農学部のおもな就職先の企業・職種を紹介！卒業後の進路の選び方や対策を紹介

農学部の就職先は農業関係の仕事だけでなく、幅広い企業や職種の選択肢があります。農学部で学んだ知識を活かせる仕事は多岐にわたるので、視野を広げることで、自分に合った就職先を見つけることができるでしょう。

この記事では、農学部のおもな就職先や、選考を通過するためのポイント、農学部の学生におすすめの資格やスキルなどを詳しく解説します。

農学部のおもな就職先【企業】

農学部卒業生のおもな就職先には、次のような企業があります。

• 農業関連企業
• 食品メーカー
• 地方自治体や国の農業関連の部署
• 研究機関・大学
• 農業協同組合（JA）
• バイオテクノロジー関連企業
• 環境関連企業

それぞれ詳しく見ていきましょう。

農業関連企業

農業関連企業には、農薬や肥料の製造・販売を行う企業、種苗メーカー、農業機械メーカーなどが含まれます。これらの企業では、農薬や肥料、種子、農業機械などの開発・販売に携わりながら、農業の生産性向上や環境保護に取り組む機会があります。

なかには、最新の農業技術や持続可能な農業の普及にも取り組んでいる企業もあります。農学部で学んだ知識を直接活かせることが魅力です。

食品メーカー

食品メーカーでは、製菓、冷凍食品、乳製品、調味料などの加工食品から、食肉製品、水産品、飲料、健康食品まで、幅広い分野で事業を展開しています。

おもな業務には、品質管理、製品開発、商品企画などがあります。農学部で学んだ知識を活かし、食品の安全性を確保しながら、新商品の開発に携われる点が魅力です。

地方自治体や国の農業関連の部署

地方自治体や国の農業関連部署で地方公務員として働く選択肢もあります。例えば、農林水産省や国土交通省、環境省などがあります。農村の活性化、食料供給の安定、環境保全を目指す施策に関わるため、農学部で学んだ知識を地域社会や農業の現場で活かせる仕事です。

現場のニーズを反映させた政策立案や、農業支援活動を通じて、地域の発展や持続可能な農業を支える取り組みができる点が魅力です。

研究機関・大学

農業や環境、バイオテクノロジーに関連する研究機関や大学では、農学の知識を活かして基礎研究や技術開発に携わることができます。具体的には、新しい技術や品種の開発、環境保全に関する研究を通じて、農業や環境の課題に取り組みます。

研究機関や大学でのキャリアは、農学分野での知識をさらに深めたい方や、研究を続けたい方にとって魅力的な選択肢といえるでしょう。

農業協同組合（JA）

農業協同組合（JA）は、地域の農業を支援し、農家と消費者をつなぐ役割を担う組織です。おもな業務としては、農業経営の指導や金融業務などがあり、農家の経営改善や農業の発展に向けたサポートを行います。

地域の農業と密接に関わることになるため、農業に興味があり、地域社会に根ざした仕事を希望する方におすすめです。

バイオテクノロジー関連企業

農学の知識を活かして、製薬会社のバイオテクノロジー分野で働く選択肢もあります。バイオテクノロジー関連企業や製薬業界では、遺伝子組み換えや新薬開発の研究が進められており、農業分野だけでなく医療分野でもその応用が期待されています。

社会の課題解決に役立つ技術開発に携われるため、先端技術に興味がある方におすすめです。

環境関連企業

環境関連企業では、農学の知識を活かして環境保護や再生可能エネルギーの分野で活躍できます。具体的には、環境コンサルティング、リサイクル関連事業、環境アセスメント、生態系保全、水質浄化技術の開発などが挙げられます。

農学部で学んだ専門知識を活かしながら、地球規模の課題解決に取り組める点が魅力です。

農学部のおもな就職先【職種】

農学部の卒業生が活躍できる職種には、営業職、製造技術職、研究職などさまざまな選択肢があります。それぞれの職種について詳しく説明します。

• 営業職
• 製造技術職
• 研究職
• 品質管理職
• コンサルタント
• 公務員
• 企画・マーケティング職
• 育種家
• 飼育員
• グリーンコーディネーター

営業職

肥料、農薬、種子、農業機械などの農業関連製品や、食品を販売する企業での営業職は、農学部の学生におすすめの職種です。農家や農業法人、食品メーカーなどに製品やサービスを提案・販売する営業職のほか、医療機関の医師や薬剤師に自社の医薬品について情報提供を行う「MR（医薬情報担当者）」として活躍する方もいます。

営業職では、顧客との信頼関係を構築し、課題解決に向けた提案を行うことが求められます。農学の専門知識があることで、特に技術的な側面で顧客からの信頼を得やすいでしょう。

製造技術職

製造技術職は、食品メーカーや農業機械メーカーで、製品の製造プロセスに携わる技術職です。製品の品質管理や生産効率の改善、製造ラインの最適化などを担当します。

農学部で学んだ科学的知識や技術を活かし、製品の品質向上や生産性向上を目指せます。ものづくりに興味があり、自身の技術力を発揮したい方におすすめです。

研究職

農業や食品、バイオテクノロジー分野での研究職は、農産物の品種改良や生産技術の向上、食品の安全性向上、新技術の開発に関わる仕事です。おもな企業としては、農業関連企業、食品メーカー、バイオテクノロジー関連企業、大学や研究機関などがあります。

研究職では、学術的な知識と実験技術を活かし、新しい技術や製品を生み出すことが求められます。長期的に研究に取り組みたい方や、新技術の開発に関わりたい方におすすめです。

品質管理職

食品メーカーや農業関連企業での品質管理職は、製品の品質を維持し、安全性を確保するための業務に携わります。特に近年では、食品の安全性や環境問題への関心が高まるなか、品質管理職の重要性も増しています。

品質管理職では、農産物や加工食品が安全で一定の品質を保つように、検査や規格基準にもとづいて管理を行います。農学部で培った専門知識を活かし、消費者に信頼される製品を提供できることは、大きなやりがいにつながるでしょう。

コンサルタント

経営や生産の改善に関するアドバイスを行うコンサルタントになる道もあります。

分野によって仕事内容は異なりますが、例えば農業コンサルタントの場合、農業経営者に対して、効率的で持続可能な農業経営を実現するための農作物の選定や育成、販売方法などがおもな仕事です。

環境コンサルタントとして、企業や自治体と連携し、環境に配慮した農業の推進や環境対策を支援を行う仕事もあります。農業や環境関連の現場に直接関わり、課題解決に取り組める点が大きな魅力です。

公務員

農林水産省や国土交通省、地方自治体の農業関連部署で、農業政策の策定や農家支援を行う公務員になる道もひとつの選択肢です。

例えば農林水産省では、食料の安定供給、農林水産業・食品産業の発展、農林水産物・食品の輸出促進など、幅広い政策を担っています。地方自治体の農業関連部署では、農業振興や農家支援、農村開発計画などに携わる仕事があります。

安定した職業でありながら、政策面から地域や国全体の農業を支える役割を担えることが魅力です。

企画・マーケティング職

農産物を扱う企業や流通業者で、農産物や農業技術の市場拡大を目指す職種です。農産物の販売促進や新規事業の企画、マーケティング戦略の立案などを担当します。新しい農業技術やビジネスモデルを企画し、推進できる職種です。

農学部で学んだ知識を活かしながら、消費者や市場のニーズを捉えて新しい価値を生み出すことで、達成感や充実感を得られるでしょう。

育種家

育種家は、農作物や家畜の品種改良を行う仕事です。より多くの作物を収穫できるようにしたり、病気に強く品質のよい作物を育てたりするために、遺伝学や栽培技術、繁殖技術を使って改良を行います。

育種家は、農学部で学んだ遺伝学や生物学の知識が活かせる仕事です。自分の研究成果が実際の農業に役立ち、農業の発展や食糧問題の解決につながることで、達成感を得られるでしょう。

飼育員

飼育員は、動物園や水族館で動物の世話や管理を行います。動物の健康状態の維持や環境の整備、動物の生態に関する研究などを担当します。動物の生態や行動に関する知識が求められるため、農学部で学んだ動物科学や生物学の知識が役立ちます。

グリーンコーディネーター

グリーンコーディネーターは、庭園や公園、建物の周辺に植物を植え、景観や環境を美しく整える仕事です。植物に関する知識とデザインのスキルが必要で、農学部で学んだ植物学や園芸学の知識を活かすことができます。自然環境を美しく保ちながら、人々に癒しや快適な空間を提供できる点が魅力です。

農学部の就職は厳しい？農学部卒業生の就職率

農学部の就職に関して「厳しい」「不利になるのでは」などの不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、農学部の卒業生にとって就職は決して厳しい状況ではなく、むしろ比較的高い就職率を誇っています。

「大学通信オンライン」が公表している大学就職実績によると、農学系学部の実就職率は非常に高くなっています。例えば、名城大学は90％以上、東京農業大学や近畿大学では95％前後の実績があります（※）。
※参考：2023年 大学就職実績 学部系統別実就職率 農学系｜大学通信オンライン

農学部における年収の高い就職先

農学部の卒業生が就職する業界のなかで収入が高いとされる業界には、食品メーカー、製薬会社、化粧品メーカーなどがあります。特に食品業界は、農学部出身者の代表的な就職先であり、その範囲は製菓や乳製品、調味料などの加工食品から、食肉製品や水産物、飲料、健康食品まで多岐にわたります。

さらに、農学部でバイオサイエンスや生物学を学んだ学生にとって、製薬会社もおすすめの就職先です。同様に、バイオサイエンスの知識が活かせる業界として化粧品メーカーも挙げられます。これらの分野では、研究職が比較的高い年収を得られる傾向にあります。

農学部卒業学生の就職先の選び方

農学部の学生が就職先を選ぶ際には、専門知識を活かしつつ、興味やキャリアの方向性に合った企業や職種を見極めることが重要です。

• 興味のある分野を明確にする
• 自身のキャリアビジョンを考える
• 企業のビジョンや理念とマッチするか確認する
• 資格やスキルを活かせる企業を選ぶ

興味のある分野を明確にする

農学部で学ぶ知識は幅広いため、自分が特に興味を持っている分野を明確にすることが、就職先選びの第一歩です。例えば、食品や農業に関心がある場合、食品メーカーや農業関連企業が候補に挙げられます。

環境保護や再生可能エネルギーに興味がある場合は、環境関連企業やエコロジーに取り組む企業が選択肢になります。このように興味が明確になると、就職先を絞り込みやすくなるでしょう。

自身のキャリアビジョンを考える

自分がどんなキャリアを築きたいかを考え、長期的なキャリアプランを整理することも大切です。例えば、「研究職や技術職として専門知識を深めたい」「営業職やマネジメント職で幅広い業務経験を積みたい」など、希望するキャリアによって、適した企業は変わってきます。

業務を限定せず、さまざまな仕事に幅広く挑戦したい場合は、農業関連のベンチャー企業で、チャレンジングなキャリアを目指すこともおすすめです。

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企業のビジョンや理念とマッチするか確認する

就職を希望する企業が、どんなビジョンや理念を掲げているかを確認することも重要です。例えば、持続可能な農業を推進する企業やエコロジーに力を入れている企業の場合は、「その理念に共感できるか」を判断基準にしてみましょう。

特に、農学部の知識は環境や社会問題と密接に関連していることが多いため、企業のビジョンや理念に共感して働くことがやりがいにもつながります。

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資格やスキルを活かせる企業を選ぶ

農学部で得た資格やスキルを活かせる企業を選ぶことも大切です。

例えば、食品衛生管理者や農薬取締法に関する知識がある場合、これらの資格を活かせる農業関連企業や食品メーカーへの就職は、魅力的な選択肢となるでしょう。バイオテクノロジーやデータ分析のスキルがある場合、研究開発職を視野に入れることもおすすめです。

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農学部の学生におすすめの資格・スキル

就活に向けて、農学部の学生が取得しておくと有利な資格やスキルを紹介します。

• 農業関連の資格
• 食品業界向け資格

農業関連の資格

農学部生が就職する際に有利となる資格としては、次の2つがあります。

資格名称	特徴
農業技術検定	農業に関する基礎的な知識を 証明する資格
危険物取扱者	危険物を取り扱う際に 必要な国家資格
毒物劇物取扱責任者	毒物や劇物を適切に 保管・管理するための資格

食品業界向け資格

食品関連企業を志望する場合は、次の3つの資格取得を検討してみましょう。

資格名称	特徴
食品衛生責任者	飲食業や食品加工業での 衛生管理を行うための資格
HACCP管理者 （ハサップ）	食品の衛生管理システムである 「HACCPシステム」の資格
フードコーディネーター	食品の流通、企画、プロモーションに 関する知識を学べる資格

食品衛生責任者を取得していると、食品業界で働くうえでの基礎的なスキルを証明できます。フードコーディネーターは、商品開発やマーケティングに興味がある場合におすすめの資格です。

農学部の就職選考で通過するためのポイント

農学部の就職選考で通過するためには、次の4つのポイントを意識して対策していきましょう。

• 専門知識を実際にどう活かせるかをアピールする
• コミュニケーション能力を強調する
• 自己分析を行い、強みを明確にする
• インターンシップや実習経験を活かす

専門知識を実際にどう活かせるかをアピールする

農学部で学んだ専門知識は、食品産業や環境関連企業、バイオテクノロジーなど幅広い分野で活かせます。選考の際には、企業が求める業務や課題に対して、具体的にどの知識やスキルを活かせるかを明確に伝えることが重要です。

例えば研究職では、自分の実験や研究で得た知識をどのように応用できるかを説明し、営業職の場合は農業関連の製品や技術に精通している点をアピールすることがおすすめです。

コミュニケーション能力を強調する

農業関連の職場では、チームでの協力やクライアントとのコミュニケーションが重要です。特に営業職や技術職では、専門知識をわかりやすく説明し、課題解決を提案できるコミュニケーション能力が求められます。面接では、他者と協力して問題を解決した具体的な経験を伝えることがポイントです。

自己分析を行い、強みを明確にする

面接では、自己分析を通じて自分の強みを理解し、それを企業でどう活かせるかを伝えることが重要です。農学部で培ったリサーチスキルや論理的思考、環境に対する理解力などをアピールすると効果的です。企業が求める人材像をリサーチし、自分の強みと照らし合わせて伝えると、より説得力が増します。

インターンシップや実習経験を活かす

農学部での実習やインターンシップの経験があれば、これらの経験をアピールすることがおすすめです。特に、実務経験がある場合は、その経験で得たスキルや学びを企業でどう活かせるかを具体的に伝えることが大切です。これにより、即戦力として活躍することをイメージをしてもらいやすくなるでしょう。

よくある質問

農学部のおもな就職先はどこですか？

農学部のおもな就職先としては、次のような企業があります。

• 農業関連企業
• 食品メーカー
• 地方自治体や国の農業関連の部署
• 研究機関・大学
• 農業協同組合（JA）
• バイオテクノロジー関連企業
• 環境関連企業

それぞれの企業の特徴や詳細は「農学部のおもな就職先【企業】」で解説しています。

農学部を卒業した学生の就職は難しいですか？

農学部卒業生の就職は比較的高い就職率を誇っているため、就職が難しいと一概にはいえません。特に、農業や食品、バイオテクノロジー分野の需要は増加傾向にあり、企業の採用活動も活発に行われています。

農学部を卒業した人の年収はどれくらいですか？

年収は業種や職種、勤続年数などにより幅があるため、一概にはいえません。農学部卒業生の初任給としては、300万円〜400万円程度が一般的です。

高収入を目指せる農学部卒業生の就職先はどこですか？

年収が高めの企業としては、製薬会社やバイオテクノロジー関連企業があります。職種で見ると、研究職が比較的高収入の傾向があります。