【日々のお手入れ】スーツのアイロンがけ・ブラッシングについて
2023.05.10
この記事の所要時間:約9分
スーツは買ってからお手入れの具合で差が出るもの。
最初の美しさをキープするだけでなく、着馴染むことでさらに魅力が引き出されます。
ここでは、スーツのアイロンがけ、ブラッシングについて解説します。
スーツのただしいお手入れ方法を知れば、さらにスタイルが磨かれます。
クリーニングの頻度や、クリーニングに出す際の注意点が知りたい方はこちらをご覧ください。
1.ハンガー選び
ジャケット用のハンガーを選ぶ際、まず知っておきたいのがさまざまなサイズがあるということ。
ジャケットの肩幅にできるだけ合わせ、なおかつポイントをおさえれば、美しいシルエットを保つことができます。
また、ハンガー選びが重要なのは、スラックスも同じ。
ただしジャケット用と違い、サイズはほとんど同一です。
しかし種類はいくつかあり、そのどれを選ぶかがポイントとなります。
1-1.ジャケット用は厚みのあるハンガー
肩先に厚みのあるハンガーなら、ジャケットの立体的な形を損なうことなく保管できます。肩の厚みや肩先が前方に向かってカーブしていることも大切。自分のジャケットのデザインに合ったハンガーを選びましょう。
1-2.シャツ用は薄手でしっかりしたフレームをチョイス
シャツは毎日着替える都合上、クリーニングから返ってきたままのワイヤーハンガーを使い続ける人も多いはず。しかしそれはあくまでも簡易的なもの。シワができないように肩のラインに沿った形状のものがおすすめです。
1-3.スラックス用は吊りタイプがおすすめ
ジャケット用のバーにスラックスをかけられるものもありますが、専用のズボン吊りタイプがおすすめです。
2.ブラッシングのコツ
服以外の重みは型崩れの原因になるため、ブラッシング前にポケットの中に物が入っていないことを確認します。
ジャケット、スラックスともに、まず下から上にブラッシングしてホコリを浮かせます。
そして、上から下にブラッシングしてホコリを落としながら生地目を整えるのが基本。
以上の手順でブラッシングを行えば、ホコリが綺麗に落ち、さらに光沢感も蘇ります。
出来ればブラシはコシのある豚毛のものを選び、繊維に対してブラシの毛が直角にあたるようにし、毛先でホコリを誘い出すことを意識して下さい。
細かく擦ると織り目や繊維のなかに汚れが入り込んでしまうことがあるので、大きく払いましょう。
2-1.ジャケットは面を意識
ブラッシングの動作は大きく、リズミカルに。ジャケットをかける際、まずは面を意識しながらブラッシングしていきましょう。襟や袖口などは全体をかけたあとにブラシを細かく使って念入りに掻きだすイメージで。これで大抵のホコリやヨゴレは落ちます。
2-2.襟・肩は縫い目に沿って
普段、毛髪やフケなどで汚れやすいうえ、保管している際にもホコリがたまりやすいジャケットの肩周り。さらに襟裏にも意外とホコリがたまりやすいので注意しましょう。縫い目にそって溝から掻きだすように小刻みにブラッシングしたあと、生地目を整えるように全体をブラッシングしてください。
2-3.見落としやすいポケット裏も重要
ポケットの中は意外と糸くずやホコリがたまりやすい箇所。しっかりと内側を引き出し、縫い目に沿って掻き出しましょう。クリーニングに出す前は特に効果的です。また、負担がかかりやすいところなので、ホツレや穴なども同時にチェックすれば一石二鳥です。
2-4.スラックスはハンガーに吊るしながら
スラックスをブラッシングする場合は、必ずベルトを外しハンガーに吊るしてかけましょう。かける方向は裾からウエストにむかって下から上に。その次にウエストから裾に向かって上から下に、という手順で行います。
ホコリがたまりやすいダブル仕上げなどの折り返し部分はブラシの先をつかって掻き出すこと、汚れやすい膝から下は重点的にブラッシングすることを心がけて下さい。
3.スーツとシャツのアイロン術
家庭でのお手入れの代表格といえばアイロンがけ。
常にビシッとした清潔感のある状態を保つためには必須となります。
しかし、間違ったやり方で行うとスーツを傷めてしまい、生地本来の風合いや柔らかさを失ってしまうことも。
自分自身でも簡単にできるアイロンのかけ方を学びましょう。
3-1.ジャケット
ジャケットで注意したいことは、まず温度です。
素材によって適切な温度は違いますが、綿や麻は180~200℃、ナイロン・アクリル素材は110~130℃、ウールはあて布をして140~160℃を目安にしてください。
芯地を片手でひっぱりながら、スチームの湿気が取れないうちにプレスして形を整えていきます。
芯があるところはクセがつきやすいため、余計なテンションをかけて折り目がついてしまわないよう気をつけてください。
肩・袖
台に着せるように置き、肩の袖の上部にアイロンをかけます。肩のラインを崩さないようやさしくかけること。
前身頃
左右片面ずつプレスしていきます。襟の部分は裏側からかけて、形を整え、表側のラインを決めていきます。
襟
裏側から芯地を引っ張りながらかけます。熱があるうちに両手で形を整え、表側のラインを決めていきます。
背中
背中は中央から外に向かって、広げるようにアイロンをかけてください。
腕
腕の部分は、立体的な形・ラインが崩れないように、とくにやさしく、丁寧にかけましょう。
3-2.シャツ
シャツのアイロンがけでとくに重要なのが、襟、肩、袖口といった“人目につく部分”。
毎回、しっかりとプレスすることで、スーツスタイルが引き締まり、清潔感を演出できます。
襟・肩
襟から肩の部分は、両端から中央に向かって、しっかり押さえるようにプレスしていきます。
袖口
袖は、かける前にシワをよく伸ばし、脇の縫い目を目安に、袖口に向かって、まっすぐプレスします。
カフス部分
カフス部分は裏側からアイロンをあてます。片手で引っ張るように伸ばしながらかけるのがコツです。
前身頃
前後の身頃部分は、アイロン台に着せるようにすると、肩の部分も簡単にプレスできます。
3-3.スラックス
基本的な注意事項はジャケットと同じ。アイロンの熱とスチームの湿気で緩んだ生地にしっかりとテンションをかけながら形を整えていきます。
しかしスラックスの場合は、腰まわり、ヒップ、足、裾という順序を守りながら、最終的につける折り目を考える必要があります。
腰まわり
アイロン台に着せるようにし、はじめは裏地からプレスしていきます。ファスナーにあたらないように注意してください。
膝
片足ずつ縫い目に合わせて置き、アイロンを浮かせ気味に、らせん状にスチームをあてれば、たるみがとれます。
裾
裾が動かないように押さえながら、股下あたりまで一気にプレスし、大まかに折り目を決めていきます。
折り目付け
裾をプレスする際に決めた折り目に沿って、しっかりと前後の折り目を付けていきましょう。
4.取り扱い絵表示(洗濯マーク)を知る
近年ウォッシャブルスーツが増え、スーツやジャケットは、取り扱いの判断も迷いがち……。
取り扱い絵表示の意味を知っていれば、洗濯する際に正しい判断ができ、より的確にお手入れができるようになります。
ここでは代表的な取り扱い絵表示をご紹介します。日々のお手入れの参考にしてください。
4-1.洗い方に関する絵表示
大きく分けて強弱と手洗いが洗い方の基本。
特に“ネット使用”に関しては見落としがちなので注意しましょう。
水の温度は40℃を限度とし、洗濯機による通常の洗濯処理ができます。
水の温度は40℃を限度とし、洗濯機による弱い洗濯処理ができます。
水の温度は30℃を限度とし、中性洗剤を使用した洗濯機による弱い洗濯処理ができます。
水の温度は40℃を限度とし、ネットを使用した洗濯機による通常の洗濯処理ができます。
水の温度は40℃を限度とし、手洗いによる洗濯処理ができます。
水洗いは洗濯機、手洗いともにできません。
4-2.アイロンがけに関する絵表示
間違ったアイロンがけをしてしまうと、衣類そのものを傷めてしまいます。
絵表示を理解して、衣類に合ったアイロンがけをしましょう。
底面温度 200℃を限度としてアイロン仕上げ処理ができます。
あて布をして底面温度 150℃を限度としてアイロン仕上げ処理ができる。
4-3.ドライクリーニングに関する絵表示
スーツなどによく用いられるドライクリーニング。
絵表示を通してドライクリーニングのことを理解すれば、家庭で洗えない衣類、洗える衣類なども判断できます。
パークロロエチレンまたは石油系の溶剤でのドライクリーニング処理ができます。
石油系の溶剤でのドライクリーニング処理ができます。
ドライクリーニングができません。
4-4.干し方に関する絵表示
干し方の絵表示には、吊るして干すか、平らな場所に干すかを示す干し方を示す絵表示と、日向がよいのか日陰がよいか示す干す場所に関する絵表示があります。
つり干し乾燥がよいと示しています。
日陰でのつり干し乾燥がよいと示しています。
平干し乾燥がよいと示しています。
日陰での平干し乾燥がよいと示しています。
洗濯マークの意味について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
関連記事:【洗濯マークの意味は?】洋服を洗うときに5つの洗濯表示を確認しよう
5.まとめ
スーツのアイロンがけ、ブラッシングについてお伝えしました。
日々のお手入れには、
- スーツ用のハンガー
- 豚毛のブラシ
を準備し、清潔感を保つためにアイロンがけをしましょう。