“ドーメルマン”が纏う 「伝統と革新」スピリット

Leader

01

Takahiro
Suzuki

2023.12.20

SHITATE 60 LEADERSは、
洋服の青山60周年を記念した
オーダースーツ企画です。

Profile

ドーメル・ジャポン株式会社
取締役社長

鈴木 貴博

世界中のクチュールブランドから絶大な信頼を得る、創業から180年を超える世界最古の服地ブランド「ドーメル」。2005年に設立された日本支社「ドーメル・ジャポン」の立ち上げメンバーのひとりであり、2021年に取締役社長に就任。服地業界一筋で、 “ドーメルマン”と呼ばれるスペシャリスト。高校・大学とアメリカで学び、台湾で中国語を学んだ国際派。

鈴木貴博profile

フォーマル度 : ★★★☆☆

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About Work

仕事について教えてください

鈴木貴博インタビュー01

「進化する老舗」の伝統と革新

フランスで1842年に創業したドーメルは、現在ヨーロッパでも数少なくなったファミリー企業で、エルメス、ディオール、イブサンローランという世界中のトップブランドで使われている生地メーカーです。
老舗中の老舗ではあるんですが、脈々とドーメル一族で受け継がれてきたスピリットは「伝統と革新」です。モットーは「最高の生地を作り、最高のサービスを」というものですが、最高の生地をサービスにするということは、常に新しい事を時代に合わせてやっていく、ということが重要になるんです。ドーメルという企業を表すなら、さしずめ「進化する老舗」です。

鈴木貴博インタビュー02 ドーメルロゴ

現当主・5代目ドミニク・ドーメルの「いい原毛がないといい生地はできない。いい生地がないと素晴らしいファッションは生まれない」という考えのもと、よりよい原毛となる羊探しから、その羊が育つ農場環境や紡績工場で働く人々の労働環境まで、すべてチェックするということを行っています。今でこそ、サスティナビリティという言葉は浸透していますが、生地業界で最も早い段階から、生地生産のすべての行程をモニタリングできるトレーサビリティを構築していて、それをやり続けているんです。それも常に時代を見据えて新しい取り組みをしながら進化を続ける…というドーメル精神あってのものだと言えます。
あと、もうひとつドーメルを表すキーワードは「180年続くフレキシビリティ」と「ミックススタイル」。さまざまな国籍を持つデザイナーたちが各々のテイストを取り入れ、生地もイギリス産以外のイタリアの生地も使って、時代に合ったミックススタイルを作り上げています。要するに、伝統だけにとらわれず、いいモノはいいモノとして取り入れる融通性があるから、その時代時代で評価をいただけていると思っています。

ドーメル社内 ドーメル社内

About Suits

あなたにとってスーツとは?

鈴木貴博インタビュー03

スーツは私の仕事そのもの

もちろんスーツは大好きです。スーツを着ると自然とスイッチが入る、非常に大切なアイテムです。今は、着用感が楽なファッションもいろいろ出ていますが、やっぱりカチッと決めるというスタイルが元々好きなんだと思います。けれど、昔から言われている「スーツは鎧」という意識はありますが、同時に、楽しみながら自分の個性を表現するモノでもある。自分の好きな色や柄、形のスーツを着て、「自分自身を伝える」ことができるモノなんだと思うんですね。

鈴木貴博インタビュー04

中にタートルを着て渋い大人の雰囲気を出したり、例えが少し古くなりますが、ちょいワル的にジレを使ったりシャツの着方をわざと崩してセクシーさを出してみたり…。Tシャツをスマートに着こなすスタイルがあったり、トム・ブラウンのようにハーフパンツスタイルでもいい。いろんな自分を表現できる、フレキシブルなアイテムだと思うんです、スーツって。
ファッション業界では企業のトップもスタイルが変化してきていますが、まだまだ日本ではスタイリングが分からない、という人も多いですよね。だから、青山商事さんが提唱している「ビジネスウェアガイドマップ」はいい試みだと思います。
私もただ売る、というのではなくて、ドーメルの魅力を信じて、お客様に自分を通して紹介していくという意味で、私にとって「仕事がスーツそのもの」と言えますね。

鈴木貴博インタビュー05

Trying On

試着

鈴木貴博オーダースーツ試着01 鈴木貴博オーダースーツ試着02

About SHITATE

SHITATEの感想は?

鈴木貴博試着ディティール 鈴木貴博試着ディティール

自分の個性を一番表現してくれるモノ

今回、SHITATEでセレクトした生地は「GUY DORMEUIL(ギー・ドーメル)」。この生地は、まだドーメル・ジャポンも設立していなかった20年以上前に、ドミニク・ドーメルが「洋服の青山」のために生み出したコレクションです。久しぶりにストライプ柄にしてみました。ネイビーの地色にボルドーの縞が入ったオルタネイトストライプなので、離れた場所からは濃い無地に見えて、さりげなくオシャレ感がプラスされますね。裏地も合わせてボルドードットに。ネクタイもね、今日は菱形柄にボルドーが少し入ったものを選んでみました。もっとボルドーを効かせたネクタイでよりクラシックに、中をボルドーのタートルで合わせてみたりしてもいいですね。シーズン的にも長く着ることができるスーツになったし、とても着心地がよく動きやすいので、非常に気に入りました。

鈴木貴博インタビュー06

私は毎シーズンほぼオーダーで作っていて、ざっと5~60着近くあるかな。既製服にないオーダーの魅力は、もちろん生地や色、形など自分が好きなものを選べるということもありますが、各要素を決めていく行程も楽しめる、そして出来上がりまでの時間を「どんな風に仕立てあがってくるんだろう?」ワクワクしながら待つ…、というのが大きな醍醐味ではないでしょうか? 全国展開する「SHITATE」でオーダースーツを作る体験を通じて、その楽しみさを伝えられるのは、本当にすばらしい事だと思います。

鈴木貴博インタビュー07

“ドーメルマン”が纏う
「伝統と革新」スピリット

鈴木貴博インタビュー08 鈴木貴博インタビュー09

フォーマル度 : ★★★★★

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洋服の青山の印象を教えてください

Aoyama
impression

最高のパートナーです

20年以上前、オートクチュール専門だったドーメルが日本全国で膨大な既製スーツを販売する「洋服の青山」に、「GUY DORMEUIL」というオリジナル生地を提供する、ということはドミニク・ドーメルにとっても大きな決断だったと思います。けれど、「進化する老舗」という言葉通り、新しいトライアルに向かって、スーツ業界で絶対的な強さを持っていた「洋服の青山」とパートナー関係を結び、長年いい関係を続けていることが、決断の答えだと思います。今も、御社の営業統括はドミニク・ドーメルです。彼にとって、それだけ思いが強いコレクションであり、パートナーなんです。

Material

今回チョイスした生地

Brand

鈴木貴博着用ブランド

ドーメル(フランス)

1842年、フランスにて繊維商として創業したブランド。英国の伝統と格式に、フランスのエスプリとエレガンスを融合させたコレクションは、世界中のテーラーから愛されています。

クラシック性とモダン性を
兼ね備えた素材

AMADEUS ACTION

鈴木貴博記事

着用シーズン : 秋冬
色 : ネイビー
柄 : オルタネイトストライプ
素材 : W100%

DORMEUIL ブランドを象徴する素材。厳選されたSuper100’sのメリノウールのみを使用し、DORMEUIL社の伝統と最新技術を駆使して開発されたクラシック性とモダン性を兼ね備えた素材。特殊な撚糸技術で、独自のソフトストレッチは着る人のスタイルを引き立てる。

インタビュー:尚 貴範 採寸スタッフ:高橋 拓也
撮影:KIMU 編集・文:大塚 綾
CD:ジャン 光栄

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