スーツの袖ボタンの数と種類ごとの特徴!おしゃれにカスタマイズしたいならオーダースーツがおすすめ
2022.12.21

この記事の所要時間:約9分
新しくオーダースーツを作る際には、袖ボタンの数や付け方をどうすべきか決める必要があります。
しかし、今まで自分で袖ボタンを選んだことがないため、付ける数や種類によってどのような違いがあるのかわからない方もいることでしょう。
この記事では、スーツの袖ボタンの数や仕様の特徴を解説します。ナットボタンや水牛ボタンなど、ボタンの素材ごとの魅力も紹介しているので、スーツを新調する際の参考にしてください。
1. スーツの袖ボタンの意味は飾り
スーツの袖にボタンが付いているのは、装飾的な意味を持っています。ただし、袖ボタンは最初から飾りを目的としていたわけではなく、付けるようになったのには2つの説が関係しています。
1-1. ナポレオンが隊員に鼻水を拭かせないため
1つ目の説は「鼻水を拭かせないようにするため」です。この説にはフランスの皇帝として有名なナポレオン・ボナパルトが関係しています。
今から200年以上前の1812年に、ナポレオンがロシア帝国に侵攻したときのできごとです。
厳しい寒さに見舞われたため、ナポレオンが指揮する軍の隊員たちがジャケットの袖で鼻水を拭いてしまいました。鼻水を拭いた袖はカピカピになってしまい、ジャケットの見た目を損ないます。
身なりから敵国へと威圧感を与えることを重視するナポレオンにとって、隊員たちが袖口に鼻水を付けているのは許容できないことでした。
そこで、袖で鼻水を拭かせないための対策として金属ボタンを袖に付けたのが、袖ボタン誕生のきっかけといわれています。
1-2. 医者がジャケットの袖をまくるため
2つ目の説は「医者が袖をまくるため」です。なぜ袖をまくる必要があったかというと、かつてはスーツのジャケットを脱ぐことが失礼にあたるとされていたからです。
しかし、ジャケットを脱がなければ、治療をする際に袖が邪魔になってしまいます。そこで、袖をまくれるようにするためにボタンが取り付けられ、袖を開けられるようになりました。
このような2つのできごとをきっかけに、スーツのジャケットには袖ボタンが付いているといわれています。
2. スーツの袖ボタンの数による特徴・印象
スーツの袖ボタンは3つや4つのものをよく見かけますが、それよりもボタンが少ないジャケットや、多いジャケットもあります。
ここではスーツの袖ボタンの数による特徴と与える印象について解説します。
2-1. 袖ボタンは3つ・4つが定番

スーツの袖ボタンの数は3つか4つが定番です。既製品で販売されているスーツのほとんどがどちらかに該当するため、仕事の際に着用している方も多いことでしょう。
ビジネスで利用する場合は、袖ボタンが3つか4つのジャケットを選んでおくと間違いありません。
3つボタンは礼服に多く、4つボタンはビジネス用でよく採用されています。3つか4つによってフォーマル度に差はないので、自分の好みにあったほうを選びましょう。
2-2. 袖ボタン1つ・2つはカジュアル向き

袖ボタンが1つや2つなど少ないものは、カジュアルなジャケットでよく見られます。ボタンが少ないことでカジュアルな印象が強くなるため、プライベートで着用するジャケットに向いています。
ボタンが3つや4つのものと比べるとフォーマル度は低くなるので、ビジネスシーンや冠婚葬祭での着用は避けましょう。
2-3. 袖ボタン5つは個性的

あまり見かけることがありませんが、袖ボタンが5つ付いているジャケットもあります。周りの人と被ることが少ないため、袖ボタンで個性を出したい方におすすめです。
通常よりもボタンが多く付いていることで、手元の印象を強くする効果が期待できるでしょう。
2-4. 袖ボタンなしは女性用に多い

袖ボタンが付いていないジャケットは、女性用スーツで採用されることが多いです。また、購入後に自分でボタンの数や位置を決めるために、袖ボタンなしで販売されていることもあります。
袖ボタンなしのジャケットのなかには、袖を折り返して着用できる「リターンカフス」の仕様として販売されているものもあり、手首が少し見えることで軽やかな印象を与えられます。袖をまくりやすいため、暑い日や汚れそうな作業をするときでも快適に使えるでしょう。
なお、袖ボタンなしのジャケットは、ボタンが1つや2つのものと同様にカジュアルな印象を与えるので、TPOに合わせた着用がおすすめです。
3. スーツの袖ボタンの種類・仕様
スーツの袖ボタンは数だけでなく、どのように付けるかや袖の仕様によって印象が変わります。ここでは、袖ボタンの付け方の種類と袖の仕様について解説します。
3-1. 並びつけボタンと重ねボタン


ボタンの付け方は「並びつけボタン」と「重ねボタン」の2種類に分かれています。
並びつけボタンとは、ボタンを重ねずに一列に並べる付け方のことです。スーツのジャケットのボタンの付け方として一般的であり、既製品の多くが並びつけボタンを採用しています。
一方で、重ねボタンとは、ボタンの端が重なるように並べる付け方のことです。
イタリアの職人が高い技術を持っていることをアピールするため、ボタンを重ねたのが始まりといわれています。そのような理由があってか、イタリアブランドのスーツで重ねボタンを用いているものがよく見られます。
重ねボタンは、機能的に並びつけボタンと違いはありませんが、手元を立体的かつ華やかに見せる効果が期待できるでしょう。ただし、フォーマルなシーンでの着用はおすすめできないので、冠婚葬祭の際は並びつけボタンのスーツを選んでください。
なお、袖ボタンを5つ付ける場合は、並びつけボタンではボタンの距離が長くなってしまうため、収まりがよくなる、重ねボタンにするのがおすすめです。
3-2. 開き見せと本切羽


スーツの袖の仕様は「開き見せ(あきみせ)」と「本切羽(ほんせっぱ)」の2種類に分かれます。
開き見せとは、袖ボタンやボタンホールが飾りで付けられており、袖口を開閉できない仕様のことです。既製スーツに多く見られる仕立てとなります。
開き見せのメリットは、袖丈の調整がしやすいことです。ボタンホールに穴が開いていないため、ホール糸をすべて外して袖口から丈を詰められます。袖丈を調整しやすいので、既製スーツに採用されやすくなっています。
本切羽とは、ボタンとボタンホールが付いており袖口を開閉できる仕様のことです。本あき(ほんあき)と呼ばれることもあります。
本切羽は、袖ボタンを外して大人の余裕を感じさせる絶妙な抜け感スタイルが可能で、袖口のおしゃれを楽しめるメリットがあります。
一方で、ボタンホールがあるためホール糸を外せず、袖丈の調整がむずかしいのがデメリットです。そのため、袖丈の大幅な調整は肩口からおこないます。
ただし肩口からの調整は全体のデザインを崩す危険性が高く、お直しをする場合は費用もかさむので注意が必要です。
4. スーツの袖ボタンの素材

スーツの袖ボタンはさまざまな素材があり、どのボタンを選ぶかによって雰囲気が変わります。ここでは、スーツの袖ボタンに用いられる代表的な5つのボタンの特徴を解説します。
● プラスチックボタン
● ナットボタン
● 貝ボタン
● 水牛ボタン
● メタルボタン
4-1. プラスチックボタン



プラスチックボタンは、ポリエステルやナイロン、ユリアなどを原料としているボタンです。
カラーやデザインが豊富で、硬くて丈夫という特徴があります。安価なこともあり、既製スーツの多くがプラスチックボタンを使用しています。
4-2. ナットボタン

ナットボタンは、南アフリカのヤシの実の種を削り出して作ったボタンです。天然の木目柄が入っており、徐々に色が濃くなるといった経年変化を楽しめます。
夏用のジャケットで、軽快さやカジュアルさを強調したいときにおすすめです。色はブラウンが定番ですが、ブラックやネイビー、グレーもあります。
4-3. 貝ボタン

貝ボタンは、白蝶貝(しろちょうがい)や黒蝶貝(くろちょうがい)、高瀬貝(たかせがい)などの貝殻をくり抜いて作ったボタンです。
天然素材特有の光沢感が美しく、華やかな印象を与えられます。見た目が涼しげなこともあり、特に麻素材との相性が優れています。
ただし、強い衝撃や圧力に弱く、割れやすくなっているので、貝ボタンを付けた場合は取り扱いに注意しましょう。
4-4. 水牛ボタン

水牛ボタンは、水牛の角を原材料としているボタンです。ボタンのなかでは高級なものに分類されるので、高級スーツによく採用されています。
染色はしておらず、ホワイトやブラック、色が混ざっているマーブル調など、さまざまな色味があります。
ツヤありとツヤなしの2種類に分かれているので、華やかに見せたいときはツヤありを、落ち着いて見せたいときはツヤなしの水牛ボタンを選ぶとよいでしょう。
4-5. メタルボタン



メタルボタンは、亜鉛や真鍮(しんちゅう)などの金属を原料としているボタンです。
ブレザーのボタンとしてよく採用されています。
メタルボタンは、ほかのボタンよりも主張が激しく、カジュアルな印象が強くなります。そのため、メタルボタンを付けたい場合は、プライベートやオフィスカジュアルで着用するジャケットに付けるのがおすすめです。
5. スーツの袖ボタンが割れたらお店で交換しよう

スーツの袖ボタンは物にぶつかったり、擦れたりすることが多いため、長年着用していると割れてしまうことがあります。
ボタンが割れた場合は、お直しを専門としているお店やスーツの販売店で交換してもらいましょう。
予備のボタンをお持ちの場合は、そのボタンに付け替えてもらえば交換が完了します。予備のボタンがない場合は、スーツの販売店で同じようなボタンがないか相談するとよいでしょう。
洋服の青山でもスーツのお直しサービスを提供しており、袖ボタンの交換が可能です。青山会員様であれば、他社製品※であってもボタンの交換を受け付けておりますので、お近くの店舗にご依頼ください。
※イトーヨーカドー内の全店舗、アリオ内の全店舗、ヨシヅヤ津島本店、アピタ戸塚店は当社品のみの受付となります。
6. おしゃれな袖ボタンにしたいならオーダースーツがおすすめ

スーツの袖ボタンにこだわりたい方は、オーダースーツがおすすめです。オーダースーツなら、ボタンの素材や数を選んだり、袖の仕様を本切羽にしたりするなど、自分の好みに合ったデザインにできます。
洋服の青山が提供するオーダースーツブランドの「Quality Order SHITATE(クオリティーオーダー・シタテ)」でも、袖ボタンのカスタマイズが可能です。
高級ボタンの代名詞である水牛ボタンは2,200円(税込)で、袖の仕様を本切羽にする場合は2,750円(税込)でオプションとして追加できます。
1着31,900円(税込)からオーダースーツが作れますので、お近くの洋服の青山の店舗でお気軽にご相談ください。
7. まとめ

スーツの袖ボタンは、ボタンの付ける数や付け方、袖の仕様、素材によって見た目が大きく変わります。
重ねボタンにしてみたり、水牛ボタンを選んでみたりすることで、華やかでおしゃれな印象を与えられるでしょう。
全体のデザインだけでなく、袖ボタン選びにこだわることで、より満足のいくオーダースーツを作ってみてください。