業界・企業研究

ベンチャー企業とは?スタートアップとの違いや働くメリット・デメリットを解説

ベンチャー企業とは_アイキャッチ

企業を分類する言葉のひとつに「ベンチャー企業」があります。大企業とは異なる特徴を持つため、就職を検討する際には、ベンチャー企業特有のメリット・デメリットを理解しておくことが重要です。

この記事では、ベンチャー企業の特徴やほかの企業との違い、向いている人の特徴などを解説します。選考を通過するためのポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事でわかること

  • ベンチャー企業は大企業と比べて規模が小さく、少人数で運営されることが多い
  • スタートアップは、ベンチャー企業のなかでも特に短期間での急成長を目指す企業を指す
  • ベンチャー企業の選考を受ける際は、企業研究を徹底的に行うことが重要

ベンチャー企業とは:新しいアイデアや技術を活かしてビジネスを始める企業

ベンチャー企業とは、新しいアイデアや技術を活かして新たなビジネスを始める企業を指します。特に、成長が期待されるビジネスモデルを採用し、新しい市場に挑戦している企業が多いです。

ベンチャー企業に明確な定義はありませんが、経済産業省が公表した「ベンチャー有識者会議とりまとめ」では、次のように記述されています。

ベンチャーとは、新しく事業を興す「起業」に加えて、既存の企業であっても新たな事業へ果敢に挑戦することを包含する概念である。

ベンチャー有識者会議とりまとめ|経済産業省

ベンチャー企業は、従来の方法ではなく、新しいアイデアや技術を駆使して問題解決を目指しています。例えば、これまでにないサービスの提供や、新しいアプリの開発などが挙げられます。

また、大企業と比べて規模が小さく、少人数で運営されることが多いこともベンチャー企業の特徴です。意思決定が早く、市場やトレンドの変化に柔軟に対応できる点がベンチャー企業の強みといえるでしょう。

ベンチャー企業とそのほかの企業の違い

ベンチャー企業と似た言葉に「スタートアップ」「新興企業」「大企業」「中小企業」があります。それぞれの違いを見ていきましょう。

スタートアップとの違い

スタートアップとは、新しい技術やビジネスモデルを活用し、短期間で急成長を目指す企業を指す言葉です。特に、ITやテクノロジー分野の企業が多く含まれます。

一方、ベンチャー企業は新しい挑戦を行う企業全般を指します。企業の成長を重視する点は共通しますが、ベンチャー企業の場合は、必ずしも短期で急成長を目指すわけではありません。

スタートアップはベンチャー企業の一種ですが、そのなかでも特に急成長を狙う企業を指すことが大きな違いです。

新興企業との違い

新興企業とは、設立から間もない新しい企業を指し、規模や業界に関係なく、比較的新しい企業全般を含みます。おもにベンチャー企業を指すことが多いですが、ベンチャー企業が革新と成長を重視するのに対し、新興企業は単に「設立が新しい企業全般」を指す点がおもな違いです

人事

新興企業のなかに、ベンチャー企業やスタートアップが含まれることもあります。

大企業との違い

大企業に明確な定義はありませんが、業界のなかでも経営規模や売上などが大きく、世間的にもよく知られている企業を指すことが多いです。ベンチャー企業と大企業は、組織規模や経営資源の豊富さに加え、働き方や企業文化にも明確な違いがあります

大企業は、安定した収益基盤と長年の信頼・実績を持ち、確立された事業体系を築いていることが特徴です。大規模な新卒採用を行うことや、キャリアパスが明確なこと、福利厚生も充実していることは大企業のメリットといえるでしょう。一方で、業務が細分化されているため、職務範囲が限定されることが多く、業務の自由度が低い傾向があります。

ベンチャー企業は成長段階にあり、将来の不確実性は高いものの、スピード感を持って組織が変化することが特徴です。社員の成果が事業成長に直接反映されやすく、柔軟性のある環境で働ける点が魅力です。

中小企業との違い

中小企業は、「中小企業基本法」により定義され、資本金や従業員数など、業種ごとの基準にもとづいて分類される企業です。ベンチャー企業と中小企業は、大企業と比べて資本金や従業員数が限られている点が共通しますが、目的や成長戦略に大きな違いがあります

ベンチャー企業は、新しい技術を積極的に取り入れて成長を目指す企業である一方、中小企業は地域に根ざした経営や特定市場での安定を重視することが多いです。ベンチャー企業は急速な成長を目指すのに対し、中小企業は持続可能な経営や地域貢献に重点を置く傾向があります。

ベンチャー企業で働くメリット

ベンチャー企業で働くことには、大企業にはないメリットがあります。

成長の機会が多い

ベンチャー企業では少人数で業務を行うため、一人ひとりの役割が大きく、幅広い業務を経験できる点が魅力です。さまざまな業務に携わる機会を持てたり、早い段階で責任あるポジションを任されたりすることも珍しくありません。これにより、多様なスキルを短期間で習得できるチャンスがあります。

さらに、ベンチャー企業では新しいプロジェクトや革新的なアイデアに取り組む機会が多く、問題解決能力やクリエイティブな思考力が磨かれます。常にチャレンジングな環境に身を置くことは、企業の成長だけでなく、自身の成長にもつながるでしょう。

経営層との距離が近く、意思決定に関わるチャンスがある

ベンチャー企業では、役職や上下関係がフラットな組織が多く、経営者やリーダーとの距離が近いため、経営視点での仕事を経験することができます。

また、大企業に比べて意思決定が早く、自分のアイデアがすぐに形になる環境もベンチャー企業の魅力です。自分の提案や意見が企業の方針に反映されやすいため、仕事に対する達成感や満足感が高まります。成功したときの喜びも実感しやすいでしょう。

柔軟で自由な働き方ができる

多くのベンチャー企業では、リモートワークやフレックスタイム制度を採用しています。柔軟な働き方ができるため、理想のワークライフバランスを実現しやすい環境です。

大企業と比べて、服装や髪型が比較的自由な企業が多いことも、人によっては大きなメリットに感じるでしょう。

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新しいトレンドや技術に触れられる

ベンチャー企業は、最先端の技術や市場のトレンドに敏感な傾向があります。常に新しい情報に触れながら働けるため、業界の最新動向を把握する力が自然と身につきます。これにより、業務スキルに加えて、業界やトレンドに関する知識も自然と広がるでしょう。

ベンチャー企業で働くデメリット

ベンチャー企業のデメリットも確認しておきましょう。

安定性が高いとはいえない

ベンチャー企業は、新しいビジネスモデルに挑戦しているため、必ずしも成功が約束されているわけではありません。資金繰りが厳しくなったり、市場の変化に対応できなかったりして、経営が不安定になる可能性も否めません。

ベンチャー企業に就職する場合は、このリスクを理解したうえで、企業が行う事業の将来性をリサーチすることが重要です。また、安定性だけでなく、「その企業の理念や事業内容に共感できるか」「自分のやりたいことが実現できる環境か」といった視点で考えることで、納得のいく働き方ができるでしょう。

労働環境がハードな場合がある

ベンチャー企業は少人数で運営されることが多いため、一人あたりの業務範囲が広くなり、長時間労働や休日出勤が発生する可能性があります。業務の役割分担がはっきりしていないことがあり、専門外の仕事も任されることもあるでしょう。マルチタスクを求められることで、人によっては、体力的・精神的な負担が大きくなることも考えられます。

ただし、すべてのベンチャー企業が労働環境が厳しいわけではありません。なかには、リモートワークやフレックスタイム制度が整備されているなど、柔軟な働き方ができる企業もあります。労働環境を重視するなら、休暇制度や残業時間など、事前に企業の情報を収集することが大切です。

教育やサポート、福利厚生が不十分

ベンチャー企業では、社員教育や研修の時間や資金が十分に確保されていないことがあります。新人研修やスキルアップ支援が少ないことはデメリットといえますが、自ら率先して学ぶ意欲があれば、実践を通じてスキルを身につけることは可能です。

また、創業初期のベンチャー企業では、給与やボーナス、福利厚生が大企業と比べて劣る場合があります。資金を事業拡大に優先的に使うため、報酬面での充実度に差が出ることも考えられます。しかし、この点も企業によって異なるため、企業の教育体制や福利厚生について調べることが重要です。

明確なキャリアパスがない

大企業では昇進や昇格のためのキャリアパスが明確に定められていることが多いですが、ベンチャー企業ではこうした体系が整っていない場合があります。そのため、将来のキャリアが見えづらく不安を感じることがあるかもしれません。

しかし、逆にいえば、柔軟な体制のなかで自分のキャリアビジョンを描き、主体的に動くことができる環境ともいえます。上のポジションが少ないこともありますが、企業の成長とともに新たな役割やチャンスが生まれる可能性もあるでしょう。

ベンチャー企業が向いている人

ベンチャー企業には大企業とは異なる特徴やメリット・デメリットがあり、人によって向き・不向きがわかれます。次のような人は、ベンチャー企業で活躍できる可能性があるので、就職先として検討してみることがおすすめです。

チャレンジ精神がある人

ベンチャー企業では、新しいことに挑戦し続ける姿勢が求められます。そのため、失敗を恐れず、自分から積極的に動ける人や、未知の課題に対しても前向きに取り組むことができる人は向いています。

限られたリソースのなかで最適解を見つけるために試行錯誤する場面が多いため、自ら新しいアイデアを提案し、それを実行に移す行動力が重要です。

自主性があり、自分で考えて行動できる人

ベンチャー企業は、大企業のように手厚いサポートやマニュアルが整っていないことが多いため、自ら考えて行動することが重要です。

自分の役割を理解し、課題を見つけて解決する姿勢が求められます。受け身の姿勢ではなく、自主的に動ける人はベンチャー企業で活躍できるでしょう。

変化に柔軟に対応できる人

ベンチャー企業では、急な方針転換や業務内容の変更が日常的です。数日前に決まったばかりの方針や戦略が、市場の変化に対応するために、経営層によってすぐに変えられることも起こりえます。

こうした変化に対して柔軟に対応し、すぐに順応できる人は、ベンチャー企業に向いています。状況が変わっても冷静に対処できる柔軟性や、幅広い業務をカバーする能力は、ベンチャー企業で活かせるでしょう。

新卒で就職する場合、ベンチャー企業は危ない?大手のほうがいい?

「ベンチャーはやめたほうがいい」「ベンチャー企業は危険」という声を聞くことがあるかもしれませんが、必ずしもそうとはいえません。ベンチャー企業と大手企業のどちらがよいかは、一概に決められるものではなく、それぞれにメリットとデメリットがあるからです。

就職先を選ぶ際には、「大手かどうか」ではなく、自分の価値観やキャリアビジョン、希望する働き方に合わせて検討することが重要です。

参考までに、大手企業の特徴を見てみましょう。

大手企業の特徴(例)

  • 経営基盤が安定しており、倒産のリスクが比較的低い
  • 手厚い福利厚生や社会保障が整っている傾向
  • 新卒向けの研修や教育プログラムが整備されている傾向
  • 明確なキャリアパスが用意されていることが多い
  • 業務が細分化されており、幅広いスキルが身につきにくい場合がある
  • 意思決定のスピードが遅く、自分の意見が反映されにくい

など

これらは大手企業に多い特徴ですが、企業によっても異なる場合があります。就活において納得のいく選択をするには、「自分がどんな環境で成長したいのか」「どんな働き方が自分に合っているのか」といった視点で見ることが大切です。

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ベンチャー企業の選考に通過するためのポイント

ベンチャー企業への就職を希望する場合、選考を通過するために次の4つのポイントを押さえておきましょう。

企業研究を徹底的に行う

ベンチャー企業では、経営層との距離が近いためビジョンやミッション、事業内容への深い理解と共感が特に重要視される傾向があります。そのため、企業研究を徹底的に行うことが重要です。

調べたいポイント

【ビジョン・ミッション】
・企業が目指す方向性や価値観を把握し、自分の考えと合うか確認する

事業内容】
・企業のサービスやプロダクトについて詳しく調べ、同業他社との違いや強みを理解する

市場環境】
・企業がどんな市場で戦っているのか、成長の可能性やリスクを把握する
・経営者やチームの背景:経営者や主要メンバーの経歴や実績を知って、方向性を理解する

労働環境】
・残業時間や休暇制度、福利厚生の内容などを確認する

企業の公式Webサイトやニュース、SNSなどを活用して、これらの情報を調べておきましょう。

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自己PRをベンチャー企業向けにカスタマイズする

ベンチャー企業では、挑戦心や柔軟性、問題解決力などが重視される傾向があります。そのため、自己PRではこれらの経験をアピールすることがおすすめです。

チャレンジ精神をアピールする場合

過去の経験で新しいことに挑戦した事例や失敗から学んだことを具体的に話す。

自主性と行動力をアピールする場合

指示待ちではなく、自分から動いた経験や、課題を発見して解決したエピソードを強調する。

柔軟な対応力をアピールする場合

急な変化に対してどのように対応したかを具体的に説明する。

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企業の価値観や求める人物像と自分の経験がリンクするような自己PRを作成し、入社後に自分がどう活躍できるかを明確に伝えましょう。

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成果を数字でアピールする

ベンチャー企業では成果や結果を重視する傾向があります。過去のプロジェクトや学業での成果を伝える際は、具体的な数字やデータで示すことがおすすめです。

  • 売上を◯%増加させた
  • コストを◯%削減した
  • プロジェクトを◯日短縮した

など

このように数値やデータを加えることで説得力が増します。積極性や向上心、即戦力の高さも伝わるでしょう。

質問の準備をする

ベンチャー企業の面接では、採用人数が限られるぶん、双方向のコミュニケーションが求められることがあります。そのため、面接官に対する質問(逆質問)を準備しておくことが大切です。

人事

質問内容を通じて、企業への理解度や関心の高さを示しましょう。

逆質問の例

  • 御社の今後の成長戦略について詳しく教えてください。
  • 現在のプロダクト開発で最も大きな課題は何でしょうか?
  • どのようなスキルセットや考え方を持つ人が御社で活躍していますか?
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よくある質問

ベンチャー企業とは?簡単に教えてください。

ベンチャー企業とは、新しいアイデアや技術を活かして新たなビジネスを始める企業のことを指します。特に成長が期待されるビジネスモデルや新しい市場に挑戦しているケースがよく見られます。大企業と比較して、設立から間もない企業が多いことも特徴です。

ベンチャー企業とスタートアップ企業の違いを教えてください。

スタートアップはベンチャー企業の一種ですが、そのなかでも特に短期間に急成長を目指す企業を指します。

ベンチャー企業が向いている人の特徴は?

ベンチャー企業は、チャレンジ精神が旺盛で、自己主導性があり、変化に柔軟に対応できる人が向いています。新しいことに積極的に挑戦し、失敗を恐れず成長を楽しめる人が活躍しやすいでしょう。

ベンチャー企業に就職するメリットは何ですか?

ベンチャー企業に就職するメリットは次のとおりです。

  • 成長の機会が多い
  • 経営層との距離が近く、意思決定に関わるチャンスがある
  • 柔軟で自由な働き方ができる
  • 新しいトレンドや技術に触れられる

ベンチャー企業で働くメリット」で詳しく解説しています。

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