二度とない瞬間を映像に収める、 撮影監督山田康介 スーツをまとい、 ギャップを楽しむ

Leader

58

Kosuke
Yamada

2025.03.31

SHITATE 60 LEADERSは、
洋服の青山60周年を記念した
オーダースーツ企画です。

Profile

Angle Pictures株式会社
撮影監督

山田 康介

福岡県久留米市生まれ。 東宝入社後、撮影部に所属し、数多くの作品に参加。木村大作氏(撮影技師・文化功労者)の「赤い月」「単騎、千里を走る。」「憑神」「劒岳 点の記」などの撮影現場にも撮影助手として参加した後に、フリーランスのカメラマンとしてデビュー。「神様のカルテ2」(2014)で第58回三浦賞を受賞。大ヒット作品「シン・ゴジラ」(2016)では日本アカデミー賞 最優秀撮影賞を受賞。2018年「羊と鋼の森」にて第72回日本映画テレビ技術協会映像技術賞を受賞。2020年にはWOWOWの4K/HDR番組「4K HEALING 41°-45°north latitude」では、日本初のALEXA 65による番組撮影に挑戦。2024年には「ディア・ファミリー」の撮影を担当。最近ではNetflixシリーズ「匿名の恋人たち」を撮影し、2025年10月に配信を控える。

山田 康介profile

About Work

仕事について教えてください

山田 康介インタビュー01

一瞬をどう映像に収めるかが勝負

これまで私は、「ホットロード」や「アオハライド」のような青春映画から「シン・ゴジラ」のような特撮作品など、幅広い作品の撮影に携わってきました。ただ、特撮だからとか、人だからというように区別して撮影することはありません。一番、撮りたいのは、ただ絵を撮るのではなく、お芝居を撮りたいという思いがあります。

山田 康介インタビュー02

スタートがかかって、俳優が芝居をする瞬間を逃さないように映像として収めることをすごく大切にしています。スタートからカットがかかるまで一瞬の出来事じゃないですか。その場で生まれた何か空気のようなもの、同じものは再現できないんですよ。だからこそ、その瞬間に生まれたものを大切にし、映像に収めるよう心して臨んでいます。俳優によっては1本目のテイクじゃないとダメな人もいますし、何回かお芝居を重ねるうちに気持ちが乗ってくる人もいます。いろいろなアプローチの俳優がいますが、一気にすごい空気が撮影現場で生まれる瞬間があるので、その奇跡的な瞬間を逃すことなく見る人にもきちんと伝えたいというのが一番ですかね。デジタル技術はどんどん進化していますが、大切なのは観客が物語に没頭できることです。「すごいCGだな」と思われたら負け。ストーリーテリングが第一で、それを補うために技術があるべきだと思っています。

山田 康介インタビュー03

「シン・ゴジラ」は特撮ですが、人間模様を描く物語でした。撮影を始める前、庵野秀明監督から官僚が登場する部分は、岡本喜八監督の「日本のいちばん長い日」という映画のような特徴づけをしてほしいと言われました。一方、後半は「実相寺昭雄監督作品 ウルトラマン」のようなタッチにしてほしいというオーダーがあったので、その要望に応じて撮り分けしました。

山田 康介インタビュー04 山田 康介インタビュー05

最近はどんなジャンルのものでも撮影するようになって、自分自身ではオールジャンルになってきたと思っています。じゃあ、“何を撮影したいの?”と聞かれたら、今一番撮影したいのはホラーですね。ゾンビやお化けが出るような映像を。なぜかというと、映像の表現としていろいろなチャレンジができるじゃないですか。カメラを通じて面白く怖がらせるというか。人を怖がらせるためのカメラワークは、作り手側の意図がすごく入ってきます。そういうことを含めて新しいことにどんどんチャレンジしたいですね。

山田 康介インタビュー06

About Suits

あなたにとってスーツとは?

山田 康介インタビュー07

普段と違うスタイルを見せることでギャップを楽しめる

撮影現場ではスーツを着る機会はほとんどありません。「シン・ゴジラ」で撮影に携わって日本アカデミー賞の授賞式に参加したとき、購入したくらいでしょうか。撮影現場では動きやすさが最優先なので、カジュアルな服装が基本です。でも打ち上げなどの特別な場では、スーツを着ることで印象を変えることができるのではないかと思います。映画製作の関係者は150人くらいの大所帯になることが多く、打ち上げをするのはホテルやレストランのように比較的フォーマルな場所が多い。スーツはもちろん、ジャケットを着ていくだけでも印象が違いますよね。

山田 康介インタビュー08

ちなみにこれまでは既製品のスーツを選んで購入していました。でもサイズが微妙に合っていなかったせいでしょうか、スタイリストから「似合っていない」と言われてショックを受けたことも。でも採寸してもらって作ったスーツなら、自分の体にしっかりとフィットするでしょうし、印象が変わるのではと期待しています。普段、カジュアルな服装だからこそ、スーツを着ると周囲に新鮮な印象を与えられるのも魅力の一つ。年相応の装いができるだけでなく、フォーマルな場にふさわしい雰囲気がつくれる。それに普段とは違うスタイルを見せることで、ギャップを楽しむことができるのもスーツならではの面白さかもしれません。

山田 康介インタビュー09

Trying On

試着

山田 康介オーダースーツ試着01 山田 康介オーダースーツ試着02 山田 康介オーダースーツ試着03

About SHITATE

SHITATEの感想は?

山田 康介試着ディティール 山田 康介試着ディティール

体形が出るスーツだからこそ、オーダーメイドは価値がある

山田 康介インタビュー10

仕立てていただいたスーツを着た瞬間、まずフィット感の違いに驚きました。これまで着ていた既製品のスーツとはまったく着心地が違いましたね。スーツは体形がしっかりと出る服だからこそ、オーダーメイドでつくる価値があるのではないかと強く感じました。

山田 康介インタビュー11 山田 康介インタビュー12

SHITATEでは、普段、自分では選ばないチェック柄の生地をチョイス。これまでは黒や紺のような無難な色ばかりを選んでいましたが、洋服の青山のお店でスタッフの方からアドバイスを受けながら新しいデザインに挑戦するのは楽しかったですね。ボタンのサイズを少し小さなものにすることでダブルのスーツが際立つことや、チェンジポケットのデザインなど、細かなディテールにこだわることでスーツ全体の印象が変わることに気づいたというのは新しい発見でしたね。SHITATEでつくっていただいたスーツは、自分のスタイルやこだわりを反映できるだけでなく、着たときのシルエットが美しいのが魅力でした。今回の経験を通じて、スーツを選ぶときの考え方が大きく変わりましたし、今後もオーダーでスーツを仕立てていただくのが良いと思いました。

山田 康介インタビュー13

二度とない瞬間を映像に収める、撮影監督山田康介 スーツをまとい、ギャップを楽しむ

山田 康介SHITATE着用01 山田 康介SHITATE着用02

フォーマル度 : ★★★☆☆

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洋服の青山の印象を教えてください

Aoyama
impression

既製のスーツを買う場所というイメージが大きく変わった

「洋服の青山」といえば、就活のスーツを売っているお店というイメージが強かったですね。私の場合、撮影の仕事に就くときには就職活動をした経験はありません。ただこれまでに喪服が必要なときに「洋服の青山」でフォーマルスーツを購入したことがあります。
フォーマルスーツを選んだときにも「洋服の青山」は、既製のスーツを購入する場所というイメージでした。でも今回、SHITATEでオーダースーツを仕立てていただいたことで、これまでの印象がガラリと変わりました。フォーマルな装いだけでなく、日常的にも活用できるスーツをつくれるということを知れて良かったです。特に、自分の体形に合うスーツがなかなか見つからない人にとって、オーダースーツは最適な選択肢ではないでしょうか。

Material

今回チョイスした生地

Brand

鈴木貴博着用ブランド

キャベンディッシュ(イギリス)

1988年、イギリスにて創業した名門ブランド。世界中のテーラーやラグジュアリーブランドで取扱いがあり、評価を得ています。英国ならではのハリコシを持たせた生地もあれば、繊細な素材を使って仕立てる技術も持ち合わせています。

日本の気候に適した涼し気な素材

British Fresco

ドーメル

ブランド:CAVENDISH
着用シーズン:春夏
色:ミディアム・グレー
柄:チェック
素材:W100%

英国本社・イタリア生産のハイブリッド素材。英国伝統素材のひとつであるフレスコ素材をイメージ 太番手の糸遣いによるハリコシがありながら、日本の気候に適した涼し気な風合いを持った素材です。

インタビュー:小野 一樹
撮影:KIMU 構成・文:松葉 紀子
CD:ジャン 光栄

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