業界・企業研究

福利厚生にはどんな種類がある?内容例や企業選びのポイントを解説

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近年、就活における企業選びの軸のひとつとして、福利厚生に注目する学生が増えています。企業によって導入・実施している福利厚生の内容はさまざまなので、企業研究の際にはしっかりと確認することが大切です。

この記事では、福利厚生の種類や内容の一例、企業選びで注目したい福利厚生のポイントについて解説します。ぜひ、企業選びの参考にしてみてください。

この記事でわかること

  • 福利厚生には「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」2種類がある
  • 法定福利厚生は健康保険や厚生年金保険を含む6種類
  • 法定外福利厚生は企業によって内容が異なる

福利厚生とは:企業が従業員に提供する給与以外の支援やサービス

福利厚生とは、企業が従業員に提供する給与以外の支援やサービスを指します。これは、従業員が快適に働けるよう、生活や仕事をサポートするためのものです。

福利厚生の代表的な例としては、健康保険、年金制度、有給休暇、社員食堂、社員割引、スポーツ・レジャー施設の割引制度などがあります。

企業が福利厚生を導入する目的

福利厚生は、従業員の生活の質を向上させ、モチベーションを高めるための制度です。例えば、健康保険は病気やケガの際に医療費を軽減し、安心して治療を受けられる環境を整える役割を持ちます。

また、休暇制度が充実していると、リフレッシュする時間が確保でき、仕事の効率が上がる効果が期待できます。

福利厚生の種類は2つ

福利厚生には、法律によって義務付けられている「法定福利厚生」と、企業が任意で提供する「法定外福利厚生」の2種類があります。

法定福利厚生:法律によって義務付けられている

法定福利厚生は、法律により企業が従業員に提供することを義務付けられている福利厚生を指します。これは、おもに労働者の生活や健康を守るための制度です。

法定福利厚生は次の6種類があり、要件や内容まで法律で定められています。

法定福利厚生

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 介護保険
  • 子ども・子育て拠出金

各制度の詳細については「法定福利厚生の一覧」で解説しています。

法定外福利厚生:企業が任意で提供する

法定外福利厚生とは、企業が自主的に従業員に提供する福利厚生です。従業員の満足度や働きやすさを向上させる目的で導入されているもので、その内容は企業の方針や業種に応じて異なります。

法定外福利厚生の例

  • 住宅手当
  • 通勤手当
  • 食事補助
  • 資格取得支援
  • 従業員割引制度

など

各制度の詳細については「法定外福利厚生の内容一例」で解説しています。

法定福利厚生の一覧

法定福利厚生は次の6種類です。

それぞれ詳しく見ていきましょう。
※2024年10月時点の情報です

健康保険

健康保険は、従業員が病気やケガをした際の医療費を支援する制度です。企業は従業員の健康保険料を一部負担し、従業員は自分の負担分と合わせて保険に加入します。これにより、医療費の大半が保険でカバーされ、従業員は一定の自己負担で治療を受けられます。

厚生年金保険

厚生年金保険は、老後の年金を支給するための制度です。公的年金制度の一部で、一定の条件を満たした70歳未満の方が加入対象です。企業と従業員が折半で厚生年金保険料を支払うことで、将来的に老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金を受け取ることができます。

雇用保険

雇用保険は、失業時に生活を支えるための制度です。倒産やリストラなどの会社都合で失業した際はもちろん、自らの意思で退職した場合も、就職先が決まるまでの一定期間の生活費を雇用保険として受け取ることができます。

人事

育児休業や介護休業を取得した際にも、雇用保険から一定額の給付を受けられます。

労災保険

労災保険は、仕事中や通勤中に事故やケガをした場合に、その治療費や給付金を支給する制度です。全額企業負担で運営され、従業員がケガをした際の治療や休業補償が手厚く提供されます。労災保険を利用することで、従業員は自己負担なく治療を受けられます。

介護保険

介護保険は、介護が必要になった際に、その費用の一部を支援する制度です。少子高齢化が進むなか、家族の負担を軽減し、介護を社会全体で支えることを目的として、2000年に創設されました。

40歳以上が健康保険にあわせて加入する制度であり、企業は40歳以上65歳未満の従業員の介護保険料の一部を負担します。従業員が介護サービスを利用する際の自己負担額を減らす役割を持ちます。

子ども・子育て拠出金

子ども・子育て拠出金は、子育て支援のために企業から徴収される税金のような制度です。かつては「児童手当拠出金」と呼ばれており、2015年から「子ども・子育て拠出金」に名称が変更されました。

次世代の子育て支援を目的とした制度で、保育所や放課後児童クラブの整備、託児所やベビーシッター利用者支援といった子育て支援サービスの充実に使用されます。

法定外福利厚生の内容一例

法定外福利厚生の内容は、企業によってさまざまです。ここでは、実際に企業で採用されている法定外福利厚生の例を紹介します。

人事

各企業が導入する福利厚生の内容は、企業の「採用情報」のページや、検索サイトで「◯◯(企業名) 福利厚生」と検索する方法で確認できる場合があります。

住宅手当・家賃補助

住宅手当・家賃補助は、企業が従業員の居住環境を支援するために提供する手当です。特に都市部などの比較的賃料が高い地域に住む従業員にとって、重要な福利厚生といえます。なかには、社宅を提供する企業もあります。

通勤手当

通勤手当は、通勤にかかる交通費を補助する福利厚生です。多くの企業では、公共交通機関の定期券代やガソリン代を支給しています。近年ではリモートワークの普及に伴い、在宅勤務手当を支給する企業も増えています。

食事補助

食事補助は、企業が従業員に対して昼食代や食事券を支給する福利厚生です。社内食堂を設置したり、外部の提携レストランでの食事割引を提供したりする企業もあります。食事補助は従業員の生活費の軽減に役立つ福利厚生のひとつです。

健康管理・医療支援

従業員の健康管理を支援するために、定期健康診断や人間ドック、インフルエンザの予防接種などを無料で提供する福利厚生です。なかには、フィットネスジムの割引やカウンセリングサービスなどの健康増進プログラムを実施している企業もあります。

育児・介護支援

従業員が育児や介護を両立できるよう、育児休業・介護休業制度や育児手当を充実させている企業もあります。託児所の設置や育児施設の利用補助、時短勤務制度なども法定外福利厚生の一環として提供されています。

レクリエーション・休暇制度

企業が従業員に提供する休暇制度やレクリエーションに関する福利厚生です。特別休暇やバースデー休暇、有給休暇の買取制度、リフレッシュ休暇などが挙げられます。社員旅行やチームビルディングのためのイベントも含まれることがあります。

資格取得支援・教育制度

資格取得支援・教育制度は、スキルアップやキャリア開発を支援するために、資格取得費用や研修費用を企業が負担する福利厚生です。通信教育や外部セミナーの費用補助を行う企業もあり、従業員のキャリア形成をサポートします。

従業員割引制度

従業員割引制度は、企業が自社製品やサービスを従業員に割引価格で提供する制度です。飲食業や小売業、製造業などでよく見られる制度で、従業員が自社製品を低価格で購入できる仕組みです。割引率や適用範囲は企業によって異なり、従業員の家族や友人にも適用されるケースもあります。

リモートワーク環境支援

リモートワークが普及するなかで、自宅での作業環境を整えるための手当を提供する企業が増えています。例えば、パソコンやインターネット接続費の補助、リモートワーク用の家具購入補助などがあります。

企業が福利厚生にかける予算

企業の福利厚生費に関して、2020年に日本経済団体連合会が発表した調査によると、健康保険、年金保険、雇用保険などの「法定福利費」は、平均で従業員一人あたり月8万4,392円かかり、現金給与総額の15.4%を占めています。

一方、企業が任意で提供する「法定外福利費」は、平均で月2万4,125円です。これには健康・医療関連費用が多く含まれており、特に健康投資への企業の関心が高まっていることがわかります。

また企業によっては、カフェテリアプラン(従業員が自由に選べる福利厚生)を提供していることがあります。

企業選びで注目したい福利厚生の項目

就活中は企業研究を行いますが、そのなかで福利厚生をチェックすることも重要です。給与だけでなく、福利厚生が充実しているかどうかは、仕事とプライベートのバランスや長期的な満足度に大きく影響します

ここでは、企業選びで注目したい福利厚生の項目として、次の4つを紹介します。

人事

自分のライフスタイルやキャリア目標に合った制度があるか確認してみましょう。

住宅手当・家賃補助の金額や条件

勤務地によっては、住宅手当・家賃補助の金額や条件を確認することが重要です。特に都市部は家賃が高いため、住宅手当や家賃補助がある企業を選べば、生活費を大幅に軽減できます

手当の内容は企業によって支給金額や条件が異なります。なかには、家族構成や居住地域により変わる場合もあるため、具体的な金額や条件を確認しておきましょう。

人事

交通費が支給される場合の上限額や、リモートワークの可否も確認したいポイントです。

有給休暇の取得率

有給休暇の取得率やリフレッシュ休暇の有無も確認したい項目です。有給休暇の有無や日数だけでなく、取得率を見ることで、企業が従業員の心身のケアや休暇にどれだけ配慮しているかを確認できます。

企業によっては、有給休暇の消化を促すためにリフレッシュ休暇や特別休暇を設けている場合があるので、あわせて確認してみましょう。

育児休暇や介護休暇の取りやすさ

育児や介護に関するサポート制度の充実度は、ライフステージが変わっても安心して働き続けられることに直結する項目です。長く働きたいと考えている場合は、特に確認したいポイントといえます。育児休暇、時短勤務、介護休暇などが整っているか確認しておきましょう。

人事

実際に制度を利用した社員のインタビューなどがあれば、確認することでよりリアルな情報を得られます。

福利厚生プランの自由度

企業によっては、カフェテリアプランなど、福利厚生のなかから自分に合ったものを選べる制度を設けている場合があります。福利厚生プランの自由度が高ければ、個々のニーズに応じたサポートを受けることができるでしょう。

例えば、ジムの利用や育児サポート、健康診断の特典など、幅広い選択肢が提供されることがあります。

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よくある質問

福利厚生とは何ですか?

福利厚生とは、企業が従業員の生活や働きやすさを支援するために提供する制度やサービスのことです。福利厚生の代表的な例としては、健康保険、年金制度、有給休暇、社員食堂やスポーツ施設の利用、社員割引などがあります。

福利厚生にはどんな種類がありますか?

福利厚生には、社会保険など法律で義務付けられた「法定福利厚生」と、住宅手当やレクリエーションなど、企業が任意で提供する「法定外福利厚生」の2種類があります。法定福利厚生には、健康保険や厚生年金保険、介護保険などが含まれます。

法定外福利厚生の内容は企業によってさまざまですが、住宅手当や通勤手当、従業員割引制度などがあります。

法定外福利厚生の内容一例」で詳しく解説しています。


福利厚生はなぜ必要ですか?

福利厚生は、従業員の生活の安定や健康を支えるだけでなく、働きやすい環境を整えるために重要な要素です。安心して働ける環境が提供されることは、従業員のモチベーションや生産性の向上につながります。

福利厚生としての保険は何がありますか?

法定福利厚生の一環として提供される保険には、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険などがあります。これらは法律で義務付けられており、企業と従業員が保険料を負担するものです。また、企業が独自に提供する医療保険や生命保険などの法定外保険も存在します。

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