礼服と喪服、実は違う?それぞれの特徴や着用シーンの違いについて
2022.12.02
この記事の所要時間:約6分
同じものだと思われがちな「礼服」と「喪服」。
実は明確な違いがあります。
そこで今回は、礼服と喪服の違いやそれぞれの種類などを解説します。
この記事を読めば、どんなに格調高い式典でも自信を持って着こなしができるようになります。ぜひ最後までご覧ください。
1. 礼服と喪服の違い
まず、礼服と喪服の違いを確認しておきましょう。
1-1. 喪服は礼服の一種
礼服とは、冠婚葬祭のような改まったシーンで着用する服のことです。英語では「フォーマルウェア」といいます。
また、冠婚葬祭のうち葬式など弔事で着る礼服を「喪服」といいます。
つまり、喪服は礼服の中の一種ということになります。
1-2. 着用シーンの違い
喪服は弔事で着用するものであるのに対し、その他の礼服は結婚式や入学式などの式典で着用します。喪服は弔事以外では着用しません。
喪服とビジネスで着るブラックスーツは似ていますが、弔事でビジネス用のブラックスーツを着るのは好ましくないでしょう。
喪服はツヤがない漆黒ですが、ビジネスのブラックスーツにはツヤがあり、同じブラックでも少し明るいです。
そのため、ある程度フォーマルな服装についての知識がある方が見れば喪服でないとすぐにわかってしまいます。
仕事の帰りにお葬式に行く場合でも、喪服に着替えてから参加するようにしましょう。
2. 礼服の種類
礼服には、格式の違いによりいくつかの種類があります。
2-1. 正礼装
正礼装は礼服のなかで最もフォーマルな服装です。
結婚式や式典などで、参加者をもてなす側や主賓などが着用します。
モーニングコートや燕尾服、タキシードなどが正礼装にあたります。
●モーニングコート
モーニングコートは昼間に開催される慶事や弔事で着用される正礼装です。
結婚式では新郎や主賓が着用し、葬式では喪主を含め主催者側が着用します。
ジャケットは緩やかなフロントカット・ピークドラペル・1つボタンが特徴です。
モーニングコートは年齢層が高い方が着用する印象があるかもしれませんが、どの年代の方々が着用しても違和感はありません。
パンツは「コールズボン」と呼ばれるグレーとブラックのストライプが入ったものを、シャツはフォーマルシーンで定番のウィングカラーを着用します。
靴は革靴のなかでもフォーマルな内羽根ストレートチップやプレーントゥを履くのが一般的です。
このように、モーニングコートには多くの決まりごとがあります。
慶事か弔事かによっても細かな作法が変わってくるので、購入・レンタルする際はお店の方に相談してみましょう。
●燕尾服
モーニングコートは昼間の正礼装でしたが、燕尾服は夜の正礼装です。
晩餐会や舞踏会のほか、格式高い結婚式では新郎が着用します。
オーケストラの指揮者や演奏者、馬術選手、オペラ歌手など、格式高く華やかな場に立つ方々も燕尾服を着用します。
もし式典などの招待状に「ホワイトタイ」と記載がある場合、それは燕尾服のことを指しています。
燕尾服は、背中側に尻尾(テイル)があるジャケットとホワイトベスト、ホワイト蝶ネクタイのスリーピースが基本のスタイルです。シャツは『イカ胸シャツ』を着用します。
イカ胸シャツとは、胸の部分に別の生地を張り付けて厚みを持たせたシャツのこと。燕尾服を着る際には胸のところに勲章を付けることも多く、この勲章をしっかりと留めるために厚みが付けられています。
●タキシード
タキシードは本来、慶事の準礼装ですが、いまでは夜の正礼装として着用されています。
招待状に「ブラックタイ」と記載がある場合はタキシードのことを指しています。
タキシードの襟には、先が尖ったピークドラペルと、丸い形状のショールカラーの2種類があります。
また、ラペル部分は拝絹(はいけん)という光沢のある生地を張った仕様になっています。
文字どおりシルクを用いますが、代替品として光沢があるポリエステルやキュプラなどが使われることもあります。
2-2. 準礼装
準礼服とは正礼装の次にフォーマルな服装のことです。
昼間に着用する準礼服のディレクターズスーツを指します。
ディレクターズスーツは、ブラックのジャケットと、ブラックとグレーがストライプになったパンツを組み合わせたスーツです。
結婚式や披露宴では、親族や主賓、職場の上司など、立場がある参加者がディレクターズスーツを着用します。
ブラックスーツのジャケットと、モーニングコートのパンツを組み合わせればディレクターズスーツとして着用できます。
2-3. 略礼装
略礼服とはいわゆるブラックスーツを指しています。
文字通り、ジャケットもパンツもブラックのスーツです。
ブラックスーツとビジネスで着用するブラックのスーツは違うものです。
ブラックスーツは深みを感じますが、ビジネス用のブラックのスーツはグレーが入ったような色合いをしています。
また、生地や光沢の具合など細かなところでも違いがあります。
3. 喪服の種類
続いて、喪服の種類を解説していきます。
3-1. 正喪服
正喪服は、喪服のなかで最も格式高い服装です。男性の場合は和装かモーニングコートとなります。
お葬式の際に正喪服を着用するのは、喪主を含め葬儀を主催する立場の方です。
ただし、実際の葬儀で正喪服を着用する方は少数で、喪主であってもほとんどの方がブラックスーツを着ています。
3-2. 準喪服
準喪服とは、正喪服に次ぐ格式高い服装です。
男性の場合は、弔事で頻繁に着用されるブラックスーツにあたります。
ビジネス用のブラックスーツとは色や光沢、素材などが異なるため、違うものだと認識しておきましょう。
3-3. 略喪服
略喪服とは、急な弔問や三回忌以降の法要などで一般の参加者が着用する喪服です。
ブラックやダークトーンのスーツを着用することが一般的です。
ビジネスで着用するダークトーンのスーツで問題ありませんが、柄が入っているようなカジュアルなものは避けましょう。
また、シャツはホワイトの無地が基本です。
4. 購入するならブラックスーツがおすすめ
初めて礼服を購入するのであれば、汎用性が高いブラックスーツがおすすめです。
ブラックスーツであれば結婚式とお葬式のどちらにも参加可能です。
もちろんネクタイを付け替える必要はありますが、ブラックスーツを一着持っていればほとんどの冠婚葬祭で困ることはありません。
正礼装のモーニングコートや燕尾服を着こなせれば大人の男性としての品格を表現できますが、着用する機会は限られています。
まずはブラックスーツを購入し、その後必要があれば正礼装や正喪服にも挑戦してみましょう。
5. まとめ
ここでは、礼服と喪服の違いや種類、それぞれの着用シーンをご紹介しました。
礼服には、格式に応じて正礼装・準礼装・略礼装といった種類が、また喪服にも正喪服・準喪服・略喪服といった種類があり、それぞれにふさわしい着用シーンがあります。
まずは多くの場面で着用できるブラックスーツをきっちりと着こなし、冠婚葬祭での服装に失礼がないよう心がけましょう。