スーツのポケットは出すのがマナー?手やモノを入れるのもNG?種類も紹介
2023.08.31
この記事の所要時間:約7分
カジュアルスーツやビジネススーツには多くのポケットが存在しますが、それぞれにルールやマナーが設けられていることをご存知でしょうか。
ポケットのマナーを知らずに洋服同様の扱い方をしていると、見た目の美しさが損なわれるだけでなく、スーツの劣化を進める原因にもなります。
ここでは、見た目の印象アップにつなげてくれるポケットのマナーをご紹介します。
1.スーツのポケットは出す?
スーツを着用した際、腰ポケットにあるフタ(フラップ)を「出すべき?」「入れるべき?」と悩んだ経験はありませんか?
スーツのポケットにつけられたフタにも、実はマナーが設けられています。
ポケットのフタには、屋外で雨や埃を防ぐ目的があります。
そのため、屋外では外に出し、室内に入った段階でポケットにしまう形が理想的です。
また、シーンによっても適切なマナーが異なるため、詳しく解説します。
1-1.就職活動
就職活動では、基本的なマナーに忠実に、屋外では外に出し、屋内に入る際にポケットにしまいましょう。
就職活動では、見た目の清潔さや第一印象が重要です。
スーツの正しいマナーを意識すれば、一目で礼儀正しい印象を与えられます。
1-2.ビジネスシーン
ビジネスシーンの場合、外出のたびに出し入れを徹底するのは困難なため、出したままでも問題ないとされています。
ただし、左右のフタの状態が統一されるよう整える必要があります。
片方が出て片方がしまわれているような中途半端な着こなしは、だらしない印象を与えてしまうため注意が必要です。
1-3.冠婚葬祭
婚礼や祭典などのお祝いの席では、ビジネスシーン同様に出したままでも問題ありません。
一方、葬儀や法事で喪服を着用する場合は、屋外では出し、屋内では入れるマナーを徹底しましょう。
法事で喪服の代わりにダークな色合いのスーツを着用する場合も同様です。
故人を偲ぶ気持ちにふさわしいマナーを心がけましょう。
2.スーツのポケットには手やモノを入れないのがマナー?
スーツのポケットにモノを入れることは、シルエットの乱れや型崩れの原因となるため注意が必要です。
そもそも、スーツにあるポケットは本来、モノを入れるための仕様ではありません。そのため、基本的にポケットの中には何も入れないことが望ましいとされています。
一方、スーツの利便性を考慮し、シルエットが乱れない程度でモノを入れるために付けられたポケットも存在します。
ここでは、シーン別のポケットの使用マナーを解説します。
2-1.ビジネス
ビジネスシーンでは、基本的にポケットにモノを入れて使用しません。
ポケットがモノで膨らんでいる姿は、だらしない印象を与える可能性があります。
ただし、唯一、胸の内側にあるポケットは、シルエットが崩れない程度のモノを入れることを想定して作られています。
内ポケットを使用する際は、薄いハンカチや名刺ケース、ペンなど、シルエットが乱れない範囲に抑えましょう。
2-2.結婚式
結婚式やパーティーなどのお祝いの席でも、ポケットは基本的に使用せず、美しいシルエットを保ちスマートに着こなしましょう。
ただし、結婚式やパーティーでは、使用すべきポケットが1つあります。
ポケットチーフを挿すための胸ポケットです。
お祝いの席にふさわしいポケットチーフを選択すれば、華やかな演出で祝福の気持ちを表現できます。
ポケットチーフの挿し方を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
2-3.葬式
お葬式でも、ビジネスシーン同様、ポケットにモノは入れません。
内ポケットに関しても、使用する場合は薄いハンカチ程度に抑えます。
お悔やみを伝える席のため、カジュアルな印象を与えないよう、ポケットマナーのルールに忠実に対応しましょう。
3.スーツのポケットの場所と種類
スーツには数々のポケットが存在します。
それぞれのポケットの意味やデザインを知れば、スーツを選ぶ際の参考になります。
詳しく見ていきましょう。
3-1.内ポケット
内ポケットは、胸の内側にあるポケットです。
ひと口に内ポケットといっても、その種類はさらに以下のように分かれます。
チケットポケット
スーツの胸の内側にさりげなく存在するチケットポケットは、名前のとおり、電車の切符を入れるために作られた薄いポケットです。出し入れにスムーズに対応できるよう、浅くデザインされています。
インサイドポケット
インサイドポケットはメインポケットとも呼ばれ、内ポケットのなかで実用性の高いポケットです。大きさによってはサブポケットや携帯ポケットとも呼ばれます。他のポケットと異なり深めに作られているため、スマートフォンや薄い財布を忍ばせておくことも可能です。
ペンポケット
ペンポケットは、インサイドポケットの下に付いています。メインポケットよりもスリムな作りで、万年筆やフォーマル用のボールペンを忍ばせておくことが可能です。
3-2.胸ポケット
胸ポケットは、ポケットチーフを挿し華やかさを演出する目的で付けられています。
そのため、ペンや携帯電話を入れるのはタブーとされています。
胸ポケットのデザインには、大きく以下の2つの種類があります。
ウェルトポケット
ウェルトポケットは、ポケットの口に箱型の縁飾りを施してあるデザインです。縁が箱型のため箱ポケットともいわれ、ビジネススーツや礼服などで用いられることの多いオーソドックスなデザインです。
バルカポケット
バルカポケットは、ポケットの縁が少し斜めにデザインされ、舟のような形をしています。このことから、イタリア語で舟を指す「バルカ」の名前が付けられました。ウェルトポケットと同様、ビジネススーツにも頻繁に用いられます。
3-3.腰ポケット
腰ポケットは、ジャケットの腰の辺りにあるポケットを指します。
その大きさから、ついモノを入れてしまいがちですが、モノを入れて膨らんでいる様子はスマートではないため、注意が必要です。
腰ポケットには、以下の4つ種類があります。
フラップポケット
フラップポケットは、ビジネススーツやリクルートスーツにも多く用いられている、フタのあるデザインのポケットです。スーツは元々室内での着用を目的に作られましたが、やがて屋外でも着用されるようになったことから、雨や埃を防ぐためにフタが付けられました。
スラントポケット
スラントポケットはハッキングポケットとも呼ばれ、フタのあるポケットが斜めにデザインされています。イギリスの高級仕立てのデザインとされ、乗馬の際に冷えた手を温めるため、手を入れやすいように斜めにポケットが付けられたことが由来です。
パッチポケット
アウトポケットとも呼ばれる、スーツに同じ布を重ねたシンプルなデザインのポケットです。カジュアルな印象を与えるため、フォーマルなシーンに用いられることは少なく、単品で着用するジャケットで人気のあるデザインです。
チェンジポケット
主に右の腰ポケットの上に位置する小さなポケットです。小銭やチケットを入れるためのポケットであり、元々はスーツではなくコートにデザインされていたポケットです。着丈が長いスーツや背広などに用いられます。
3-4.スラックス
スーツや制服とセットアップして着用するスラックスには、両サイドにまっすぐにデザインされたサイドポケットや、左のヒップにあるヒップポケット、右の腰に小さく施されたポケットなどがあります。
スラックスもジャケット同様、基本的にはモノは入れず、シルエットを崩さないように注意しましょう。
4.まとめ
スーツのポケットに関するマナーでは、スーツポケットのフタは屋外では出し屋内では入れること、ポケットには基本的にモノは入れないこと、内ポケットを使用する際はシルエットに配慮することが重要です。
手持ちのモノが多い際につい使ってしまいがちなスーツのポケットですが、ここでご紹介した注意点を踏まえながら、正しいマナーで美しくスーツを着こなしましょう。