ウールとは?特徴やカシミヤなど他の素材との違い、アイテムを紹介
2023.10.05
この記事の所要時間:約8分
ウールのシーズンは秋冬だけだと思っていませんか?
天然素材で暖かく、セーターやマフラーなどに使われているため、秋冬のイメージが強い素材です。
しかし、ウールには優れた吸放湿性があり、夏のおしゃれにも使える素材でもあります。
今回は、ウールの特徴や手入れの方法、春夏にもおすすめのアイテムをご紹介します。
1.ウールとは?
ウールとは、一般的に羊の毛を原料として作られる動物繊維を指します。
厳密には、カシミヤやモヘヤ、アンゴラなど、他の動物の繊維(獣毛)もウールと呼ばれますが、衣類表示では羊毛以外は個別の原料で表記されるため、ウールと記されているものはほぼ羊毛だと考えてよいでしょう。
なお、衣類表示では単に「毛」と表記されている場合があります。
その場合は、羊毛以外の獣毛を含む動物の毛全般を表しています。
2.ウールと間違えやすい言葉との違い
私たちの身の回りの衣類は、さまざまな原料から作られています。
ここでは、ウールと間違いやすい言葉について、その特徴や性質を解説します。
2-1.ウールとコットンの違い
ウールが羊毛を原料とした動物繊維なのに対し、コットンは綿花を原料とした植物繊維です。
どちらも天然繊維ですが、原料が動物か植物かという点で大きく異なります。
2-2.ウールとカシミヤの違い
どちらも動物繊維ですが、原料となる動物に違いがあります。
ウールは羊、カシミヤはカシミヤヤギです。
カシミヤは、柔らかな手触りと光沢が特徴です。
2-3.ウールとモヘヤの違い
どちらも動物繊維ですが、原料となる動物に違いがあります。
ウールは羊、モヘヤはアンゴラヤギです。
モヘヤは、ふわふわした細い繊維と絹のような光沢が特徴です。
2-4.ウールとアクリルの違い
ウールは羊毛を原料とした天然繊維なのに対し、アクリルは石油由来の化学繊維です。
アクリルは合成繊維のなかでは羊毛に近い風合いですが、純化学的に合成された高分子からできている点で大きく異なります。
2-5.ウールとアンゴラの違い
どちらも動物繊維ですが、原料となる動物に違いがあります。
ウールは羊、アンゴラはアンゴラウサギです。
アンゴラは、軽くて柔らかく、非常にデリケートな繊維です。
3.ウールの特徴・メリット
ウールは身近で使いやすい素材です。
ここでは、ウールのもつ特徴を7つのメリットとともに解説します。
3-1.保温性に優れる
ウールは優れた保温性があるのが特徴です。
クリンプと呼ばれる縮れにより繊維が複雑に絡み合い、繊維内に空気を含むことで、熱が伝わりにくい構造になっています。
そのため、冬は暖かく、夏は涼しく感じます。
3-2.伸縮性に優れる
ウールは伸縮性にも優れています。繊維が複雑に絡みあう構造により、引っ張ると伸び、離すともとに戻ります。
素材自体の伸びがよいため、厚手の生地でも着脱しやすいのがメリットです。
3-3.型崩れしにくくシワができにくい
ウールは高い弾力性と反発性を持つため型崩れしにくく、シワもできにくい素材です。
シワになってしまった場合も、アイロンのスチームなどで湿気を含ませるともとに戻ります。
3-4.吸放湿性に優れる
ウールは吸放湿性に優れており、汗を吸収し発散させます。
その吸湿性はコットンの2倍ともいわれています。
また、湿気を吸収したときに熱を放出させるため、夏でもドライな着心地で快適に過ごせます。
3-5.汚れに強い
汚れが付きにくい点もメリットです。
繊維自体の保水性が高いため、静電気が起こりにくく、チリやホコリを寄せ付けにくい性質があります。
また、繊維を覆うエピキューティクルという膜が水をはじくため、雨や泥水の汚れも付きにくくなります。
3-6.消臭・抗菌に優れる
ウールには天然の抗菌作用があり、悪臭を防ぎます。
羊毛は皮膚が変形したものであるため、皮膚がもつ免疫機能を備えています。
自然の抗菌繊維と呼ばれるはたらきで防臭効果を期待できます。
3-7.色落ちにしにくい
ウールは吸湿性が高いため、染料が繊維に吸収されやすく、きれいに染まります。
また、羊毛のアミノ酸と染料が強く結合するため、染めた色が落ちにくく、美しい色合いを保ちます。
4.ウールのデメリット
ウールは天然繊維のため、取り扱いを間違うと縮みや害虫被害にあう可能性があります。
デメリットを知り、美しい状態を長く保ちましょう。
4-1.縮みやすく・毛玉ができやすい
ウールの大きなデメリットは、縮みやすく毛玉ができやすい点です。
誤ったお手入れをすると、ウールがフェルト化し、硬く縮んでしまいます。
フェルト化とは、ウールが濡れた状態で揉まれて繊維が絡み合い、目が詰まって生地が縮んだり硬くなったりする現象です。
ウールは基本的に水洗いには不向きです。
縮みや毛玉を防ぐには、ドライクリーニングに出すことをおすすめします。製品の洗濯表示を確認し、適した方法で手入れしましょう。
4-2.虫食いにあう可能性がある
ウールは動物性の天然繊維です。
そのため、虫が繊維を食べ、製品が虫食い被害にあう恐れがあります。
虫が好むのは、服についた食べこぼしや皮脂の汚れです。
汚れが付着したままにしておくと被害に遭いやすいため、着用後はきれいに落としてから収納しましょう。
防虫剤を使用したりアイロンがけをしたりすることも有効です。
5.ウールの洗い方・干し方は?
次に、ウールの洗い方を解説します。
ただし、ウールは水洗いができないものも多いため、事前に洗濯表示を確認してください。
5-1.洗濯機
洗濯機の場合、ネットに入れたうえで、ドライコースのような生地へ負担がかからないコースで洗うのがポイントです。
洗剤は、ウール用洗剤か中性洗剤を使用します。
アルカリ性洗剤や漂白剤はウールの繊維を溶かす恐れがあるため避けましょう。
洗濯手順
1.形を整えた洗濯物をネットに入れる
2.ドライコースを選択する
3.ウール用洗剤を使用して洗う
5-2.手洗い
手洗いのポイントは、水温です。
水で洗うと生地がフェルト化し、39度以上のお湯を使うと縮みます。また、生地をこすり合わせると毛玉ができるため注意しましょう。
※洗濯表示に適切な水温が記載されていることがあります。手洗いをする前に洗濯表示を確認しましょう。
洗剤は、洗濯機の場合と同様、ウール用洗剤か中性洗剤を使用します。
洗濯手順
1.洗面器または湯舟に30℃前後のぬるま湯と洗剤を入れ、洗濯液を作る
2.服を洗濯液に浸し、手のひらで優しく押し洗いする
3.ぬるま湯でじゅうぶんにすすぐ
5-3.ウールの干し方
ウールの服を干すときは、平らな場所で平干ししましょう。
ウールは伸縮性に優れ、吊るすと伸びてしまうため、ハンガーは使用しません。
洗濯が終わったら、ネットに入れて洗濯機で30秒ほど脱水するか、乾いたタオルで水分をとります。
そのうえで、風通しのよい日陰で形を整えて平干しします。
ウールは熱に弱いため、乾燥機は避けましょう。
6.ウールの保管方法
ウールを保管する際に意識したいのは、防虫と防カビです。
ウールはタンパク質が主成分の動物繊維のため、虫食いを防ぐ工夫が大切です。
保管前に、服についた汚れや食べこぼしを取り除きましょう。
また、湿度が高いとカビが発生しやすいので、しっかり乾燥させ収納しましょう。
通気性のよいカバーをかけるか、乾燥剤を使用した湿気対策をおすすめします。
収納してからも、定期的にたんすや引き出しを開けて風を通しましょう。
7.ウールのアイテムを紹介
冬は暖かく夏は涼しいウールは、一年を通して活躍する素材です。
ウール製品のなかでも使いやすい3アイテムをご紹介します。
7-1.ウール×Tシャツ
ベーシックなクルーネックTシャツをウールで仕立てたドレスシャツ。
そのままでもジャケットのインナーとしても使える優秀アイテムです。
上品な光沢感と柔らかさが、コットンとは違うワンランク上の印象を与えます。
産地や工程にこだわった国産ウール100%の生地を使用しています。
洗濯可能で、洗うたびに風合いの変化を楽しめます。
7-2.ウール×コート
なめらかなシルエットが美しい、上質なウールを使用したロング丈のトレンチコートです。
老舗イギリスメーカーMOON社の生地を採用し、素晴らしい風合いと発色の良さが特徴です。
ベルトの結び方で表情が変わるため、ビジネスにもプライベートにも着回しできます。
細部まで行き届いたデザイン性と軽く暖かい素材にこだわった、長く愛用したいコートです。
7-3.ウール×カーディガン
家庭で洗えるウール100%のカーディガンです。
オンオフ問わずスタイルにプラスできるシンプルさが光ります。
毛玉になりにくい特殊加工と静電気防止加工を施しているため、動作を気にせず着用できるのも魅力。
ワークスタイルに合わせて取り入れたいアイテムです。
8.ウールのアイテムを使ったコーデを紹介
ご紹介したウールのアイテムを使ってコーディネートした実例をまとめました。
着こなしの参考にしてください。
8-1.ウール×ブラウンコート
ウールのロング丈トレンチコートをフレアスカートに合わせました。
流れるようなラインが美しいコーディネートです。
ベーシックなコートは、フェミニンなスカートスタイルにもハンサムライクなパンツスタイルにもマッチします。
タートルネックのインナーで防寒も完璧です。
8-2.ウール×クルーネックTシャツ
ウールのアイテムでご紹介したクルーネックTシャツの色違いです。
上品な素材が、カジュアルな組み合わせを大人のスタイルにブラッシュアップしています。
ウールは汗を吸収して発散するため、季節の変わり目のインナーにおすすめ。さらりとした感触で快適に過ごせます。
9.まとめ
ウールは優れた吸放湿性で、着用時に快適さを与えてくれる天然繊維です。
秋冬だけでなく、夏場もさらりとした着心地を楽しめます。
お手入れに注意を払いながらウールの着こなしを楽しみましょう。