就活の面接やES(エントリーシート)でよく聞かれる質問のひとつに「自己PR」があります。自己PRでアピールする長所や人間性は人それぞれですが、なかでも「協調性」をアピールしたいと考える方もいるでしょう。
自己PRで協調性をアピールする際には「エピソード」が重要です。協調性を発揮した経験やエピソードを伝えることで、周囲との差別化にもつながります。
この記事では、協調性の意味やアピール方法、具体的なエピソードを交えた自己PRの例文を紹介します。
この記事でわかること
- 協調性は多くの職場環境やチーム内で求められるスキル
- 自己PRで協調性を伝える際には「エピソード」を盛り込むことが重要
- 自分の長所や強みを具体的にアピールするために協調性を別の言葉に言い換えることも有効
「協調性」とは?意味を正しく理解しよう
協調性とは、異なる立場や意見を持つ人々と協力しながら、共通の目標を達成するために行動する能力のことです。単に「周りと仲良くできる」「周りに合わせられる」という意味ではありません。
自己PRで協調性をアピールする際には、志望企業の仕事で役立つ協調性を理解することが大切です。
企業が求める協調性
企業が目指すのは、価値観の異なる人同士が力を合わせて目標を達成することです。
協調性がある人とは「主体性がない人」を指すわけではありません。「衝突を恐れて意見を言わない」「他人に合わせるだけ」というのは、企業が求める協調性とは異なります。
目標を達成するためには、相手や周囲の人に言われたことだけをするのではなく、相手の考えを尊重しながらも自分の意見を適切に伝えられることが大切です。
ベンチャー企業や外資系では「主体的な協調性」が求められる傾向があります。
協調性を自己PRでアピールするのは有効?
協調性を自己PRでアピールすることは有効です。協調性は、多くの職場環境やチーム内で求められるスキルであり、自己PRで強調することで、チームメンバーとして振る舞いや行動をアピールできます。
協調性のある人は、チーム内で円滑なコミュニケーションと協力を促進する傾向があります。効果的なコミュニケーションは、意思疎通の障壁を減少させ、ミスや誤解を防ぐのに役立つので、企業としても協調性のある人の確保に積極的です。
チームのメンバーが協力的だとタスクの遂行が効率的になり、プロジェクトが成功に導かれやすくなります。
自己PRの考え方の詳細はこちらの記事で詳しく解説しています。
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自己PRで協調性をアピールする場合のポイント
自己PRで協調性をアピールする際には、以下のポイントを心がけましょう。
企業がどんな協調性を求めているのかを確認する
協調性をアピールするにあたって、まずは応募する企業の文化や価値観を理解する必要があります。企業の価値観に合わせて、求められる協調性のタイプを把握することが大切です。
例えば、「積極的に意見を出し合うこと」を重視している企業もあれば、「効率的なプロジェクトの進行」に焦点を当てている企業もあります。
積極的に意見を出し合うことを重視している企業の場合、ただ周りの人に合わせるだけの消極的な協調性よりも、自身の意見を適切に表現する能力が重要視されるかもしれません。
求められる協調性の特質に合わせて、自己PRをカスタマイズすることが重要です。
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過去のエピソードや経験を強調する
自己PRでは、ただ「自分は協調性がある」と伝えるだけではなく、過去のエピソードや経験を交えて伝えることで説得力が増します。
学校でのプロジェクトや研究活動、ボランティア活動、アルバイトなど、さまざまな状況で協調性を発揮したエピソードや経験を伝えましょう。チームでの役割や貢献について具体的に説明し、どのように協力して成功に貢献したかを示すことが重要です。
自身がリーダーシップを発揮して協力を促進したり、他人の意見を尊重しながら具体的な成果を上げたりした経験を盛り込みましょう。
第三者からのフィードバックや評価を引用する
「協調性がある」というのは他者視点も関わる資質です。自己評価だけで伝えるよりも「周りがどう感じたのか」を引用することで説得力が増します。
学校の先生や教授、先輩、仲間、後輩などからもらったフィードバックを引用することも効果的です。例えば、「グループ活動のなかで、教授から『チームのまとめ役として全員の意見をよくまとめていた』とお褒めいただきました」など、実際のフィードバック引用するのもおすすめです。
協調性が応募先企業でどう活かせるかを説明する
自分の協調性が応募先企業でどのように価値をもたらすか・どう貢献できるのかを具体的に示すことが効果的です。
自分自身の協力的なアプローチや行動が、生産性向上やプロジェクトの成功にどのように寄与するかがわかるエピソードを伝えましょう。
実際の選考過程ではなく、インターン応募などの場合は、「自分は協調性があるから、応募先企業の文化や価値観に合致する」という方向性でアピールすることも有効です。
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協調性を伝える自己PRで差別化するには「エピソード」が重要!
自己PRで周囲と差別化するには「エピソード」が重要です。エピソードを伝えるときのポイントは以下の3つです。
協調性を具体的にアピールできるエピソードを伝えましょう!
自分が協調性を発揮したシチュエーションを説明する
まずは「5W1H」の「When(いつ)」「Where(どこで)」「How(どんな)」などを使用して、シチュエーションを具体的に説明してみましょう。
5W1Hとは
- When:いつ
- Where:どこで
- Who:だれが
- What:なにを
- Why:なぜ
- How:どんな
5W1Hの使用例
いつ:大学2年生のとき、
どこで:共同研究のプロジェクトで
どんな:チームメンバーと協力してプロジェクトを成功に導いた
エピソードは、客観的に想像できるくらい詳しい説明することが大切です。そうすることで、協調性を発揮した背景が伝わり、企業側も「入社後にどう振る舞い、どう活躍できるか」がイメージできるようになります。
チームや組織の課題・問題点を説明する
何らかの課題や問題点を解決するために協調性を発揮し、どんな結果になったかを説明しましょう。
例
メンバーが30名以上という大人数で話し合いがスムーズでなかった。
全員が納得した状態で話し合いを進めていくには協調性が重要だった
課題や問題点を説明することで、なぜ協調性が重要だったかが伝わります。
自分がとった行動の説明をする
「自分がどんな行動をして協調性を発揮できたか」を説明することも大切です。問題解決に向けてとった具体的なステップやアクションを示し、その結果どんな影響を与えたかを強調しましょう。
チームの目標を達成するために「そのときに自分が考えたこと」「周りのために行動したこと」「周りと一緒に成し遂げたこと」などを盛り込むと、自分の行動力や価値観などが伝わり、独自性のある内容になります。
自己PRで協調性をアピールする場合の注意点
自己PRで協調性をアピールする際には、協調性の意味をきちんと理解したうえで、ポジティブな表現で伝えることが重要です。
ここでは、協調性をアピールする際に気をつけたい注意点を説明します。
「協調性がある=誰とでも仲良くなれる」ではない
「ほかの人と仲良くする能力」も協調性のひとつといえますが、企業にアピールする際には「チームで協力して行動する能力」に焦点を当てることが重要です。
単に「個人同士の仲の良さ」を強調するのではなく、協力的な自分の考え方や行動が、どのように成功に貢献したかを示すことで、職場での強調性をアピールすることができます。
消極的だと認識されないようにする
協調性の伝え方によっては「自分の意見を言わない人」と誤解されてしまうことがあります。そのため、ポジティブかつ積極的な側面の協調性を強調することが重要です。
企業の業務においては、社員同士が互いの意見を交換する場面や、自分の意見を主張する状況があります。そういった状況で、「周りに流されやすいのでは」「自分の意見を言えないのでは」と見られないよう、主体性と協調性のバランスを考えてアピールすることが大切です。
自己PRで使える協調性の言い換え
自己PRで協調性をアピールする際には、自身の強みをより具体的に表現するために、「協調性」という言葉を別の言葉や表現に置き換える方法も有効です。
協調性は幅広い意味を持つ言葉なので、別の言葉に言い換えることで、他の学生と差別化でき、強みを強調できます。
「協調性」の 言い換え |
詳細 |
チームワーク チームプレイ |
チームでの協力や共同作業を 得意としている |
傾聴力がある |
ほかの人の意見や感情を理解し、 |
連携が得意 |
チームや組織内で |
気配りができる |
ほかの人の感情やニーズに注意を払い、 |
社交的 |
どんな人とも積極的に |
柔軟性がある |
変化に対応しやすく、 |
素直 | 他人の意見を受け入れやすく、 学ぶ姿勢がある |
例えば「協調性があります」と伝えるよりも「気配りができます」と表現したほうが、強みがより具体的に伝わる場合があります!
協調性をアピールする自己PRの例文
ここでは、協調性をアピールする自己PRの例文をエピソードごとに紹介します。
例文を考える際の参考にしてみてください!
学校での活動
例文
私は、チームワークを活かしてプロジェクトを進めることを得意としています。
大学2年のときに経験したマーケティングプロジェクトでは、チームのコミュニケーションをとり、各メンバーの得意分野を活かす役割を担いました。このプロジェクトで、私たちは市場調査をもとに新しい商品のプロモーション戦略を立案しました。
異なる専門分野を持つメンバーと協力してプレゼンテーションを作成・発表した結果、発表を見ていた人たちから「素晴らしかった」と言われるなど、大きな反響を得られました。
そしてこの経験を通じて、メンバーそれぞれの意見を尊重することで、強固なチームを築くことができることも学びました。
貴社においても、この協調性を活かし、臨機応変にチーム内の調整を行える存在になりたいと考えています。
ゼミ活動
例文
私の強みは共同作業をスムーズに進める能力があることです。
この能力を活かせたエピソードのひとつとして、大学3年のゼミでの共同研究プロジェクトがあります。私はこのプロジェクトで、地域社会と連携した環境保全活動をテーマにした調査を行い、情報収集や意見交換の場を設けました。
チーム内での円滑なコミュニケーションができたことをきっかけに、プロジェクトを無事に成功させることができました。一緒にプロジェクトに携わったメンバーからは「みんなをまとめてくれて助かった」「意見交換の場を作ってくれたことがよかった」と言われることもありました。
この経験を通じて、異なる視点を持つメンバーと協力することの重要性を学びました。貴社においても、この協調性を活かして、チームの一員として貢献できると自負しています。
部活・サークル
例文
私は、チームで協力し合いながら目標に向けて成し遂げることが得意です。
強調性を発揮したエピソードとして、大学時代のサークル活動があります。私は文化交流サークルの一員として、さまざまな背景を持つ学生とともに活動してきました。企画の立案やイベントの準備では、常にチームでの意見交換を大切にしていました。一度は方向性が見えづらい状況でも、メンバー全員の意見を尊重し、目標達成に向けた最良の道を模索し続けました。
そしてその結果、数々の企画やイベントで成功を収めることができました。参加当初は緊張や不安で馴染めていなかったメンバーにも「参加してよかった」「意見を聞いてくれてありがとう」などと感謝の言葉をもらうことができました。
貴社でもこの協調性を活かして、チームでコミュニケーションを取り、最良の解決策を見出す役割を担いたいと考えています。
アルバイト
例文
私の強みは、周囲と連携し、協力しながら問題解決できる能力があることです。
私は大学1年から勤めているアルバイト先のレストランでは、この強みが大いに役立っていたと実感しています。レストランでは、ピーク時には、厨房とホールスタッフが密に連携しなければならない状況が多くありました。そんななか、私は異なる部署のスタッフとも積極的にコミュニケーションを取り、さまざまな課題解決に務めました。例えば、料理の提供タイミングや客のニーズに応えるため、チーム内で意見を共有することを心がけました。
そしてその結果、お客様アンケートでは、店全体のことはもちろん、私個人の接客についても、お褒めの言葉をいただく機会が増えました。この経験から、一人ひとりの強みを活かし、助け合うことで最良の結果を引き出せると学びました。
企業で働く際にも、部署間のコミュニケーションを円滑にし、企業の目標達成に貢献できる人材として活躍したいです。
ボランティア活動
例文
私の長所は協調性があることです。初対面の人や、異なる背景を持つ人たちとコミュニケーションを取ることを得意としています。
大学時代、地域のボランティア活動に参加していた際に、その協調性を高める機会が多くありました。例えば、地域の清掃活動や福祉施設でのボランティアでは、異なる年代や背景を持つ人たちとともに行動し、団結して取り組む経験をしました。
特に、高齢者の方々とのコミュニケーションを図りながら、それぞれの意見を尊重し合い、スムーズに進行することができました。この経験を通じて、多様な価値観を持つ人々とともに協力し合う力が育まれました。
入社後おいても、さまざまなバックグラウンドを持つ仲間と力を合わせて、目標達成を目指していきたいと考えております。
よくある質問
自己PRで協調性をアピールしてもいいですか?
協調性を自己PRでアピールするのは有効です。協調性は多くの職場環境やチーム内で求められるスキルであり、企業としても協調性のある人を積極的に採用している傾向があります。
自己PRで協調性をアピールする場合、どんなエピソードがいいですか?
「ボランティア活動」「部活やサークル」「ゼミでの共同研究」などの経験から、協調性を発揮できたエピソードを伝えましょう。
「協調性を伝える自己PRで差別化するには「エピソード」が重要!」で詳しく説明しています。
自己PRで協調性を伝えるエピソードがない場合、どうすればいいですか?
エピソードがない場合、自己PRでアピールすべき長所が「協調性」ではない可能性があります。改めて自己分析をしたうえで、長所や強みを考え直してみるのがおすすめです。
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