重要書類や現金などの大切なものを送る際、通常の郵便ではなく、書留を利用することがあります。書留には「簡易書留」「一般書留」「現金書留」の3種類があり、それぞれサービス内容や料金が異なるため、郵便物の内容や目的に合わせて、適切な送付方法を選ぶことが大切です。
この記事では、各種類の書留の特徴や料金、使い分け方、送り方について詳しく解説します。速達や内容証明など、必要に応じて利用できるオプションサービスも紹介するので、重要な郵便物を送る際の参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 書留のメリットは郵便物の引き受けから配達完了までの過程を確認できること
- 簡易書留と一般書留はどちらも追跡と受領サービスが可能だが、損害要償額の上限が異なる
- 書留は郵便局の窓口でのみ受付対応しており、ポスト投函での送付はできない
書留(かきとめ)とは:郵便物の送達過程を追跡できるサービス
書留は、郵便物の送達過程を追跡できるサービスです。重要な郵便物を確実に送付先へ届けたい場合に利用されます。
正式名称は「書留郵便」ですが、一般的には略称の「書留」で呼ばれています。
書留で送れる郵便物
- 現金(現金書留のみ)
- 定形郵便
- 定形外郵便物
- 郵便書簡(第一種郵便物)
- はがき(第二種郵便物)
通常の郵便物は送り先のポストに投函されますが、書留は受取人に玄関先で手渡しされ、受け取りの際はサインまたは印鑑が必要です。書留の送付日数は通常の郵便物と同じ1〜3日程度ですが、速達料金を支払えばより早く届けることも可能です。
書留では、万が一郵便物が紛失・損傷した場合、一定の補償が受けられます。補償額は、送付する物品の価値や利用する書留の種類により異なります。
具体的なサービス内容や料金・補償額は「書留の種類と料金」で解説しています。
郵便をインターネットで追跡できる
書留郵便では、各郵便物に追跡番号が割り振られ、郵便局での引き受けから配達完了までの過程をオンラインで確認できます。郵便物がどこにあるのか、いつ受け取られたのかをリアルタイムで確認できるため、安心感を得られる点が大きなメリットです。
受取人が郵便物を受け取った際にサインをすることで、差出人が受領証明を得ることも可能です。
当日中の再配達、配送日時の指定にも対応している
書留は郵便受けへの配達ではなく、基本的には対面での手渡しとなります。受取人が不在で配達できなかった場合、当日17時頃までに電話で依頼すれば、当日21時頃までの再配達が可能です。
▼ 再配達指定可能な時間帯
配達時間帯 | 時間帯の目安 |
---|---|
午前 | 8時頃〜12時頃 |
午後(1) | 12時頃〜14時頃 |
午後(2) | 14時頃〜16時頃 |
夕方 | 16時頃〜18時頃 |
夜間(1) | 18時頃〜19時頃 |
夜間(2) | 19時頃〜21時頃 |
書留は土・日・祝日も配達されます。宅配ボックスが設置された戸建住宅の場合、不在時には宅配ボックスへ配達することも可能です。
書留の種類と料金
書留にはいくつかの種類があり、それぞれの目的に応じて使い分けられます。
簡易書留
簡易書留は、重要な書類や小物を送る際に使用されるもので、一般書留よりも手軽で料金も安価であることが特徴です。ただし、簡易書留で記録されるのは、郵便物の引き受け時と配達時のみのため、郵便物の行方を細かく追いたい場合は不向きかもしれません。
簡易書留の損害要償額は5万円までです。損害要償額とは、郵便物が紛失・破損した場合に郵便局から支払われるものです。
利用料金 | 通常郵便:350円 ゆうメール:350円 |
損害要償額 | 5万円まで |
現金書留
現金書留は、現金の送付に特化した書留です。簡易書留と一般書留では、現金送付はできないため、郵便物として現金を送る場合は現金書留で送ることになります。
商品券やプリペイドカード等の金券は簡易書留か一般書留で送付可能ですが、現金と一緒に送付する場合は現金書留を利用します。なお、現金書留を送付する場合、郵便局で専用の封筒(現金書留専用封筒)の購入が必要です。
現金書留の専用封筒は、一般的なのし袋も入る大きさなので、お祝いを送るときにも便利です。
利用料金 | 480円 さらに5,000円ごとに+11円(上限50万円) |
損害要償額 | 50万円まで (差出人の申し出がない場合は1万円まで) |
一般書留
一般書留は、重要な書類や貴重品を送る際に利用されます。引き受けから配達までの過程をすべて追跡可能で、受取人の署名による受領証明が得られます。
金、銀、ダイヤモンドなど、郵便局の約款で定める貴重品は、必ず一般書留にする必要があります。外国紙幣、外国貨幣、古銭も現金書留ではなく一般書留に該当します。
(1) 金、銀、白金及びこれらを主たる材料とする合金並びにこれらを用いた製品
(2) ダイヤモンド、ルビー、サファイヤ、アレキサンドライト、クリソベリール、トバーズ、スピネル、エメラルド、アクアマリン、ベール、トールマリン、ジルコン、クリソライト、ガーネット、オパール、ひすい、水晶、めのう、ねこ眼石、とら眼石、くじゃく石、とるこ石、月長石、青金石、クンツアイト、ブラッドストーン及びヘマタイト並びにこれらを用いた製品
引用元:内国郵便約款 第14条
万が一の紛失や破損があった場合の損害要償額は500万円までです。簡易書留の損害要償額は5万円のため、5万円以上の価値がある商品券などを送る場合には、一般書留のほうが安心できるでしょう。
料金 | 通常郵便:480円 ゆうメール:420円 さらに5万円ごとに+23円(上限500万円) |
損害要償額 | 500万円まで (差出人の申し出がない場合は10万円まで) |
送付する内容物の価値が5万円を超える場合、損害要償額が5万円増えるごとに23円の追加料金が発生します。
簡易書留と一般書留の違いと使い分け
簡易書留と一般書留は、それぞれ異なるニーズに応じたサービスです。どちらが適しているか、どう使い分けるかは、送る物の価値や重要度によって決まります。
簡易書留 | 一般書留 | |
---|---|---|
利用料金 (基本料金に加算) | ・通常郵便:350円 ・ゆうメール:350円 | ・通常郵便:480円 ・ゆうメール:420円 |
メリット | ・手軽で一般書留よりも料金が安い ・追跡サービスと受領証明が可能 | ・すべての過程を追跡できる ・損害要償額が高額 |
損害要償額 | 5万円まで | 500万円まで |
適した用途 | ・重要書類 ・高価ではない小さな物品 ・損失リスクが少ない郵便物 | ・重要書類・高価な物品 ・法的な証拠が必要な郵便物 |
追跡範囲 | ・発送した郵便局と時間 ・最後に届いた郵便局と時間 ・送り先に届いた時間 | ・発送した郵便局と時間 ・経由した郵便局 ・最後に届いた郵便局と時間 ・送り先に届いた時間 |
上表でわかるように、簡易書留と一般書留は、郵便物が紛失した際の損害要償額に大きな違いがあります。そのため、送付物の価値に応じて選択することがおすすめです。
書留郵便の送り方
郵便ポストに投函することはできないため、郵便局に持参する必要があります。ここでは、書留郵便を送る際の流れを紹介します。
1. 封筒などを準備し、梱包する
一般書留や簡易書留の場合は、市販の封筒や梱包材で問題ありません。ただし、現金書留の場合は、郵便局で販売されている「現金書留専用封筒」(1枚21円)を使用する必要があります。現金書留専用封筒は、現金を安全に送るための特別な封筒です。
2. 郵便局で受付をする
郵便局に備え付けの「書留・特定記録郵便物等差出票」に必要事項を記入し、窓口で受付を行います。発送者の住所・氏名、受取人の住所・氏名、郵送する内容などを正確に記入しましょう。これらの情報を正しく記入することで、郵便物の追跡や万が一のトラブル発生時の対応がスムーズになります。
3. 窓口に書類と郵便物を渡し、料金を支払う
記入した差出票と梱包した郵便物を窓口に提出し、料金を支払います。料金は、郵便物の重量、サイズ、送付先に応じた基本料金と、書留の追加料金の合計です。現金書留と一般書留は、送金額や内容物の価値に応じて、追加料金が発生する場合があります。
料金の支払い方法は、現金払いのほか、利用する郵便局によってはクレジットカードなどのキャッシュレス決済に対応している場合があります。
4. 受領証を受け取る
料金を支払うと、郵便物の追跡番号が記載された受領証を受け取ります。追跡番号は、インターネットや電話で郵便物の配達状況を確認する際に必要です。
受領証は万が一のトラブルが発生した際に必要となるため、受け取りが完了するまで大切に保管しておきましょう。
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書留郵便とあわせて利用できるオプションサービス
書留を送る際、郵便物の内容や重要度に応じてオプションを付けられます。ここでは、次の3つのオプションサービスを紹介します。
速達
速達は、急ぎの郵便物を通常よりも早く届けるためのサービスです。緊急性の高い文書や物品を送りたい場合に利用します。通常の郵便料金に加えて速達料金を支払うことで、書留郵便に「速達」を付けることで、配送が最優先されます。
郵便物が届く日数は、差出元と宛先の地域によって異なりますが、最短で翌日配達も可能です。
利用料金
【郵便物(手紙・はがき)】
250gまで:+300円
1kgまで:+400円
4kgまで:+690円
【ゆうメール】
1kgまで:+330円
速達の出し方や封筒の書き方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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内容証明
内容証明郵便は、いつ、どんな内容の文書を送ったのかを証明するサービスです。法的紛争などで証拠を残したい場合や、契約解除などの重要な通知を相手に確実に伝えたい場合に利用されます。
利用するには、送付したい文書を用意し、郵便局で書類の確認を受けたうえで、発送手続きを行います。文書は、「受取人に送付するもの」「郵便局で保管するもの」「差出人が保管するもの」のあわせて3通が必要です。
利用料金
- 基本料金+一般書留の加算料金+内容証明の加算料金
- 内容証明の加算料金:480円(2枚目以降は290円増)
内容証明郵便は一般書留として送付する必要があり、利用料金は、基本料金に一般書留の料金と内容証明の料金を加えた金額です。
内容証明は、すべての郵便局で取り扱っているわけではないため、利用したい場合は最寄りの郵便局で取り扱っているかどうかを確認してみましょう。
配達証明
配達証明は、郵便物が確実に受取人に届いたことを証明する書類を発行するサービスです。受取人が郵便物を受け取ったことを公的に証明したい場合に利用されます。
郵便物が受取人に配達されると、郵便局がその事実を証明する証明書を差出人に発行します。
利用料金
- 基本料金+一般書留の加算料金+配達証明の加算料金
- 配達証明の加算料金:350円
配達証明の加算料金は350円ですが、郵便物を差し出した後に配達証明を請求する場合は480円となります。
配達日・配達時間指定
配達時間指定は、郵便物を指定された時間帯に受取人に届けるためのオプションです。一般書留または現金書留に付けられるオプションで、受取人が仕事や外出で不在がちの場合や、確実に受け取りたい時間帯が決まっている場合に利用できます。
郵便局で書留郵便を発送する際に、配達時間指定のオプションを選ぶと、受取人が指定した時間帯に配達されるよう手配されます。
利用料金
郵便料金+配達時間帯指定郵便料+書留料
【配達時間帯指定郵便料】
250g以内:440円
1kg以内:570円
4kg以内:920円
指定可能な時間帯
- 午前:8:00〜12:00
- 午後:12:00〜17:00
- 夜間:17:00〜21:00
本人限定受取郵便
本人限定受取郵便は、郵便物を特定の受取人本人のみが受け取れるようにするオプションです。銀行や保険会社などから送られる重要書類、パスポートやマイナンバーなどの個人情報を含む郵便物、機密性の高い文書などに利用されます。
個人が本人限定受取郵便を利用する機会はあまり多くありませんが、郵便局で書留を「本人限定受取郵便」として送付した場合、配達時に受取人が身分証明書の提示を求められ、本人確認が取れれば郵便物が渡されます。
利用料金
- 基本料金+一般書留の加算料金+配達証明の加算料金
- 本人限定受取郵便の加算料金:270円
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法人・大口向け|書留の割引制度
法人・大口向けの書留の割引制度もあります。条件を満たすと、一般書留や簡易書留の料金が割引されます。
一般書留の割引
【単割300】
条件:同一差出人から300通以上の郵便物を同時に差し出す場合
一通(個)あたりの割引額:11円
【単割1000】
条件:同一差出人から1000通以上の郵便物を同時に差し出す場合
一通(個)あたりの割引額:21円
郵便物はゆうメールも対象となります。
簡易書留の割引
【単割300】
条件:同一差出人から300通以上の郵便物を同時に差し出す場合
一通(個)あたりの割引額:11円
【単割1000】
条件:同一差出人から1000通以上の郵便物を同時に差し出す場合
一通(個)あたりの割引額:21円
【区内割】
条件:特別料金(1)が適用される郵便区内特別郵便物
一通(個)あたりの割引額:37〜68円
利用したい場合、郵便局のWebサイトで詳細な条件をチェックしてみましょう。
よくある質問
一般書留と簡易書留の違いは何ですか?
一般書留と簡易書留の大きな違いは、紛失・破損時の補償額です。一般書留は万が一の紛失・破損時には500万円まで補償されるため、重要書類や高価な品物に適しています。一方、簡易書留の補償額は5万円までです。
書留郵便の郵送にかかる日数はどれくらいですか?
書留郵便の配送日数は通常の郵便と同じで、基本的に1〜3日程度です。ただし、配送先の地域や天候、休日などによって日数が変わる場合があります。速達オプションを付けると、さらに早く配達されます。
書留の料金はいくらですか?
書留は、基本料金に加えて次の料金がかかります。
- 簡易書留:350円
- 一般書留:480円
- 現金書留:480円(ゆうメールは420円)
簡易書留の出し方を教えてください。
郵便物を梱包し、郵便局の窓口で「簡易書留」として依頼すると、「簡易書留ラベル」を発行してもらえます。料金を支払い、領収書を受け取ることで発送は完了します。