『君の膵臓をたべたい』などの 作品で知られる 映画監督・月川翔。 特別な場で身を正すには スーツがふさわしい

Leader

59

Sho
Tsukikawa

2025.03.31

SHITATE 60 LEADERSは、
洋服の青山60周年を記念した
オーダースーツ企画です。

Profile

株式会社SDP
映画監督

月川 翔

東京都出身。東京藝術大学大学院を修了。2017年、映画『君の膵臓をたべたい』が第41回日本アカデミー賞優秀作品賞・話題賞を受賞。その後、映画『センセイ君主』、『響-HIBIKI-』、『君は月夜に光り輝く』等を監督し話題に。2019年、WOWOW「そして、生きる」が第46回放送文化基金賞の番組部門で奨励賞を受賞。再編集した劇場版が全国で公開された。2022年、脚本を務めた映画『今夜、世界からこの恋が消えても』が第27回釜山国際映画祭に正式招待された。韓国での観客動員数が実写の邦画では歴代2位となる。
近年は、Netflixシリーズ「幽☆遊☆白書」がNetflix週刊グローバルTOP10(非英語シリーズ)で初登場1位、英語を含めた全言語シリーズで全世界2位を獲得。さらに、Netflixシリーズ「匿名の恋人たち」を監督し2025年10月に配信を控える。

月川 翔profile

About Work

仕事について教えてください

いかに観客を驚かせ、感動し、満足させるかを第一に

私は一つのことに集中するとのめり込むタイプです。中学卒業時には競馬のジョッキーになろうと、750人受験して9人しか受からない難関の試験で、28人まで残ったことも。しかし最終的に不合格になり、競馬ジョッキーになる道を断念しました。

月川 翔インタビュー01

高校に進学し、演劇の経験を通じて創作の楽しさを知ると、次に夢中になったのは映画製作でした。その後、大学では法学部に進みましたが、映画研究部で映画製作を継続していました。大学当時は「いずれやりたいことが見つかればいい」くらいに軽く考えていました。でも結局、やりたいことが見つからず、大学4年生になったとき、北野武監督や黒沢清監督が映画づくりについて指導してくれるという、東京藝術大学の映画コース募集のポスターを見かけ、それを見た瞬間、ピンときたのです。

月川 翔インタビュー02

東京藝術大学に進学し、本格的に映画を作り始めたのですが、映画祭で評価される作品を作ろうとして苦しんだ時期もありました。大学で同じ映画コースだった、のちに『ドライブ・マイ・カー』を手がけた濱口竜介監督の卒業制作の作品を見たとき、衝撃を受けたというのもありました。「同じことを学んだのに、こんな作品が作れるなんて…。自分にはとてもじゃないけれど、こんな作品は作れない」とがくぜんとしたのです。その気持ちを大学の恩師に伝えると、「なぜ同じ土俵に立とうとするのか? きみにはエンターテインメントの道がある」と言われました。それがきっかけとなり、映画祭で評価されることよりもお客さんを喜ばせることを軸に作品を作る決意をしたのです。
これまで見た中で一番好きな映画は、『ターミネーター2』です。シンプルでわかりやすく、誰にでも伝わるストーリーなのに、映像も素晴らしくスリルも満点じゃないですか。こうした観客としての自身の体験もあって、映画制作は自己表現ではなく、観客を楽しませるためのものだと捉えています。ですから、どうすれば観客が驚き、感動し、満足してくれるかを常に第一に考え、作品作りをしています。

月川 翔インタビュー03

ちなみに就職活動では、「固定給がほしい」と書いた履歴書と手がけた作品を一緒に15社ほどに送付しました。その中で現在の会社が正社員として採用してくれ、映画監督としてのキャリアをスタートしたのです。それからこれまでいろいろな作品を手がけてきました。

月川 翔インタビュー04

最近は2025年10月にリリースされる予定のNetflixシリーズ「匿名の恋人たち」という作品で、韓国スタッフと日本スタッフと共に作品づくりに取り組みました。韓国の美術スタッフは、ポン・ジュノ監督の『パラサイト』などを手がけた方で、基本的にすべて「理想」から出発するのが印象的でした。コンセプト資料の段階で、「こういう狙いで、こういうビジュアルにしたい」というイメージを提示してくれる。その上で、「それを現実に落とし込むとこうなる」というプロセスを、全シーン3Dで立ち上げてくれるんです。どこにカメラを置いたらどう見えるのか、そういう細かいところまで徹底的に作り込んでくれるし、プレゼン能力も本当に高かったですね。
日本では、「使えるロケ地がここだけだから、この枠の中でどう作るか」と考えがちなのですが、彼らはまず「理想」を起点にする。その姿勢から学べることは本当に山ほどありました。加えて、打ち合わせの精度が非常に高い。事前に徹底的に考え抜かれた資料を準備してくれるので、話すべきポイントが明確になり、無駄に長引くことがないんです。これは本当にすごいと感じましたね。どちらが良いというのではなく、私は日本も韓国もこれまで優れた映画文化を築いてきたと考えています。私は今回、韓国チームとの仕事を通じて、日本にはない視点をたくさん学びました。今後、国を超えたコラボレーションが増えていけば、さらに面白い作品が生まれるのではないでしょうか。

月川 翔インタビュー05

About Suits

あなたにとってスーツとは?

特別な場で身を正すためのもの

月川 翔インタビュー06

撮影現場では動きやすさが最優先。ですから、私は普段Tシャツにパーカ、足元にはスニーカーというようなカジュアルなスタイルをすることが多いですね。ただ、スーツを着る場面はあります。例えば、舞台挨拶や授賞式など、そういう場面ではスーツを着ます。普段、リラックスした格好で仕事をしている分、スーツを着ると気が引き締まるというか、映画監督としてきちんと振る舞わなければという心持ちになります。特に自分の作品を見てくださった方々と接するような場では、礼儀としてきちんとした装いをしたいです。

月川 翔インタビュー07

スーツを選ぶときにも動きやすさを重視しています。あと、あまり派手すぎず、シンプルかつ落ち着いたデザインのものを好んで着ます。映画の仕事をしているので、自分が目立つよりも作品を見てもらうことが重要なので、スーツもそれにふさわしいものを選ぶようにしています。

月川 翔インタビュー08

スーツといえば、「特別な場で身を正すためのもの」という印象が強いです。普段着る機会は少ないですが、いざ着ると「監督らしくしないと」と思わせてくれる存在ですね。映画の登場人物がスーツを着ていると、そのキャラクターがどういう人物なのかが一瞬で伝わることもある。スーツには「その人を形作る力」があると思います。

Trying On

試着

月川 翔オーダースーツ試着01 月川 翔オーダースーツ試着02 月川 翔オーダースーツ試着03

About SHITATE

SHITATEの感想は?

月川 翔試着ディティール 月川 翔試着ディティール

肩回りのフィット感が良く、動きやすいのが気に入った

月川 翔インタビュー09

映画監督の仕事をしていると、普段、スーツを着る機会が少ないのですが、SHITATEのスーツはとても着心地が良いので驚きましたね。撮影現場では動きやすさを重視しているので、スーツを着ると少し緊張することもありますが、このスーツは程よいフィット感がありながらもストレスなく動けるのが魅力ですね。

月川 翔インタビュー10 月川 翔インタビュー11

オーダーメードならではの細かい調整ができるのもうれしいポイントです。自分の体にしっかり合った一着を作ることで、スーツを着ることへのハードルが下がった気がします。これなら舞台挨拶やフォーマルな場でも自然に着こなせそうです。

月川 翔インタビュー12

スーツには、その人の立場や役割を象徴する力があると思います。映画のキャラクターづくりと同じように、自分に合った一着を選ぶことで、新たな自分を演出できるのが面白いですね。仕事柄、スーツを着る機会は限られていますが、今回の仕立てを通じて、スーツの魅力を改めて感じました。特別な場面で身にまとう一着として、今後も大切にしたいですね。

『君の膵臓をたべたい』などの作品で知られる映画監督・月川翔。 特別な場で身を正すにはスーツがふさわしい

月川 翔SHITATE着用01 月川 翔SHITATE着用02

フォーマル度 : ★★★★★

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洋服の青山の印象を教えてください

Aoyama
impression

フォーマルスーツを購入した場所

洋服の青山は、スーツ専門店としての信頼感があります。今回SHITATEを利用してみて、改めてその品質の高さと丁寧なサービスを実感しました。オーダースーツというと、ハードルが高いイメージがあったのですが、洋服の青山では気軽に相談できて、フィッティングの段階から細かい調整までしっかり対応してくれるのがうれしかったです。

Material

今回チョイスした生地

Brand

加藤 修一郎着用ブランド

ゼニア(イタリア)

1910年、イタリアにて生地メーカーとして誕生。その後スーツを中心にジャケットやシャツ、レザー製品も手がけるラグジュアリーブランドとして世界中で絶大な支持を受けています。「最高のスーツは上質な生地があってこそ」という信条のもと、最高峰の生地作りを探求し続けています。

シワになりにくいビジネスマンにおすすめの素材

TRAVELLER

生地

ブランド:E.Zegna
着用シーズン:オールシーズン
色:ミディアム・ネイビー
柄:無地
素材:W100%

世界をリードするメンズラグジュアリーブランド エルメネジルド・ゼニア。この素材はたて糸に強撚双糸を用い、仕上げ工程でもシワになりにくくする加工を施して比較的シワになりにくい、ビジネスマンにもうってつけの素材です。ゼニア特有の光沢、滑らかな風合いも併せもっています。

インタビュー:小野 一樹
撮影:本永 創太 構成・文:松葉 紀子
CD:ジャン 光栄

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