業界・企業研究

理学部の就職先にはどこがある?就活で不利と言われる理由と有利に進めるコツ

理学部 就職先 アイキャッチ

理学部を卒業した方が活躍する業界は、IT系、インフラ系、メーカー系などさまざまです。「理学部は就職に不利だ」と言われることはありますが、学んだ知識を存分に活かせる職種、職業も存在しているため過度に不安になる必要はありません

自己分析などをしっかり行うことで、自分がどんな業界、職種を目指すか、適性があるかを判断しやすくなります。将来の自分をイメージしながら、就活を進めていきましょう。

この記事でわかること

  • 大学によっては大学院に進学する学生が多い
  • 理学部で学んだ知識を活かせる職種・職業は多く存在する
  • 在学中に資格取得を目指すことで、就活を有利に進められる可能性ある

理学部は就職できない・不利って本当?

理学部には、一部で「就職に不利」「就職できない」という声が挙がっているようですが、そのようなことはありません。理学部で学べることには専門的な分野が多く、関連する業界・企業に就職し活躍する人がいます。もちろん、専攻している分野とは異なる場所で活躍する人も多く存在します。

就職に不利、有利といったことを考えすぎず就活を進めていきましょう。

学科によって就職先の特徴は異なる

「理学部」のなかには次のような学科があります。

  • 物理学科
  • 化学科
  • 数学科
  • 生物学科
  • 地学科 など

学科によって身につけられる知識、スキル、資格などは異なり、向いている企業が異なります。向いている企業であれば、就職後に即戦力となるため、選考が有利になると考えられます。学校で学んだことを活かせる企業を見つけるために、業界研究・企業研究などを行うことが重要になるでしょう。

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理学部は大学院に進学する学生もいる

理学部は、大学によっては就職よりも大学院に進学する学生が多い点が特徴です。

なかには、70~80%の学生が大学院へ進学する大学もあります。進学率、就職率は大学によって大きく異なり、その学校の特色によるといえるでしょう。

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自分の大学のデータが知りたい方は、キャリア支援センターなどで確認してみてください。

就職と大学院進学、どちらがいい?

「大学院に進学する人が多いから」「就職する人が多いから」といったように、学校や友人の環境に影響されることがあるかもしれません。就職と大学院への進学どちらを選択すべきかは、自分がどんな道を歩みたいかを重視して決めましょう。

進路で迷っている方は、キャリア支援センターや就活エージェント、就職・進学した先輩に相談してみるのがおすすめです。

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周囲に流されることなく、自分が後悔しない選択をしましょう!

【業界別】理学部の学生に多い就職先

働きたい職種、企業がイメージできていない方は、まず業界から考えてみましょう。理学部の学生に多い就職先の業界は次のとおりです。

IT・情報通信

理学部のなかでも、数学科などを専攻した学生は、ITに関連する業界を選択することがあります。IT、情報通信の業界は幅広く、細分化すると次のような企業があります。

  • ソフトウェア
  • ハードウェア
  • 情報処理
  • インターネット
  • 通信インフラ など

昨今は新しい技術の発展が目覚ましく、新しい知識やスキルを身につけることが求められるでしょう。

こんな人におすすめ

  • 最新の技術に興味がある
  • 新たなことへの挑戦に抵抗がない
  • 論理的思考力が高い

電子デバイス

電子デバイス業界は、IT・情報通信と似ている部分はありますが、取り扱う製品・サービスが異なります。

電子デバイス業界では、おもに家電や医療機器、産業用ロボットなどの半導体、電子回路、電気部品の製造・設計を行います。

こんな人におすすめ

  • 技術革新に興味がある
  • 電気・電子工学の分野に興味がある
  • 実験・開発のような根気の必要な作業が得意

化学製薬

化学製薬業界では、次のような製品の加工・製造を行います。

  • 有機/無機化学品などの基礎化学品
  • プラスチックや合成樹脂
  • 合成繊維などの石油化学製品
  • 農薬・肥料
  • 洗剤や化粧品 など

企業によって取り扱う製品はさまざまで、日常生活に関連するもの、産業・医療を専門とするものまで多岐にわたります。

こんな人におすすめ

  • 最新の科学技術を学びたい
  • 化学・薬学に興味がある
  • 細部にこだわることが得意

インフラ

インフラは人々の生活を支える基盤であり、細分化すると次のような企業があります。

  • 電気
  • ガス
  • 水道
  • 交通(道路・鉄道・空港・港湾) など

インフラ業界では、これら設備の設計や構築、保守を行うことが特徴です。

こんな人におすすめ

  • 社会に貢献したい
  • 環境を意識した仕事に興味がある
  • プロジェクト管理能力がある

メーカー

メーカーでは、製品の開発・製造を行い、次のような分野が存在します。

  • 電気機器
  • 医薬品
  • 衣料品
  • 食品
  • 住宅 など

専攻した学科によって、学んだ知識を活かせるメーカーは異なるでしょう。

こんな人におすすめ

  • ものづくりに興味がある
  • チームワークを重視しながら働きたい
  • 問題解決能力が高い

金融(銀行・証券・保険)

金融業界には、銀行や証券会社、保険会社といった金融機関があります。

例えば、論理的根拠をもってデータ分析を行うスキルは、金融商品の開発や資産運用など幅広い分野で役立つでしょう。

こんな人におすすめ

  • 国内・世界の経済、金融情勢に興味がある
  • 安定した給与を求めている
  • 論理的思考力が身についている

教育

教育業界には学校以外にも、学習塾や予備校、家庭教師などがあります。いずれも自分が教員・講師となり、勉強を通じて学生に指導を行います。

理学部の場合、専攻する学科により異なりますが、数学、物理、化学、生物などの教科を教えることができるでしょう。

こんな人におすすめ

  • 子どもの成長にやりがいを感じる
  • 教育に対して興味がある
  • 忍耐力がある

コンサルティング

コンサルティングとは、専門的な知識を用いて顧客にアドバイス・サポートを行うことです。コンサルティング業界には、総合系、戦略系、IT系などがあり、企業によって得意分野は異なります。

理学部ならではの論理的思考力は、コンサルティング業界で活かせる可能性があります。

こんな人におすすめ

  • 課題の洗い出し・分析・解決が好き
  • 業務のなかで自分も成長したい
  • コミュニケーション能力が高い

【職種別】理学部の学生に多い就職先

職種とは、業務内容の種類を指します。さまざまな職種が存在しますが、理学部の方は次のような職種を目指す方が多いでしょう。

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研究開発

研究開発職は、製品を製造するための技術・知識を研究し、その結果をもとに製品の開発・実用化を目指す業務を行います。

研究開発職のなかでも「基礎研究」と「応用研究」に分かれることがあり、業務内容も異なることが特徴です。

  • 基礎研究:仮説や理論を形成する、新しい知識を得るための理論的、実験的に行う研究
  • 応用研究:基礎研究によって発見された知識を利用して、特定の目標を定めて実用化の可能性を確かめる研究

自分が携わった研究が、製品やサービスとなり世の中へ広がっていくことがやりがいといえるでしょう。

こんな人におすすめ

  • 探究心が強い
  • チームワークを重視した環境で働きたい
  • 発想力がある

生産技術

生産技術とは、生産ラインの立ち上げ、管理といった製造プロセス全般です。生産技術のなかに、原料の加工、組み立て、品質管理、検査、在庫管理といった部署が存在します。

あらゆるメーカーの製造工程で生産技術職が存在しており、従業員、現場責任者、ときには役員など幅広い立場、年齢の社員と携わることが特徴です。

こんな人におすすめ

  • 製品の製造プロセスに興味がある
  • チームワークを重視した環境で働きたい
  • 積極的に業務の効率化・改善の提案ができる

資材調達

資材調達とは、製品の製造に必要な原材料や機材などの仕入れを行う業務です。

ただ商品を購入するだけではなく、仕入れ先の開拓や価格交渉を行ったり、生産技術など他部署と連携して業務を進めたりと、業務内容の幅広さが特徴です。

こんな人におすすめ

  • 市場分析に興味がある
  • コミュニケーション能力、交渉力を活かしたい
  • 思考・行動の柔軟性がある

設計

設計職は、デザイナーや開発者が起こしたアイデアを図面に落とし込む業務を行います。建築、機械、社会インフラ、自動車などさまざまな企業で活躍する職種です。

設計ではCADなどのソフトを用いるため、CADの操作や設計に関連する知識があるとアピールにつなげられるでしょう。

こんな人におすすめ

  • 創造力・想像力に自信がある
  • 機械・建築に関連する業務に興味がある
  • 正確さが求められる細かな作業が得意

【職業別】理学部の学生に多い就職先

ここでは、より細かな職業別の就職先を紹介します。

ITエンジニア

ITエンジニアとは、IT(情報技術)を取り扱う技術者の総称です。ITエンジニアは、ソフトウェアの開発、ITインフラの設計・構築・運用・保守などを行います。

ITエンジニアを細分化すると、次のように分類することができます。

ソフトウェアの開発

  • SE(システムエンジニア)
  • ゲームエンジニア
  • プログラマー など

ITインフラ

  • ネットワークエンジニア
  • サーバーエンジニア
  • セキュリティエンジニア など

ITエンジニアの場合、プログラミングに関する知識が必要です。学校でプログラミングを学んだ経験がある方の場合、ITエンジニアが選択肢のひとつとして考えられるでしょう。

データサイエンティスト

データサイエンティストとは、大量のデータから有用な情報、パターンを見つけ、課題解決、意志決定を支援する職業です。

業務内容には、データの収集、整理、分析を行うだけではなく、プレゼンをする機会もあります。データ解析や統計、プログラミングといった知識に加え、ビジネスに関連する知識やコミュニケーション能力など、幅広い知識が必要になるでしょう。

測量技術者

測量技術者とは、道路や建物を造るために必要な、土地の位置・形状を測量する職業です。

測量技術者になるためには、「測量士」または「測量士補」と呼ばれる国家資格の取得が必要です。

理学部のなかでも、地学科や理工学部で土木工学を学んだ方は知識を活かせるでしょう。

教員

理学部を卒業し、学校の教員として働く選択肢もあります。資格の取得が必要であり、教員として働くためには、次のような手順を踏みます。

  1. 教員養成課程のある学校へ進学
  2. 教職課程を履修(教育実習含む)
  3. 教員免許を取得
  4. 教員採用試験に合格
  5. 教員として働く

専攻する学科により異なりますが、理学部の場合は数学、化学、物理、生物の中学・高校教員免許の取得が目指せるでしょう。

人事

教員免許については「教育職員免許状」で詳しく紹介しています。

臨床検査技師

臨床検査技師とは、病気の診断、治療の効果を知るための検査を行う職業です。活躍できる場は病院以外にも、製薬会社や保健所などがあります。

臨床検査技師の資格は国家資格であり、病院での実習を含む単位の取得が必要です。

電気工事士

電気工事士は、機器の据え付けや配線、コンセント・照明器具などの取り付けといった、電気を利用するための設備を行います。

「電気工事士」は職種であり、そのなかに、エアコン取付作業員、屋内電気配線工事作業員、太陽光発電据付作業員などさまざまな職業が存在します。

電気工事士が働く現場には、一般的な住宅のほか、商業施設やビル、工場などさまざまです。

アクチュアリー

アクチュアリーとは、生命保険や損害保険に関連する業務を行う職業です。

例えば、医療や災害における生存率・死亡率、事故発生率などのデータから、保険料や年金を算出する業務などを行います。アクチュアリーが行う業務では、統計学など高度で専門的な知識が求められるでしょう。

「アクチュアリー」として業務を行うためには、アクチュアリーの資格試験に合格し、会員として認定される必要があります。

理学部の学生におすすめの資格・スキル

理学部の学生が取得を目指せる資格、スキルは次のとおりです。

人事

就職に役立つ資格、スキルはこのほかにも多数存在します。自分が興味のある資格取得を目指して、スキルアップをしていきましょう。

ITパスポート

ITパスポートとは、ITに関する基礎的な知識が証明できる国家資格です。

ITパスポートの試験勉強をすることで、企業コンプライアンス、情報セキュリティに関する知識、モラルを身につけることができます。学校で学んできたことが、試験に活かせることもあるでそう。

就活では、ES(エントリーシート)や面接でアピールすることも可能です。

ITパスポートの受験資格は、特にありません。在学中、卒業後どのタイミングでも受験することができます。

毒物劇物取扱責任者

毒物劇物取扱責任者とは、毒物や劇物の製造、輸入、販売などを行う企業において、危害防止にあたる責任者を指します。劇物や毒物を取り扱う企業では、この責任者を置かなければなりません。

資格取得条件は、都道府県実施の試験に合格した人や薬剤師以外にも、「厚生労働省令で定められた学校で特定の学課を修了した者」です。理学部の場合、有資格者になれる可能性があります。資格取得を目指している方は、単位の取得を目指してみましょう。

人事

卒業証明書や単位取得証明書が、毒物劇物取扱責任者の資格を有していることの証明です。

危険物取扱者(甲種)

危険物取扱者とは、一定数量以上の危険物を貯蔵、取り扱う化学工場などの施設に置かなければ資格者であり、取扱、点検、保安の監督を行います。

危険物取扱者には「丙種」「乙種」「甲種」があり、資格によって取り扱える危険物が異なることが特徴です。

丙種、乙種の取得には受験資格はありませんが、甲種では「大学等において化学に関する学科等を修めて卒業した者」「大学等において化学に関する授業科目を15単位以上修得した者」といった条件があります。理学部の学生の場合、これに該当する可能性があるでしょう。

教育職員免許状

教育職員免許状は、「教員免許」の正式名称であり、都道府県の教育委員会が発行しています。

教員として登壇するためには、教員免許の取得に加え、都道府県の教員採用試験に合格、私立の場合は、学校法人が行う採用試験への合格が必要です。

教員免許の資格を取得するためには、在学中の大学が教職課程を設けているかが重要です。大学に教職課程が存在しない場合、在学中に教員免許の取得ができません

ただし、大学で教職課程が履修できない場合でも、教員資格認定試験に合格することで教員免許を取得できる可能性があります。今後、教員として活躍したい方は、認定試験に挑戦してみてもいいかもしれません。

理学部の学生が就活を成功させるポイント

就活を成功させるためには、次のポイントを押さえて行動を開始してみましょう。

早めに就活をスタートする

早く情報収集を始めるなど、よいスタートダッシュを切ることで有利に進められる可能性があります。

企業説明会やインターンなど就活に関連するイベントは、参加が先着順だったり募集期間が短かったりすることがあります。そういった場合でも、早くから情報収集を開始していれば、チャンスに恵まれる機会は増えるでしょう。

周囲のペースに巻き込まれることなく、自分のペースを意識して就活をはじめてみてください。

人事

友人がまだ就活をしていなくても、自分が「始めたい」と思ったタイミングで開始しましょう!

自己分析を十分に行う

自己分析とは、これまでの経験を振り返り、自分の能力や強み・弱みなどを分析して言語化することです。

理学部で学んだことは仕事でどう活かせるのか、どんな働き方が理想なのか、どんな企業で活躍したいのかを見つけるためには自己分析が欠かせません。

自己分析は頭の中だけで想像するのではなく、ノートに書く、パソコンやタブレットを使って文字にするなど可視化が重要です。

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OB・OG訪問を行う

OB・OG訪問を行い、理学部の就活はどんなものだったかを直接聞いてみるのもおすすめです。

先輩の就活の進め方、先輩の友人の就職先などさまざまな情報を聞いてみましょう。

大学院進学と就職で迷っている方は、進学した先輩に話を聞いてもいいかもしれません。

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気になるインターンは積極的に参加する

インターンには次のようなメリットがあります。

  • 企業・業界・職種などの適性を知るきっかけになる
  • 自分の強み・弱みを知れる
  • 就活に対するモチベーションが高められる

インターンの内容によっては、今あるスキルをさらに高められるものもあります。

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よくある質問

理学部は就職に不利・できないと言われますが本当ですか?

「就職に不利」と言われることもありますが、必ずしもそうではありません。

学校で学んだことを活かし就職する方もいれば、異なる新たなジャンルに挑戦して活躍する方もいます。

「不利」と言われてネガティブになるかもしれませんが、自分なりに就活を進めることで、活躍できる企業や業界、職種を見つけられるはずです。

理学部の就職先にはどんな仕事はありますか?

理学部の就職先(業界)には、おもに次のようなものがあります。

・ITエンジニア
・データサイエンティスト
・測量技術者
・教員
・臨床検査技師
・電気工事士
アクチュアリー

ここで紹介している職業は一例です。これら以外にもさまざまな職業で活躍できるでしょう。各職業の詳細は「【職業別】理学部の学生に多い就職先」で紹介しています。

理学部の進路として、就職と大学院どちらがおすすめですか?

4年間で学ぶことに加え、さらに専門的な知識を身につけたうえで就職したい方は、大学院への進学という選択肢もあります。

社会に出て経験を積みたい、収入を得たい方は進学をせず就職をするという選択も可能です。

大学院への進学、就職どちらの場合でも、周囲に流されず自分の意志で進路を決定することが大切です。

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