『OCEANS』編集長が 選ぶのは、 時代を超越したスーツスタイル

Leader

21

Ryota
Hara

2024.06.12

SHITATE 60 LEADERSは、
洋服の青山60周年を記念した
オーダースーツ企画です。

Profile

株式会社ライトハウスメディア
OCEANS統括編集長 / 執行役員

原 亮太

全国書籍出版株式会社 編集部、株式会社INFASパブリケーションズ流行通信編集部を経て、2008年にOCEANS編集部に参画。2019年にWeb編集長、2023年から株式会社ライトハウスメディア執行役員 兼 OCEANS統括編集長を務めている。

原亮太profile

About Work

仕事について教えてください

原亮太インタビュー01

人にインパクトを与え、価値転換のきっかけをつくる

雑誌『OCEANS』は、2024年2月の発売号で18周年を迎えた大人の男性向けファッション雑誌です。昨年大盛況だったアワードを2024年も継続して実施する予定です。そのほか、ゴルフイベントや海洋保全プロジェクト「The Bluekeepers」も開始します。ちなみに媒体の名前の由来は映画『オーシャンズ11』のようなプロフェッショナル集団ということもあれば、世界に通ずる海=すべてにつながっていることを意味するなど、諸説ありますが今でもどちらも大切にしています。

原亮太インタビュー02

雑誌OCEANS

原亮太インタビュー03

雑誌の特徴はトレンドではなく、ライフスタイル前提のファッションを提案している点です。読者ターゲット層である40代男性の多くは、ライフパートナーがいて、大半はお子さんやペットなどがいらっしゃる。社会的なポジションを担う世代となり、自分本位で何でも決められるライフステージではなくなってきています。そうなると、自分が好きなことが延長線上にあるけれども心地よくて落ち着く格好の方が自分のマインドにフィットしてくる。そういう読者のイメージをもとに、さまざまなライフスタイルファッションを提案しています。別にトレンドを追うことがいけない、と言っているわけではなく、あくまで価値観の話なのです。例えば、お子さんが遊んでいるときには引っ張られたり、汚れたりする。ですから繊細な洋服は着られないじゃないですか。そういう意味では心地よさを重視するようになる世代ではないかと想定して提案しているのです。

原亮太インタビュー04

僕は雑誌で育ってきた世代ですが、今ではウェブの編集長も務めています。経験からくる紙媒体への哀愁や愛着はあります。しかし一方でイチ消費者として時代を振り返ると、昔はファッションに関する情報を入手する先が雑誌やファッションに詳しい先輩のような人に限られていました。だからこそ、紙媒体である雑誌に熱狂できたのです。しかし今、SNSなどプラットフォームは広がっています。だから媒体特性の異なるアナログとデジタルの両方を利用して、人にインパクトを与えていくと同時に価値転換を図っていく。アナログとデジタル、両方からいろいろな投げかけをする。それが雑誌の編集長をするうえでの一番の喜びになっています。

原亮太インタビュー05

About Suits

あなたにとってスーツとは?

原亮太インタビュー06

ワードローブの一つとしてマインドにフィットしたものを選びたい

雑誌でファッションの仕事をしているので、仕事服への付き合い方自体が一般的ではないかもしれませんが、基本的に服装選びでは人に不快感を与えないように気をつけています。清潔であるうえ、心地よいものかどうかが自分にとって重要なのです。

原亮太インタビュー07

コロナ禍以降、一気に時代が進み、オンライン会議についても誰もが抵抗感を示さないようになり、もうオフィスのフリーアドレスも最先端ではなくなりました。一昔前は、スーツにスニーカースタイルも珍しかったのですが、今ではそうでもありません。それにスーツといえば、昔は満員電車に揺られてビジネスパーソンがヨレヨレのスーツを着ているイメージもありました。でも今は違います。スーツは“着たいときに着るもの”、男性にとってのワードローブの一つになりました。だから着方は多様化していいと思うのです。僕はスーツパンツをDickiesのように腰で履きたいときもあるし、ジャケットだってシャツのように羽織ることもある。僕はスーツでも心地よさ、マインドにフィットしたものを着たいと思います。

原亮太インタビュー08

ちなみにオーシャンズでは、しばらく取り上げてこなかったスーツを「デニムとスーツ」という特集で、久しぶりに提案しました。内容は「着流しスーツ」とし、カチッと着るスーツはもちろんステキですが、着流す感じで、どこかに抜け感を持って着るスーツをオーシャンズでは提案しています。

原亮太インタビュー09

Trying On

試着

原亮太オーダースーツ試着01 原亮太オーダースーツ試着02

About SHITATE

SHITATEの感想は?

原亮太試着ディティール 原亮太試着ディティール

感情の揺らぎをくみ取り、理想のスタイルをかなえてくれた

原亮太インタビュー10

雑誌は特有の感情の“揺らぎ”みたいなものがあるのですが、それがデジタルにはない魅力だったりします。デジタルは課題があり、答えを見つけにいくもの。一方でアナログの紙媒体はスペースが限られているのでいろいろなものを取捨選択しつつ、可能な限りの要素を入れたりしています。いろいろな感情を詰め込んでいるので、それが“揺らぎ”となり、他に代えがたいものになるという喜びがありますね。

原亮太インタビュー11

スーツを仕立てるときにも感情の揺らぎみたいなものがあって……。今回スーツを仕立てるときに、「これしかできません」というような制限がたくさんあるのかと想像していました。でも実際には違っていて、「パンツを腰でゆったりと履きたい」と相談すると、いくつかあるスーツの組み合わせのなかでも上下、別のものと組み替える方法を提案してくれました。それにどうしてもつけたいボタンがあって、それをどうすれば実現できるのかも相談に乗ってくれました。こんな風に僕の感情の揺らぎにそっと寄り添ってくれて仕立ててくれたことで、今回、本当に満足のいくスーツができました。

原亮太インタビュー12 原亮太インタビュー13

『OCEANS』編集長が選ぶのは、
時代を超越したスーツスタイル

原亮太SHITATE着用01 原亮太SHITATE着用02

フォーマル度 : ★★★☆☆

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洋服の青山の印象を教えてください

Aoyama
impression

スーツを選ぶ際、コミュニケーションも楽しめる店

個人的に「洋服の青山」といえば、出先でネクタイやベルト、シャツを忘れたときのように緊急時に駆け込むお店です。本当に緊急事態のときに何度も助けてもらいました(笑)。でも最近は「フレッシャーズ」のようなテレビコマーシャルのイメージが強いですね。新社会人にとって、コストパフォーマンスがそれなりにいいものが手に入る。社会人が初めてスーツを選ぶときの登竜門的な存在なのではないでしょうか。それにスタッフの方たちがいろいろと意図をくみ取ってくれるので、どのスーツにするか決めるまでのコミュニケーションも楽しめるお店だと思います。

Material

今回チョイスした生地

Brand

カノニコ

カノニコ(イタリア)

1936年、イタリア・ビエラ地区にて創業した名門ミル。原毛を直輸入し、最新鋭の紡績機器を使用して生地まで生産しています。艶やかで柔らかい手触りが特徴で、高品質かつコストパフォーマンスの高さから世界的に高い評価を得ています。

ウール100%でコストパフォーマンスにも富んだ品質

LIGHTWEIGHT BEAUSOLEIL

原亮太生地

着用シーズン :オールシーズン
色:ブラウン
柄:ヘリンボーン
素材:W100%

経糸にSUPER 120'S、横糸に21マイクロンの糸を使用し、プルネル、2/1のツイルで、その横糸の太番の色糸が、生地のふくらみと、玉虫のような生地の色の出方を決定づけております。ウール100%でコストパフォーマンスにも富んだ品質となっております。

インタビュー:小野 一樹 採寸スタッフ:星野 貴俊
撮影:KIMU 構成・文:松葉 紀子
CD:ジャン 光栄

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