑の汚れがついたりしないように注意しましょう。
4.封筒と添え状を準備する
内定承諾書に返信用封筒が同封されている場合は、その封筒に書類を入れて返送します。
同封されていない、指示されていない場合は、封筒を準備して送付します。A4サイズの内定承諾書や添え状が折らずに入る「角形2号」の封筒がおすすめです。封筒の色は、白色を選びましょう。
内定承諾書を郵送する際は、添え状を同封します。添え状は、誰から誰へ何を送付したかわかりやすくしたものであり、ビジネスシーンでは必要な書類です。
封筒の書き方は「内定承諾書を送る封筒の書き方」、添え状の書き方は「添え状の書き方」で詳しく紹介しています。
5.郵送する
企業によっては、送付方法が指示されることもあります。
送付方法の指示の例
- 返信用封筒の利用
- 追跡番号がある方法での送付
- 特定のサービスを利用して送付
内定承諾書を含む書類の送付方法は企業により異なるため、書類を確認してみてください。不明点があるときは、企業の採用担当者に問い合わせましょう。
また、内定承諾書の送付後は、企業の採用担当者に送付した旨をメールで連絡するのがおすすめです。企業側が、内定承諾書の受け取り確認がスムーズにできるためです。
内定承諾書を送る封筒の書き方
内定承諾書を送る封筒を作成する際は、こちらのポイントをチェックしましょう。
封筒の書き方
- 黒色・油性のボールペンを使う
- 封筒の左側に「内定承諾書在中」と赤文字で記載する
- 個人宛は「様」、企業や部署宛は「御中」を使う
赤文字で「内定承諾書在中」と記載する理由は、一目で内容物を理解してもらうためです。
送り先を記載する際は、「様」と「御中」を使い分けることが大切です。採用担当者の氏名がわかっているときは、個人宛で「様」を。「人事部」や「総務部」部署宛てに送付するときは、「◯◯株式会社 人事部 御中」と記載します。
返信用封筒の場合
返信用封筒が同封されていたときは、その封筒を使用して返信しましょう。
企業が用意した返信用封筒には、宛名である採用担当者の氏名や部署名が書かれていることがあります。その際、宛名(企業名)に書かれた「行」を「御中」もしくは「様」に書き換えます。書き換えるときは、二重線を使用しましょう。
■個人名が指定されている場合
■部署名が指定されている場合
「行」を消す際、二重線が文字と被り見づらいときは、斜め二重線で消しても問題ありません。
詳しい住所の書き方は、こちらの記事で紹介しています。
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内定承諾書を送るときに添え状の同封は必要?
内定承諾書を企業へ送付する際、「添え状」を同封するという明確なルールはありません。しかし、ビジネスシーンで書類を送付するときは添え状を用いるため、同封することをおすすめします。
添え状を同封することで、どの書類が何通入っているかわかりやすくなります。また、挨拶の役割も担っていることから、内定先の企業へ丁寧な挨拶もできるでしょう。
添え状の書き方
内定承諾書に同封する添え状には、次に紹介する1から8の項目を記載しましょう。
- 日付を書く
- 企業名・部署名・担当者の名前を書く
- 自分の情報を書く
- タイトルを書く
- 挨拶を書く
- 用件を書く
- 「記」の下に同封書類を書く
- 「以上」で終える
ES(エントリーシート)など、異なる書類を送付したときのデータを使用する際は、日付やタイトル、同封書類の項目が正しいものになっているかを確認しましょう。
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添え状の書き方を例文・サンプル付きで解説【新卒向け】
添え状には、誰から誰へ送られたものか、封筒に入れた書類には何が入っているかを示す役割があります。添え状の必要性や書く内容、封筒に入れるときの注意を把握して正しい書き方、送り方を実践しましょう。
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内定承諾後も内定辞退は可能!
企業に内定承諾書を提出したあとでも、内定の辞退は可能です。内定辞退ができる理由と、辞退する際に知っておきたいポイントを紹介します。
内定承諾書には法的拘束力がない
内定承諾書は、学生と企業の間で入社の意志確認を行う書類であり、法的な拘束力をもつものではありません。
学生には内定を辞退できる権利もあり、「企業に申し訳ないから」という理由で躊躇する必要はないでしょう。
ただ、内定承諾書の提出により労働契約は成立するため、提出後の辞退は労働契約の解約になり、手続きなどが複雑になる場合があります。別の企業の選考も受けている方は、内定承諾書を提出する前に十分に検討しましょう。
内定を辞退する場合はできるだけ早く連絡をする
内定承諾書を提出したあと、希望していた企業から内定が出たり、個人的な都合で内定を辞退したりするときは、適切な方法で行いましょう。
内定承諾書を受け取った企業は新入社員の研修などの準備を始めるため、早めに伝えることが大切です。
連絡手段はメールでも問題ないですが、内定の感謝と辞退のお詫びの気持ちを伝えるためには電話がおすすめです。諸事情によりメールのみで連絡する際は、メールで辞退することへのお詫びも一言添えましょう。
メールはデータとして残るため、辞退した事実を証明できる点がメリットです。そのため、電話をしたあとにメールも送る方法もあります。
内定を保留したい場合は書類提出の期限内に連絡をする
ほかの企業の選考を受けている、入社に迷っているなどの理由で、期限内に内定承諾書を提出できないときは、メールや電話で期限の延長を希望することを早めに伝えましょう。
内定を保留する際は、企業から書類を受け取ってから、できるだけ早いタイミングで連絡することが大切です。連絡をするとき、期限を延長する理由と、延長後の提出期限も伝えましょう。
【件名】内定の保留につきまして(◯◯学校 青山太郎)
◯◯株式会社
人事部 ◯◯✕✕様
いつもお世話になっております。
◯◯学校 ✕✕学部 △△学科 青山です。
先日は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
おそれいりますが、内定につきまして◯月✕日まで正式な回答をお待ちいただけないでしょうか。
その理由としましては、他社の選考において◯月△日に面接が実施されるためです。
大変恐縮ですが、ご検討いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
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青山 太郎(あおやま たろう)
◯◯学校 ✕✕学部 △△学科
メールアドレス:aoyama_tarou@xxxx.com
電話番号:000-0000-0000
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【例文あり】内定辞退の方法|電話・メールでの伝え方といつまでに連絡すべきかを解説
他社から内定をもらったなどの理由で、内定辞退をすることはあるでしょう。辞退そのものに問題はありませんが、少しでも早く採用担当者に伝えること、できるだけ電話で伝えることが大切です。電話、メールでの伝え方を紹介します。
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よくある質問
内定承諾書とは何ですか?
内定承諾書とは、企業からの内定を承諾し入社する意思を示す契約書です。
内定承諾書には、氏名や住所、日付などを記入する欄があります。
詳しくは「内定承諾書とは:内定を承諾し、入社する意志を示す契約書」で紹介しています。
内定承諾書を郵送する際、添え状は必要ですか?
ビジネスシーンでは添え状を同封することが多いです。
添え状は挨拶の役割をもち、丁寧な印象になるため同封をおすすめします。
添え状の必要性は「内定承諾書を送るときに添え状の同封は必要?」で、作成方法は「添え状の書き方」で紹介しています。
内定承諾書を封筒で送る際、三つ折りにしてもいいですか?
企業から返信用封筒が送付され、その封筒のサイズが書類を三つ折りにしなければ入らないときは問題ありません。
自分で封筒を準備する場合は、A4サイズの内定承諾書が折らずに入る「角形2号」の封筒がおすすめです。
内定承諾書を送付する際の封筒については「内定承諾書を送る封筒の書き方」で詳しくは紹介しています。
内定承諾書を送ったあとに辞退することはできますか?
内定承諾書の送付後も、内定辞退をすることは可能です。
ただし、学生が内定を承諾したあと、企業は新入社員の受け入れ準備をはじめます。そのため、内定辞退をする際は、できるだけ早いタイミングで連絡しましょう。
内定辞退については「内定承諾後も内定辞退は可能!」で詳しく紹介しています。