ディベートとは、テーマに基づき2つの意見に分かれて議論することです。テーマは社会問題や環境問題、日常に関することなどさまざまです。
よりよいディベートをするためには、意見の伝え方や進め方といったコツを把握する必要があります。テーマは当日まで発表されないため、どんなテーマにも対応できるよう練習しておくのがおすすめです。
この記事でわかること
- ディベートの目的は、相手に納得をしてもらうこと
- ディベートのコツは、論理的思考で説得力のある発言ができること
- ディベートのテーマごとに、議論のコツが異なる
ディベートとは:テーマをもとに2グループに分かれ討論する場
ディベートは、あるテーマをもとに「賛成派」「反対派」のように、2つの立場に分かれ討論をします。
討論のあと、どちらの意見がより優れていたか、説得力があったかを判断します。判断は、第三者である面接官が担当することもあれば、ディベートをした学生全員でひとつの結論を導き出すなどさまざまです。
ディベートのテーマは、基本的に当日まで明かされません。ディベートの進め方、意見の伝え方を理解し、テーマを問わず自信をもって臨めるように備えておきましょう。
ディベートで頻出するテーマの一覧は「ディベートのテーマ一覧【種類別】」で紹介しています。
ディベートの目的は反論することではない
ディベートの目的は、反対意見の相手や、結果を判断する第三者に納得してもらうことです。相手を論破することや、相手よりたくさんの意見を言うことで勝ち負けを競うものではありません。
就活におけるディベートでは「どちらの意見が優れていたか」だけではなく、両者の意見をまとめて結論を導き出す能力も重視されています。
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ディベートとグループディスカッションの違い
ディベートは、グループディスカッションの一種であり、方法や目的が異なります。
グループディスカッションでは、個々が意見を出し合いひとつの結論を導き出すことを目的に討論します。ディベートと異なる点は、「賛成」「反対」のように2つのグループに分かれない場合があることです。
ディベート型のグループディスカッションでは、対立する2つの意見を討論し、相手に納得してもらうことがおもな目的です。ディベートは正反対の異なる意見がぶつかりあうことから、ディベート型以外のグループディスカッションよりも白熱した討論になることもあるでしょう。
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ディベートを通して企業が見ているポイント
ディベートでは「どんな性格であるか」「議論のスキルがあるか」などがわかります。注目している能力は企業により異なりますが、3つのポイントに配慮してみましょう。
論理的かつ説得力のある討論ができているか
意見を述べるとき、どんな根拠からその答えを導き出したのかが重要になります。
明確な根拠があり道筋の立った思考を「論理的思考」といい、話し合いの場では欠かせない方法です。論理的思考に基づいて意見を述べているかは重要視されています。
自分の意見に説得力をもたせるには、相手の心を動かし、納得してもらうための根拠が必要です。客観的な根拠を伝えるためのデータを活用したり、相手が納得できていない点を把握して、共感、納得できるように訴えかけたりするのもよいでしょう。
協調性はあるか
ディベートでは、異なる意見の立場にいる学生も含め、ディベートに参加するメンバーとコミュニケーションをどう取るかが重要です。相手を言い負かそうとしたり、発言を遮ったりする言動は協調性があるとはいえないでしょう。
社会に出た際は、同僚や先輩、取引先などと意見を交わす機会もあります。そのようなシーンで、良好な人間関係を構築していくことは重要であり、実りある議論をするためには協調性が必要であるため、ディベートを通して協調性を含むさまざまな能力を確かめているといえます。
結論の導き出しに貢献しているか
選考過程で実施されるディベートでは、最終的に学生たちでひとつの結論を導き出すことを目的とするケースが多いです。
相手側の意見を聞き、受け止めたうえで両者の意見をまとめ、多くの人が納得する結論に導く能力が重要といえます。自分の意見を採用してもらうために過度な主張をしたり、反論ばかりしたりしていては結論を出すことが難しくなるでしょう。
どちらかの意見に偏りすぎないように結論をまとめる能力や、それに伴う発言がディベートでは注目されています。
就活で実施されるディベートの流れと進め方
ディベートは、以下のように進めます。
- テーマとルールの説明を受ける
- グループ分けをする
- 時間配分を決める
- 討論をする
- 結論を出す
限られた時間でグループ分けから結論のまとめまで行うため、討論以外も効率よく進めることが大切です。
1.テーマとルールの説明を受ける
まずは面接官から、テーマや結論の出し方などの説明があります。
テーマが発表される際に資料があれば目を通します。テーマや資料に関する不明点があった場合は、ディベートが開始される前に確認しておきましょう。
2.グループ分けをする
テーマに対して、2種類の意見で討論するためグループ分けを行います。属するグループは面接官が割り振りを行い、自分で選択できないこともあります。
割り振られたグループが、個人の考えとは反対のグループに属する可能性もあるでしょう。そういった場合でも、属したグループ側の意見として自分なりの答えを出す必要があります。
3.時間配分を決める
ディベートでは意見を出し合う前に、指定された時間制限のなかで時間配分を行います。
- 各グループが意見を主張する時間
- 各グループに質問する時間
- 意見を集約して結論を出す時間
あらかじめ決めた時間に沿ってディベートをすることで、結論を出す時間が足りなくなる事態を防げます。
4.討論をする
討論は、グループ全員が積極的に参加して意見やアイデアを出します。
討論は相手を言い負かすことが目的ではないものの、自分のグループの意見が有利になる発言も欠かせません。意見が勝ると評価が上がったり、負けると評価が下がったりするわけではなく、説得力の高さや結論に結びつけるまでの過程が重要です。
5.結論を出す
意見の主張、質問を実施したあとは結論を出します。
自分とは異なる意見が結論となった場合でも、選考で不利になるわけではありません。ディベート全体を通した過程が評価の対象になります。
結論の出し方は、企業が実施するディベートのルールにより異なります。なかには、第三者である面接官が結論を出すこともあるでしょう。
ディベートのテーマ一覧【種類別】
ディベートのテーマは、おもに「政策論題」「推定論題」「価値論題」の3パターンから決められます。
パターンごとに答えを出す方法が異なるため、それぞれのポイントを把握しておくことが大切です。
政策論題:政策や制度について討論する
政策論題とは、特定の政策・制度が議論のテーマです。テーマとなった政策に対して「賛成派」「反対派」に分かれます。政策以外にも、法律や架空の制度がテーマになるケースもあります。
政策論題のテーマ例
- 消費税率を上げるべきか/下げるべきか
- たばこ税を上げるべきか
- 日本の首都機能を東京以外に移転させるべきか
- 救急車の無償利用をやめるべきか
- 日本は移民を受け入れるべきか
- 日本は核兵器を持つべきか
- 裁判員制度は継続すべきか
- 日本でカジノを合法化すべきか
- 日本で大統領制を導入すべきか
- レジ袋の有償化をやめるべきか
- 動物実験を禁止すべきであるか
- 学校の制服は廃止すべきか
- テレワークを続けるべきか
- 週休3日制を導入すべきか
- 朝礼は不要か
政策論題のコツを掴むには、日々時事情報を取り入れることです。正しい知識、データを活用することで、説得力のある意見を出すことができます。
推定論題:虚実や是非を討論する
推定論題は、テーマである物事や事実に対して「正しいか・間違いか」「必要か・不要か」が議論のテーマです。政策論題と比較してテーマが自由である一方、正解や結論を出しにくいものもあるでしょう。
推定論題のテーマ例
- 地球外生命体は存在するか
- 幽霊は存在するか
- 超能力は存在するか
- 小学校におけるプログラミング教育は効果があるか
- 小学校における英語教育は効果はあるか
- 小学生にランドセルは必要か
- 子どもにスマートフォンを持たせたほうがよいか
- 学校に制服は必要か
- 宿題は必要か
- 中高生は部活に入るほうがよいか
- 高校生はアルバイトをしたほうがよいか
- 新卒の一斉採用は必要か
- 「やられたらやり返す」のは正しいか
- 男女の友情は成立するか
- 「朝食は食べるべき」これは正しいか
政策論題にはないような面白い架空のテーマが与えられることも多いのが推定論題の特徴です。
価値論題:異なる価値観を対比させて討論する
価値論題は、異なる価値観の良し悪しに関することがテーマです。価値観によって意見が異なる物事であり、定義が曖昧であるため、テーマのなかでは特に難易度が高いとされています。
価値論題のテーマ例
- 犬と猫、飼うならどちらか
- ごはんとパン、朝ごはんに食べるならどちらか
- 賃貸と持ち家、どちらがよいか
- 一軒家とマンション、どちらがよいか
- 都会と田舎、住むならどちらか
- 寒い国と暑い国、住むならどちらか
- 外見と性格、どちらが大切か
- 大企業と中小企業、どちらがよいか
- 恋愛と友情、どちらが大切か
- 愛情とお金、どちらが大切か
- 過去と未来行くならどちらか
- 人の心を読む力は欲しいか
- 目的もなく進学するより、就職したほうがよいか
- お金持ちは幸せか
- 子どもには小さい頃からたくさんの習い事をさせるべきか
日常生活や恋愛、友情など身近な題材だからこそ、討論が盛り上がること、さまざまな意見を出し合えることが特徴です。
ディベートはテーマの種類別の対策がポイント!
ディベートのテーマにはおもに3種類ありますが、種類によって考え方や結論の出し方が少しずつ異なります。
政策論題
政策論題は、政策や制度のメリット、デメリットなど多角的に考えることで討論が活発になります。
まずは、ディベートをするメンバー全員で「政策の目的」を共通認識として念頭に置き、そのうえで討論していきましょう。
政策論題は現代の社会問題、経済に関する情報が十分ではない場合、論理的な意見を述べられないケースがあります。
ディベートの前に、ニュースサイトや新聞などを見て時事問題を把握しておくといいですね。
特にIT業界やコンサルティング業界では、社会情勢やニュースなどにアンテナを張り、自分の意見を伝えることができる人材が求められていることから、ディベートのテーマとして出やすい傾向があります。
推定論題
推定論題は、「正しいか・間違いか」「必要か・不要か」を議論することから、データを読み取り活用する力、知識の豊富さ、発想力の柔軟性が求められます。
テーマの自由度が高い場合は、より「正解である」と明確な根拠を示す必要があり、根拠がなければ説得力欠ける意見となる可能性があります。
討論中は、「◯◯の視点で話していたが、異なる考え方もできる」というように、持論にこだわりすぎずあらゆる視点から物事を考えるよう意識すると、討論が活発になりやすいでしょう。
価値論題
価値論題は、その人の価値観が入りやすいため、個人的な感情は控えた論理的な思考で討論することが必要です。
意見を述べる前に「なぜそう考えたのか」と客観視をして、根拠を言語化したうえで発言するといいかもしれません。
価値論題において「結局は人それぞれである」といった結論は、個人の感情論であり意見がまとまったとはいえません。うまく結論に導くためには、テーマの定義を曖昧にしないことや、説得力をもたせるために必要な知識や教養を身につけることが大切です。
ディベートをするときの心構え・話し方のポイント
効率よくディベートを進め、納得のゆく結論を出すためには、冷静に状況を把握して発言することが重要です。テーマに関わらず、心構えと話し方を意識して進めましょう。
一人で長々と話さない
限られた時間のなかで結論を出すディベートでは、意見を簡潔にまとめて伝えることが重要です。
一人が長時間発言すると、「協調性がない」「自己中心的」と捉えられる可能性があります。言いたいことがまとめられていないときは、無意識に長時間発言してしまうこともあるでしょう。
短い時間で簡潔に意見を伝えるためには、まず結論を伝えそのあとに根拠、理由を述べます。
いわゆる「結論ファースト」を意識することで、話がまとまり、聞いている側も話を理解しやすいですよ!
結論ファーストの話し方に慣れていない場合は、練習をしてみましょう。友人や就活の仲間に協力してもらい、本番を想定してさまざまなテーマでディベートの練習をして慣れておくのがおすすめです。
感情的な発言は避ける
説得力が重要になるディベートでは、個人的な感情は不適切であると捉えられるかもしれません。
自分とは異なる意見に対して感情的に否定したくなっても、まずは「なぜ相手に賛成できないのか」を頭のなかで整理します。そのなかで客観的な事実に基づいた根拠が見つかったとき、理由を添えて賛成できない意見を伝えてみてください。
個人の価値観が目立ちやすい価値論題では、特に感情的な発言は避けるように心がけましょう。
聞く姿勢まで気を配る
ディベートでは、相手の意見を聞く姿勢も注目されています。相手の意見を真摯に聞く姿勢を見せることで、「真剣に取り組んでいる」「よい意見を出し合いたい」ということが伝わるでしょう。
自分の意見を発言して満足し、集中力を切らしていたり、相手の発言中に話を割り込んだりする姿は、ほかの学生のモチベーション低下にもつながりかねません。
相手の発言中は、表情や振る舞いを見て心理状態を探ったり、自分なりの意見を考えたりするとよいでしょう。
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就活面接を攻略!頻出質問や対策のコツ、マナーを総解説【新卒】
はじめて就活面接に参加する前は、対策や準備に不安を感じるかもしれません。そこで今回は、面接の形式やフェーズごとの特徴、よく聞かれる質問や回答のポイントなどを紹介します。面接を成功させるための心構えも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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よくある質問
ディベート面接のコツはありますか?
ディベートでは以下のポイントを押さえて発言することで、わかりやすく意見を伝えられます。
・明確な根拠に基づいた「論理的な意見」を意識する
・最初に結論、次に根拠や理由を述べる(結論ファースト)
・一人が長時間発言せず、できるだけ短い時間でまとめる
・異なる意見を根拠なく否定しない
・最初に時間配分をして限られた時間で結論を出す
ディベートは相手を言い負かすものではありません。参加者全員で、よりよい議論になるよう意識しましょう。
社会問題に関するディベートのテーマはどんなものがありますか?
社会問題に関するテーマで議論することを「政策論題」といいます。政策論題では以下のようなテーマがあります。
・消費税率を上げるべきか/下げるべきか
・日本は核兵器を持つべきか
・週休3日制を導入すべきか など
ディベートのテーマについて詳しくは「ディベートのテーマ一覧【種類別】」をご覧ください。
環境問題に関するディベートのテーマはどんなものがありますか?
環境問題は、政策論題や価値論題のテーマになることがあります。おもに、以下のようなテーマがあります。
・レジ袋やプラスチック製品は有償化を続けるべきか
・経済的な成長を停止させてでも、環境問題を重視すべきか
・一切の動物実験を禁止すべきか など
環境問題に関する話題は幅広く、専門的な知識も必要です。ディベートの前に環境問題に関する現状、データを知識としてもっておくとよいでしょう。
ディベートの流れや進め方を教えてください。
ディベートは、こちらの流れで実施します。
1.テーマとルールの説明を受ける
2.グループ分けをする
3.時間配分を決める
4.討論をする
5.結論を出す
ディベートは限られた時間のなかで結論を出さなければなりません。グループ分けや時間配分を効率的に行うことや、時間を守りながら意見の出し合い、質問、結論まで進めていくことが重要です。
それぞれの進め方について詳しくは「就活で実施されるディベートの流れと進め方」をご覧ください。