ツイードとは?どんな生地・素材?種類やコーデ・着回しを紹介
2023.12.15
この記事の所要時間:約7分
ツイードは、独特の素材感や豊富なデザイン、伝統的な雰囲気を持ち、人とは違うワンランク上のおしゃれアイテムとして人気の生地です。
しかし、どのようにファッションに取り入れたらよいかわからず悩む方も多いのではないでしょうか。
ここでは、ツイードの種類や特徴、シーン別のコーディネート例などをご紹介します。
1.ツイードとは?どんな生地?
ツイードは、主に秋冬に使用する高級素材として広く知られている生地です。
まずは、ツイードの定義や由来、ヘリンボーンとの違いを解説します。
1-1.ツイードの定義
ツイードとは、ウールを使用した紡毛織物の生地で、スコットランドが発祥です。
紡毛織物は羊毛の長さを揃えたりせずにそのまま紡いだ生地で、太く粗い糸を用いるため、厚みのある素朴な風合いの生地になります。
丈夫で保温性に優れるなどの特徴を持っています。
1-2.ツイードの由来
ツイードの名前の由来には、主に2つの説があります。
1つ目は、生地の生産地がスコットランド南東部を流れるツイード川流域にあったことから、川の名前をとって名付けられたという説。
2つ目は、19世紀半ばにロンドンの商社で販売された際、伝票に「Twill(ツイル:綾織り)」と書くところを「Tweed(ツイード)」と誤ったスペルで書いたことから名前が定着したという説です。
1-3.ツイードとヘリンボーンとの違い
ツイードがスコットランド発祥の織物の名称なのに対し、ヘリンボーンは織物や建築などで使われる模様の名称である点が異なります。
ヘリンボーンとは、魚のニシンの骨(Herringbone)に似たデザインに由来した模様の名称です。
織物では右上がりの綾織りと左上がりの綾織りを交互に組み合わせたV字型の模様が多く用いられ、日本では「杉綾織り」の名前でも親しまれる定番の模様となっています。
2.ツイードの種類
ひと口にツイードといっても、その種類はいくつかあります。
特に以下の4つは「4大ツイード」と呼ばれる代表的な種類です。
2-1.ハリスツイード
ハリスツイードとは、スコットランドのアウター・ヘブリディーズ諸島で作られたツイードで、ハリスツイード協会の厳しい基準をクリアした生地だけがその名を名乗ることができます。
羊毛の産地や染色、工程などに細かい定めがあり、特に高品質なツイードとして世界中に認知されています。
オーブマーク入りの認証ラベルが目印です。
2-2.チェビオットツイード
チェビオットツイードは、イングランドとスコットランドの境界にあるチェビオットヒルズ周辺が原産の、チェビオットシープの毛で織られたツイード生地です。
ハリのある質感で、光沢と鮮やかな色彩が特徴です。
2-3.ドニゴールツイード(トネガルツイード)
ドニゴールツイードは、その名のとおりアイルランドのドニゴール(ドネガル)地方で生産されるツイードで、硬めの風合いと不規則に入ったカラーネップ(節糸)が特徴です。
2-4.シェットランドツイード
シェットランドツイードは、スコットランド北部のシェットランド島に生息する羊の毛を使ったツイードで、繊維が細く、ふんわりと柔らかい肌触りが特徴です。
他のツイードに比べ軽量で、保湿性に優れた生地となっています。
3.ツイードの特徴は?
ツイードは長く愛されてきた伝統的な生地ですが、その生地には愛され続けるだけのさまざまな魅力があります。
ここでは、ツイード生地全般の特徴を解説します。
3-1.耐久性がある
ツイードは優れた耐久性が特徴で、スコットランドでは親から子へ受け継がれるほど長持ちする生地です。
太番手の糸を使用する場合が多いため丈夫で破れにくく、ハンティングやフィッシングなどのアウトドアウエアにも適しています。
また、起毛処理を施さない表面は毛玉ができにくく、美しさを長く保てます。
3-2.保温性に長けている
ツイードは、短い羊毛を紡いだ紡毛糸を用いた紡毛織物です。
繊維の短い羊毛を多量に使用するため、なかに空気を多く含んだ肉厚な生地となり、保温性に優れています。
糸と糸の間に含まれる空気が断熱性を高めることで、軽く温かい着心地となります。
3-3.徐々にやわらかくなる
太めの糸で高密度に織られたツイードは、ハリのある厚い生地のため、はじめは硬さを感じる場合もあるでしょう。
しかし、着用していくうちに柔らかさが増し、身体に馴染んでいきます。
自分にフィットしていくその過程も着こなしの楽しみとなります。
3-4.手触りが独特
ツイードは、刈り取った羊毛の長さを揃えたりせずにそのまま紡ぐ紡毛糸を使用した生地です。
そのため、繊維に粗さがあり、羊の種類によって硬さや質感が異なります。
また、太さの違う糸を組み合わせて生地を作るため、使う糸の違いによって表面の風合いも変わります。
全般的に凹凸のある、ざっくりとした独特の手触りです。
3-5.重量感がある
短い羊毛を大量に使うツイードは、保温性に富んだ厚い生地で重量感があり、見た目にも重厚な印象を与えます。
しかし、ツイードの種類によって軽さや質感のバリエーションが異なるため、好みに合った生地選びをおすすめします。
3-6.多種多様な柄を作れる
糸の組み合わせや織りのパターンによってさまざまな柄を作れるのもツイードの大きな魅力です。
カラフルな糸で鮮やかな模様を楽しんだり、ラメ糸でフォーマル感を出すことも可能です。
織り方もさまざまあるため、組み合わせ次第で多種多様にデザインできます。
4.ツイードを取り扱うときの注意点は?
ウールを使用しているツイードは、取り扱いに注意点があります。
お手入れと虫食い対策について見ていきましょう。
4-1.基本的に水洗いができない
ツイードはウールを使用した生地のため、基本的に水洗いできません。
洗濯表示で手洗い可となっていても、縮みやフェルト化、脱水による型崩れが懸念されます。
特に裏地の付いた衣類は乾燥や仕上げがむずかしいため注意しましょう。また、摩擦によって生地の風合いが損なわれる可能性もあります。
お手入れの際は、クリーニング店でのドライクリーニングがおすすめです。
4-2.虫食い対策をする
ツイードの取り扱いで重要なのが、虫食い対策です。
ウールは動物性の天然繊維のため、虫が繊維を食べる恐れがあります。
着用後のブラッシングや防虫剤で虫食いの被害を予防しましょう。
日頃のお手入れ方法は、服に付いた汚れと湿気を取り、食べかすや糸と糸の間にたまったホコリなどを払うブラッシングが有効です。
ポイントは、強くこすらず繊維の流れに沿っておこなうこと。力を入れすぎると生地を傷めてしまいます。
シーズンの終わりにはドライクリーニングに出し、防虫剤を使って保管しましょう。
クリーニングで付いてきたビニールは、カビの原因となるため外しましょう。
5.ツイード素材のアイテムを使ったコーデを紹介
ツイードは、デザインとアイテムのバリエーションが豊富な生地です。
セレモニー、ビジネス、カジュアルの3つのシーンで、コーディネートの実例をご紹介します。
5-1.ツイードジャケット×ブラウス
ノーカラーのツイードジャケットにブラウスを合わせたセレモニースタイルです。
ジャケットのゴールドボタンとラメ糸がアクセントになり、ツイードの高級感に華やかさを加えています。
ブラウスのキーネックでこなれた印象を作り、定番のネイビーにほどよいトレンド感をプラスしました。
ジャケットはデニムと組み合わせてカジュアルに着るのもおすすめです。
5-2.ツイードのジャケット×タートルネック
伝統的なハリスツイードを使用したジャケットに、柔らかな肌触りのタートルネックを合わせたビジネスカジュアルです。
チャコールグレーのヘリンボーンは、ベーシックでありながら大人の遊び心を感じる織り模様で、インナーとポケットチーフのボルドーが円熟した豊かさを醸し出します。
ジャケットは肩パットを省くなど軽さと柔らかさを意識した仕立てで、トラッドな雰囲気とトレンド感を両立したスッキリとしたシルエットです。
5-3.ツイード調のシャツ×デニム
アウトドアブランドLOGOSの秋色チェックシャツとデニムのカジュアルコーデです。
季節感を感じる色合いが秋の気分を高めてくれます。
ツイード調の両面起毛シャツはアウトドアにもおすすめの暖かさで、秋は羽織に、冬はインナーにも活用できる着回し力が魅力です。
M~3Lのサイズ展開で、男女問わず着用いただけます。
6.まとめ
ツイードはスコットランド発祥の毛織物で、耐久性と保湿性に優れた厚みのある生地です。
生産地や原料となる羊の種類により手触りや風合いは異なりますが、いずれもざっくりとした素朴な風合いが特徴的で、使う糸やデザインによってさまざまなバリエーションが生まれます。
普段のファッションをもうワンランクアップさせたいと考えているなら、ぜひツイードを取り入れ、着用シーンや好みに合わせた着こなしを楽しんでみましょう。