N=1を起点に “なかった価値”を生み出す クリエイティブ集団代表の スイッチングハブ的スーツ

Leader

36

Wataru
Nozaki

2024.11.27

SHITATE 60 LEADERSは、
洋服の青山60周年を記念した
オーダースーツ企画です。

Profile

株式会社スマイルズ
代表取締役社長

野崎 亙

京都大学工学部および東京大学大学院卒。2003年、株式会社イデーに入社し、新店舗の立ち上げや新規事業の企画に携わる。2006年、株式会社アクシスに移り、デザインコンサルティングを通じて大手メーカーのビジネスプロデュースや経営コンサルティングに従事。2011年、スマイルズに入社。全事業のブランディングやクリエイティブの統括に加え、入場料のある本屋「文喫」、東京ミッドタウン八重洲「ヤエスパブリック」など外部案件のコンサルティング、プロデュースを手掛ける。ACC CREATIVITY AWARDS 2020デザイン部門審査員、2024年度グッドデザイン賞審査委員ユニット長を務める。

野崎 亙 profile

About Work

仕事について教えてください

野崎 亙 インタビュー01

“なかった価値”を創る、実業とプロデュース・コンサルティング企業

株式会社スマイルズは、スープ専門店「Soup Stock Tokyo」をはじめとする事業として、2000年に創業した<実業とプロデュース・コンサルティング>を行う会社です。ネクタイ専門店「giraffe」やファミリーレストラン「100本のスプーン」、ニューサイクルコモンズ「PASS THE BATON」、海苔弁専門店「刷毛じょうゆ 海苔弁山登り」など、既成概念や業界の枠にとらわれず、現代の新しい生活の在り方を提案する事業を自ら創出してきました。

野崎 亙 インタビュー02

近年、価値のコンサルティング・プロデュースファーム「Smiles: PROJECT & COMPANY」として、自分たちの実業経験を活かし、事業開発、デザイン、PR、オペレーション構築、空間デザイン、WEB構築など、幅広い機能を提供しています。
ビジネスだからと割り切られ、無意味なものとして切り捨てられがちな価値に光を当て、独自に培ってきた経験と感性をもとに、今までとは違った見立てで新たな価値を見出していくことを大切にしています。

野崎 亙 インタビュー03

このスタンスは、これまでプロデュースした自社ブランドでも、クライアントワークでも変わりません。思考の基盤となるのは、誰が答えたのか見えないアンケート調査や社会的トレンドではなく、最も重要なのは、いち生活者としての視点で「なぜ僕はそれが欲しくなるのか」、あるいは「自分の近しい人たちにあげたくなるのか」というリアリズムを常に考えています。儲かるかどうかよりも、その人たちにどうやって価値を届けられるかを優先します。それはスマイルズで働く私たちの原点であり、変わらぬ信念です。

野崎 亙 インタビュー04

例えば、「コドモがオトナに憧れて、オトナがコドモゴコロを思い出す」というコンセプトのファミリーレストラン「100本のスプーン」。出発点は現代の子どもについて考えることですが、僕にも子どもだった時代があります。幼少期のファミレスは、何かのご褒美でしか連れて行ってもらえない“非日常”な世界で、すごくワクワクしたり、はじめて父親にナイフとフォークの使い方を教わったりと、家族の風景の一部として記憶に残っています。今はそんな世界観がなくなってしまったファミレスを、家族のコミュニケーションの場として取り戻したいと考えたことが発意となっています。

野崎 亙 インタビュー05

新しいことを始めるには、「これでいい」ではなく、自分たちが腹から納得し、協業パートナーの期待値を超えて「これがいい」と自立性を持って新たな道を切り開く必要があります。スマイルズの社員たちは、ロジックが存在しない道を、熱量とクリエイティビティを持って切り拓こうとしている人たちです。そんな彼らやパートナーとともに、これからも“なかった価値”を生み出していきたいと思います。

野崎 亙 インタビュー06

About Suits

あなたにとってスーツとは?

野崎 亙 インタビュー07

スーツは勝負思考へのスイッチングハブ

普段はほとんどスーツを着ることはありません。スーツそのものが嫌いというわけではないですが、仕事の場で必ずしも着なくていいので、この仕事を選んだ理由のひとつだと思います。だから、スーツを着るのはまさに“勝負”の時。たまにしか着ないからこそ、ぐっと気合を入れるスイッチングハブであり、身を引き締めてくれる存在ですね。

野崎 亙 インタビュー08

思い起こせば、リクルートスーツをオーダーしたことが印象に残っています。今でも、知識豊富なフィッターの方とのやり取りが楽しかったことを覚えています。
当時、リクルートスーツと言えば3つボタンが主流でしたが、僕の好みは、クラシックな2つボタンのスーツです。しかし、既製品はどこか野暮ったく感じられ、オーダーするしかないと考えました。とはいえ、まったく新しいものを求めていたわけではなく長く続いてきたスタイルを大切にしつつ、現代に合わせてアップデートする感覚が重要でした。そのため、社会人になり社長となった今でも、ただフォーマット通りのものにとどまらず、普段のスタイルの延長線上で、僕ならではのスタイリングを楽しみたいと思っています。

Trying On

試着

野崎 亙 オーダースーツ試着01 野崎 亙 オーダースーツ試着02 野崎 亙 オーダースーツ試着03

About SHITATE

SHITATEの感想は?

野崎 亙 試着ディティール 野崎 亙 試着ディティール

普段スタイルの延長線上で楽しめる仕上がりに感謝

オーダースーツは何度か作っているんですが、テーラーごとのスタイルがあるので、凝り性の僕もなかなか好みを言いづらかった経験があります。今回のSHITATE体験を通じてまず一番嬉しかったことは、スタッフの方にいろいろアドバイスをいただきながら、細かい好みを気をつかわずオーダーが出せたことです。

野崎 亙 インタビュー09

水泳をしていたことで肩幅が広く、かっちりした服を着たら逆三角形のシルエットになる一方で、脚が細いことがコンプレックスなんですよね。だから、ジャケットは肩パットを入れず、肩のラインが少し内側に入るスリムなサイズ感でフィットしています。パンツは腰回りにボリュームがあるものが好きなので、腰履きできるよう股上が深く太目にして、カジュアルかつルーズな着こなしができるようにしてもらいました。仕上がりも、ちょうど腰骨の位置でぴったり止まってくれるので、とても満足しています。

野崎 亙 インタビュー10 野崎 亙 インタビュー11

このスーツが出来上がる間に、スマイルズが運営するネクタイブランド『giraffe』でオーダーしたネクタイと、僕のスタイルの代名詞と言えるキャップを、スーツと同色にしました。ワントーンコーディネートで統一感を出すのが好きなんです。
自分にとって、無理に合わせているわけではないのに、いつもとは違う。自然な感じがありながら、この機会がなければ選ばない形のスーツになりました。このような素敵な仕上がりになったことに、とても感謝しています。どんなシーンで着ようかと楽しみにしています。

野崎 亙 インタビュー12

N=1を起点に“なかった価値”を生み出す
クリエイティブ集団代表の
スイッチングハブ的スーツ

野崎 亙 SHITATE着用01 野崎 亙 SHITATE着用02

フォーマル度 : ★★★☆☆

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洋服の青山の印象を教えてください

Aoyama
impression

等身大の枠を少し超えたスーツで、新たな着こなしの幅が広がりました

実は、今まで『洋服の青山』とは一度も関わったことがありませんでした。私は、働き方や仕事の成果も「誰とも似ていない」独自のスタイルを大切にしてきました。そのため、若い頃から他の人と被らないような服やスタイリングを選んできました。
しかし、今回は等身大の枠を少し超えた印象のスーツに仕上げていただき、とても嬉しく思っています。これによって、自分の着こなしの幅も広がったのではないかと思います。

Material

今回チョイスした生地

Brand

カノニコ

レダ(イタリア)

1865年、イタリア・ビエラ地区ヴァレモッソにて創業の名門服地メーカー。原料となる羊の飼育から生地の完成まで全ての工程を徹底管理しています。老舗ブランドならではの蓄積された知識を活かし、最先端の技術力で高品質な生地を生み出し続けています。

トレンド性と上質さを併せ持つ新素材

Super110's Twill

野崎 亙 生地

ブランド:REDA
着用シーズン:オールシーズン
色:ブラウン
柄:無地
素材:W100%

REDA1865(クラッシックライン)の大定番SUPER110’Sの1/2綾の反染。従来品よりも目付を約20g軽量にした盛夏・10マンス対応の新素材。先染めにはないトレンドカラーをウールで表現する事によってトレンド性と上質さを併せ持つ新素材です。

インタビュー:小野 一樹
撮影:KIMU 構成・文:大塚 綾
CD:ジャン 光栄

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