就活で書類を送る際は、「添え状」と呼ばれる書類を同封することが多いです。添え状には、誰から誰へ送られたものか、封筒のなかに何が入っているかを示す役割があります。
選考に直接関わる書類ではありませんが、応募書類などを送る際に作成する機会があるかもしれません。
添え状の必要性や記載する項目、封筒に入れるときの注意点を把握して、正しい書き方を実践しましょう。
この記事でわかること
- 添え状は封筒の中身を示すもので、ビジネスシーンで利用する書類の一種である
- 添え状はパソコンと手書き、どちらで作成してもよい
- 添え状や書類の入れ方、封筒の書き方にも配慮すること
添え状の役割
書類を送る際、必要な書類に加えて添え状を同封することが多いです。
添え状を入れる理由は、誰が、誰に対して、何を送ったのかをわかりやすく伝えるためです。添え状を同封することで、担当者が封筒の中身や概要を把握できます。
添え状の有無が合否に関わるとは考えにくいですが、同封したほうがより丁寧な印象を与えられるでしょう。
白無地のA4サイズ用紙1枚で作成する
添え状の作成には、無地で白色、A4サイズの印刷用紙を利用するケースが多いです。エントリーシートや履歴書、成績証明書もA4サイズであることが多いため、添え状も同じサイズの用紙を選びます。
書類がA4サイズではない場合は、添え状も書類のサイズにあわせるのがおすすめです。
添え状は1枚に収めます。エントリーシートや履歴書とは異なり自己アピールの書類ではないため、必要な内容のみを簡潔に記載します。
手書きよりPC作成がベター
添え状は、企業からの指定がなければ手書きとパソコンどちらで作成しても問題ありません。パソコンで作成するほうが時間がかからず、簡単に修正できるのでおすすめです。
パソコンで作成する際は、Wordなどの文書作成ソフトを使用します。横書きで、フォントは明朝体もしくはゴシック体を選択します。フォントサイズは10.5~12ポイントにすると読みやすいです。
企業から手書きの指定があれば手書きで作成しましょう!
添え状の書き方
添え状を作成する際は、おもに8つの項目を記載します。
- 日付を書く
- 企業名・部署名・担当者の名前を書く
- 自分の情報を書く
- タイトルを書く
- 挨拶を書く
- 用件を書く
- 「記」の下に同封書類を書く
- 「以上」で終える
項目の順番やテキストの位置にも配慮が必要です。添え状を作成したあとは、誤りがないかを十分確認しましょう。
1. 日付を書く
ビジネス文書を作成するルールとして、日付にはポスト投函日を記載します。
「年」は省略せず記載します。西暦、和暦はどちらでも構いませんが、同封する書類の表記と統一するのがおすすめです。
2. 企業名・部署名・担当者の名前を書く
企業名、部署名、担当者名の宛名は左寄せで記載します。「株式会社」と記載するときは、(株)と省略せず書きましょう。「様」と「御中」の使い分けは、以下のとおりです。
- 企業や部署など組織宛:「御中」
- 担当者の個人宛:「様」
個人名を記載する際も、部署名は記載しましょう。企業名と名字のみの場合、名字が同じ社員が在籍していると、誰宛への手紙であるかわからなくなる可能性があります。把握しているのであれば、フルネームを記載しましょう。
担当者名がわからない場合は、「採用ご担当者様」もしくは「人事部御中」などと記載します。
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3. 自分の情報を書く
自分の連絡先は右寄せで記載します。連絡先の項目は、以下のとおりです。
- 氏名
- 学校名
- 学部名
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
学校名や学部名、住所は省略せずに記載します。電話番号は、日中に連絡がとれるスマートフォンの電話番号を書きましょう。
メールアドレスはプライベートで使用するものではなく、学校で割り振られたものや就活用に作成したものを使用するのが望ましいです。 就活で使用するメールアドレスを分けておくと、企業からのメールを管理しやすくなります。
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4. タイトルを書く
添え状の内容が一目でわかるよう、タイトルは中央揃えで記載します。ほかの文字よりフォントサイズを少し大きくすると、読みやすくバランスもよくなります。
タイトルには、どんな書類を同封したかを記載しましょう。
タイトルの例
- 応募書類の送付につきまして
- 成績証明書の送付につきまして
- 内定承諾書の送付につきまして
5. 挨拶を書く
添え状などのビジネス文書では、用件の前に挨拶を記載します。そして頭語である「拝啓」のあとに、挨拶を入れます。
挨拶の例
- 拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます
- 拝啓 貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます
そのほかに、季節に関する挨拶を入れることもあります。この場合、その月にあう時候の挨拶を入れる必要があるため、書類を郵送するタイミングにあう挨拶を把握しておきましょう。
時候の挨拶を入れる例
- 拝啓 陽春の候、貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます
- 拝啓 秋冷の候、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます
インターネットで「時候の挨拶 ◯月」などのキーワードで検索してみよう!
送り先が企業ではない場合は、「貴社」をほかの言葉に替えます。
組織名 | 敬称 |
官公庁(市役所など) | 貴役所、貴省、貴庁など |
社会福祉法人・独立行政法人 | 貴法人 |
財団法人・社団法人・NPO | 貴法人、貴団体 |
6. 用件を書く
学校名、氏名を記載し、同封している書類について簡潔に記載します。添え状には、志望動機や自己PRを記載する必要はありません。
文章の末尾には結びの挨拶を書き、結語を入れます。頭語が「拝啓」の場合、結語は右寄せで「敬具」と書きます。
結びの挨拶の例
- ご査収のほどよろしくお願い申し上げます
- 何卒よろしくお願い申し上げます
7. 「記」の下に同封書類を書く
「記」は、文書のなかで特に伝えたい内容を箇条書きで書く欄であり、記書き(きがき)といいます。
添え状では、中央揃えで「記」を一文字と記載した下に、同封する書類と部数を箇条書きします。
書類は、添え状に記載した順番に並べて封筒に入れましょう。自分自身にとっては書類の入れ忘れ防止になり、書類を受け取った担当者は書類の漏れがないか確認しやすくなります。
8. 「以上」で終える
最後に、左寄せで「以上」と記載します。「以上」は、記書きの「記」と対になるものであり、必要な情報はここまでであると示しています。
最後まで書き終えたら、誤字や脱字がないか、内容に間違いがないかを確認しましょう。
複数社に添え状を送る際は、企業名や部署名が別の企業の内容になっていないか十分に確認する必要があります。
添え状を入れる封筒の書き方
添え状と提出書類を入れる封筒の書き方も重要なポイントです。
添え状、書類を折らずに入れられる、角形2号サイズの封筒を用意します。茶色ではなく、白色の封筒を利用するのがおすすめです。
封筒に書いた文字が消えないよう、黒色で油性のボールペンで記載します。
表面の書き方
封筒の表面には、送り先である企業の住所、企業名を書きます。添え状と同様に、企業名や「株式会社」は省略せず記載しましょう。
封筒の左側には、封筒の中身が何であるかが一目でわかるように「応募書類在中」「履歴書在中」と赤い文字で記載します。
裏面の書き方
封筒の裏面には、自宅の郵便番号、住所、氏名と学校名、学部名を記載します。裏面に記載する文字の大きさは、表面よりも小さい文字にするのが望ましいです。
書類を入れたあとは封をして、封筒のふた部分に「〆」と記載しましょう。
添え状を封筒へ入れるときのポイント
添え状や提出書類を封筒に入れるときは、書類の順番や取り扱い方を意識しましょう。
添え状を一番上に、提出書類は記載した順番で同封する
封筒に入っている書類が何かをすぐに確認できるよう、一番上に添え状を入れます。
添え状は担当者が封筒から中身を出し、最初に目にする書類であることから、書類の間や最後に入れると、本来の役割を果たせません。
封筒に書類を入れる順番は、添え状の記書きで記載したとおりです。添え状に書いた内容と相違がないか、入れ忘れがないかを確認しながら準備しましょう。
クリアファイルに挟んでから封筒へ入れる
書類をクリアファイルに入れることで、配達中に書類の文字が雨でにじんだり、書類が折れたりすることを防げます。
使用するクリアファイルは、透明で無地、新品のものを用意しましょう。
作成した書類を見返す可能性があるときは、ポスト投函の直前に封をするのがおすすめです!
好ましくない添え状の例
好ましくない添え状とは、定型文だけを記載したものや、不要な情報を入れたものです。
添え状のようなビジネス文書は定型文が多く、データや例文をコピーして作成することもありますが、確認を怠るとミスが発生する可能性もあります。書類によって日付、企業名、用件などは異なるため、コピー元から一部分のみ変更して作成する際は、変更漏れなどの誤りがないか入念に確認しましょう。
添え状の役割は、誰が、誰に対して、何を送ったのかをわかりやすく伝えるものであり、志望動機や自己PRは不要です。
添え状は封筒の中身を示すものです。アピールになる情報は応募書類などに記載しましょう。
よくある質問
添え状は必ず送ったほうがいいですか?
必ずしも送らなければならないわけではありませんが、添え状は誰から誰へ、何を送ったのかをわかりやすく伝える役割があるため、同封することが多いです。ビジネスシーンでは添え状を同封する機会が多く、丁寧な印象を与えることもできます。
添え状がないという理由だけで、選考にマイナスの影響を与えることは考えにくいですが、社会人の一員になることを意識して、送付するのがおすすめです。
添え状はどんな用紙を使用するのがいいですか?
添え状は、無地で白色、A4サイズの印刷用紙を使用するケースが多いです。
履歴書やエントリーシート、成績証明書といった同封書類の多くはA4サイズであるため、添え状もA4サイズを利用します。
提出書類がB5などほかのサイズであった場合は、添え状もそのサイズにあわせるのがおすすめです。
添え状に志望動機や自己PRを書いたほうがいいですか?
添え状は、同封した書類の種類を示すものであるため、志望動機や自己PRを記載する必要はありません。
志望動機や自己PRを記載してしまうと添え状の本来の目的とずれてしまうため、記載は避けましょう。
添え状を手書きにする場合の書き方を教えてください。
添え状を手書きで作成する場合は、無地または縦に罫線が入っている白色の便箋を使用します。記載する内容はパソコンで作成するときと同じですが、縦書きにすることが多いです。
黒色で油性のボールペンを使用します。書き間違えたときは修正液や修正テープを使用せず、新しい便箋に書き直します。丁寧で読みやすい字を心がけましょう。
履歴書を持参するとき、送付状・添え状は必要ですか?
面接会場などに履歴書を持参する際は、添え状は必要ありません。封筒から応募書類を出して、担当者に渡しましょう。