インターンは、企業の業務を実際に体験できる貴重な機会です。参加することで、選考が優遇されたり早期選考を受けられたりするなど、就活を有利に進められる可能性があります。しかし、限られた期間で知識や技術を身につけ、企業や業務についての理解を深めるためには、明確な目的を持って参加することが大切です。
この記事では、インターンに参加する目的や、応募書類でインターンの参加目的を聞かれた場合の答え方、インターン参加に向けた事前準備について詳しく解説します。
この記事でわかること
- 先輩学生がインターンに参加した目的は「選考優遇」が最も多い
- 企業側はインターンを開催することで学生の将来の活躍を想像しやすくなる
- 応募書類などに記載するインターンの参加目的は具体的かつ論理的に述べることが大切
目次[表示]
インターンでは参加目的を明確にしよう
インターンは、企業の実務を実際に体験しながら、自分のスキルを確かめたり、企業や業務についての理解を深めたりできる場です。最低でも5日間以上のプログラムを指し、短期間のものは「オープン・カンパニー」や「キャリア教育」に分類されます。
インターンに参加する際は「何のために参加するのか」という目的を明確にすることが重要です。目的を持たずに参加すると、単なる業務体験で終わり、得られる学びが少なくなる可能性があります。
目的を明確にしておくことで、限られた時間のなかでも効率よくスキルを身につけられ、企業や業界への理解をより深めることができるでしょう。
インターンに参加する目的
インターンに参加するおもな目的は、次の4つが考えられます。
1. 選考優遇をもらう・早期選考を受ける
一部の企業では、インターン参加者に選考優遇を行っています。優秀な学生を早い段階で見つけ、採用につなげるために、インターンを経た学生を特別ルートで本選考に進めることがあるのです。
例えば、インターンで活躍した学生が、本選考の書類選考や一次面接を免除されるケースは少なくありません。インターン経験者のみを対象とした早期選考の案内が届くこともあります。
インターンでは、企業の採用担当者や社員と直接関わる機会があるため、学生にとっては自分をアピールできる機会になります。企業側に実際に働く姿を見せることで、入社後の活躍を想像してもらいやすくなるでしょう。
2. 業界・企業の理解を深める
インターンに参加することで、実際の業務を通じて、業界全体の特徴や企業ごとの強みを知ることができます。企業のWebサイトや就活情報サイトだけではわからない「現場の雰囲気」や「業務の実態」を体験できるため、自分が興味を持つ業界を具体的に判断する材料となります。
また、就活では企業ごとの文化や働き方の違いを知ることも重要です。同じ業界内でも、企業によって必要なスキルや社風、働く環境が異なります。例えば、外資系企業と日系企業では、業務の進め方や意思決定のスピードが異なる場合があります。インターンで実際に体験することで、自分にあう環境を判断しやすくなるでしょう。
3. 新しい知識や技術を身につける・スキルアップする
インターンでは、学校の授業では学べない実践的なスキルを習得できます。例えば、ビジネスマナーや社内コミュニケーションの基本、業界特有の知識、実務で必要となるツールの使い方などを、実際の業務を通じて学べます。
インターンでは、その職種ならではのスキルを得られることも特徴です。例えば、マーケティング職のインターンでは市場調査やデータ分析を学ぶ機会があり、エンジニア職のインターンではプログラミングやプロジェクト管理のスキルが得られます。営業職のインターンでは、顧客対応やプレゼンテーションスキルを磨けます。
実務を経験することで、自分がどの分野で強みを発揮できるか、不足しているスキルが何かを客観的に把握できるでしょう。
4. 自分が参加する業界や企業に適性があるかを確認する
インターンは、実際の仕事を通じて自分の適性を確認する機会でもあります。業界や企業に対する漠然とした興味を具体的な業務経験に落とし込み、「この仕事が自分にあっているか」を判断できます。
企業の文化や職場環境が自分にあうかどうかも重要なポイントです。同じ業界でも、企業によって業務の進め方や人間関係が異なります。例えば、「自由な雰囲気のベンチャー企業があっているか」「安定した大企業のほうが働きやすいか」といった点を実際に体験しながら判断できます。
インターンを通じて自分の適性を把握できれば、就活でも自信を持って企業選びができるでしょう。
先輩学生はどんな目的でインターンに参加している?

参考データ:2026年卒 就活実態調査|ONE CAREER
※調査期間:2024年5月31日〜6月5日
※回答者数:2026年卒の大学生586人
就活情報サイト「ONE CAREER」の「2026年卒 就活実態調査」によると、インターンへの参加目的は「選考優遇をもらうため」と回答した割合が23.9%で最も多くなっています。次いで「仕事内容が自分に向いているかを確かめるため」が20.0%、「業界理解を進めるため」が17.9%、「職種理解を進めるため」が15.7%の順となりました。
インターンは選考優遇が目的の学生が多いものの、企業や業務内容とのマッチングも重視されていることがわかります。
企業側がインターンを開催する目的
インターンを開催する企業側の狙いとしては、次の3つが考えられます。
新入社員の入社後のミスマッチをなくす
学生は企業の説明会や採用ページなどを参考に就職先を選びますが、細かな業務内容や社風は、働いてみなければわからないこともあります。実際、入社後に「想像していた仕事と違った」「業務が自分にあわなかった」といった理由で早期退職に至るケースもあるようです。
インターンでは、学生に実際の業務を体験してもらうことで、「この仕事が自分にあっているか」「企業の働き方に馴染めるか」を確認する機会を提供できます。これにより、入社後のミスマッチを防ぐことができます。また、企業はインターンを通じて学生が実際に働く姿を見ることで、入社後にどう活躍するかを想像しやすくなります。
即戦力となる学生の確保をする
インターンを実施することで、学生は実務を経験する機会を得られ、企業側も「どんな学生が即戦力になり得るか」を把握しやすくなります。特に技術職や専門職の場合、インターンを通じてスキルや業務理解を深めた学生は、入社後早い段階で即戦力となる可能性があります。これは、企業側がインターンを実施する大きなメリットといえるでしょう。
さらに、優秀なインターン生を本採用につなげることは、企業側の採用コストの削減にもつながります。通常の採用活動では、書類選考や面接を通じてその学生を深く知る必要があります。一方、インターン経験者の場合は、企業内での適性がすでに把握できているため、スムーズに採用プロセスを進めることが可能です。
職業体験の提供による社会貢献のため
企業がインターンを実施する目的には、社会貢献の一環として学生に職業体験の場を提供するためでもあります。近年ではキャリア教育の重要性が高まっており、学生が早い段階で社会や仕事について理解を深めることが重要とされています。
インターンを通じて、学生は「働くとはどういうことか」や「その業界で必要とされるスキル」について実践的な学びを得られます。これは、学生のキャリア形成に役立つだけでなく、業界全体の人材育成にも寄与する取り組みになるでしょう。
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インターンシップに行かないと就活で不利?参加しないメリットも解説
インターンシップは学業との両立が難しくなるケースもあるため、参加しないことも選択肢のひとつです。なかにはガクチカに時間を割きたいと考える学生も少なくないでしょう。自分がインターンに参加する目的を明確にして、不要かどうかを判断することが重要です。今回は、インターンシップに参加しないメリット・デメリットなどを詳しく解説していきます。
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おもなインターンの種類と特徴
インターンにはさまざまな種類があります。25卒以降、インターンを含むキャリア形成支援は4つのタイプに分類されています。

参考:日本経済団体連合会:産学で変えるこれからのインターンシップ
日本経済団体連合会(経団連)の指針では、インターンとして認められているのは、「タイプ3(汎用的能力・専門活用型インターンシップ)」と「タイプ4(高度専門型インターンシップ)」の2つです。短期間の企業説明会や体験プログラムは「オープン・カンパニー」などに分類され、インターンとは区別されています。
この「タイプ3」と「タイプ4」のインターンは、企業側がインターンで取得した学生情報を活用することが可能なため、選考優遇を視野に入れている場合は、いずれかのタイプに参加することをおすすめします。
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インターンシップとは?プログラムの探し方・募集開催期間・参加するメリットを解説
インターンシップとは職業体験を通じて、実力を確かめる・発揮する場所です。今あるスキルを確かめながら伸ばせる機会になるため、時間を確保できる方は積極的に参加しましょう。選考が実施されるインターンシップでは、書類作成や面接の練習も必要です。
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そのほかインターンの分類はさまざま
インターンのなかでも、目的や期間、実施方法によってさらに細分化されます。例えば、期間に応じて、数日から数週間のものが短期インターン、数カ月から数年単位のものが長期インターンと呼ばれます。
季節ごとの分類としては、6月〜9月の夏休み期間に実施される「サマーインターン」が主流です。サマーインターンは1週間から1カ月程度のプログラムが多く、参加することで本選考の早期案内を受けられたり、書類選考や一次面接が免除されたりする可能性があります。
さらに、海外の企業や団体で実施される「海外インターン」もあります。おもに外資系企業、国際機関、NPOなどが実施しており、現地での実務経験を通じて英語力やグローバルな視点を磨けるため、外国語を活かした仕事をしたい方におすすめです。
応募書類でインターンの参加目的を聞かれた場合の答え方【例文あり】
ES(エントリーシート)や応募書類などでインターンの参加目的を企業に伝える際は、具体的かつ論理的に述べることが大切です。「学びたい」「成長したい」だけでは抽象的になりますが、業界や企業、スキル、キャリアのいずれかに焦点を当て、自分の現状や将来の目標と結びつけて答えると説得力が高まります。
参加目的を伝えるときの基本的な構成は次のとおりです。
その業界・企業・職種に関心を持った理由を述べる
企業が知りたいのは「なぜこのインターンに応募したのか」です。企業の事業内容や業界の特徴、職種への興味を踏まえ、明確な理由を述べましょう。
例文
【パターン1:学校で学んだ内容を具体的に示す】
私は大学でマーケティングを学ぶなかで、消費者行動の分析に興味を持ちました。
例文
【パターン2:業界全体の動向や企業の強みに触れる】
特に貴社は◯◯の分野で業界トップクラスの実績を誇り、実際の市場戦略に携わる機会があると考えています。
例文
【パターン3:具体的な職種と業務内容を示す】
私は将来、デジタルマーケティングの分野で働きたいと考えており、貴社のインターンではデータを基にした広告戦略の立案に挑戦したいと思っています。
インターンで何を学びたいのかを述べる
次に、インターンでどんな経験を積みたいのかを具体的に伝えます。ただ漠然と「学びたい」という意思を伝えるのではなく、明確なスキルや経験の獲得を目標にすることがポイントです。インターンの募集要項や企業の事業内容を調べたうえで、「どんな業務を経験したいか」を明確にしてみましょう。
例文
【パターン1:具体的なプロジェクトやスキルに言及】
貴社の◯◯プロジェクトに参加し、実際のデータ分析に携わりたいと考えています。
例文
【パターン2:実務で活用できるスキルに言及する】
市場調査のデータをもとにした戦略立案や、プレゼン資料の作成スキルを身につけたいです。
学んだことをどう活かすのかを述べる
最後に、インターンでの学びを将来どう活かしたいかを具体的に述べます。企業は「このインターンの経験をどう成長につなげるか」を知りたいと考えているため、将来のキャリアとインターンでの学びを結びつけることが重要です。
どんな仕事をしたいのか、どの業界で活躍したいのかを明確にしてみましょう。
例文
【パターン1:どんな仕事がしたいか、どの業界で活躍したいかを明確にする】
将来的には、データを活用したマーケティング戦略をリードできる存在を目指します。

将来目指す姿が具体的に描かれており、インターンの学びがキャリア形成にどう役立つかをしっかりと伝えています。
例文
【パターン2:インターンで得たスキルや経験が、将来のキャリアにどう活かせるかを説明する】
今回のインターンで得た分析スキルを活かし、より効果的な広告運用ができるマーケターを目指します。
インターンの参加に向けて備えておきたいこと
インターンに参加する前に、次の3つを行っておきましょう。
企業・業界研究を行う
インターンに参加する企業や業界についての基本情報を押さえておくことは、事前準備のなかでも特に重要です。企業の事業内容や業界のトレンドを理解していることで、インターンで経験する業務をより深く理解でき、社員との会話にもスムーズに入りやすくなります。
事前に調べておきたいポイント
- 企業の基本情報
(事業内容、ビジョン、強み、同業他社との違い) - 業界の動向
(市場規模、最新トレンド、今後の課題) - インターンでの業務内容
(募集要項に記載の業務内容、過去の参加者の体験談など)
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服やビジネスアイテムを準備する
インターンに参加する際の服装は、まず企業からの服装指定を確認しましょう。スーツ指定であればシンプルなスーツ、私服指定であればスーツより少しカジュアルなビジネスカジュアルがおすすめです。ビジネスカジュアルとは、ビジネスの場にふさわしい、スーツより少しカジュアルな服装を指します。
▼スーツの例


▼ビジネスカジュアルの例


服装選びだけではなく、着こなし方や髪型にも気を配り、清潔感のある身だしなみに配慮すると安心です。

インターンの服装の選び方や着こなしについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
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持ち物をそろえる
インターンの直前に焦らないためには、必要な持ち物をそろえておくことも重要です。企業からの案内メールや、公式サイトにあるインターンの参加案内情報などに、持ち物について記載されている場合があるので、まずはそちらを確認しておきましょう。
企業から指定されたもの以外の一般的な持ち物は次のとおりです。
インターンの持ち物リスト
【一般的な持ち物】
- メモ帳
- スケジュール帳
- 筆記用具
- 印鑑
- 時計
- 財布
- スマートフォン
- 身分証明書
【必要に応じて用意するもの】
- 名刺入れ
- クリアファイル
- モバイルバッテリー
- 折りたたみ傘
- 昼食
- 飲み物
- パソコン
筆記用具やメモ帳は、業務内容やフィードバックを記録するために必要なため、企業からの案内がなくても持参することがおすすめです。長時間のプログラムの場合は、昼食や飲み物を用意しておくと便利でしょう。
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よくある質問
インターンに参加するおもな目的は何ですか?
インターンに参加する目的には、次のようなものがあります。
- 選考優遇をもらう・早期選考を受ける
- 業界・企業の理解を深める
- 新しい知識や技術を身につける・スキルアップする
- 自分が参加する業界や企業に適性があるかを確認する
「インターンに参加する目的」で詳しく解説しています。
インターンを開催する企業側の目的は何ですか?
企業側がインターンを開催する目的はおもに次の3つです。
- 新入社員の入社後のミスマッチをなくす
- 即戦力となる学生の確保をする
- 職業体験の提供による社会貢献のため
「企業側がインターンを開催する目的」で詳しく解説しています。
インターンは意味ないですか?
インターンの価値は、目的や参加の仕方によって大きく変わります。目的を持たずに参加するだけでは価値を見出しにくいかもしれません。しかし、業界研究やスキル習得、企業文化の理解、自己分析の機会として積極的に活用すれば、就活やキャリア形成に役立ちます。目的を明確にしておくことで、限られた時間のなかでも効率よくスキルを身につけることができ、企業や業界への理解も深まるでしょう。
長期インターンに参加する目的は何ですか?
長期インターンの目的はおもに次の3つです。
- 実務経験を積みながらスキルを向上させること
- 業界の深い理解を得ること
- 社会人としての基礎力を身につけること
長期インターンでは、実際の業務に継続的に関わることで、企業の一員としての責任感や課題解決力を育むことができます。