革靴のストレートチップとは?革靴についての知識を深めよう
2022.12.20
この記事の所要時間:約7分
革靴にはスーツのように長い歴史があるため、多くのデザインやルールがあります。
そのような革靴のなかでも格式が高い「ストレートチップ」をご存じでしょうか。
ストレートチップは、冠婚葬祭からビジネスシーンまで幅広く使用できる革靴です。
そこで今回は、ストレートチップの最適な着用シーンや履きこなし方について解説します。
1. ストレートチップとは
革靴は、つま先の辺りに切り替えのデザインが施されていることがあります。
その切り替えが横一文字(ストレート)になっている革靴を「ストレートチップ」と呼びます。
帽子を被せたような見た目から「キャップトゥ」と呼ばれることもあります。
革靴には多くのつま先のデザインがありますが、ストレートチップは格式が高く、冠婚葬祭などのフォーマルシーンでも着用可能です。
もちろん、ビジネスシーンでも着用できます。
革靴の定番品なので、最初の一足としてもおすすめです。
2. ストレートチップ以外の革靴のデザインは?
革靴にはストレートチップ以外にも多くのデザインがあり、それぞれ向いている着用シーンが異なります。
まずは、革靴のデザインやどのような場面で着用できるかについて解説します。
2-1. プレーントゥ
つま先に切り替えがないデザインがプレーントゥです。
シンプルで装飾性が低いため、どのようなシーンで着用してもその場に馴染みます。
ストレートチップと同様フォーマルシーンに適しているので、冠婚葬祭で着用しても問題ありません。
また、切り替えがなくツルッとした表情なので、ストレートチップほどのかっちりした感がなく、カジュアルシーンでも違和感なく着用できます。
2-2. Uチップ
つま先の切り替えがU型になっているのがUチップです。
Uチップは漁業や狩猟、土木作業の労働者などに着用されてきた歴史があります。
そのため、頑丈な造りになっていることが特徴の1つです。
また、プレーントゥに比べると装飾性が高く、靴に表情があるため、シンプルなコーディネートにも合わせやすい革靴です。
Uチップの派生としてアメリカで進化した「Vチップ」もあります。
Vチップはつま先に向かうにつれて切り替えがV字状に細くなっています。そのため、Uチップよりもスタイリッシュな印象です。
2-3. ウィングチップ
ウィングチップはつま先の切り替えが「W」のようになっているデザインです。
切り替えのつま先側に「メダリオン」と呼ばれる穴装飾があるのも特徴の1つです。
クラシカルでおしゃれな印象があるウィングチップですが、装飾性が高いためフォーマルシーンでは避けましょう。
ビジネスシーンやカジュアルシーンで着用するとよいでしょう。
2-4. タッセル
タッセルとは、つま先の切り替えではなく革靴のアッパー(甲革)の房飾りのことです。
タッセルはローファーによく見られるデザインです。
ローファーはフォルムが丸いため革靴のなかでもカジュアルなアイテムであるため、冠婚葬祭には向いていません。
ただしクールビズやビジネスカジュアルなどでは、コーディネートをカジュアルダウンするアイテムとして使わることも多いです。
2-5. モンクストラップ
モンクストラップとは、革靴の内側から伸びたベルトをバックルで留めてサイズ調整ができるものです。
ベルトが一本の革靴は「シングルモンクストラップ」、ベルトが2本の場合は「ダブルモンクストラップ」と呼ばれます。
モンクストラップは靴ひもがないためシンプルな印象である一方で、金属製のバックルが付いているため装飾的な雰囲気もあります。
ビジネスシーンやジャケパンのビジカジスタイルに適していますが、冠婚葬祭には向いていません。
関連商品の購入はこちら
3. ストレートチップの革靴の型の種類
革靴のフォーマル度はつま先のデザインだけでは決まりません。
ここでは、革靴にとって重要な要素である内羽根式と外羽根式について解説します。
3-1. 内羽根式
靴ひもを通す穴が空いている部分の革を「羽根」と呼びます。
この羽根の部分がアッパー(甲革)部分に入り込んでいる革靴が「内羽根式」です。
内羽根式は、イギリスのヴィクトリア女王の夫であるアルバート公が考案したといわれています。
王室由来のアイテムであるため上品さが感じられる内羽根式は、長年フォーマルシーンで使用されてきました。
内羽根式と格式高いストレートチップやプレーントゥの組み合わせは、最も冠婚葬祭にふさわしい革靴といわれています。
3-2. 外羽根式
外羽根式は、羽根の部分がアッパー(甲革)のうえに乗っている革靴です。
外羽根式のルーツは軍靴にあります。
1815年に起こった「ワーテルローの戦い」でプロシア(北ヨーロッパの旧地名)の軍隊が着用していたといわれています。
外羽根式は軍靴らしく、素早く着脱可能でフィット感も高く機能性に優れています。
その後、外羽根式は一般市民にも広がり、労働用や狩猟用としても使用されてきました。
動きやすく機能性が高い外羽根式は、外を歩き回る営業員などビジネスシーンに最適な革靴です。
冠婚葬祭で着用できないわけではありませんが、主賓や新郎新婦の親戚などとして参列するのであれば、品格が出る内羽根式のほうがふさわしいでしょう。
4. ストレートチップの履きこなし方
最後に、ストレートチップの履きこなし方を解説します。
4-1. スーツスタイルに合わせる
ストレートチップは革靴のなかで最もフォーマルなので、スーツスタイルと合わせてビジネスシーンで着用可能です。
重要な商談やプレゼンなどにも適しています。
また、シンプルな表情のストレートチップはスーツに合わせやすいことも特徴の1つです。
革靴のカラーはブラックが汎用性に秀でていますが、スーツと革靴の色をより調和させるのであれば、スーツの色が明るくなるにつれて、革靴の色も明るくするのがおすすめです。
例えば、ブラックスーツにはブラックの革靴、ネイビースーツにはダークブラウンの革靴、ライトグレーにはライトブラウンの革靴という形です。
スーツと革靴の濃淡を合わせることでコーディネートが統一され、よりおしゃれに見えます。
しかし、ストレートチップをフォーマルシーンでも着用するのであれば、色はブラック一択でしょう。
スーツや革靴はブラックが最もフォーマル。
ブラウンのような明るい色はカジュアルな印象が強くなるため、冠婚葬祭での着用には向いていません。
4-2. オフィスカジュアルに合わせる
オフィスカジュアルでストレートチップを着用する場合は、フォーマル度が高くなりすぎないことがポイントです。
フォーマル度を抑えてカジュアルダウンするには、次のような方法があります。
- 革靴の色をブラック以外のブラウンにする
- シャツやトップスに明るい色のアイテムを取り入れる
- パンツの裾丈を調整して足首を見せる
- 多少ゆとりのあるシルエットに整える
足元は人の目線が止まりやすい部分です。
ストレートチップのようにフォーマルな革靴を履いて、その他の部分を上手にカジュアルダウンできれば、上品な印象を残しつつおしゃれな雰囲気を出せます。
5. まとめ
ここまで、革靴のストレートチップの特徴や、革靴のつま先のデザインの種類などについてご紹介しました。
格式が高く、冠婚葬祭からビジネスシーンまで幅広く着用できるストレートチップ。
Uチップやウィングチップなど他のデザインのつま先を持つ革靴とも使い分けしながら、ここぞというフォーマルシーンでしっかり上品さをアピールしてみましょう。