選考で行う企業もあるグループディスカッションですが、テーマやグループのメンバーによっては思うように話せないこともあるでしょう。自ら挙手することが苦手な方でも、コツやトラブル例と対策を理解したうえで練習を重ねれば、本番でスムーズに意見を伝えることができます。
グループディスカッションで大切なのは、役割や積極性だけではありません。グループ全員が協力し、よい議論ができるよう進めましょう。
この記事でわかること
- 役割のコツを把握しておくことで、どの役割を担当してもスムーズに進められる
- どの役割が有利・不利かはなく、グループ全体を見てサポートをすることが大切
- さまざまなテーマを例に練習を重ねることで、本番で緊張しづらくなる
監修者からのコメント
選考の比較的早いステージで行われることが多いグループディスカッションに苦手意識や不安があるという声をよく聞きます。社会に出てからも会議や話し合いはたくさんあります。その準備段階ともいえる就活生同士の話し合いの場に、緊張しすぎず落ち着いて臨めるよう、ポイントを押さえていきましょう。
グループディスカッションとは
グループディスカッションとは、複数人のグループで一つのテーマについて議論を行い、制限時間内に結論を出していくものです。
企業のなかには、就活の選考のひとつとしてグループディスカッションを行うことがあります。
グループディスカッションは、各グループ内で役割分担をしたうえで議論を進めます。最終的には、グループ内で意見をまとめて結論を出し、担当者に発表する流れです。提示されるテーマはさまざまですが、企業や業界が直面する課題の解決や、新事業の企画、時事問題など、おもに正解のないテーマが取り上げられます。
グループディスカッションをうまく進めるためには対策が必要です!まずは種類や役割を把握し、企業側が重視するポイントを踏まえたうえで臨みましょう。
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グループディスカッションにおける役割
グループディスカッションでは、司会者やタイムキーパー、書記、発表者といった役割があります。グループの人数によっては役割がない人も出てきますが、発言をする、役割がある人のフォローなどを行います。
役割がないからといって選考で不利になることはないので、自分の役目を果たしましょう。
司会進行(リーダー)
司会進行のポイント
- 意見が出なければ自分が先に発言したり、メンバーに話を振ったりなど臨機応変に対応する
- 全員が議論に参加するために、発言するメンバーに偏りがでないよう配慮する
- さまざまな意見を整理し、道筋を立てて結論を導き出す
- 発表も司会進行が行うケースがある
司会進行は、いわゆる「仕切り役」ではなく、発言していないメンバーにも発言を促し、全員の意見を引き出して整理する役割です。いろいろな意見が出た段階でグループの意見をまとめて、結論を導くサポートを行います。
発表も司会進行が兼任して行うケースがあります。発表の際は、まず「結論」から話したあと「なぜその結論に至ったのか」を説明する流れで、簡潔に述べることを意識しましょう。
タイムキーパー
タイムキーパーのポイント
- グループに時間経過を知らせ、進行をサポートする
- 時間を意識しながらも、聞き役に回りすぎず、自らもしっかり発言をする
- 自由に議論する時間、意見を整理する時間などうまく時間を区切る
タイムキーパーは、与えられた時間内にやることを管理する役割です。限られた時間内で意見を出し合い、発表の準備まで行うグループディスカッションにおいてタイムキーパーは重要な役割です。
時間が迫ってきたら「あと〇分です」「〇分以内に意見をまとめましょうか」など、はっきり伝えましょう。
書記
書記のポイント
- メモに集中しすぎることなく、自らもしっかり発言する
- メモしたことをメンバーに共有し、議論の進行をサポートする
- 自由に議論する時間、意見を整理する時間などうまく時間を区切る意見が偏りすぎていたら、ほかの意見がないか確認する
書記は、グループ内で出た意見の要点を書き残す役割です。まとめや結論を書き留めておいて、発表時に使用します。ただメモをするだけではなく、対面であればホワイドボードや模造紙、オンラインであれば画面共有などで適宜メンバーと話し合いの内容を共有して、整理する役割です。
発言内容がうまくまとまらないメンバーがいたら、整理して「こういうことですか?」などと確認しながら要点を書き留めます。書き留めているなかで意見に偏りがあると感じたら、ほかの意見を促すことも書記の役割のひとつです。
発表者
発表者のポイント
- 発表の際は、結論から話して「なぜその結論に至ったのか」を説明するとよい
- グループ全員の意見を中立的な立場でまとめ発表をする必要がある
- 発表の際は身振り手振りも交えて伝えるとよい
グループによっては司会進行役が発表も行いますが、別途発表者の役割を作ることもあります。
ディスカッション中は自分も発言をしつつ、ほかの人の意見もしっかりと聞き頭のなかでまとめることになるため、中立的な思考が必要です。発表の際は、自分の意見に偏らないように意識しましょう。
その他(メンバー)
メンバーのポイント
- 意見を主張しすぎるのではなく、意見を聞き出すことも意識する
- 必要があれば役割のあるメンバーをサポートする
- 「一人で発言しすぎる」「ほかの人の発言を否定する」などクラッシャー行為をしない
そのほかのメンバーは、活発なディスカッションになるよう配慮することが大切です。特別な役割がないときこそ、自分の強みを活かすチャンスです。積極的に意見を伝えることはもちろん、時間を意識したり、出た意見をまとめたりと、臨機応変な立ち振る舞いを心がけましょう。
役割を持つ人たちだけに任せるのではなく、一人ひとりのメンバーがフォローする意識を持ちましょう!
グループディスカッションの進め方
グループディスカッションは、30〜40分ほどの制限時間を指定されることが多いです。おおよその流れは次のように決まっています。
ここでは、制限時間30分のグループディスカッションを例に紹介します。実際の制限時間に合わせて時間を調整してみましょう。
1.担当者から説明を受ける
最初に人事担当者からグループディスカッションについて説明があります。テーマや制限時間、注意事項などについて、聞き漏らしのないよう集中して聞きましょう。
2.自己紹介をして役割分担を決める
所要時間:約2分
続いて、グループ内で参加者それぞれが簡単に自己紹介をして、役割分担を行います。自己紹介はアイスブレイクの役割ももちます。
グループディスカッションは集団で話し合って結論を導き出すため、司会進行やタイムキーパー、書記、発表者といった役割を決めておくことで、自由に議論するよりも効率よく進めることができます。
グループディスカッションの役割
- 司会進行
- タイムキーパー
- 書記
- 発表者
- その他(メンバー)
話し合いをスムーズに進めるためには、少人数であってもきちんと役割を決めましょう!
役割別の対策方法は「グループディスカッションにおける役割」の見出しで詳しく解説しています。
3.ディスカッションを始める
所要時間:約23分
役割が決まったら、いよいよディスカッションがスタートです。グループ全員で議論し、多くの意見やアイデアを出し合います。
グループで結論を出すことを意識しながら議論を進めるのがポイントです。議論に集中するのはもちろんですが、時間配分も意識してみましょう。
制限時間が30分以上ある場合は、前提条件を確認する時間やアイデアを出す時間など、さらに細かく時間を分けるのもおすすめです。
ディスカッションの終了間際でグループ内で出た意見をまとめ、最終的な結論を導き出します。
ディスカッションのポイントは「グループディスカッションにうまく参加するコツ」の見出しをチェックしてみてください。
4.発表の準備をする
所要時間:約5分
終了時間が近づいてきたら、発表の準備に入ります。人事担当者やほかのグループに伝わるように工夫して、発表内容をまとめましょう。
発表者は、司会進行を担当する人が兼任することもあれば、別途発表者の役割を決めることもあります。事前に発表者を決めておくことで、発表前に役割を決める時間を省略できます。
5.担当者が結論を発表する
発表は決められた時間内に伝えます。指定がない場合は、1~2分程度で簡潔に伝えましょう。企業によって、発表を制限時間内に行うケースと、発表の時間は別で設けられるケースがあります。
グループディスカッションで採用担当者がどんなところを見ているか知りたい方は、次の章も読んでみてください。
グループディスカッションで採用担当者が知りたいポイント
企業が選考でグループディスカッションを実施する理由には、いくつかのことが考えられます。
例えば、グループディスカッションを通して、学生にどんな能力があるのかなどを知る目的があるでしょう。どんなことを知ろうとしているのかを把握し、グループディスカッションの対策・練習をしてみてください。
積極性:話し合いに取り組もうと姿勢ができているか
積極的にグループに入り、話し合いやフォローをする姿勢が見えるかを知ろうとしています。
グループディスカッションが苦手な方の場合、自分から意見をいえない、意見をまとめられないことがあるかもしれません。自らの意見を述べることは社会人として必要なスキルです。適度な積極性も重要視されるため、自分から意見を出す、他の人の意見に賛同や追加コメントを述べることも意識してみましょう。
グループのメンバーより数多く発言することや、司会進行役を務めることだけが積極性ではありません。
協調性:助け合いができているか
ほかの役割の人をサポートしたり、発言ができていない人に話を振ったりする協調性も大切です。
自分や特定の人だけが発言することはできるだけ控え、グループメンバー全員で多様な意見を出すための配慮もしてみましょう。
傾聴力:メンバーの話を聞く姿勢ができているか
傾聴力とは、相手の話に耳を傾け、理解する能力です。
ただ相手の話を聞くだけではなく、発言からその人の感情や潜在的な思考を読み取るよう意識してみましょう。自分の発言内容を考えるばかりではなく、メンバーの意見をしっかり聞くことで議論が建設的に進みます。
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傾聴力とは?正しい意味や自己PRでのアピールのコツ、例文を紹介
傾聴力とは相手の話に耳を傾け、表情や様子から感情を読み取る力です。話を聞くだけではなく、意図を正確に把握すること、潜在的に考えていることを読み解くこともできます。聞く力の高さは、就活の自己PRや長所を伝えるシーンでも活用できるでしょう。
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論理的思考力:感情や感覚に左右されず発言できているか
グループディスカッションのテーマによっては、自分の感覚を優先したくなるときがあるかもしれません。しかし感覚を優先してしまうと、説得力に欠けた議論につながります。
「なぜそう思ったのか」を伝える際は、「なんとなく」や「好きだから」よりも、客観的に考えて多くの人が納得できる理由を添えてみましょう。
グループディスカッションの様子を通じて、学生一人ひとりが集団の中でどのような役割を担うのか、また、エントリーシートに書かれた自己PR通りの人かが分かります。議論に積極的に臨むのはもちろん必要ですが、注目されることを狙って普段と違う役割を無理にやろうとせず、いつも通りの自分で臨むよう心がけましょう。
グループディスカッションの種類とテーマ例
グループディスカッションは、おもに次のような4種類に分類されます。
取り上げられるテーマはさまざまですが、種類と傾向を把握しておくことで、議論の進め方をイメージしやすくなります。
課題解決型
「課題解決型」は、提示された課題に対して、解決策を議論するスタイルです。
課題解決型では、まずテーマの前提となる課題を確認したうえで目標を設定し、現状分析しながら解決に向けて議論を進めます。テーマは「売上を2倍にするには」といった企業ならではの課題のほか、時事問題が取り上げられるケースも多いです。
課題解決型のテーマ例
- 売上を2倍にするには
- 自社商品の認知度を上げるには
- 円安を止めるには
- キャッシュレス決済を普及させるには
- 過疎地域を活性化させるには
ディベート型
「ディベート型」は、対立する2つの意見を主張しながら議論を進めていくスタイルです。
ディベート型は2つの意見がぶつかり合うため、白熱した議論になるケースもあります。自分の意見を強く述べるよりも、お互いの主張を聞きながら意見をまとめ、どちらを選ぶかを判断しましょう。
ディベート型のテーマ例
- 仕事で大切なのは、やりがいかお金か
- 大学へ行くべきかどうか
- 大企業と中小企業どちらがよいか
- 24時間営業は必要か否か
- リモートワークと出社どちらがよいか
選択型
「選択型」は、いくつかの選択肢のなかから、答え・優先順位を選ぶために議論をするスタイルです。選択肢がある点ではディベートと似ていますが、選択型は選択肢が必ずしも相反するものではないことが特徴です。
複数の選択肢があるなかで選ぶときに、グループ内で意見がわかれた場合、多数決ではなく話し合いで決める必要があります。それぞれの主張を聞き入れて議論を重ね、最終的にはすべてのメンバーが納得する一つの答えを導き出すことが大切です。
選択型のテーマ例
- 売り上げを伸ばすために重要なのは何か
- 無人島に何を持っていくか
- 国語、算数、理科、社会のうち最も重要なものはどれか
- 親、恋人、親友、お金のなかで、優先順位をつけてください
- 仕事で重要なのは、やりがい、将来性、業務内容どれか
自由討論型
「自由討論型」は、明確な答えや選択肢が定められていない抽象的なテーマをもとに、自由に議論を進めていくスタイルです。
自由討論型は、決まった型がなく自由に議論するため、途中で話が脱線しやすくなります。テーマを見失わないように議論を進め、意見をまとめる力が問われます。
自由討論型のテーマ例
- 働く意味とは
- 学生にとって必要な能力とは
- 1億円あったらどうするか
- 10年後の未来はどうなっているか
- 幸せの定義とは
グループディスカッションにうまく参加するコツ
ディスカッションのコツは、次のとおりです。
チームプレーを意識する
グループディスカッションは、メンバー同士が協力して、与えられたテーマに対する結論を出すことが目的です。自分だけ目立とうとするのではなく、チームプレーである意識を持ちましょう。
例えば、自分ばかり話したり、相手の意見を否定しすぎたりするのは、グループディスカッションをするうえで望ましくありません。
もし、チームプレーを意識しない人がいる場合には、放置せずに「全員の意見を聞いてみませんか」「ここまでの意見をまとめましょう」などと伝えて、結論に導けるようにすることも大切です。
また、自分の意見を言うことを遠慮したり、何も思いつかないから黙っていたりすると、参加意識の弱い人という印象になってしまいます。何かしらチームに貢献しようという意識で臨みましょう。
不明点は開始前に質問する
テーマやルールについて不明点があれば、議論が始まる前に担当者に質問をしておきましょう。制限時間があるなかでディスカッションをスムーズに進めるためにも、疑問点は事前に解消しておくことが重要です。
話すときのマナーを身につける
グループディスカッションを円滑に進めるためには、メンバーに配慮した話し方に気をつける必要があります。
議論をしていると、自分とは反対の意見が出ることもあるでしょう。その際に、ほかの人の意見を最後まで聞かず、被せるように話したり、強く否定したりすると、意見をいったメンバーが残念な気持ちになったり、他のメンバーが発言しづらくなったりしてしまうかもしれません。
議論が白熱して「早く自分の意見をいいたい」と思う場面があっても、相手の意見に対して冷静に耳を傾けることが大切です。
話すときは相手に伝わりやすいように、ゆっくり、明るい声を意識します。大人数が会場にいると、声が聞こえにくいことがあるので、普段声が小さいといわれることが多い方は、普段よりも少し大きな声で話すことを心がけてみましょう。
場を和ませて話しやすい雰囲気を作る
ディスカッションで自分の意見をうまく伝えることも大切ですが、ディスカッションのテーマそのものに関する意見表明以外にも配慮してみましょう。ただし、無理に何か発言する必要はありません。
例えば、自己紹介や役割分担、意見がなかなかでないとき、結論がまとまらないときなど、雰囲気が和やかになる一言が言えると場が温まることがあります。
場を和ませる一言の例
- 私から発言してもいいですか?
- その意見すごくいいですね
- そういう考え方もあるんですね
話を聞く姿勢を意識する
グループディスカッションでは役割や意見の内容だけではなく、聞くときの姿勢や仕草なども大切です。聞く姿勢として望ましい仕草の例を見てみましょう。
聞く姿勢として望ましい仕草
- 明るい表情
- 相槌を打つ
- 相手の目を見る
- 体を相手に向ける
- 相手の話を最後まで聞く
- 相手の言葉を繰り返す
- 共感する言葉を使う
脱線していると感じたら軌道修正をする
ディスカッションが白熱すると、テーマから脱線することもあるでしょう。
明らかにテーマから脱線しており、誰も注意しないようであれば、誰が指摘しても構いません。「そういえばテーマは◯◯でしたよね」などの一言を入れ、軌道修正をしましょう。
軌道修正する際は、誰かが話している途中で言うのではなく、発言が終わったタイミングで一言声をかけるようにするのがおすすめです。
出た意見を要約して伝える
ディスカッションの最後に意見をまとめますが、話し合いの時間が長びいたり、白熱したりしているとまとまりがなくなることがあります。途中で一度意見を要約することで、話の脱線を回避したり、白熱しすぎることを防いだりできます。
可能であれば、司会進行が積極的に意見の要約を切り出してみましょう。「これまで出た意見をまとめると◯◯ですね」といったり、「まずはこれまで出た意見をまとめませんか?」などと促したりするのがおすすめです。
グループディスカッションでのトラブル例と対処法
ここでは、グループディスカッションで起こりうるトラブルとその対処法を紹介します。本番で落ち着いた対応をするためにも、事前に把握しておきましょう。
積極的に話せない
頭の中では意見がまとまっているのに、挙手できない、話し始めるタイミングがわからないという方もいるでしょう。
流れによっては難しいかもしれませんが、話を振られるまで待つのではなく、できるだけ積極的に発言をしていきましょう。
発言するタイミングがわからないときの対処法としては、挙手をして「私の意見をいってもいいですか?」とアピールをし、司会進行役に話を振ってもらうと自然に話し始められるはずです。アピールをすることで、これから誰が話すのかをメンバーにも知ってもらえるため、自分の話に耳を傾けてもらいやすくなります。
意見が思いつかない
テーマによっては、知識がなく意見が思いつかないこともあるかもしれません。
グループディスカッションでは「テーマについて正しい答えを出すこと」よりも「どうやって課題を解決するか、どのようにコミュニケーションをとるか」がポイントになります。グループ全体が納得できる結論を出し「どうしてこの結論に至ったか」をきちんと説明することが大切です。
自分の意見を出すことが難しい場面であっても、知っているかのような発言をする必要はありません。意見が思いつかないときは、先に発言した人を褒めたり、意見をつけ加えたりすることを意識してみましょう。
時間が足りない
白熱した結果、意見をまとめることができないなど、時間が足りなくなることも考えられます。本来、タイムキーパーが時間配分を決めますが、ディスカッションの状況によっては予定通りに進まないこともあるでしょう。
意見をまとめられないと発表が難しくなります。時間が足りない可能性があるときは、タイムキーパー以外が、「そろそろ結論をまとめませんか?」と切り出すことも可能です。
時間の管理をタイムキーパーだけに任せるのではなく、グループ全体で意識することが大切です。
役割がない
グループディスカッションで役割がないからといって、選考に不利になるわけではありません。「自分は何をすべきか」を考えて、円滑にディスカッションを行えるように考えてみましょう。
役割がないことで、むしろ自分の強みを活かせる場面に遭遇することがあります。例えば、司会進行の人が困っていたらサポートする、発言していない人がいたら話を振ってみるなど、臨機応変な対応を心がけましょう。
役割を果たせない
自分に役割が決まったのに、果たせないままディスカッションが終わるということも考えられます。グループディスカッションの練習をしていても、テーマやメンバーは当日にならないとわからないため、イメージどおりに進まないこともあるでしょう。
役割を果たせない例としては、次のようなものがあります。
- 司会進行:思うように進行できない、意見をまとめられない
- タイムキーパー:時間配分、管理ができない
- 書記:全てを書き留めようとするあまり、簡潔にまとめられない
- 発表者:スムーズに発表ができなかった(順序立てて伝えられない、時間がオーバーした)
どんな役割でも、思うようにいかないことはあります。ほかの人からのサポートにより助けられる場面はあるため、自分自身もメンバーをサポートするよう意識してみてください。
サポートをする、されることで有意義なグループディスカッションになります!
結論がまとまらない
グループ全体の意見がまとまらないときは、出た意見の類似点を見つけてみましょう。
まずはメンバー全員の意見を集め、意見をまとめる際には「テーマの目的に合っているかどうか」を判断基準にすることで、意見がまとまりやすくなります。
多数決で決めると、全員が納得する結論にならない可能性が高いです。選考においても、メンバー同士がお互いを思いやり、納得できる理由をもってその結論に至ったかは重視されるポイントです。
クラッシャーによりうまく進められない
グループディスカッションにおけるクラッシャーとは、場の空気を壊し、進行を妨げる人を指します。クラッシャーには、次のようなタイプがあります。
クラッシャーの例
- 主張が強すぎる
- 長い時間自分の意見を話しつづける
- ほかの人の意見を遮る
- ほかの人の意見を強く否定する
- 終わった話を蒸し返す
- 話を脱線させたがる
- ほかの人の役割を奪う
否定意見に対して否定をすると、流れが中断する可能性があります。軌道修正をする際は、「よくない」と否定するのではなく、「◯◯さんの意見もいいですが、✕✕という考え方はどうでしょうか」など肯定や提案を交えることで場の雰囲気を壊しにくくなるでしょう。
自分自身がクラッシャーになってしまわないように配慮することも大切ですね。
グループディスカッションで緊張しないための対策
グループディスカッションは、慣れていないと緊張してしまうのも無理はありません。ここでは、緊張しないためのコツと対策を紹介します。
繰り返し練習をして経験を積む
友人との練習や、オンラインの模擬練習などを活用して練習を重ねましょう。
より実践に近い形でのグループディスカッションを経験することで、要領がわかり、緊張しづらくなるはずです。繰り返し練習すると自信がつき、落ち着いて本番に臨めます。
実践的な練習を繰り返すことで、場の雰囲気に慣れて緊張しなくなるでしょう。
ほかの人の「グループディスカッションで失敗したこと」から学ぶ
選考でグループディスカッションを実施する企業はある程度存在するため、Web上で成功体験、失敗体験を閲覧することができます。
グループディスカッション経験者による、失敗例、反省点、困ったことをSNSなどで見て自分の実践に生かしましょう。例えば、失敗体験を見て「自分ならこうする」というイメージができていれば、いざというときに困難な状況を乗り越えられる可能性があります。
ほかにも、先輩や友人などグループディスカッション経験者から話を聞くのもおすすめです。
選考に突破することだけを考えすぎない
「とにかく選考に突破したい」とだけ考えていると、過度に緊張したり空回りしたりすることもあるでしょう。
対策や練習は十分に行い、そのうえで本番は「グループでよりよい話し合いをしよう」という気持ちが大切です。グループディスカッションは協調性も重要です。ほかの人の意見を聞きながら発言し、サポートもしながら、グループ全体で協力することを意識してみてください。
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初めてのグループディスカッションを攻略!不安を取り除く事前準備やGD中の心得を解説
初めのグループディスカッションに参加する際は、事前に流れを理解し、準備・対策をしっかりと行うことが重要です。この記事では、グループディスカッションの流れや企業が注目しているポイント、意識すべき心構えなどを詳しく解説します。
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身だしなみ・持ち物などの事前準備を大切にする
本番前は、身だしなみや持ち物などの事前準備をしておきましょう。前もって準備しておくことで、余計な不安を抱かずに済み、本番に集中できます。
事前に準備しておきたいもの
- スーツなどの服装類
- ネクタイ(着用が必要な場合)
- バッグ
- シューズ
- ES(エントリーシート)などの書類
- 腕時計
- 筆記用具
- メモ帳
- 会場への道順確認
- スマートフォンの充電
- くしや鏡など、身だしなみを整えるもの
- ハンカチ
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【新卒】面接で必要な持ち物・あると安心な持ち物を解説【就活】
面接で必要な持ち物のチェックリストや、それぞれの持ち物が必要になる理由、持ち物以外で知りたい面接準備などを紹介します。面接を直前に控えている方は、ぜひ今回の記事を役立ててみてください。
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身だしなみの面でありがちな失敗は、早めに準備をすることで避けられます。身だしなみに問題がないとわかっていれば、グループディスカッションにも集中できるでしょう。
身だしなみで注意すること
- スーツやシャツにシワや汚れがないか
- 寝癖がそのままになっていないか
- 汗のにおいがついていないか
- シューズが汚れていないか
特に服装に関する失敗は、洗濯ができるアイテムやシワを軽減するアイテムで回避できる可能性があります。クリーニングに出さなくても自宅で洗濯できるウォッシャブルスーツや、消臭加工など機能的なアイテムを活用して、対策をしましょう。
グループディスカッションの練習方法
グループディスカッションでは練習が可能です。次のような方法で練習をしてみましょう。
就活仲間とシミュレーションをする
友人など、就活に向けて頑張っている仲間とシミュレーションする方法があります。何度も繰り返し練習することで、発言するタイミングがつかめたり、意見を簡潔に伝えられるようになったりするでしょう。
ディスカッションの練習風景をスマートフォンなどで録画して見返すと、話しているときの自分の癖や声のトーンを客観的にチェックできます。
気をつけたい癖の例
- 頬杖やひじをつく
- 腕や足を組む
- ペンなどをいじる
- 髪の毛をさわる など
練習できるWebサービスや講座を活用する
学校で一緒に練習できる仲間が見つからないときは、Webサービスを利用するのもおすすめです。
オンライン上で、グループディスカッション対策や模擬練習、テーマ共有ができるサイトがあります。オンラインでも本番同様に初めて顔を合わせる人と練習ができれば、より実践に近いイメージになります。
学校のキャリア支援センターでグループディスカッションの講座が行われていれば、そういったものを活用するのもおすすめです。
動画で学ぶ
YouTubeなどの動画配信サイトには、グループディスカッション対策ができる動画がたくさんあります。動画は発言するタイミングや話し方などがわかりやすいため、臨場感のあるイメージトレーニングができるかもしれません。
動画でインプットできたら、本番に活かせるようにアウトプットをして内容をしっかり身につけていきましょう。
動画で紹介されている発言の仕方を、実際に口に出して真似してみるのもおすすめです!
自分の意見を考える癖をつける
グループディスカッションでは、自分の意見を発言することが重要です。普段から、SNSやネットニュースを見たときに「自分ならどうするか」「なぜそうするか」を考える癖をつけてみましょう。
考える癖がついていれば、グループディスカッションでテーマを提示されたときも、その場で自分の意見と理由を考えやすくなります。
テーマの例については「グループディスカッションの種類とテーマ例」で紹介しています。
オンライン(Web)におけるグループディスカッションのポイント
グループディスカッションは、オンラインでも実施されることがあります。おもなポイントは対面同様ですが、オンラインならではのコツを把握しておきましょう。
カメラ・マイク・室内の環境を整える
カメラやマイクなどの機材、環境を整えるときのポイントは次のとおりです。
- カメラの位置・画角で相手から見えやすいか
- マイクのボリュームは適切か
- 雑音が入らないか
- 背景にプライベートなものがないか
カメラの画角は、相手からどう見えているかを考えてみましょう。
背景に衣類やポスターなど、就活とは無関係のものが写らないようにしましょう。場所を移動する、もしくは無地の布で隠すなどをしてみてください。
また、インターネットの環境が安定している場所でグループディスカッションに参加しましょう。不安定な環境では、音声や映像が遅延し、スムーズにコミュニケーションがとれなくなる可能性があります。
グループディスカッションに限らず、オンラインでの面接も同様です。
対面より表情や動作を大きめにする
オンラインの場合、対面よりも感情が伝わりにくいことがあります。
相づちや表情の使い方、身振り手振りの動作を少しだけ大きくするなどして、自分の話している内容や感情が伝わりやすくなるよう工夫してみましょう。
話すスピード、丁寧さも意識することで、話を理解してもらいやすくなります。
共有できる方法で議論の内容を書き留める
グループディスカッションでは、おもに書記が記録します。
出た意見を手元のメモ帳などに書き留めると、メンバーや企業の担当者に共有できず不便になることもあるでしょう。
書記役になったら、画面共有やチャットなど、メンバー全員が見られるツールで情報共有するのがおすすめです。Googleドキュメントなどの共有ツールであれば、URLを共有することで各メンバーが自分のデバイスで記録を確認できるだけではなく、画面共有をすることもできます。
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Web面接の準備や当日の流れを解説!マナー、服装も把握しよう
Web面接では、質問の受け答えと服装だけではなく、パソコンやスマートフォン、イヤホン、カメラなどを準備することも欠かせません。ツールによって面接に参加する方法が異なるため、スムーズに面接を受けるために事前準備をして、気持ちに余裕をもちましょう。
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よくある質問
グループディスカッションのコツと対策を教えてください
グループディスカッションのコツは次のとおりです。
・チームプレーを意識する
・不明点は開始前に質問する
・話すときのマナーを身につける
・場を和ませて話しやすい雰囲気を作る
・話を聞く姿勢を意識する
・脱線していると感じたら軌道修正をする
・出た意見を要約して伝える
事前にコツを把握しイメージをしながら練習することで、トラブルがあったときも対処できるでしょう。コツと対策の詳細は「グループディスカッションにうまく参加するコツ」で紹介しています。
グループディスカッションでは、どの役割を担うのが有利ですか?
「役割がある=選考に有利になる」というわけではありません。
役割や立場を理解したうえで、適切に振る舞うことが大切です。役割がない場合は、活発なグループディスカッションになるよう配慮し、その場に合わせた言動を心がけましょう。
グループディスカッションにはどんなテーマがありますか?
グループディスカッションのテーマ例は、次のとおりです。
・売上を2倍にするには
・自社商品の認知度を上げるには
・仕事で大切なのは、やりがいかお金か
・大学へ行くべきかどうか
・売り上げを伸ばすために重要なのは何か
・無人島に何を持っていくか
・働く意味とは
・学生にとって必要な能力とは
さまざまなタイプのテーマで練習をして、どんな話し合いをすればよいのかイメージしてみてください。テーマの種類と例の詳細は「グループディスカッションの種類とテーマ例」で紹介しています。
グループディスカッションの進め方を教えてください
グループディスカッションは、次のような流れで行われます。
・担当者から説明を受ける
・自己紹介をして役割分担を決める
・ディスカッションを始める
・発表の準備をする
・担当者が結論を発表する
各段階の詳細は「グループディスカッションの進め方」で紹介しています。
グループディスカッションの練習方法を教えてください
グループディスカッションは、一人でも複数人でも練習が可能です。具体的には次のような方法があります。
・就活仲間とシミュレーションをする
・練習できるWebサービスや講座を活用する
・動画で学ぶ
・自分の意見を考える癖をつける
各練習方法は「グループディスカッションの練習方法」で詳しく紹介しています。
監修者情報
監修者:遠藤 美穂子さん
新卒で東京三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行、営業店・本部にて法人営業に携わるほか、新人研修講師、採用面接官も経験。
現在はキャリアコンサルタントとして大学での就活支援、キャリア系講義、社会人向けのビジネスマナーやキャリア開発研修などを行っている。
資格:国家資格キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士