「適性検査」は、本人の能力や性格の特性を測定する検査のことで、多くの企業が新卒採用の選考に取り入れています。
適性検査の種類や受検形式は企業によって異なるので、志望する企業が行う適性検査の種類に合わせて対策する必要があります。近年ではWebテストの形式を取る企業も増えているため、パソコン操作に慣れることも対策のひとつといえるでしょう。
この記事では、適性検査の概要や種類、各分類の対策方法を紹介します。「適性検査がどのようなものか」「どんな対策をしたらいいのか」悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 適性検査は大きくわけて「能力検査」と「性格検査」の2つから構成される
- 志望する企業がどの種類の適性検査を実施するかを事前に確認する必要がある
- 能力検査は対策が必要だが、性格検査は対策というよりは直感で正直に回答することが大切
適性検査とは
適性検査とは、本人の知識や能力、性格・行動の特性を定量的に測定する検査のことです。適性検査を実施するタイミングは企業によってさまざまですが、就活においては書類選考と同時、もしくは一次面接の前後に行われることが多いです。
適性検査は大きく分けて以下の2つから構成されています。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
能力検査
能力検査は「知識」や「知的能力」に関する検査です。一般常識を測定したり、職務を遂行するための思考力や判断力に関するスキルを測ったりします。
能力検査には「言語・読解系」と「非言語・計数系」の2つの分野があります。それぞれの分野で見られるスキルはおもに以下のとおりです。
言語・読解系 | ・言葉の意味や話の要旨を的確に捉えて理解できるかどうか |
非言語・計数系 | ・数的な処理ができるか ・論理的思考力があるかどうか |
以上のほか、企業によっては「構造把握力」や「英語」の問題が出題されることもあります。
能力検査の具体的な問題例をご紹介します。以下は就職支援サービスキャリタス就活で紹介されている「お試し!Webテスト」の能力検査(言語・読解系)の一例です。
以下の3つの文を完成させるために、A~Eのうち最もつながりのよいものをひとつずつ選びなさい。ただし、同じ選択肢を重複して使うことはありません。
設問1. [ ]、外交官や財界人の英語力をできるだけ早く改善することです。
設問2. [ ]、日本人の意見や考えは、ほとんど世界に知られることがありません。
設問3. [ ]、日本を世界に広く知らせることが可能となるのです。
A:英語という現時点で最も国際流通性が高い言語を通して
B:国民全体の英語力を上げることよりもはるかに大事なのは
C:日本の意識改革を進めて英語の国際化に対応することが
D:日本語の国際普及度があまりにも低いため
E:英語は世界中に広まったため
参考:適性検査 | お試し!Webテスト | キャリタス就活成功ガイド
性格検査
性格検査は「言動」や「思考」に関する検査です。約300問の設問への回答を統計的に処理することで「業務内容や組織に対する向き・不向き」や「応募者の性格特徴」などを測ります。
性格検査の具体的な問題例をご紹介します。以下はSPIを提供する株式会社リクルートマネジメントソリューソンズで紹介されている性格検査の一例です。
問題例
以下の質問はあなたの日常の行動や考えにどの程度あてはまりますか。
最も近い選択肢をひとつ選んでください。
質問(選択肢→) | 選択肢 | |
---|---|---|
1. | A. 一人で旅行するのが好きだ B. 皆で旅行するのが好きだ | ・Aに近い ・どちらかといえばAに近い ・どちらかといえばBに近い ・Bに近い |
2. | A. 買い物ではよいと思ったらすぐ買ってしまう B. 気に入っても一度店を出て考え直す | |
3. | A. 勝負のときは運だ B. 勝負は努力の結果だ | |
4. | A. 気が合うのは想像力のある人だ B. 気が合うのは実行力のある人だ | |
5. | A. うそは方便である B. うそはついてはいけない |
就活で適性検査が実施される目的
適性検査を実施する目的は企業により異なります。新卒採用で実施される適性検査では、企業側が人材に求める最低限の知識とスキルをチェックしているケースが多いです。
新卒採用では一度にたくさんの学生を選考するため、面接に進む人を絞り込むことを目的としている企業も少なくありません。適性検査で落ちるケースもあるので、事前の対策が必要です。
適性検査の目的は企業によって異なり、合格ラインを公表する企業もないため、明確な合格ラインは定められていないとされています。
適性検査の受検形式
適性検査は、おもに「ペーパーテスト」か「Webテスト」で実施され、企業によって形式は異なります。それぞれの形式について詳しく見ていきましょう。
ペーパーテスト
ペーパーテストは、筆記テストとも呼ばれるものです。おもに日本各地に設けられたテストを受ける専用施設「テストセンター」や、企業が指定する場所、オフィスなどで実施されます。
マークシート・記述式であるため、筆記用具の持参が必須です。
Webテスト
Webテストは、自宅のパソコン、あるいは企業が指定した場所にあるパソコンで受検する方法です。近年ではWebテストの形式を取り入れる企業が増えている傾向にあります。
自宅で受検する場合は、ネット環境や周りの音などに配慮し、落ち着いて受検できる環境を作る必要があります。
適性検査の種類
ひと言に適性検査といってもさまざまな種類があります。準備や対策に向けて、自分が志望する企業がどのような適性検査を採用しているのか確認しましょう。
新卒採用で実施されることの多い適性検査の種類には、おもに以下の3つがあげられます。
それぞれの出題内容や形式、制限時間など、詳しくご紹介します。
SPI3
SPIは適性検査のひとつで、最も多くの企業が選考で利用する業界シェア1位の適性検査です。2013年1月4日にバージョンアップが行われており、2022年7月時点のバージョンはSPI3です。
SPIは、知的能力を測る「能力検査(言語・非言語)」と、人となりを把握する「性格検査」の2つに分類されます。
試験内容によりますが、能力検査は30分で30〜40問、性格検査は30分で200〜300問と多くの質問に答える必要があります。
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SPIとは?効率よく対策するコツや言語・非言語の問題例を解説
SPI対策では、出題の傾向を把握することが重要です。受検形式により問題の内容は変わるため、実際に企業で実施される方式のSPIの対策を行いましょう。苦手を克服するためには、毎日継続的に問題を解き、SPIに慣れることも大切です。
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玉手箱III
SPIに次いで実施する企業が多いのが「玉手箱」です。なかでも、おもに新卒採用で使われるのは「玉手箱III」という「知的能力」と「パーソナリティ」の両面から測定する総合的性診断テストです。
玉手箱IIIはWebテストのみの実施で「計算」「言語」「英語」「パーソナリティ(OPQ)」の4分野を測定します。それぞれ複数の問題形式があり、企業ごとに検査項目の組み合わせが異なることも特徴です。
TG-WEB
TG-WEBはWebテストのみで行われる適性検査で、SPI3や玉手箱IIIよりも難易度がやや高いといわれています。おもに「言語」「計数」「性格」の3分野が出題科目ですが、企業によっては「英語」も実施されることもあります。
言語と計数には「標準型」と「時短型」があり、「標準型」を実施している企業が多いです。標準型は難易度が高いといわれていますが、コツを掴めば解きやすくなる場合があります。
一方「時短型」は、短い制限時間のなかで多くの問題を解くテストです。言語では「語彙の問題」や「長文読解」、計算では「四則逆算」「図解の読み取り」が出題される傾向があります。
適性検査の対策をするときのポイント
ただ問題を解くだけでなく「時間を計る」「パソコンを使う」など、できるだけ本番に近い環境で練習を重ねていきましょう。
時間を計って問題を解く
適性検査は、短時間にたくさんの問題を解く形式が多いため、時間内に問題を解き終わらない学生も少なくありません。
事前の対策でも時間を計りながら問題を解き、時間配分や解く順番のコツをあらかじめ掴んでおきましょう。できるだけ早く問題文を読み、スピーディに回答できるように練習を重ねることが大切です。
パソコンでの受検スタイルに慣れる
Webテストでは画面に入力する必要があるため、パソコンの操作や回答方法を事前に知っておくことが大切です。普段からパソコンの操作に慣れていないと、操作自体に戸惑ってしまうかもしれません。普段の調べものなどにもパソコンを使い、パソコンの画面で文章を読むことにも慣れておくとよいでしょう。
出題形式に慣れる
適性検査は、問題の出題形式にパターンがあります。能力検査の「言語・読解系」と「非言語・計数系」それぞれのなかでも、出題形式はさまざまです。
はじめは戸惑うかもしれませんが、どのような問題が出るのかをイメージできていると、本番でもスムーズに回答しやすくなります。事前対策では、問題集などで繰り返し練習し、さまざまな出題パターンに慣れておきましょう。
【分野別】適性検査の対策方法
ここからは適性検査の具体的な対策方法を、以下の分野ごとに紹介します。
能力検査の対策|言語・読解系
能力検査の言語・読解系の対策としては、日頃からたくさんの文章に触れて、より多くの言葉や熟語をインプットすることが大切です。具体的な対策方法と問題例を紹介します。
短時間で文章の概要が掴めるようにする
能力検査の言語・読解系では「文章を読んで要約する問題」に時間をとられるケースが多いです。できるだけ早く文章を読んで、その内容から重要な要素を素早くとらえる必要があります。
具体的な練習方法としては、書籍や新聞などでたくさんの文章を読むことです。ただ読むだけでなく、段落ごとの主旨をとらえ、指示語や接続詞を意識しながら読むと理解しやすくなります。
熟語や言葉をインプットする
言葉や熟語に関する問題は、高い頻度で出題されます。例えば「熟語の成り立ち方」を問う問題などがあり、言葉の意味をわかっているだけでは答えられないものもあります。
対策方法としては、とにかく熟語や文章に慣れることが大切です。インプット量を増やし、日頃から多くの言葉に触れるようにしましょう。見慣れている熟語でも、成り立ちや類義語・対義語を調べる癖をつけて頭に入れてくこと、問題にスムーズに答えやすくなります。
能力検査の対策|非言語・計数系
能力検査(非言語・計数系)の対策方法をご紹介します。
四則演算を復習しておく
能力検査の非言語・計算系では「四則演算」が出題されることが多いです。四則演算は何度も復習して計算スピードをあげる練習をすることが大切です。累乗の計算や方程式など、高等学校で学習した内容も復習してきましょう。
例えば「□÷10=0.07+0.001」のように、穴抜けされた部分に数字を当てはめる問題が出ることがあり、「四則逆算」の対策も必要です。
手元で計算し、画面上で回答する練習をする
Webテストの場合、パソコンの画面上で回答することに慣れていないと、回答に手間取り時間がかかってしまう可能性があります。手元で計算をし、画面上で回答するという本番同様の動きをイメージした回答方法で、練習を重ねていきましょう。
性格検査の対策
性格検査は、対策というより「正直な回答」を意識することが大切です。
例えば「企業が求める人材に合わせること」を意識していると、考えることで回答に時間がかかってしまうかもしれません。短時間に多くの質問に回答しなければならないので、考えすぎず直感的な判断が必要になります。 性格検査では同じような質問が繰り返し出されることがあるため、本心と違う回答をしたことで矛盾が生じると、テスト結果の信頼度が下がる可能性もあります。自己分析をして自分の特性を理解したうえで、正直な回答を心がけましょう。
まとめ
「適性検査」とひと言にいっても、種類や受検形式は企業によってさまざまです。志望企業が実施する適性検査の種類や形式に合わせて、準備や対策を進めることが必要になります。
実際に対策を進めていると、自分の得意な分野や不得意な分野、つまずきやすいポイントも見えてきます。自分の苦手なことを把握して、どの部分の対策に時間をかけたらよいかを把握したうえで、効率よく対策を進めていきましょう。