ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)を考えるとき、アルバイトの経験を思い浮かべる方もいるのではないでしょうか。
アルバイトでは、努力や挫折、成長といったさまざまなことを経験できます。そのなかで、失敗して学んだことやお客様から感謝された経験、仲間との協力などは、ガクチカとしてアピールするのに役立ちます。
自分の人柄を伝えられるガクチカを作り、ES(エントリーシート)や履歴書、面接で独自のエピソードをアピールしましょう。
この記事でわかること
- 採用担当者の心をつかむガクチカのポイントは「具体性」と「数値」
- 成功体験だけではなく、失敗・挫折経験もガクチカのエピソードになる
- 虚偽の内容や短期間のアルバイト経験はガクチカとして適さない
アルバイト経験はガクチカでのアピールに有効!
ESや面接において、ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)は聞かれる頻度の高い質問です。
アルバイト経験はガクチカとして弱いと悩む方もいますが内容によっては十分アピールできます。
ただし、「4年間アルバイトを続けた」「バイトリーダーを任された」といった抽象的なエピソードのみではアピールとしては不十分になる可能性があります。ガクチカとして伝えるときは、どんなアルバイトをしたかだけではなく、学んだことや感じたこと、失敗を乗り越えた方法を具体的に示すことが重要です。
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ガクチカでアルバイト経験を伝えるのはだめ?差別化できない?
学生の多くがアルバイトを経験しており、「ほかの学生と似たエピソードになるかもしれない」と思うかもしれませんが、具体性や厚みをもたせることで差別化できます。
同じようなジャンルやエピソードの学生がいたとしても、アルバイトの経験を通じてどのように成果を出したり、改善したりしたのかを具体的に伝えるようにしましょう。そうすることで採用担当者は学生の人柄や価値観、経験を把握でき、入社後のイメージができるでしょう。
就活で効果的!ガクチカで伝えるアルバイト経験を考えるときのポイント
アルバイトの経験からガクチカを考えるときは、こちらのポイントに注目しましょう。
1つのアルバイト経験に絞る
1つのエピソードに絞ることで内容が具体的になり、自分の性格や価値観をわかりやすくアピールできます。複数のエピソードを話すと、一貫性に欠け、伝わりづらくなる可能性があります。
複数のアルバイト経験を交えるときは、それぞれのエピソードで長所や性格で矛盾が出ないように順序立てることを意識してみましょう。
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アルバイトでの具体的な行動を強調する
採用担当者がイメージしやすいよう、具体的なエピソードを作ることがガクチカのポイントです。
「バイトリーダーに選ばれ、責任ある仕事も任された」と伝えるだけでは、具体性に欠けてしまいます。ここから、「リーダーとしてメンバーをどうまとめたのか」「売上にどう貢献したのか」「お客様からどんな反応があったのか」などを伝え、自分だけのエピソードにしてみましょう。
どんな行動をしてどんな結果が出たのかを伝えることで、採用担当者は学生の行動力や入社後の活躍をイメージしやすくなります。
アルバイトの経験は、必ずしも成功体験の必要はありません。失敗や挫折したときに乗り越えた方法を述べることも、ガクチカとしてとても魅力的なエピソードになります。
具体性を持たせる経験の例
- 積極的にアイデアを提案・実践し、売上と集客を向上させた経験
- メンバーと協力し、年齢や性別に関係なく円滑なコミュニケーションをとれる環境づくりを行った経験
- 業務内容やスケジュール管理を可視化し、自己管理能力を発揮した経験
成果や実績を数値で示す
成果や実績の数値は、結果や変化をわかりやすく説明するために効果的です。エピソードのなかで数値を活用すると、努力した結果の説得力が増し、採用担当者も内容を理解しやすくなります。
数値で示す例
- 売上の伸び率(売上◯%アップ)
- 集客の伸び率(来店客◯%増加)
- 受賞歴(◯◯賞で1位獲得)
- レビュー数(◯件のレビュー増加)
- ネガティブな数字の変化(廃棄率◯%減)
アルバイト経験から学んだことや成長したことを考える
学んだことや成長したことは、自分の人柄を伝えやすいポイントです。例えば、同じ飲食店のアルバイト経験でも経験した内容は人それぞれであり、ガクチカのエピソードにしたとき差別化できます。
飲食店アルバイトの例
- ランチタイムとディナータイムの間の来店率向上施策を行った
- お客様を意識したメニュー表に改善した
- ご意見ボックスを設置し接客、提供メニューに活かした
企業や業種と合致する内容にする
志望先企業が求める人材の要素に近いガクチカを伝えることで、自己PRにつなげることができます。
自己PRへつなげるために、チームワークやコミュニケーション能力、問題解決力などを活かした経験を伝え、それらが「業務に活かせる」ことをアピールしてみましょう。
企業・業種と合致する例
- 営業職を希望→お客様との円滑なコミュニケーション
- 商品企画を希望→レストランのメニュー考案
ガクチカでアルバイト経験を伝える場合の構成・書き方
ガクチカは、6つの流れで構成すると話が相手に伝わりやすくなります。
1.【結論】学生時代に力を入れたこと
→「学生時代に力を入れたことは、◯◯でのアルバイトです」という結論
2.【背景】きっかけ・理由
→アルバイトを始めたきっかけ、理由
3.【目標・課題】
→アルバイトのなかで自分がどう成長しようとしたか、何を学ぼうとしたか
4.【行動】
→成長や学びのために、どんな行動を起こしたか
5.【成果】
→その行動をしてどんな結果が得られたか
6.【学んだこと・強み】
→結果からどんなことを学び、自分の強みになったのか。そして、社会人として働くなかでどう活かせるのか
最初からガクチカを文章にすることは難しくても、6つの項目を箇条書きにできる方は多いはずです。まずはアルバイトの経験を振り返り、目標や行動、成果をピックアップしてみましょう。
ガクチカの書き方について詳しくは以下の記事もチェックしてみてください!
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ガクチカでアルバイト経験をアピールする場合の例文
ここでは、アルバイト経験をもとにしたガクチカの例を紹介します。
ガクチカを考えるときは、自己分析や企業・業界研究をした就活ノートを準備しておくといいですね!
コンビニの接客【コミュニケーション力をアピールする場合】
コンビニの接客を通して、コミュニケーション能力をアピールするガクチカの例を紹介します。
学生時代に力を入れたことに、コンビニでのアルバイト経験があります。
私は大手コンビニチェーン店でアルバイトをしながら、お客様とのコミュニケーションや接客スキルを磨くことに真剣に取り組みました。忙しい時間帯でも笑顔で丁寧な接客を心がけ、お客様のニーズを理解し、最高のサービスを提供することに尽力しました。また、商品の陳列や在庫管理も担当し、チームと連携して円滑な店舗運営に貢献しました。
その結果、お客様からの高い評価をいただくことにつながり、近隣の方のリピーターも増えました。「いつもありがとう」といった言葉をいただいたときにやりがいを感じます。コンビニのアルバイトを通じて、コミュニケーション能力を向上させることができました。
スーパーの接客【チームワークや問題解決能力をアピールする場合】
スーパーの接客業務を通じて、チームワークや問題解決能力をアピールするガクチカの例を紹介します。
学生時代に力を入れたこととして、スーパーでの接客アルバイト・レジ業務の経験があります。日々多くのお客様を迅速かつ丁寧に対応するための業務効率化に尽力しました。
当初は混雑時のレジの長蛇の列やミスが発生し、ときにはお客様のクレームにつながることがありました。私はその問題を改善するために、混雑時のレジ誘導方法を考案しました。このとき、チームメンバーとの情報共有やアイデアの提案を繰り返し、レジ業務の改善を進めていきました。
この取り組みの結果、お客様の待ち時間の短縮やミスの減少を実現し、お客さまからの意見も良好なものになりました。この経験は、課題発見と改善・効率化への取り組み力を磨き上げることにつながっています。どんな環境でも、常に最善の方法を追求し続ける姿勢が大切だと実感しました。
塾講師【傾聴力やサポート力をアピールする場合】
塾講師の経験と子どもとの関わりから、傾聴力やサポート力をアピールするガクチカの例を紹介します。
学生時代に力を入れたことは、大学2年生から現在まで、地域の塾講師としてアルバイトをしていることです。
小学生のクラスを担当しており、児童一人ひとりに寄り添った指導を行うなかで、好きな学びのスタイルやモチベーションの違いを理解しました。単に答えの導き方を教えるのではなく、答えに至るまでの考え方を伝えることで、子どもの自主的な学びの意欲を引き出すことを目指しました。
勉強が苦手で、思うように点数が伸びず苦しむ児童の悩みに寄り添い、ゴールへ近づくことの楽しさ、褒められることの喜びを伝えていくことができました。4科目の平均70点だった子が90点超えの平均点となり、ご両親にも感謝された経験があります。
その経験から、誰かの背中を押すこと、サポートを継続することが自分の喜びにつながるとわかりました。貴社の業務でも、お客様に寄り添っていきたいです。
居酒屋【状況分析力や周囲を巻き込む力をアピールする場合】
居酒屋のバイトリーダーとしてキッチン業務を行い、状況分析力や周囲を巻き込む力を発揮したガクチカの例を紹介します。
学生時代に力を入れたことは、創作居酒屋のバイトリーダーとして携わったキッチン業務です。この経験を通じて、調理技術やメニューの知識だけでなく、チームでの連携や時間管理の重要性を深く理解することができました。
料理は、素材の持つおいしさを最大限に引き出すアートであり、お客様の笑顔や満足につながると学びました。混雑する時間帯には、迅速かつ正確な調理が求められました。このなかで、私は効率的な作業手順の確立や、チームメンバーとの円滑なコミュニケーションを駆使して、提供する料理の質を維持する努力を重ねてきました。
厨房は、学生や主婦など多様なスタッフで成り立っており、メンバーと円滑に業務を進めるために柔軟な思考や相手を尊重する姿勢が重要だとわかりました。
この経験を通して、プレッシャーがあるなかでも冷静な判断と行動ができる能力を身につけ、チームとしての共同作業の価値を深く認識しました。これらの経験をもとに、今後のキャリアでのチームワークや業務効率化に貢献していきたいと考えております。
飲食店のキッチン【発想力をアピールする場合】
飲食店のキッチン業務を通して、発想力を活かしたガクチカの例を紹介します。
学生時代に力を入れたことは、イタリアンレストランでのキッチン業務とメニュー開発です。
季節ごとに、トレンドや季節の食材をもとに、店長とオリジナルメニューの考案を行いました。その過程で、イタリアの伝統的な料理と新しいアイデアを融合させる楽しさと難しさを経験しました。
メニュー考案は、さまざまな角度からの発想と、既存の枠組みにとらわれない柔軟な思考が求められました。例えば、地元の特産品を使った新しいデザートの提案や、イタリア料理を日本風にアレンジするなど、常に新しいアイデアを練り込む作業は、私の発想力を大きく鍛え上げました。
この経験を通して、指示されたとおり料理を作るスキル以上に、独自の発想で新しい価値を生み出す力を身につけることができました。貴社の商品開発業務でも発想力を活かし、常に新しいアプローチや解決策を提供していきたいと考えています。
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ガクチカでアルバイト経験を伝える場合の注意点
ガクチカを考えるときは、これらのポイントに注意しましょう。
虚偽の内容は伝えない
ガクチカでは、自分の経験や成果を正確に伝えることが重要です。
虚偽の情報を記載すると、面接で深掘りをされたときに具体的な説明をすることが難しくなるでしょう。
実際に経験したことをありのまま伝えることで、信頼性が高まり人柄を伝えやすくなります。
アルバイト先の企業名を出さない
ガクチカのエピソードでは、具体的な企業名を出す必要はありません。アルバイト先の機密情報を守るためにも、企業名は出さずに経験のみを伝えましょう。
店舗名を出す代わりに「地元のカフェ」「大手スーパー」「大手コンビニ」といった表現を用いるのがおすすめです。
また、エピソードのなかで出る特定の業界、店舗だけで使用される専門用語は、相手に伝わらない可能性があります。誰にでも理解できる言葉に置き換えてみてください。
漠然とした表現は使わない
「頑張った」「成果を上げた」「努力を続けた」といった漠然とした表現では、エピソードが伝わりにくくなります。
どんな物事に取り組んだ結果、どういう成果を上げられたのかを、アルバイトのイメージが浮かぶような具体的なエピソードを話に盛り込みましょう。
ガクチカを考えるときは例文やテンプレートのキーワードだけを置き換えるのではなく、実際の経験や成果を用いてオリジナリティのある内容になるように作成してみてください。
短期間のアルバイト経験は伝えない
数カ月でやめてしまったアルバイトや、1回だけの短期アルバイトは、ガクチカとしては深みが出ない可能性があります。特別なエピソードがない限り、長期間続けたアルバイトをもとにガクチカを作成するのがおすすめです。
短期間のアルバイト経験はESで伝えられても、面接で深掘りされた際に、十分な回答ができないことも考えられます。
アルバイト経験のなかでも、長期間行ったものをガクチカのテーマとして取り上げてみましょう。
よくある質問
ガクチカと自己PRの違いは何ですか?
ガクチカとは、ESや面接の自己紹介などで伝える、「学生時代に力を入れたこと」の略です。自己PRとは、学生時代の経験以外も含め、自分の長所や将来の目標、価値観などさまざまな要素をトータルしてアピールすることを指します。
ガクチカと自己PRの違いは、アピールする範囲です。自己PRをする際は、より大きな範囲で自分のいいところを伝えていきましょう。
アルバイトでの飲食店の接客経験をガクチカでアピールしてもいいですか?
飲食店の接客経験も、ガクチカで十分にアピールできます。
お客様とのコミュニケーション能力、対応力、チームワーク、問題解決能力など、エピソード次第でさまざまな経験を伝えられるでしょう。
アルバイトの掛け持ち経験をガクチカでアピールしてもいいですか?
アルバイトを掛け持ちしていたことも、ガクチカのアピールになります。
時間管理能力、効率的な業務の遂行、柔軟性、責任感といった長所のアピールにつながるでしょう。
就活で伝えられそうなガクチカがありません。どうすればいいですか?
ガクチカの内容が思い浮かばないときは、つらかった経験や褒められた経験を振り返ってみましょう。
例えばアルバイトで接客がうまくいかなかったとき、「改善をするために何を考えたか」「どう気持ちを切り替えたか」「改善したきっかけは何だったか」を思い出してみてください。
自分のなかでは小さなできごとだったとしても、ガクチカのエピソードとして考えてみると、自分の長所になることもあるでしょう。