就活の履歴書や公的書類、各種手続きなどで記入する「現住所」とは、現時点で居住している場所を指します。現住所は住民票の住所や本籍とは異なる場合があるため、意味を理解したうえで、誤りのないように記入することが大切です。
現住所と住民票の住所は基本的に一致しているべきですが、状況によっては異なる住所が認められることもあります。ただし、住所が異なることで不便が生じる場合があるため、起こりうる問題についても把握しておきましょう。
この記事でわかること
- 現住所は必ずしも「住民票の住所」「本籍」「履歴書の連絡」と一致するとは限らない
- 住民票の住所と現住所が異なる場合は市区町村役場で住民票を変更する必要がある
- 住民票の住所と現住所が異なる場合、公的扶助を受けられないなどの不便が生じる
現住所とは:現時点で本人が居住している場所のこと
現住所とは、現在居住している場所を指す言葉です。通常、居住を公に証明する「住民票」に記載されている住所が「現住所」となりますが、必ずしも一致するとは限りません。
住民票の住所は、基本的にはその人の本籍地や住んでいる場所です。しかし、転居後に住所変更の手続きをしていない場合など、現住所とは異なることがあります。
現住所は、郵便物の送付先を記入するときや各種手続きなどで必要となります。本人との連絡手段として現住所が求められている場合は、住民票の住所との相違にかかわらず、その時点で連絡が取れる住所を記入しましょう。
現住所と混同しやすい言葉・表現
現住所と混同しやすい言葉に「住民票の住所」「本籍・本籍地」「履歴書の連絡先」があります。これらは現住所と異なる場合があるので、それぞれの意味を理解しておくことが大切です。
住民票の住所
住民票とは、市区町村と特別区が住民基本台帳法に基づき作成した公簿です。住民票には、氏名、生年月日、性別、住所などの項目が世帯または個人別に記載されています。住民票の住所は、その人の居住地として公的に認められている住所です。
住民票の住所は、選挙権の行使や公的扶助の申請、市区町村が行う各種行政サービスの手続きなどで使用します。そのため、引っ越しなどで住所が変更となった場合は、転居後14日以内に変更手続きが必要です。
本籍・本籍地
本籍・本籍地とは、戸籍が置かれている場所のことです。戸籍は、日本国籍の人の生年月日や出生などの情報が記された公文書で、本籍地の市区町村役場に保管されています。本籍はパスポートの申請や相続手続きなどで必要となります。
本籍地は日本国内で地番がある場所ならどこでも置けるため、現住所や住民票の住所とは異なるケースは珍しくありません。必ずしも現住所と一致する必要はなく、変更手続きは任意です。
本籍地は住んだことがない場所であっても自由に設定できます。
履歴書の連絡先
履歴書には「現住所」と「連絡先」の2カ所に住所記入欄が設けられています。「連絡先」の住所は、現住所と連絡先が異なる場合に記入が必要です。
例えば、選考の途中で引っ越す場合、現住所には現在の居住地を記入し、連絡先には転居先の住所を記入します。
なお、履歴書の連絡先には、住所だけでなく電話番号やメールアドレスの記入欄が設けられている場合があります。自宅の電話番号以外に、連絡が取りやすい携帯電話の番号やメールアドレスがあれば、連絡先に記入しておきましょう。
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現住所は住民票の記載された住所と異なっても問題ない?
原則として、現住所と住民票の住所は一致している必要がありますが、状況によっては異なる住所が認められる場合があります。
現住所と住民票の住所が異なるケース
- 学生が学生寮で一人暮らしをしている場合
- 単身赴任をしている場合
- 短期間住み込みで働くなどの一時的な転居の場合
- 災害などの理由で、仮住まいをしている場合
上記のように、短期間の居住で生活拠点が変わらない場合は、住民票の異動手続きをしなくてよい正当な理由として認められます。
住民票の住所を現住所に変更しないとどうなる?
住民票の住所変更は、住民基本台帳法と呼ばれる法律により定められています。変更を行わない場合、過科が科せられる可能性があるので、引っ越しなどで現住所が変更となった際は、早めに変更手続きを行いましょう。
現住所の変更の義務
住民基本台帳法 第22条では、引っ越しなどにより住所が変わった場合、変更があった日から14日以内に住所変更を届け出ることが義務付けられています。
住民票は市区町村が住民の「住所」を証明する重要な公文書であるためです。
現住所の変更に伴う過料
正当な理由がある場合を除いて、住所変更手続きを行わなかった場合、5万円以下の過料が科せられる可能性があります。
なお、実際に過料が科せられるかどうかは簡易裁判所の判断となります。
住民票の住所と現住所が異なる場合の問題点
住民票の住所と現住所が異なることは法律違反になるだけでなく、以下のような問題点が生じます。
選挙権を行使できない
選挙権は、住民票の住所がある自治体でのみ行使することができます。そのため、住民票の住所と現住所が異なる場合、現住所の自治体で選挙に参加することはできません。
また、選挙権がある人でも、自治体の選挙人名簿に登録されていなければ投票することはできません。選挙人名簿への登録は、住民基本台帳に3カ月以上登録されていることが条件となります。
公的扶助を受けられない
生活保護や児童手当などの公的扶助を受けるためには、住民票の住所がある自治体への申請が必要です。住民票の住所と現住所が異なる場合、申請が認められない可能性があります。
各種手続きが煩雑になる
運転免許証の発行や更新、銀行口座の開設・変更、携帯電話の契約・変更など、さまざまな手続きにおいて、住民票や住民基本台帳カードの提示が必要となる場面があります。
住民票の住所と現住所が異なる場合、これらの手続きに時間がかかったり、追加の書類が必要になったりする可能性があります。
郵便物が届かない場合がある
各自治体からの郵便物は、住民票に記載されている住所に届きます。そのため、現住所と異なる場合は重要な郵便物が届かない可能性があります。
例えば、税金の納付書が届かずに滞納してしまったり、還付金の受け取りに問題が生じたりするリスクがあります。
住民票の住所を現住所に変更する手続き(転居届)
住民票の住所が現住所と異なる場合、市区町村役場で転居手続きを行い、住民票を変更する必要があります。住民票の変更は、同じ市区町村内での転居か、異なる市区町村での転居かで手続き方法が異なります。
同じ市区町村内での転居の場合
- 市区町村役場に本人確認書類と「転居届」を提出する
異なる市区町村での転居の場合
- 転居前の市区町村で「転出届」を提出し、
転出証明書を交付してもらう
必要書類:本人確認書類、印鑑、国民健康保険証(加入している場合)
- 転居先の市区町村役場で「転入届」を提出する
必要書類:転出証明書、本人確認書類、印鑑
なお、自治体によっては、マイナンバーカードを利用して、オンラインで転居手続きを行える場合があります。窓口で書類を記入する手間が省けるため、スムーズに手続きを行いたい場合は活用してみましょう。
よくある質問
現住所と住所の違いは何ですか?
住民票を移していない場合、現住所にはどっちを書けばいいですか?
状況によって異なります。公的な書類には住民票の住所を記入する必要がありますが、郵便物の送付先は重要どの応じて現住所と書き分ける必要があります。
学生で寮に住んでいる場合、現住所は何を書けばいいですか?
公的な書類であれば、寮に住民票を移している場合は寮の住所、寮に住民票を移していない場合は実家の住所を書きましょう。履歴書や郵便物の送付先などで現住所を記入する場合は、住民票を移していない場合でも、寮の住所を記入する形で問題ありません。
現住所と本籍の違いは何ですか?
現住所は現在住んでいる場所を指します。本籍は「戸籍」が置かれている場所です。本籍は日本国内であればどこでも置けるため、現住所とは全く異なる場合があります。