ベントとは?センターベントとサイドベンツの違いや選び方を紹介
2023.08.29
この記事の所要時間:約4分
スーツやジャケットなどの上着の裾部分にある切れ目をベントと呼びます。
ベントには、背中にあるもの、サイドにあるもの、まったくないものなどがあり、それぞれシルエットに違いがあります。
それぞれの特徴を知っておけば、スーツや上着を選ぶのが楽しくなるでしょう。
ここでは、ベントの歴史や由来、センターベントとサイドベンツの違いや特徴などを解説します。
1.ベントとは?歴史や由来は?
ベント(vent)とは、スーツやジャケット、上着の裾部分に入っている切れ込み・割れ目の総称です。
購入時にはしつけ糸で留められていることが多いため、着るときには糸を切ってから着用します。
元々、スーツの原型となったジャケットにベントはありませんでした。
しかし、19世紀頃のイギリスで、貴族がジャケットを着用したままでも馬に乗りやすいよう背中側の裾に切れ込みを入れるデザインが生まれ、そこからセンターベントが誕生したといわれています。
また、左右にベントがあるサイドベンツは、騎士が腰に剣を刺したときにジャケットが邪魔にならないよう作られたとされています。
それぞれの由来から、日本ではセンターベントを馬乗り、サイドベンツを剣吊りと呼ぶこともあります。
また、サイドベンツは左右にベントがあることから、英語表記した際に複数形となるため、ベンツ(vents)と表記されます。
2.ベントの種類や特徴
ベントは、その有無やベントの位置によって3つの種類に分けることができます。
まずはベントの種類を知り、違いを理解しましょう。
2-1.ノーベント
ノーベントのジャケットには、当然ベントがありません。
裾周りをぐるりと一周見てどこにも切れ込みがない場合は、ノーベントということになります。
ベントの由来からもわかるように、ベントは動きやすさや利便性のために作られたため、ノーベントのジャケットの方がエレガントでクラシックな印象となります。
礼服やタキシードなどのフォーマルスーツはノーベントです。
2-2.センターベント
センターベントのジャケットは、後ろ身頃のセンター部分にベントがあります。
スポーティーでスタイリッシュな印象を与え、後ろ姿がスッキリ見えます。
細身のシルエットで動きやすいのが特徴です。
一般的なビジネススーツのシルエットとしても広く知られ、丈が短めのジャケットでも多く採用されています。
2-3.サイドベンツ
サイドベンツのジャケットは、両脇の裾にベントがあります。
センターベントよりもゆとりのあるシルエットになるのが特徴です。
丈が長めの上着や英国スタイルのスーツで多く採用されており、エレガントで堂々とした印象を与えます。
3.ベントを選ぶときのポイント
自分がスーツや上着に何を求めるかがわかれば、どのベントのジャケットを選べばよいのかわかるでしょう。
ここでは、ベントを選ぶときのポイントを2つご紹介します。
3-1.シルエット
タイトなシルエットのスーツが好きな方はセンターベント、ゆとりがあるシルエットのスーツが好きな方はサイドベンツの上着を選ぶとよいでしょう。
短め丈のスーツは、センターベントのほうが腰回りが美しく見えます。
反対に、長め丈のスーツの場合は、サイドベンツのほうがエレガントな印象に仕上がります。
3-2.動きやすさ
切れ込みの数が増えるぶん、サイドベンツのほうが裾が大きく開くため、動きやすくなっています。
たくさん歩くような日であれば、サイドベンツのスーツを着たほうが快適に過ごせるでしょう。
4.サイドベンツ・センターベントのアイテムを紹介
4-1.サイドベンツ×スーツ
サイドベンツがエレガントな英国スタイルのスーツです。
伝統的なシルエットで品格を出しつつ、ウエストのシェイプや肩周りのシルエットは現代的に仕上げています。
ここぞというときのスーツに最適です。
4-2.サイドベンツ×アウター
ロング丈のアウターは、サイドベンツにすることで足さばきが良くなり、動きやすくなります。
また、動いたときの後ろ姿がきれいに見えるため、上品な印象を見る人に与えられるでしょう。
4-3.センターベント×スーツ
イタリア風のクラシカルなデザインをモダンに仕上げたスタンダードビジネススーツです。
センターベントで腰回りがスッキリ見える一方、シルエットにはややゆとりを持たせており、ゆったりめが好きな方でも着やすい仕立てとなっています。
4-4.センターベント×アウター
短め丈のアウターは、センターベントにすることでさらにスタイリッシュな印象に仕上がります。
重めになりがちなダークカラーのステンカラーコートも、丈が短いと軽やかな雰囲気になるため、どのスーツとも合わせやすく便利です。
5.まとめ
ベントの特徴を知ると、スーツや上着を選ぶときの判断基準が増え、自分に似合うスーツを探しやすくなります。
購入時には、後ろ姿を鏡で確認したりして、より具体的なイメージをつかんでみましょう。
センターベントとサイドベンツ、それぞれ使い分けて、よりよい印象を持たれるスーツ選びを実現してください。