コットンとはどんな生地・素材?綿やウールとの違いやアイテムを紹介
2023.10.30
この記事の所要時間:約9分
洋服やタオルなどの表記でよく目にする「コットン」。
よく似たものとして連想する「綿」との違いをご存じですか?
ここでは、コットンと綿・ウール・リネンの違いや、コットンを選ぶメリット・デメリット、おすすめのアイテムをご紹介します。
1.コットンとは?どんな生地・素材?
まずは、コットンとはどのような生地・素材なのか、その意味や歴史、種類を見ていきましょう。
1-1.コットンの意味・原料
コットンの原料は、アオイ目アオイ科ワタ属に属する多年草「ワタ」の種子毛(しゅしもう)です。
種子毛は白くふわふわした形状をしていて、ワタの種を守る役割を担っています。
この種子毛の繊維を素材として加工したものが、コットンです。
1-2.コットンの歴史
コットンの歴史は、約8,000年前まで遡ります。
メキシコが原産国のコットンは、インドやエジプトを経て中国やヨーロッパへ渡り、平安朝初期に中国から日本へ輸入されたといわれています。
現在はアメリカ、インド、中国などで盛んに生産されていますが、日本ではほとんど栽培されていません。
1-3.コットンの種類
コットンには次の3種類があります。
- 長繊維種
- 中繊維種
- 短繊維種
それぞれの特徴を見ていきましょう。
長繊維種のコットン
長繊維種のコットンとは、毛足が30ミリメートル以上のコットンのことです。肌触りは滑らかで、シルクのような光沢感があります。希少性が高く、高級なコットン製品によく使用され、他の2種類と比べて価格が高めです。
中繊維種のコットン
中繊維種のコットンとは、21〜28ミリメートル程度の平均的な毛足のコットンのことです。私たちの身近にある洋服やタオルなどのコットン製品には、主にこの中繊維種が使用されています。毎日使いたくなるような、安心感のある質感です。
短繊維種のコットン
短繊維種のコットンとは、10〜20ミリメートル程度の毛足の短いコットンのことです。繊維が短いため、糸としてではなく寝具やクッションの中綿としてよく使用されます。毛足が短いぶん繊維が太く、他の2種類に比べて強い強度を持っています。
2.コットンと混同しやすい言葉との違い
綿・ウール・リネンは、コットンとどのような違いがあるのでしょうか。
それぞれの違いを見ていきましょう。
2-1.コットンと綿の違い
コットンという名前は、綿の英語表記「COTTON」をカタカナにしているだけです。
つまり、綿とコットンはまったく同じものです。
綿の繊維を示すときは、次の3つのいずれかで表示するよう、消費者庁の家庭用品品質表示法により定められています。
- 綿
- コットン
- COTTON
2-2.コットンとウールの違い
コットンはワタから作られた植物繊維であるのに対し、ウールは羊毛から作られる動物繊維です。
ウールの原料となる羊毛には、シープ種、アルパカ種、メリノ種などがありますが、コットンの原料はワタのみです。
また、コットンはオールシーズン使うのに適している一方、ウールは保温性の高い冬のアイテムとして親しまれています。
2-3.コットンとリネンの違い
コットンとリネンには、主に次の3つの違いがあります。
- 原料
- 肌触り
- 速乾性
リネンの原料は、亜麻(フラックス)と呼ばれる植物の茎の柔らかい部分です。
コットンに比べると肌触りはややゴワゴワしていますが、繊維の中が空洞のため速乾性に優れています。
リネンの生地に関して詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
3.コットンの特徴・メリットは?
日常によく馴染むコットンですが、生地として具体的にどのようなメリットがあるのか、ご紹介します。
3-1.夏は涼しく冬は暖かい着心地
コットンは通気性・吸水性・保温性のバランスがよく、オールシーズン快適に使える素材です。
中身が空洞になっているため、風の通り道ができて夏は涼しく感じます。
また、上着を羽織ることで身体の熱が外に逃げず、冬は暖かく感じます。
3-2.水に強く劣化しにくい
コットンは他の天然繊維に比べて水に強く、劣化しにくいメリットがあります。
耐久性も高いため頻繁に洗濯をしても傷みにくく、洗濯頻度の高い下着や夏物の衣類に適しています。
3-3.吸水性・通気性に優れている
コットンは吸水性が高く、水に濡れたり汗をかいたりしたときに素早く水分を吸い取ってくれます。
夏の時期でも蒸れにくく快適さを維持できるため、インナーとしてよく使われる素材です。
3-4.肌触りがよい
コットンは質感が柔らかく、ふわふわとした優しい肌触りが特徴です。
繊維の先端に丸みがあることで、チクチクするような刺激はほとんどありません。
肌に直接触れる下着やインナーにぴったりな素材で、敏感肌の方でも心地よく着られます。
3-5.静電気が起こりにくい
コットンは、ポリエステルのような化学繊維に比べ水分率が高い素材です。
保湿性が高いため電流を逃しやすく、静電気が起きづらい点もメリットです。
冬場の静電気体質にお悩みの方は、コットンを取り入れてみることで悩みが軽減するかもしれません。
3-6.染色しやすい
コットンは染まりやすい素材のため、さまざまな色や柄に染められます。
あらゆる染め方に対応できるため、色や柄のバリエーションが他の素材に比べて豊富です。
気温や圧力に左右されにくいため、製品化してから染める製品染めにも対応できます。
4.コットンのデメリットは?
次にコットンのデメリットをご紹介します。
4-1.洗うと縮みやすくシワになりやすい
コットンは乾燥をすると縮む性質があります。
洗濯をすると、糸が水分を吸い取り膨張。その膨張を元の状態に戻そうと、乾燥時には縮もうとします。
縮んだ生地はシワになりやすいため、後述するお手入れ方法を参考にしながら、適切な干し方・乾かし方を心がけましょう。
4-2.乾きが遅い
吸水性に優れているコットンは、水分をたっぷり吸う分、蒸発するまでに時間がかかります。
なかでも、梅雨の時期や換気の悪い室内に干すときは雑菌が繁殖しやすく、気になるニオイの原因になることもあります。
乾きが遅い、ニオイが気になるという場合は、衣類同士の間隔をあけて風通しをよくしながら干すのがおすすめです。
4-3.羽毛立ちしやすい
コットンは摩擦に弱い性質があります。摩擦によって毛羽立ってしまうことも多く、ひどいときは製品がくたびれた印象に見えてしまうこともあるでしょう。
コットンの毛羽立ちを防ぐためには、製品を洗濯ネットに入れてから洗う方法がおすすめです。
摩擦を防ぎ、コットンの毛羽立ちを軽減してくれます。
4-4.変色・色落ちする場合がある
コットンには染まりやすいメリットがありますが、そのぶん色落ちや変色をしやすい生地でもあります。
なかでも濃い色に染められたコットンは染料が多い分色落ちしやすく、他の衣類に色移りしてしまうことがあります。
色移りが気になる場合は、色の濃いコットンと白い衣類は分けて洗いましょう。
5.コットンをお手入れするときのポイント
他の天然繊維と比べて扱いやすいコットンは、お手入れ方法も簡単です。
洗濯するとき、干すとき、アイロンがけのときの3つに分けてお手入れポイントをご紹介します。
5-1.洗濯するとき
コットンを洗濯機で洗うときは、衣類の内側タグに表記してある洗濯表示を事前に確認しましょう。
そのうえで、洗濯ネットに入れて回すといった工夫をすると、他の衣類との摩擦を防げます。
洗剤は、弱アルカリ性洗剤、中性洗剤のどちらでも使用可能です。
中性洗剤を使って脱水時間を短くすると、繊維への負担はより少なくなります。
手洗いのポイントは、優しく手早く洗うことです。
洗うのに時間をかけすぎると必要以上に水分を吸ってしまい、乾いたときに生地が縮みやすくなります。
洗面器に水(またはぬるま湯)と中性洗剤を入れ、コットンを優しく押し洗いしたら、洗剤がなくなるまでよくすすぎます。
5-2.干すとき
コットンはシワになりやすい素材のため、脱水後はなるべく早く干すように心がけましょう。
干すときは、生地をパンパンと叩いたり、手で軽く引っ張り伸ばしたりすると、シワが少なくなります。
湿気の多い時期でニオイが気になる場合は、衣類の間隔を15〜20センチメートルほどあけて風の通り道をつくるとよいでしょう。
それでもニオイが取れないときは、軽めに煮沸すると雑菌の繁殖を抑えられます。
5-3.アイロンがけのとき
コットンはアイロンがけで痛む心配がないほど熱に強い素材です。
アイロンがけのポイントは、生地を引っ張りながらかけること。
それでもシワが消えない場合は、スチームをかけながらアイロンがけをしましょう。
アイロンをかけてからすぐに畳むとシワになりやすいので、形が定着するまで少し時間をおくのもポイントです。
6.コットン素材のアイテムを紹介
最後に、コットン素材のおすすめフォーマルアイテムをご紹介します。
6-1.コットンのスーツ
コットンのスーツは、夏は涼しく冬は暖かい、オールシーズン取り入れやすい便利なアイテムです。
汗をかきやすい梅雨や夏の時期でも、コットンの優れた通気性・吸湿性で快適に着用できます。
楽な着心地でありながらクラシカルな見た目のトレンドスーツでビジネスにぜひ取り入れたい一着ですね。
6-2.コットンのスラックス
形態安定性をもつコットンスラックスです。
高級綿を100%使用しています。
形態安定加工を施しているため、家庭洗濯可能です。洗って干すだけでアイロン掛けなしで着用いただけるレベルの仕上がりです。
6-3.コットンのワイシャツ
形態安定を施したワイシャツも近年多く出回っています。
優れたストレッチ性で、快適な着心地のものも多く、選ぶ際は意識しましょう。
水に強いコットンのシャツは毎日洗っても劣化しにくいため、頻繁に着るシャツにぴったりの素材です。
6-4.コットンのブラウス
アメリカ西部で育てられた希少なスーピマ綿を100%使用したコットンブラウスです。
スーピマ綿とは希少なコットンで、柔らかさ、滑らかさとともに、色の美しさが特徴です。
6-5.コットンのハンカチ
コットン100%の、肌触りが心地よい大判ハンカチです。
小さめで上品なドット柄が、身だしなみに華やかさを添えます。
男女問わず日常使いしやすい、オンにもオフにも適したハンカチです。
7.まとめ
コットンは、優れた耐久性、吸水性、通気性などが特徴で、オールシーズン使いやすいのが魅力。
肌に優しく誰でも使いやすい天然素材のため、敏感肌の方でも安心して着用できます。
素肌を優しく守り快適さを感じさせてくれるコットンを、ぜひ日常のファッションに取り入れてみてください。